ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第十話 紅と不死鳥

数日後――

 

「悩み事ねぇ」

士郎は、そのまま旧校舎に向かう、部長が最近「心ここにあらず」状態になっているきっとリアス部長のことだからお家柄云々だろう

士郎は何も知らされないまま校舎に向かった

 

「(・・・まぁ、何事もなければいいんだがな)」

士郎は旧校舎に入った途端、士郎はその違和感に気づいた

「・・・ふーん」

目を細め、顔を少しこわばらせる士郎、とてつもない嫌なこと、というかグレイフィアさんがいる時点でことが何か大きく動いていることは感じた。朱乃さんも部長もどこか冷たいオーラを出していた

「(嫌だなぁ)」

 

そう言いながらも、士郎はゆっくりと進んでいく

士郎は、少し嫌々に思いながらも部室のドアを開く

室内には、部長、朱乃さん、小猫ちゃん、イッセー、木場、アーシア、士郎以外全員揃っていた

機嫌の悪い部長に、いつもどおりのニコニコ顔の朱乃さんだが、どこか冷たいオーラを漂わせている

小猫ちゃんは、部屋の隅で関わりたくないって感じで座っていた

「(こりゃ一触即発だな)」

会話のない張り詰めた空気が室内を支配している。部長がメンバーの一人一人を確認すると口を開いた。

 

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

「お嬢様、私がお話しましょうか?」

部長はグレイフィアさんの申し出をいらないと手をふっていなす

 

「実はね――」

部長が口を開いた瞬間、床に書かれていた紋章が知らない姿に変化し光り出した

「(―――グレモリーの紋様じゃない・・・)」

「――フェニックス」

近くにいた木場がその言葉を口から漏らした

 

室内を眩い光が多い、魔方陣から人影が姿を表す、そして魔方陣から炎が巻き起こり室内を熱気が包み込む

幸い、瞬間展開した風王結界(ストライク・エア)を体にまとわせているのでかなり涼しい

焔のなかで佇む男性のシルエット、そいつが腕を横に薙ぐと、周囲の炎が振り払われた

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

そこにいたのいは、赤いスーツを着崩して着ており、ネクタイもせずに胸までシャツを開いた20代前半の悪っぽそうなイケメン

男は部屋を見渡し、部長を捉えると口元をにやけさせた

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

「(どういうことだ――)」

部長は半眼で男を見つめる。とても歓迎しているとは思えない。

部長の様子など気にせず男は近づいていく

「さて、リアス。さっそくだが、式の会場を見に行こう。日取りも決まっているんだ、早め早めがいい」

「(よくもまぁ、軽々しいやつだぜ)」

男は部長の腕をつかむ。まったく礼儀がなってないやつだと思う

 

「放してちょうだい、ライザー」

部長は迫力ある声で、男の手を振り払った

だんだんとむかついてきた、気づいたときには士郎は口を開いていた

「おい、あんたその行動は失礼だろ?女性にその態度はどうなんだい?」

士郎はそいつに物申すが、しかし男は道端のゴミを見るような目でこういった

「あ?誰、お前?」

見下した目線といいものすごく、不快になってきたので、とりあえず何かの因縁つけて殺そうかなと思った。不機嫌な口調、先ほどの甘い声とはまるで違う。嫌悪感も伝わってくる。

 

「俺?俺は、リアスグレモリーの眷属悪魔『兵士(ポーン)』の丹羽士郎だが?」

「ふーん、あっそ」

「あっそじゃねぇし、その態度はどうなんだっつってんだよ」

士郎はその男を突っぱねる

「は?下僕がそんなこと言ってるんじゃねぇぞ!」

男も容赦なく突っぱねる

「巫山戯るな!こっち名乗ったんだから、そっちも名乗れよ!金髪幼女が怖がってんだぞ!どうしてくれるんだ!」

「は?俺の名前を知らねえのか?」

「知らねぇし、知る必要もねぇし」

 

相変わらず、続く攻防

「丹羽士郎様」

「はい?」

「この方は、ライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家のご三男であらせられます」

グレイフィアさんが士郎にそいつを紹介してくれた

「そして、グレモリー家次期当主の婿殿でもあらせられます、ご婚約もされております」

「ふぅーん…そうか、だからなんだ?」

「はぁっ?」

「最低限のマナーっていうのは、必要だよな」

「ふっ、ふざける――」

ジャキンッ!!

