ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
部室――
レーティングゲームから部長たちのいる観測室に戻った士郎。レイヴェルも含めライザー陣営は、そのまま冥界の病院に緊急転送されたみたいだ。一番重症なのは、ライザー自身らしい。
「――ただいま帰りました」
士郎はドアを開けながらそういう。
「おかえりなさい、士郎」
「ご覧のとおりの有様です」
と士郎が部長にいう。
「お疲れ様、手応えはどうだった士郎?」
「ご想像にお任せしますよ、あんなものですフェニックスは、とはいえ、油断していると足元を救われますね」
「それは重々承知よ、それで、十日後の見込みは?」
「うーん、あっちがどう出てくるかでしょうね、下手すれば私じたいを参加不可にしてくる可能性もあります」
「参加不可――それはあり得るかもね、今回のはあくまで非公式試合とはいえ、両家に見られているからね、単純に考えてあそこまでの圧倒的な力を有してしまっていては試合にならないからね」
「えぇ、今回の敗北で慢心を捨て去ったら、相手は確実に体制を整えて攻め込んでくるでしょうね」
「確かに、感情だけで勝てるほど甘くないわ、けど、今回は――まさに力による殲滅だからね、次はあらゆる戦術で攻めて来るでしょうね」
「まぁ、そのための対策もありますから」
「…おそろしいわ」
言葉を交わす士郎と部長であった。
数日後、某所――麓
空は、抜けるほど青く快晴。それに周辺には自然豊かな木々が生い茂っている。
イッセー相手の修行が終わったあと、イッセー、小猫、朱乃、木場は、部長に言われ、とあるところに来てた。
そして、彼らに相対するように5人の人物がそこで立っていた。
「……」
一人は、灰色長髪の端整な顔付きで胸もとと背中が大きく開いた鎧に身を包み、大剣を背にする長身の青年。
一人は、フードによって顔を隠した女性。
一人は、仮面をし重厚な全身鎧に身を包んだ白銀の騎士。
一人は、妖艶な半獣の女性。
そして、彼らの前に現れた清廉で善良そうな少女。彼女が前に出てくる。
「どうも、リアス様――この度は、この訓練に参加していただき誠にありがとうございます」
「いえそんな、逆にこっちが頼みたいくらいだったわ」
頭を垂れる彼女を制止し、こちらからお礼を告げるリアス。
「あの、部長、この人は?」
「えぇ、この人はジャンヌっていう人で、今回の訓練官よ――ちなみに、士郎曰く士郎の魔力で実体化しているって」
「ご紹介ありがとうございます、といっても、実際訓練するのは後ろの方々ですがね」
親しげそうに言葉を交わす二人。そんな中
「おい、ジャンヌ――
「落ち着きなさい、モードレッド」
剣を抜いた白銀の騎士
士をなだめるジャンヌ。そんな中、木場が
「――骨がある奴?随分の言われようだね」
「えぇ、少し心外ですわ」
「同じく」
「ちょ、えっ!?」
イッセー以外の、木場、朱乃、小猫が身構える。
「はっ、威勢だけはいいってところか――」
「そういうところかしらね」
「とはいえ、元気が一番ですよ、元気が一番」
フードによって顔を隠した女性、仮面をし重厚な全身鎧に身を包んだ白銀の騎士、妖艶な半獣の女性も身構える。
「そのすました面、一瞬にして歪ませてやる」
「やれるのものならね」
「こいよ、外見がいびつな雛鳥共――」
白銀の騎士の開戦の合図とも取れる言葉と共に、極限的な訓練が始まった。その頃、士郎はリアス達のいるところとは全く違う場所にいた。
東京都――江東区お台場
