今回はオリ主たちが頑張ってジュエルシード回収します(ネタバレ)
「ジュエルシード封印!」
なのはの声と同時にジュエルシードが無事に封印される。
ここ数日で見慣れてきたがなまじジュエルシードの危険性をユーノから何度も注意されているだけに無事に封印できたことに安堵する。
「おつかれ、なのは」
「うん、ありがとう蓮君……」
一息ついているなのはにねぎらいの言葉をかけると笑顔で返してくるが慣れない魔法や時間に関係なく発動するジュエルシードに睡眠時間も足りていないのか少し疲れているように見える。
そして俺でも気づくことができることにこの人たちが気づかないはずもなく。
帰り道を全員で歩きながら士郎さんがなのはに話しかける
「なのは、疲れがたまっているみたいだし明日は探索をしないでゆっくりと休みなさい」
「そうだな、いつまで探索が続くかもわからないんだ、ここらでしっかりと疲れを取った方がいいぞ」
士郎さんの言葉に続いて恭也さんもなのはに休むよう助言をする。
二人の心配も最もでジュエルシード集めを始めてからそろそろ一週間がたつが学校から帰ると夕方までジュエルシードを探して海鳴を歩き回り、日が暮れると危ないので探索は士郎さんたち大人組に任せて俺達小学生組は高町家に帰るが今日のように夜にジュエルシードが発動することも珍しくないので夜遅くまで起きて待機をするという生活なのだ。
元は大人で夜更かしに慣れている俺達でも小学生ボディでは疲れが残るというのにこれまで小学生らしい早寝早起きをしていたなのはが俺たち以上に疲れがたまるというのは当然のことと言えた。
「でも、早く集めないと大変なことになっちゃうかもしれないし……」
自分に疲れが残っているのは自覚しているのだろうが自分が休んでいる間に暴走体が出たこと気の事を心配するように士郎さんを見つめると
その心配を吹き飛ばすようにことさら明るく士郎さんが言った。
「そんなに心配そうな目をするなよなのは、何かあっても父さんも恭也が何とかしてやるよ」
朗らかに笑いながらなのはに言った士郎さんの言葉に同意するように恭也さんも
「そうだぞなのは、父さんと俺や美由希が毎日鍛錬してるのは知っているだろ?だから大丈夫だ」
「うん……」
士郎さんと恭也さんのふたりがかりでさとされなのはも一応納得したみたいだった。
そんな若干しんみりとした空気が流れる中でまったく空気を読まない明るい声が上がる。
「そんなこと言って士郎さんも恭也さんも疲れてるんじゃないんですか?
明日は翠屋JFCの試合もあるんですからなのはと一緒に完全休養日にしたらいいんじゃないですか?」
一護が士郎さんと恭也さんに向けて話しかけるが二人はその言葉にまったく反応を返さない
そんな二人に一護が困ったように
「あの、二人とも俺の言ったこと聞こえてます……?」
再度二人に話しかけるがそれでも二人は一護の言葉にリアクションをしない、そんな光景にあきれたようにギルが突っ込みを入れる
「一護君、今霊体になってるんですから二人には何を言っても聞こえませんよ」
「あー、そうか。ついうっかり忘れていたわ」
「あれ?一護君が何か話していたのかい?」
ギルが一護に指摘すると一護もそのことを思い出し、士郎さんもギルの言葉で一護が何かを話していたことに気付く。
一護はジュエルシード捜索の際はそのチートの特性から基本的に霊体状態で捜索隊に加わっているのだがそうすると魔力のない士郎さんと恭也さんには一護の姿も声も聞こえなくなってしまう。
捜索範囲などは一護も生身の状態の時に行っているし、基本的に一護に頭脳労働は期待されていないのと、大体のことは俺かギルが間に入っているので士郎さんたちと直接話ができなくても大きな問題にはならない。
唯一の問題と言えばさっきのようにそのことを忘れた一護が恥ずかしい思いをするくらいだが、俺に被害はないしむしろ面白いので改善策を考えるつもりはない。
「早く士郎さんに伝えてくれよ!なんかはずかしいじゃねえか!」
少し顔を赤くした一護に急かされ、ギルが一護のさっきの言葉を伝える。
士郎さんはギルの言葉を聞いて少し考え込んだ後に
「そうだね、一護君の言葉にも一理ある。
ちょうどいいから明日は探索はお休みにしようか」