ライザーは、士郎を消そうと炎弾を放とうとするが、

「たかが、『兵士(ポーン)』に後ろを取られるとは、たかが知れているな――ライザー・フェニックス」

ライザーの頭には、凶悪な弾丸が装填されたコルトパイソンが突きつけられていた。ライザーは、それを察し、火を収める。士郎も銃を収める。

「――あんた、それは、コルトパイソンだな?」

「あぁ、そうだ――それが何か?」

「お前は、本当に『兵士(ポーン)』なのか?」

「それは、今どうだっていい」

と言葉が交わされる。

 

「ライザー!以前にも言ったはずよ!私はあなたと結婚なんてしないわ」

「あぁ、以前にも聞いたよ。だが、リアス、そういうわけにはいかないだろう?キミのところの御家事情は意外に切羽詰ってると思うんだが?」

「余計なお世話だわ!私が次期当主である以上、婿の相手ぐらい自分で決めるつもりよ!当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるはずだった」

「そのとおりだ、基本的に君は自由だ、とはいえ状況が状況なんだよ――それを考えてくれ」

ライザーの真剣な話に黙り込んでしまう部長

「つまり、これは、ある意味で政略結婚、ある意味で血筋の話ってわけか」

「そういうことだ」

士郎がライザーの話をまとめる。

 

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

「おぉさすがリアス、じゃあ早速俺と――」

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー、私は、私が良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだってそれぐらいの権利はあるわ」

ライザーの言葉を遮り、部長はその言葉を言った。それを聞いて、とたんに機嫌が悪くなるライザー。目元が細まり、舌打ちまでした

「俺もな、リアス。俺だって、フェニックス家の看板を背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界の建物何かに来たくなかったしな、というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い、焔と風を司る悪魔としては耐え難いんだよ」

ライザーの周囲を炎が駆け巡る、火の粉が舞った

「俺はキミの下僕を全文燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰る」

殺意と敵意が室内全体に広がる。プレッシャーが士郎たちを襲う

もはや、臨戦態勢になった

そして、ライザーの炎が背中に集まり、翼のような形になる。まさに火の鳥だ。

 

そんな中、冷静にグレイフィアさんが介入してきた

「お嬢様、ライザー様、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙ってみているわけにもいかなくなります、私はサーゼクス様の名誉のために遠慮などしないつもりです」

静かで迫力のある言葉をグレイフィアさんが口にする

「最強の『女王(クイーン)』と称されるあなたにそんなことを言われたら、俺もさすがに怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクスさまの眷属とは絶対に相対したくないからな」

「こうなることは、重々承知してました。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです、これで決着がつかない場合、最終手段を取り入れることにしました」

「最終手段?どういういことグレイフィア?」

「お嬢様、ご自分の意見を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはどうでしょうか?」

「――!?」

グレイフィアさんの意見に言葉を失う部長。レーティングゲームのことを士郎のとなりで木場がイッセーに説明をしている。そんな中、士郎はグレイフィアに駆け寄り。

 

「あの、サーゼクス様の奥様でいいのですよね?」

「えぇ、そうですが、どうかされましたか?」

「その、サーゼクス様に連絡をとっていただきたいのですが?」

「なぜ?」

「至急、頼みたいことがあって…できますか?」

と頼み込む士郎。そんな中だった。

 

prrrr!!prrr!!

『っ!?』

グレイフィアの通信機器が鳴った。

「えっ、うそ!?」

耳を疑うグレイフィア。どうやら、士郎が望んでいた相手だった。グレイフィアは、冷静に通信機器を取り、話し出す。

 

「はい、もしもし――わかりました」

そういうとグレイフィアは、部長とライザーの前に立ち。

 

「お嬢様、ライザー様、私は魔王サーゼクス様と話してきます――あまり派手なことはなさらないように」

そういうと士郎に駆け寄る。

「士郎様、どうぞこちらへ」

グレイフィアに言われ、外に出る。そして外に出ると通信機器から浮遊ディスプレイが現われ、そこにサーゼクス・ルシファーが映し出された。

「やぁ、久しぶりだね士郎くん」

「お久しぶりです、サーゼクス様」

「その様子だと、元気にやっているようじゃないか――さてと、その様子だとひと悶着あったようだな、さて本題に入ろう」

「はい」

「リアス・グレモリー眷属『兵士(ポーン)』の丹羽士郎に対して、先日のテロ組織襲撃撃退の功績を称え――君に公爵の地位を叙勲し、心して受け取るように」

「はっ、ありがとうございます」

それから、間接的にグレイフィアから簡易的な叙勲式を行われ、士郎はレーティングゲームに参加できることになった。再び中に入ると相変わらず話を続けている二人。

 

「俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」

にらみ合う両者、激しい眼光をぶつけあっている

「承知しました。お二人のご意見は私グレイフィアが確認させていただきました、ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」

「えぇ」

「ああ」

二人とも了承する

「わかりました。ご両家のみなさんには私からお伝えします」

頭をさげるグレイフィアさん

 