夜空に輝く月が少しだけ空を青に染めていた。ライザー戦との直後、士郎は部長のお兄さんであるサーゼクスからご丁寧に招集がかけられ、ここに出向いていた。士郎が今いるのは、若者の街お台場だ。銀色の真ん中に球体がある建物や、大きなツインタワーのマンション、それに、大きな展示場もあり、有名な虹色の橋があるあのお台場だ。それから、ゆりかもめを乗り継いで、士郎は集合場所に向かう。
「(――ここだな)」
サーゼクスから言われた招集場所は、お台場都立潮風公園夕陽の塔前で、埋め立てられたところにある四角い広場だ。所謂、少しメインから離れたところで、そこから少し先に見えるレインボーブリッジと東京タワーのイルミネーションが綺麗だ。
金曜日の夜だというのに、周りには誰もいない。普段なら、こういうところには若者の一人や二人はいるはずだが、ほとんどいない。不思議に思った士郎は感覚を鋭敏化させると士郎以外が立ち入らないようにした結界が貼られているようだ
「(箱の中のネズミっていうところかな……)」
目の前の海と景色を眺めていると――後方から、接近してくる気配が二つ。
「(敵、ってわけじゃなさそうだな――)」
士郎は気配を分析する。どうやら、あちらに敵意はない。それよりも気になるのが
「(この気配は…)」
妙に懐かしげのある気配に気が散る士郎。
『(士郎、大丈夫か?)』
「(あぁ、問題はない)」
軽くジルニトラと言葉を交わす。そして、相手がこちらに近づいてくる。そんな中突如、メールを告げる音がなった。
「(こんな時に!?)」
士郎は、後方に悟られないように見てみると
「(差出人――如月…サツキだと!?)」
目に飛び込んできた差出人に我が目を疑う。メールは、いくつかの空白が書かれている。
「(空白メール…)」
そして、暫く進めてみると
「(――"振り返ってみな"……!?)」
その行動を待っていたかのように、一陣の風が吹き抜ける。士郎は、後方を文字通り"振り返る"。
そこには、二人の女性がいた。そして、あまりの光景に絶句する士郎。
一人は、月の光を反射してうっすらと輝き、全てを包み込むように魅入らせる漆黒の長い髪に全てを見通す位に澄んだ真紅の瞳に、黒いコートを羽織った服の上からでもわかる透き通るような雪のようにまぶしい白い肌に華奢な体に部長に巻けず劣らず美術品的な容姿の女性と、腰まである海と空が交わったような全てを飲み込む濃紺の髪に光り輝く満月のように透き通った金色の瞳の女性だった。
「――士郎!」
そして、目が合うやいなや黒い髪の女性がこちらに駆け寄ってくる。というより、飛びついてくる。
「ちょッ!?サツキ――!」
ドサッ!!
飛びつかれて、後ろに倒れこむ士郎。その結果、抱き合うような姿勢になる。士郎の鼓動が高くなる。無理もない服越しとは言え、約5年ぶりのその感触は士郎の強靭とも言える精神をいともたやすく崩していっているのだ。所謂、いともたやすく行われるえげつない行為だ。
「シロ~」
昔のような猫なで声で言われ、もはや
「ん~」
顔を擦り付けてくる。そんな中
「その様子だと、サツキ――知り合いってレベルじゃなさそうね?」
「えぇ、幼馴染みですから」
「(どう考えても、幼馴染みにする行為じゃないよな、これ)」
それから、サツキが先に立ち上がり、彼女の手を借りて立ち上がる士郎。そして、士郎は、簡単に服についた砂を払う。すると、濃紺の髪の女性がこちらに近づいてくる。
「はじめまして、丹羽士郎くん――私の名前は、サファイア・ハインリッヒ・マルコシアスよ、よろしく」
「丹羽士郎です、よろしくお願いしますサファイアさん、それで、魔王様は?」
「えぇ、これから、本拠地となるところに居るわ、まずはそこに行きましょう」
「そうですね」
そういうと、彼女についてくように歩き出す。士郎の右手はサツキに握られている。いわゆる手を繋いだ状態で歩いていく士郎。
