途中パプニカ王国に寄って準備を整えた俺は、勇み足で地底魔城に向かった。
ハドラーが出てきたら煙に巻いて逃げればいいし、そこらのアンデッドどもには負けない故の自信だ。道中で出てきた死霊の騎士やオークを相手にして、シュワルツフレイムなどが通用する事も確認した。
しかし妙にモンスターが少ないな。ホントにこの辺りなのか?・・・と、それっぽい洞窟を見つけた。地下へ続いてるみたいだし、“地底”魔城って名前にぴったりだ。
そうして、俺はなんなく潜入する事ができた・・・っておかしくね?魔王の本拠地なんだから、見張りの一人や二人いるもんじゃないのか・・・?
まぁいいや、いないならいないでいい。コッソリ動いてブルーメタルを頂いたらさっさととんずらだな。魔王を倒すのは勇者の役目だ、相手にする義理はない。
ってなわけで、レッツ隠密行動。
「クカカ」
「クカカ?」
「クカカ」
「クカ!?」
・・・何言ってんだろうな、アレ。通路の角から死霊の騎士同士の会話を盗み聴いてるんだが、解読不能。
おっと、移動するみたいだ。バレないように隠れなくちゃあな・・・
とまぁ、そういう流れを繰り返して進んでいった。
途中、壁に青い石が埋まってるのを見て、採ろうとしたタイミングで首から星形の勲章を提げた骸骨剣士に見つかりそうになって焦ったが。
潜入から体感で1時間程度、入手できたブルーメタルは僅かに2つ。
もっと深く潜れば沢山見つからないかな、貴重品が深部にあるのってお約束だし。
ところで、さっきからモンスターの動きが妙な気がする。なんとなくだけど、罠か何かじゃないよな・・・。
よし、一旦引き返そう。嫌な予感がする。
・・・ダメだ、既にモンスターが道を塞いでる。進むしかない・・・
渋々こっそりと進んでいくと、急に視界が開けた。
――俺が出た場所は、いわゆるコロシアムだった。
円形のフィールドに観客席一杯の魔物。うわぁ・・・
何より目を引いたのが、フィールドに立っているいかにもな威圧感を放つ男。
ヤバい、魔王だ。逃げよう。回れ右。
「待て」
しかし まわりこまれてしまった!
「この魔王ハドラーを前にして背中を向けるとはいい度胸だ」
「勝てない相手とは戦いたくないんでさっさと帰らせてください」
魔王コワイ。
「フッフ・・・子供だろうが、この地底魔城に侵入したからには唯ではすまさん・・・が、俺とて鬼ではない。一つチャンスをやろう」
「チャンス?」
こういう場面でチャンスってむしろ公開処刑的なイメージしかないんですがねぇ。というか鬼じゃなくても魔王だろお前。
内心そんな感じで戦々恐々としているのだが、当然そんな事はハドラーには関係のない事なのであり。
「そう、チャンスだ。アレを見ろ!」
「アレは・・・」
反対側の入口から出てきたのは。
キラリと光るブルーメタルのボディ。ガシャガシャと音を鳴らして歩く四本足。真赤に光るモノアイ。
――殺人機械キラーマシン。
ちょっと待て。
あんなのがいるなんて聞いてないぞ!?
呆然としていると、ハドラーが自慢げに高笑いをあげた。
「フハハ、驚いたか!あれぞにっくき勇者を倒す為に開発したマシン兵、その名もキラーマシン!本来なら数体で組ませているが、特別にあの一体だけ用意した。コイツを倒せれば解放してやろう」
OKOK。つまりアレかい?武器も防具もない状態で、しかも薬草ぐらいしかアイテムがない現状でキラーマシン倒せと。
無理ゲーじゃなかろか。
「・・・やれやれ、やるしかないか」
「潔いな、もっと恐れてもいいんだが・・・まぁ、直に恐怖に顔を歪ませるだろうがな・・・!クックック!」
・・・攻撃、通用するかな?するよね?
もっと文字数多い方がいいんですかね?