「なぁ、リアス、まさかここにいる面子がキミの下僕なのか?」

「だとしたらどうなの?」

「これじゃ、話にならないんじゃないか?キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺の可愛い下僕に対抗できそうにないな」

そういうと、ライザーは、指を鳴らす。紋様は、ライザーが出てきた時と同様のフェニックスの魔方陣その中から次々と人影が現れた。

「とまあ、これが可愛い下僕だ」

堂々というライザーの周囲を総勢十五名の眷属悪魔らしきモノたちが集結する。

 

「よく言ってくれるぜ」

「――なにっ!?」

士郎の足元から魔法陣がいくつか展開され、中からこれまた総勢15名の"英霊"が現れる。全員が、ライザーの下僕や本人に殺意を向けている。無理もない一人一人が、英霊だ。その威力は計り知れない。

「これで、15vs20だ――とはいえな」

「ちょ、士郎!?」

「遅いですよ、部長…」

部長の制止を振り切って、士郎は術を展開する。

そして、ライザーの達の目の前に晴れ渡る蒼穹に熱風吹き抜ける何もない広々とした荒野と大砂漠が現れ、士郎は声を張り上げた。

 

「肉体は滅び、その魂は英霊として『世界』に召し上げられて、 それでもなお(オレ)に忠義する伝説の勇者たち。時空を越えて我が召喚に応じる永遠の朋友たち。彼らの絆こそ我が至宝!!我が王道!!(オレ)が誇る最強宝具―『王の軍勢(アイオニオンヘタイロイ)』なり!!」

 

ザッザッザッザッ!

現れたのは数多くの兵士

 

「総勢12万3000体―とまぁ、これが俺の兵士たちだ」

士郎を筆頭とし、総勢12万3000体の兵士が集結する。その中には、かの有名なアーサー王率いる円卓の騎士団やアジアを走破したアレクサンドロス大王、それにウルクの王までいる。実力差12万3000vs15、その事実に驚愕する面々。相手との差は、8200倍といったところだ。

「ということだ、お分かりかな――ライザー?」

「・・・っ!!」

憤怒の形相を浮かべるライザー。

 

「ミラ――やれ!!」

「はい!ライザー様!!」

そういって、ライザーが下僕の女の子に命令を下す。相手は、塔城ほどの小柄な女の子で、長い棍を使い、攻撃してくる。が――

 

「――ランスロット!!――騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)

士郎はそれをつぶやくと、瞬間的に、ライザーの下僕ミラが、攻撃を認知する間もなく、天井に叩きつけられていた

 

「ガハッ!」

大きな音共に、腹部のあまりも複雑すぎる痛みで悶え出すミラ

 

「ミラ!」

ライザーが叫ぶ、士郎がランスロットの方に視線を向けると、先ほどミラが持っていた棍をランスロットが持っていた、つまり、自分の武器にしたみたいだ。

 

「弱いな‐いまので最低ランクだが?」

その一言が、ライザーの心をえぐる。

 

「さっきテメェの下僕が戦ったのは、俺の『兵士』ランスロットだ――すくなくとも、本物の戦場で実践経験をしてきたから、実力はある――不死鳥?はっ?たしかに、死なないスキルの一つだが、やり方一つで俺どころか、神や魔王も倒せるはずだろ?まぁ、使いこなせなきゃ意味がねぇがな・・・なんならここでやるか?今すぐにでもレーティングゲームをやるか?いいぜ、ライザー・フェニックス」

 

 

 

「てめぇさっきから調子乗りやがって!テメェ名前はなんだよ!?」

 ・

 ・

 ・

ライザーの下僕も部長もイッセーもグレイフィアさんも含めその場が凍った

 

「こいつ本当に鳥だな、三歩歩いて忘れるとか、鶏もいいところにしておけよ、鳥野朗か?や・・・・・その下僕から見ると種まき鳥野郎か、笑わせるぜ」

士郎の挑発にライザーは憤怒の表情を見せた

 

「焼き鳥!?この下級悪魔がぁぁ!調子こきやがって!上級悪魔に対して態度がなってねぇぜ!下僕の教育はどうなってるんだ!?」

部長は知るかと言わんばかりにそっぽを向く。

 

ゴォォォォォォン!

ライザーから高圧の炎が放たれる

「おいおい、ここで力を使うんじゃねぇよ、グレイフィアさん、もう出来てるんでしょ?」

士郎は涼しい表情で、熾天覆う七つの円環(ローアイアス)を展開し炎を防ぐ

 

「はい、出来ております」

「周りひっくるめて転送を」

「了解しました」

そして、転移が始まった。

 


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