士郎も彼女も恥ずかしいというより懐かしい感じに包まれる。それから、ショッピングモールの横をあるていく三人。そして、そのショッピングモールから出てくる若者たちが足をとめてこちらを見ている。中には、ヒソヒソと話している若者もいる。それに耳を傾けてみると
「うわ、すっごいキレイ…」
「妖精みたい」
あたりの視線を受ける者の、気にせず歩いていく
それはこの三人の容姿にあった。そもそもこういったのと関わり生活をしている人間と言うのは大抵においてものの見方が一般人とはかけ離れている。高級ブティックに並んでそうな品々に、それを当然のように着こなすサフィアさんの美貌。それに、漆黒の髪と黒コートが美しさを引き立たせているサツキ。しかもそれがこれでもかと言うくらいに似合っているのだ。その隣には中性な顔立ちのかっこよさもあり、かわいさもある学生服を率なく着こなした男の子と来たものだ。こんな三人がそろっているのだから目立つなと言う方が無理だ。
「やはり、これは・・・私の服装に問題があるのか?」
「まあ、ちょっと目立ちすぎかも知れないわよね・・・・・・」
実はこの二人+1が相乗効果を起こしていることまでには気がつかないらしい。
無意識に人目を集める才能・・・これをカリスマというのだろうか?と自問自答したくなる士郎。
「いきましょうサツキ、シロウ。気にしてても始まらないわ」
「そうね」
「了解です」
やがて二人がその場を抜けるまで、そこにいたほとんどの人たちが二人に見とれていた。ショッピングモールのウッドデッキを抜け、会話をしながら途中の道を左折すると、目の前にいかにも高級そうな高層マンションが現れた。
「ここ、ですか――」
「えぇ、ここの最上階よ」
そこにさも当然の様に入っていく二人。士郎もそれに続いて中に入る。カードキーを使い、エントランスを抜け、エレベーターに乗り込み、最上階に向かう。
「そういや、俺がなぜここに?」
エレベーターの中で言葉を交わす士郎。
「サーゼクスから知らされてないの?」
「えぇ、とりあえず、来いとしか言われてませんからね」
「まぁ、彼らしいといえば彼らしいというところね、まぁ、入れば全てわかるわよ」
サファイアの言葉とともに、その階についた。それから、特別室と書かれた部屋に入る。周囲には扉がたくさんあるが、少し違和感を覚える士郎。とはいえ、部屋の中に入る。
「なっ!?」
入ったと同時に、士郎はその広さに絶句した。パッと見てみるが、どう見ても階層の半分をこの部屋が選挙している大きさだ。
「(広い・・・)」
そう思うしかほかがない。それから、少し奥の部屋に入る。現れたのは、大きなガラス窓のベランダ。ベランダの先からは綺麗な東京の夜景が見える。しかし、今は、そんなのが少し霞んで見える。なぜなら、士郎の視線の先には、特徴的な赤い髪の冥界の現魔王サーゼクス・ルシファーが悠々と椅子に座っていたのだ。そして、部屋の中を一通り見渡す。士郎もそれにつられるように部屋の中を見渡す。すると、士郎の左後方に、3人いた。
一人は、どことなく見覚えのある金髪美少女さん、もう一人は腰辺りまで届く水色の長い髪に小さな青い髪止めの少女。そして、幼女と見紛うほど若く小柄な黒いフリルまみれのドレスに身を包んだ少女。
ただ、言えるのは、三人ともすぐ後ろのサツキ同様、かなりの手練れだということがわかる。
「さてと、これで全員だな――」
「えぇ、そうね」
サファイアとサーゼクスが言葉を交わす。同時に、魔法陣が展開され、中から円卓の机と椅子が並べられる。
「みんな、とりあえず座ってくれ」
サーゼクスの指示で、その場にいた面々が座っていく。士郎も和を乱さずに座る
「――サーゼクス様、なんで俺らをここに?」