一護の提案を受け入れ、俺たちジュエルシード捜索隊はいったんの休息を得ることになったのだった。
そして次の日、せっかくの休みなのでおもいっきり寝過ごしてやろうと思っていた俺はなぜか河川敷に拉致されていた。
「なんで俺はここに連れてこられたんだろうな……」
そう諦観をにじませながらつぶやくと、俺を連れてきた張本人である一護が
「そりゃ今日は我らが聖祥イレブンと翠屋JFCの試合だからな。スーパーサブのお前がいないと話にならんだろ」
そんな勝手なことを言いやがりました。
一護の言っている聖祥イレブンとは一護が聖祥に入学した時に作ったサッカーチームである。
最初は一護のいつもの思いつきで始まったお遊び程度のものだったのだが、一護がサッカーチームを作ったのを知った士郎さんが士郎さんの率いる翠屋JFCと練習試合を企画し、その試合にぼろ負けしたのが
全ての始まりだった。
あの一護が負けっぱなしで終わるような性格ではないのは今更言うまでもないことなのだが、その一護が集めたメンバーも普通の小学生とは言い難い無駄にキャラの濃い連中になったのは当然なのか海鳴りという魔境故なのかは俺には判断できない。
翠屋JFCに敗北した一護たち聖祥イレブンは敗戦の悔しさを忘れることなく、サッカースクールですらない小学生の私設チームとしては異常なほどの練習を続け、あの屈辱の敗戦からひと月後には見事にリベンジを果たしたのだった。
……ここで終わればいい話だったということできれいにまとまるのだが現実がそううまくいくわけがない、次はリベンジされた翠屋JFCが今度はこちらが勝利するとばかりにリベンジに燃え、それに対抗して聖祥イレブンも練習に熱を上げるという、ここに海鳴りサッカー戦国時代は幕を開けたのだった……。
俺は関係ないはずなのだが、万が一けが人や体調不良などで欠員が出たときに備えて聖祥イレブンのサブメンバーとして強制的にベンチに入れられている。
もしかしなくても一護が昨日士郎さんに今日は完全休養日にするように提案したのはこの試合に備えてだったんじゃないか?
そんなことを考えながらうなだれている俺に応援に来ていたなのはが声をかけてくる
「にゃはは、蓮君も大変だね」
なのはも翠屋JFCと聖祥イレブンの因縁や俺が実はサッカーよりも野球派なことは知っているので同情の声をかけてくれる。
そして、そんな俺となのはを見ながら疑問の声を上げるのがこの因縁について知らないアリサとすずかだ
「今日は一護たちのチームと士郎さんたちのチームの練習試合なのよね?それにしては観客が多くないかしら?」
「そうだね、サッカーとかは詳しくないけどいっぱい人が見てるね。これが普通なのかな?」
アリサとすずかのの言葉の通り河川敷にはそれなりの人が試合が始まるの待っていた。
そんな二人の疑問に答えるために俺は二人に軽くこの試合が伝統になるまでの経緯を説明する。
「なるほどね、つまり
俺の説明を一行でまとめたアリサが得心したように何度もうなずいているのを横目で見ながら
「まぁ。間違ってはいないんだが。それだけでもないんだけどな」
俺のつぶやきは試合開始のホイッスルにかき消されてアリサには聞こえなかったようだ。
その試合なのだが最初は翠屋JFCのキックオフで始まった、翠屋JFCは固いディフェンスからの丁寧な攻撃が持ち味のチームだ。
今も一護たち聖祥イレブンのプレッシャーをパス回しでうまいことかわしながら落ち着いて相手の層が薄い所を探っている。
「なんかテレビで見たことのあるサッカーと比べて展開が遅いわね」
試合をじっと見ていたアリサがそんな感想をこぼしたので俺が
「もしかしてアリサが見たことがあるのはヨーロッパとかの海外のやつじゃないか?」
そう聞いてみると案の上アリサは
「そうよ、よく分かったわね」
俺の予想通りの答えを返したので少し解説役をしてやることにした。
「まず、プロのサッカーと小学生のサッカーを比べる時点で少しナンセンスになるんだが、それは分かっているんだよな」
大前提としてプロと小学生の草サッカーではレベルが違い過ぎるということははっきりと言っておかないといけない、それはアリサも十分承知しているようで
「当たり前よ、さすがにそこまで考えなしに言ったわけじゃないわよ」
