オリ主ハウス   作:朝苗

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やっと出来上がりました、とりあえずこの話で士郎さん編?はおわりですかね


第六話 何事も後始末の方が大変

 あのツアーの日から数日後、あの時、士郎さんに庇ってもらった俺とギルはすぐ近くで爆発が起こったことが原因の一時的な難聴だけでそのほかには目立った大きな傷はなかった、それはフィアッセさんも同様でほぼ無傷であったが、大事を取り今後のツアーはいったん見直しとなった。

 

 それに伴いギルが社長モードに入り後処理に追われ、その手伝いで俺と一護も強制デスマーチに入り、やっとひと段落したのがつい昨日のことだ、そして今俺とギルは海鳴総合病院に来ている

 

 ナースステーションで見舞いに来た患者の名前を告げ、病室の前でノックをすると中からまだ若い女性の声で入室の許可がでる、病室のネームプレートには『高町 士郎』と書かれていた

 

病室にはベッドが一つとその横に簡素な椅子が置いてありその椅子には女性が座っており今日ここに来た目的であるベッドの上には

 

 「おや、ギル君に蓮君じゃないかお見舞いに来てくれたのかい?」

 

 士郎さんが数日前にも見せてくれた笑顔をこちらに向けていた

 

 あのテロがあった日、士郎さんは俺たちを庇って爆風を一身に受けたが、怪我の程度は爆発の規模に対してあり得ないほどに軽かった、1ヶ月ほど安静にすれば問題なく護衛としても復帰が可能なほどに。

 

 しかし士郎さんに退院後のことを聞いてみると

 

 「いや、元々今回の仕事で護衛の仕事は引退しようと思っていたからね、未練を吹っ切る意味でもこの怪我はちょうど良かったよ。

これからは桃子とゆっくり喫茶店をすることにするよ」

 

 そう言った士郎さんの顔は穏やかで本当に未練はないようだった、桃子さん(士郎さんに紹介してもらった)もうれしそうに笑っている

 

 「喫茶店ですか、いいですね!今度訪ねさせてもらいます!」

 

 原作を見ていた時から翠屋のシュークリームとコーヒーは気になっていたのだ、確か桃子さんは一流のパティシエという設定もあったはずだし楽しみだ

 

 「ありがとう、でも士郎さんの怪我が治りきるまでいったん休業しようかと思っているのよ」

 

 桃子さんのその言葉にギルが

 

 「そうなんですか?じゃあ士郎さんには早く元気になってもらわないといけませんね、あまり先にになると蓮君が拗ねてしまいますから」

 

 「ははは、それはいけないね、僕のせいで二人が喧嘩したら大変だ」

 

 「拗ねないよ!」

 

 そんな風に四人で談笑していると、病室のドアが開かれそこから三人の子供が入ってきた

 

 「ああ、恭也に美由紀、なのはもお見舞いに来てくれたのか、そんなに頻繁に来なくてもいいんだぞ」

 

 「そんなこと言わないでくれよ父さん、俺たちがどれだけ心配したと思ってるんだよ」

 

 「そうだよ、お父さん、私たちすごく心配したんだからね」

 

 士郎さんの軽口にまず男の子が返し、その次に女の子も士郎さんのことを若干責めるように言葉を続ける。

 

士郎さんのセリフを考えるにこの二人がまだ小さい恭也さんと美由希さんなのだろう、原作から逆算すると当たり前なのだが、いざ実際目の前にしてみると二人ともかなり幼い印象を受ける。

ギルの方を横目で盗み見るとその目線は美由希さんの背後に注目していた。

 

 いったい何にを見てるんだとギルの視線をたどっていくと、まだまだ小さな美由紀さんの身長でも体のほとんどが隠れてしまうほど小さな女の子が俺とギルのことを盗み見ていた

 

 (これが後の主人公か…)

 