「あぁ、近年活動が活発になってきたテロリスト組織
「招集ですか」
士郎は何かに気付く。見れば、近くの三人もそれに気付いているようだ。
「冥界各地および人間界においても彼らの存在は無視できなくなっており、事実――数日前、某国の島が死都となった」
「(死都!?)」
その言葉に耳を疑う士郎。無理もない、死都いうのは、二種類あり、一つ目は、住民が何らかの災害でいなくなった街や村のこと、そして都市のことをいうが、もう一つの意味は、住民がすべて吸血鬼もどきである
「――
と自虐的な笑みを浮かべるサーゼクス。
「つまり、俺らがテロリスト対策チームってことですね」
「あぁ、身勝手ながら私の独断と偏見で選ばせてもらった」
と彼が言うものの、反対する気は微塵もない。そんな中、士郎からみて左にいたみずいろの髪の女の子が首を捻って、待っていた。
「どうしたレイ君、何か不満か?」
「名前が必要なんじゃないのかなーって思ったんです」
「(あーそういや、さすがに"テロ対策チーム"じゃ仰々しいな、それにあったほうがいいしな)」
「名前ねぇ――ラウンズでいいんじゃないのかしら?」
金髪の少女がそういう。
「ラウンズ、円卓の騎士か、守るという意味では騎士というのもあるからな、冥界の爵位と相まって、仰々しくもなくいいと思う」
フリルの少女が付け加えるようにいう。それにうなずくサファイアとサーゼクス。
「そうだな、冥界を守るという意味ではわかりやすいな、私はそれでいいと思うが、君たちはどうも思う?」
「えぇ、無難でしょう」
「私もね」
「決まりだな――では、大義名分だがこちらは勝手ながら私が決めさせてもらう、といっても、もうわかっていると思うが、冥界をテロリストから守るといったところだ」
「十分ね、それだけあれば、行動できる」
「そうか、では、あとは任せる――ではな」
「えぇ、わかったわ」
そういうと、その場から帰っていくサーゼクス。少し気の抜けるサファイア。
そんな中、士郎とサツキの下に近寄ってきたのは、天真爛漫だが、大人っぽさもあり、雪のように白い肌と青い瞳が綺麗な
「あなた、名前は?」
「俺の名前は丹羽士郎だ、よろしく、あなたは?」
「私の名前は、アルビス・ウィンザー・クロイツェフよ、よろしくね」
「あぁ、よろしく頼む」
お互い握手を交わす。不意になつかしさがこみ上げてくる。が気のせいだと思っていると、彼女の後ろから二人の少女がきた。先に挨拶してきたのは、幼女と見紛うほど若く小柄な黒いフリルまみれのドレスに身を包んだ少女だった。
「私の名前は、リアナ・ヴォルティズロワだ、よろしく頼む」
お互い握手を交わす。そして、視線を隣に向けると、腰辺りまで届く水色の長い髪に小さな青い髪止めの少女。
「私の名前は、レイ・マトリーナ・ローレライよ、よろしく」
彼女とも握手を交わす。それから、一通り全員と言葉を交わし終わると
「一通り、挨拶できた様ね」
「えぇ」
「では、一応、この組織の証を渡すわ」
サファイアに言われ、彼女の下に集まる。
「さてと、はい、これ」
机の中から取り出した、装飾が施された指輪が配られる。
「これは?」
「ほら、冥界などにすぐに行くときに便利な指輪よ、いわゆる通行券ってところね――まぁ、この組織所属の証よ、みんなちゃんとつけておいてね」
『はい』
リングをつける面々。そのころ、イッセー達はというと
某山中麓――
「ブーステッドギア!!」
『Explosion!!』
爆発した攻撃力で果敢に攻め立てるイッセー。
「――ッ!!」
ものすごい速さで迫りこみ、イッセーに大剣をふるう長身の青年、ジークフリート。
「イッセー君!?」
「よそ見すんじゃねぇ!!」
ギィィンッ!!
