魔法少女?違う、アタシは決闘者だ!   作:fukayu

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「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」

 

「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞いフィールド内を駆け巡る………」

 

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形!!」

 

「「アクション…デュエル!」」

 

 アタシとキュゥべえの掛け声でデュエルの究極進化系であるアクションデュエルが開始される。モンスターに乗って移動するアクションデュエルならDホイールなんかなくても飛んでいる魔女に近づけるぜ!

 

「なんで僕が……」

 

「でも、私あの口上結構素敵だと思うのだけれど?」

 

「わけがわからないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシは古のルールを発動!この効果でレベル5以上の通常モンスターを召喚できる。こい、エレキテルドラゴン!」

 

 

【古のルール】

通常魔法

手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

【エレキテルドラゴン】

通常モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1000

常に電気を纏い空中を浮遊するドラゴン。

古代より存在し、その生態には未だ謎が多いものの、

古のルールにより捕獲は禁止されている。

 

 

 魔女の攻撃力がわからない以上序盤から低レベルモンスターに乗るのは危険だ。アクションデュエルは実体化したモンスターに跨ったり、掴まったりして決闘者が自由にフィールド内を駆け巡る事ができるが、同時にモンスターを破壊されれば載っていたデュエリスト諸共ダメージを受けてしまうことになる。

 流石に使い魔と違って魔女の攻撃を食らっては命に関わる。デュエルで人が死ぬわけない?ハッ、とんだロマンチストだな。

 

「アタシはカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 先行は攻撃できない。ドローはさせて貰うけどな。

 

「結城さん!」

 

 遅れてきたマミが空中をリボン?で移動しながら近づいて来る。流石に、生身でこの高さに登ってくるとは……ちょっと見直したぜ。

 

「魔女と一人で戦うのは危険よ!」

 

「バトルロイヤルルールか!」

 

 三人のプレイヤーによるデュエル……最もこの場合あたしの目標は魔女だけでおそらくマミも同じだろう。多少卑怯な気がするが、何、よくあることだ気にするな!

 

「ケキャキャキャ!」

 

 魔女のターン。

 魔女がこちらに攻撃を仕掛けようとしたところをマミが召喚した銃で迎え撃つ。結果はどちらも破壊されない。

 

「どういうことだ!?」

 

 戦闘を無効にするルール?それとも、戦闘では破壊されない効果か?とにかく、原因不明の効果で戦闘した筈の両者は場に残り続けている。

 

「どういう効果かしらねえが、マミ!お前のターンだ!」

 

「わかってるわ!」

 

 マミのターンと同時に魔女の周りに壁モンスターもとい使い魔が大量召喚される。

 相手のターンに特殊召喚する効果ってことか。また厄介な。

 

「まずは使い魔を――!」

 

 そう言うとマミは大量の銃を召喚して一気にその大半を破壊する。モンスターに対する連続攻撃効果ってところだろう。あの銃の効果かマミ自身の効果かは知らないがこの状況で引くなんて余程の強運だな。

 

「負けてられねえ!アタシのターン、ドロー」

 

 引いたのは、召喚時手札のレベル4以下のモンスターを召喚できる【突撃隊長】。この手早くモンスターを増やせる効果からアタシのデッキじゃ過労死候補だぜ。早速召喚。

 

 

【切り込み隊長】

効果モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 

 フィールドに歴戦の戦場を渡り歩いた漢が召喚される。様々なカードのイラストに登場し、自軍を勝利に導いたその姿をアタシに見せてくれ!

 

「ちょっと、悠城さん何してるの!?ここは空中よ?」

 

「へっ?」

 

 召喚された【切り込み隊長】は戦士族。当然【エレキテルドラゴン】のように空を自由に飛べるはずもない。

 アタシの期待とは正反対に隊長は何もできずに落ちていく。

 

「隊長ォォォォォ!!!!」

 

 手を伸ばしても、落下を始めた隊長には一足遅い。

 

「クソ、頼むお前ら!」

 

 ダメ元で【切り込み隊長】の効果で手札にあった唯一のレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。

 モンスター召喚時の光が落下する隊長を追い抜き、いくつもの人影を構成する。

 

 

【ゴブリン突撃部隊】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1900/守 0

このカードの攻撃宣言時、

相手は魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない。

このカードは攻撃した場合、

バトルフェイズ終了時に守備表示になり、

次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。

 

 

「もう!」

 

 マミのリボンを足場にブリッジを組んで【ゴブリン突撃部隊】は落下していた隊長を受け止める。

 そして、隊長を受け止めたゴブリンの一体がアタシに向かって頼もしいガッツポーズをする。

 

「お前らァァ、よくやった!」

 

「あの、私も手伝ったのだけれど……」

 

 あいつらの思いに報いてやらなければ!

 

「トラップ発動、【安全地帯】」

 

 

【安全地帯】

永続罠

フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、

戦闘及び相手のカードの効果では破壊されない。

また、そのモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できない。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。

 

 

 効果を【ゴブリン突撃部隊】に発動すると暖かい光が彼らを包み込み、隊長諸共浮遊する。

 折角の高攻撃力を捨ててしまうことになるが、あいつらの働きに対する褒美なら安いものだぜ!

 

「そして、エレキテルドラゴンで使い魔を攻撃!」

 

「ちょ、ちょっと、どうして魔女に攻撃しないの?」

 

「なんだよ、あいつの攻撃力がわからねえ以上こっちから攻撃するのは無謀だろ?そんなことにアタシのモンスターたちを費やせねえ!」

 

「それでも今なら魔女の周りは空いてるし、何体かで攻撃すれば……」

 

 何言ってんだこいつ?何体かで攻撃したって、あっちが攻撃力上ならアタシのモンスターが全滅するだけだろ……

 大体魔女(あいつ)はプレイヤーだ。

 

「相手フィールド上にモンスターがいるのに相手プレイヤーにダイレクトアタック出来るわけ無いだろ…………常識だぞ、これ」

 

 やれやれ、見直したアタシが馬鹿だったぜ。こんな初歩的なルールも知らないなんて。

 

「アタシはこれでターンを終了!」

 

 再び魔女のターン。

 魔女による猛攻が始まる。

 

 




対魔女戦でこれほど有効だなんて……アクションデュエル――やはり究極進化系、か。

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