 そう、そこにいたのはアニメのときよりも更に幼いが見間違いようがなく主人公の高町なのはであった。

しかし、アニメでは明るく優しい誰とでもすぐに友達になれるような社交的なイメージがあったのだが、今目の前にいる高町なのはの印象はというと、父親の病室になぜかいる俺とギルに対して人見知りしているごく普通の少女だというのが俺の感想だった。

 

 「どうしたのなのは、お姉ちゃんの背中に隠れて、ちゃんとギル君と蓮君にごあいさつしなきゃ」

 

 俺とギルに警戒しているなのはに気が付いた桃子さんがなのはに自己紹介するように促すが、人見知りモードになっているなのははますます美由希さんの背後に隠れてしまう。

 

 「こんにちは、俺の名前は蓮って言います、よろしくなのはちゃん」

 

 このままだとどんどん萎縮してしまうと思った俺は自分から自己紹介することにした、すると美由希さんの背中から少しだけ顔を出すと、こちらのことをじっと見つめてくる

 

 俺が失敗したかな?と思い、もうこれは変顔でもして場をごまかすしかないと自前の変顔レパートリーを検索し始めた時、なのはが美由希さんの背中からでてきて

 

 「高町なのはです!よろしくね」

 

 そう元気に挨拶した。

 

 (なんやこの子かわいすぎるやろ…)

 

 実際に対面した高町なのははかなりの美少女だった、アニメで大体の想像はしていたが、本物は想像を超えていた、ツインテールにしている栗色の髪はリボンでまとめられ、くりっと大きな目はこちらの反応を見逃すまいとじっと正面から見つめている。

 

 その時に感じた感情は俺の前世から今世までで感じたことのない、しいて言うなら胸の奥から何か温かいものがあふれるような、自然と目の前の彼女を見守っていたくなるような不思議な感覚だった。

 

 「僕の名前はギルガメッシュです、長いのでギルと呼んでください」

 

 俺が呆然としていると、横でギルガメッシュがなのはに自己紹介していた、パッと見は同年代なのだが、ギルの落ち着いた雰囲気のなせる技なのか、二人が向かい合っていると近所のお兄ちゃんとそれに懐いている妹分のような空気だ、心なしかなのはもギルには俺よりも警戒心が薄い気がする。

 

 自己紹介が終わったのを見計らっていた士郎さんが俺たちに声をかける

 

 「ギル君も蓮君もうちのなのはと同年代だろ?できれば仲良くしてやってくれないかな?」

 

 「こちらからお願いしたいくらいですよ、こんなに可愛らしい女の子と仲良くなれる機会はめったにないですから、ねえ蓮君」

 

 「あ、ああそうだな俺たち友達と言ったら後は一護くらいしかいないからな」

 

 「その名前は初めて聞くね、その子も仲がいいのかい?」

 

 「ええ、一護君と蓮君は友人というよりもう家族と言ってもいいですね」

 

 「ふむ、ギル君がそこまでいうんだ、その子もいい子なんだろう、また今度紹介してくれないかな?」

 

 「では、今度お見舞いに来るときに一緒に連れてきますね、一護君は剣術に興味がるらしいですから相談に乗ってもらえるとうれしいですね」

 

 また、ギルが士郎さんと保護者風会話を繰り広げている……

 

 ギルが士郎さんと話をし始め暇になった俺は今のうちになのは達子ども組と親交を深めることにした

 

具体的にはなのはとかな!