フォローに入ろうとした木場を遮るように、上空から剣を突き刺しその剣の掴み
「なっ!?」
剣を軸とし木場にけりを食らわせる白銀の騎士、モードレッド。彼女の蹴りにより、後方に吹き飛ばされる木場。
「モードレッド、あまりやりすぎないでください、あくまでも試合です」
「んなこと知るか!!要は勝てばいいんだよ勝てば、剣の技など戦闘における一つの選択肢に過ぎん、勝つためなら、殴るし蹴るし噛みついてもやるさ」
ジャンヌに言われるものの、真っ向から反抗するモードレッド。
「あまり、やりすぎないでくださいよ、フォロー面倒ですからモードレッドさん」
「うるせぇ!!」
隣で戦っている妖艶な半獣の女性、玉藻前にも言われるモードレッド
「ッ!!なんで、あたらないの?」
「さぁ、なんででしょうね――」
単純な怪力で攻める塔城だが、全然攻撃が当たらない。といより
「遅いですよ!!」
ズババババババゥ!!
彼女から現れた鏡により、どこぞから飛んできた魔弾により被弾する塔城。
「さすが、玉藻前ね――」
蝶のような不気味な羽を広げた視線をそちらに向けてみるとフードによって顔を隠した女性、メディアがそこにいる。そして、彼女に向けて
ゴオォォオオォォンッ!
轟音と共に、巨大な雷の柱が降り注ぐ。
「――おや、これはでかいわね」
「サポートしますよ」
「いや、いいわ」
彼女の唇がものすごい速さで動いた直後、その攻撃が防がれる。
「――ッ!?」
攻撃が防がれ驚く朱乃。
「そんなバカな!?」
攻撃を防がれたことに驚くイッセー。乱発はできない一撃必殺に近い技を防がれる。朱乃は、あらかじめ士郎からメディア経由与えられた刀、雷切を使いメディアに向かって雷撃を撃つと思いきや、朱乃は木場に向けてその雷撃を放つ。
「おいおい、仲間割れかよ――」
「だといいけどね――」
「『
『Transfer!』
「
そういうと、空中の木場の周囲に魔剣が現れる。ちょうど、現れた無数の剣に雷がぶつかり、魔剣が雷を纏い、それが一斉に地面に向けて射出される。
「なっ!?こいつらやりやがる!!」
「やるわね」
「えぇ、見直しましたわ」
まさかの三位一体攻撃に、驚くモードレッドと玉藻前とメディア。そんな中、ゆっくりと瞳をつぶってジャンヌがいった。
「相手も全力みたいですね開帳に値する敵だと断定しました・・・宝具の開帳を許しますモードレット、ジークフリート迎撃に努めてください」
『了解した』
剣が降り注ぐ中、宝具の開放を許された面々の纏う空気が変質する、今までのを清流にたとえるなら、奔流とでも言うべき殺気の放出だ。
「
剣をを構えたモードレッドを中心にした一帯が血に染まり、白銀の剣も邪剣へと変貌する。
「
青い宝玉から、黄金色の粒子がこぼれだし
「
「天魔失墜《ムンク》!!」
モードレッドの剣の切っ先から直線状の赤雷を放たれ、ジークフリートの大剣を中心として半円状に拡散する黄昏の剣気が放たれ、その攻撃を迎撃した。
ズドオオオォォンッ!!
二つの攻撃がぶつかり合い、物凄い規模の爆発が巻き起こる。
「危なかったわね」
周囲の環境を激変させかねない爆発に、メディアはぶつかる直前、結界を展開してその規模を可能な限り外に出さないようにした。
「とはいえ、これがドラゴンの力――恐ろしいものね」
メディアが驚いた声を発する。見れば結界の中は、荒廃した地に一変していた。
「ステイルメイトってところですかね」
「――えぇ、そういったところですね」
玉藻前の言葉に彼女が反応するジャンヌ。というと、部長は――
「――どうなったのかしら?」
爆煙が、おさまりうっすらと見えてくる。
「……」
そこには、爆発に巻き込まれてボロボロになったイッセー、木場と朱乃と小猫。彼らの前には、余裕飄々のジャンヌ率いる英霊チームがそこに超然とたたずんでいた。
「決着ありですね」
ジャンヌがそう告げる。非公式とはいえ、その弱点が明確に浮き彫りになるグレモリー眷属であった。