 

 いや、恭也さんと美由希さんは俺たちに対して友好的な空気が感じられるのだが、なのはからはまだ少し心の距離が感じられるんだよな、そう考えるとギルのやつは凄いわ、人との距離感のつめかたが絶妙だ。

ああいうのが人たらしってやつなんだろう

 

 まあそんなコミュ能力のない俺としてはそれからの時間なのはの好感度を稼ぐべくいろいろと話しかけるしかなかったのだけれど、それが功を奏したのかお見舞いから帰る頃には俺に対しても笑顔で話してくれる羽陽になっていた。

 

 気が付いたら、かなり長い時間居座ってしまったようで、病室の外は日が傾き始めていた

 

 「では僕たちはこれで失礼させていただきます」

 

 「ああ、今日は来てくれてありがとう、次に会う時は美味しいコーヒーとケーキをごちそうするよ」

 

 「ええ、楽しみにしています」

 

 そういって、病室を出ようとする俺とギルに高町家の人たちは、別れの挨拶と再会の約束を口にしてくれる、本当にいい人たちばかりである。

 

 士郎さんが退院したら、お祝いをもって翠屋に行こうと心に決めていると俺とギルになのはが近寄ってきて一言

 

 「次あった時はもっといっぱい遊ぼうね、約束なの」

 

 そう言って両手で俺とギルの手を一つずつ取り、指切りをした。

 

士郎さんのお見舞いの帰り道、俺とギルは今日のことで語り合っていた

ギルは士郎さんと桃子さんと色々と有意義な話ができたと、笑いながらはなし。

俺はなのは達子ども組との話から前世と世界が違っていても小学校の内容などには懐かしいものが多かったと感想を語った。

 

 「いやー今日はなかなか楽しかったですね、転生してから初めてリラックスした気分でしたよ」

 

 「そうだなー、ここ最近は士郎さんのことで忙しかったしな、今回の事件はベストではないけど、十分な結果だろう」

 

 「あまり高望みしすぎてもいけませんよ、原作を知っているのは強みですけど誰もかれもがその通りに行動する保証はありませんし、結局僕たち三人しか人手はないんですからね」

 

 「そんなことはわかってるよ、現に今回は一護がMVPだしな(・・・・・)

 

 俺は横で歩いていた一護に向かって声をかける

 

 「おいおい、俺は大したことしてねーよ、今回一番頑張ったのはギルだろう?」

 

 俺の言葉に対して一護がそう返すが

 

 「いえいえ、僕のしたことなんて少しでもリスクを減らそうとしたくらいですよ、一護君があそこで動いてくれたからこその今回の結果ですよ」

 

 ギルが一護にそう言うと死覇装(・・・)を着た一護が答える

 

 「まあ、役割分担ってやつだよ」

 

 そう、あれはツアーの三日前のことだった

 

 

 ギルがツアーに食い込み三人でライブを鑑賞してその後は臨機応変に対応するという、かなりざっくりな上特に俺たちがいてもいなくてももはやあまり意味がない計画だったのだが。

 

 その日は一護が夕食の当番だった、荷物持ちとしてついていった俺は(ギルはマネーゲームしてた)一護と取り留めもない話をしながらスーパーまでの道のりを歩いていた。

 

 「一護の方は能力の訓練はどんな感じなんだ?」

 

 「んあ?俺の能力はBLEACHの死神の能力だからな、詳しく言うと全キャラの斬魄刀が使えるらしい、まあ俺の方の仕様書も適当なもんだったし、何よりまず霊体にならないと斬魄刀も何もない。

一応、いろいろ漫画の知識とかでそれらしいものは試しているが今のところは成功してないな」

 

 「ふーん、まずは幽体離脱できなきゃ無理ってことか?」

 

 「そうなるなあ、一回霊体になれりゃあ後はその感覚でいつでも使えるようになるみたいだけどな」

 

 「確か前もそんなこと言ってたな、確か原作よりもハードルが低いとかなんとか。

あれってどういうことなんだ?」

 

 「ああ、なんていうかな、体に能力がなじんでくるとな能力の限界点っていうのかな?それが分かるんだよ。

こればっかりは感覚の問題だから説明のしようがない」

 

 「そうなのか…、ってことは一護は一度幽体離脱を経験すれば自由に幽体になれるようになるのか?」

 

 「そういうことだな、レベルキャップが解除される感じだな。

でもその第一段階ですでにつまずいてるんだけどな」

 

 そういって、苦笑する一護の言葉には自虐的な響きが含まれていた。

 

 (俺の場合はどうすりゃいいのかな、渇望に対する理解って言ってもな)

 

 そんなこと考えているうちにスーパーについた俺たちは今夜のおかずを探してスーパーをさまようのだった

 

 俺が今日は魚がいいなーとか思いながら鮮魚コーナーをうろついていると一護が真剣な顔でアジを見つめていた

 

 「一護、今夜は鯵にするのか?」

 

 「…いや、でも可能性はあるな…、試してみるだけでも…」

 

 「おいっ!どうしたんだよ、ぼうっとして」

 

 俺の声も聞こえないくらいに集中していたのか、強く声をかけるまで一護は反応しなかった。

 

 「ああ、蓮か、いやなんでもないよ、とりあえず今夜は魚にしようか」

 

 はっとしたように俺に気が付くと一護は少し気がせいているように買い物を終わらせた。

この時の俺は一護がひそかに買い物かごに入れている物に気が付かなかった。

一護が鮮魚コーナーで何を思いついたのか、それが分かるのは夕食後の自主訓練の時間だった。

 

 「さってと、いつも通り始めますか」

 

 俺たちの家の地下には神特製の訓練場が隠されていた、訓練場と言っても、ただ広い空間が広がっているだけなんだが、検証の結果この地下での音はほぼ外にはもれないようだ。

 

 精神と時の部屋のような時間圧縮や、悟空たちの使っていた重力制御などの特別な機能はついてなかったが、あの愉快犯型神様のことだ、何もないと油断しているととんでもないものを隠していそうだが、とりあえずは便利に使わせてもらうだけだ。

 

 「そうですねぇ、僕も早く剣を射出できるようになりたいですよ、このままだと文字通りの宝の持ち腐れですからね」

 

 「俺もなぁ、渇望の理解って言ってもなあ」

 

 「おや、そういえば一護君はどこに行きましたか?」

 

 「あいつなら夕飯食った後になんかキッチンでごそごそしてたぞ」

 

 「ふむ、今日は嫌に小食でしたしなにかおやつでも作ってるんですかね」

 

 「それなら俺は甘いもんが食いたいなあ、結構甘党なんだよ俺。」

 

 「そうなんですか?僕も甘いものは嫌いではないですけど、どちらかと言えば辛い方が好きですかねえ、あ、でもこの体になってからコーヒーとかの苦いものは苦手になりましたね」

 

 「ギルもか?俺も俺も、やっぱり体が幼くなってるからかな?」

 

 「そうでしょうね、今の僕たちは大体3~5歳くらいですからね、あまりコーヒーとか常飲するのも体に良くないですから、ちょうどいいと言えばちょうどいいんじゃないですか?」

 

 「でも俺最近やっとビールのうまさに目覚めたのに、また二十歳になるまでお預けはつらいよ」

 

 「それを言わないで下さいよ、僕だって我慢しているんですから」

 

 「ぐああああああ!」

 

 俺とギルがそんな馬鹿話をしていると上の階から一護の叫び声が聞こえた

 

 「おい!今の声一護だったよな!」

 

 「はい!なにかやたらと聞き覚えのあるやられ声でしたが間違いなく一護君でした!」

 

 

 「どうした!一護!」

 

 「大丈夫ですか!一護君!」

 

 俺たちが悲鳴の元と思われるキッチンにつくとそこには死覇装を身に着け腰に斬魄刀を拵えた一護が立っていた

 

 「なんか、幽体離脱成功しちゃった……」




今回ので本格的にチート入り?した一護君です。
でもこの作品の一応のテーマはチートが使えないなのでこの後も彼らにはそれなりに苦労してもらうつもりです

あと、話数が進むごとにどんどん文字数が増えていいているんですが、普通は何文字くらいを目安にすればいいんでしょうね。
誤字報告・感想などありましたら気軽によろしくお願いします。

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