そう力強く反論してきたので俺もそれに対してわかっているとうなずきながら言葉を続ける
「まぁ、アリサの感想は正しいんだけどな。ヨーロッパのサッカーは常にゴールに向かい続けることを意識していることが多いから基本的にボールは相手ゴールの方、つまり縦方向に流れやすい、そうすると自然と試合スピードは速くなるからよりスピード感のある攻防が多いということだな」
軽くヨーロッパの特徴を答えるとアリサはなるほどと納得したような顔を見せながら疑問点を聞いてくる
「じゃあ、日本のサッカーや今の翠屋は違うのね?」
アリサは俺が次に話そうとして凧との要点をついた質問をしてくる、こいつやっぱり頭の回転が速すぎるだろうと思いながら
「ああ、そうだ。最近は昔よりも欧州よりになってきたが日本のサッカーは基本的には相手の守備をきれいに崩して確実にゴールを決めるという意識があるな、だから失敗する可能性が高そうなら無理せずいったん後ろに戻してやり直すということが多い。だから展開が遅いというわけだ」
そんな俺の解説にいつの間にやらアリサと一緒になって聞いていたすずかやなのはも含めて三人でなるほどとうなずいていたが、自分の父親がコーチをしてるんだからもうちょい興味をもってやれとなのはには言いたい。
そんな解説を話しているうちに試合は大きく動きを見せる。
聖祥イレブンがボールに引き寄せられてサイドに大きく人数をかけたところで素早い展開で逆サイドにボールを運び、それを受けたサイドハーフがフリーの状態でライン際を駆け抜けていく。
あわてて自陣ゴール前を固めようとする聖祥イレブンだが守備が前がかりになっていたために戻るのに時間がかかっている、これをチャンスと見た翠屋JFCは一気に攻勢に出てサイドからのセンタリングに備える。
そして、肝心のセンタリングはキーパーの頭上を越し、ファーサイドに走りこんでいたキャプテンの頭に狙った通りに飛んでいく、キャプテンもこれをきっちりと決め、前半十三分翠屋JFCに先制点が入る。
「おー!すごいわね今の!」
そのゴールシーンにアリサが大きく感嘆の声を上げるとそれに続いてすずかも
「うん!すごくきれいに決まったね!」
シュート練習のようなきれいな連携に感心し、なのはも
「すごいね!頭でシュートしたよ!」
なにか微妙に運動音痴なにおいをさせる感想を言う。
「これ一護たち負けちゃうんじゃない?」
今のゴールシーンによほど感動したのかアリサがそんなことを言い、なのは達も同じ意見なのか言葉にはしないが表情からは一護のチームを心配する色が見て取れる。
そんな三人に対して俺は
「むしろここからがこの試合の本番だぞ」
三人に向かってそう言いながら、一護のキックオフを見守る。
点を入れられたことで聖祥イレブンのキックオフから再開された試合はゴールにつながるプレーのみを選択し続ける聖祥イレブンとその猛攻をしのごうとする翠屋JFCの駆け引きになっていた。
翠屋JFCが守備よりのチームだとするならば一護たちのチームは完全な攻撃特化のチームだ。
キーパーですら機会があれば攻め上がろうとするその姿はもはやサッカーというよりもバスケットボールの動きに近いものがある。
「なんかさっきまでと全然違うわね」
アリサが呆れたような声を漏らし
「うん、すごくごちゃごちゃしてるね」
すずかの感想の通り聖祥イレブンはボールの方に群がっていくのでさっきまでの翠屋JFCのパスサッカーとは全く違い、一見すると体育の時間にありがちな団子サッカーのように見えるがそれでもきちんとサッカーとして成り立っており、その大きな原因は
「やっぱり一護君うまいんだねぇ」
なのはがつぶやいた通り一護の働きは大きいだろう。
何せ聖祥イレブンのプレーは個々人がゴールを狙ってプレーしているがその一つ一つのプレーが回りまわって一護を引き立てるようにおぜん立てされたかのように一護にチャンスが回ってくる。
「あれは一護が周りの動きから予測して動いているように見えるけど実はチームのメンバーが無意識にあいつを活かすように動いているんだ。そして、その正体こそが『
一護の『
今も一度はボールを取り返した翠屋JFCが大きく蹴り上げたボールを両チームが競り合い、そのこぼれたボールに反応した聖祥イレブンのMFゴールに向かって一直線にドリブルを仕掛ける。
しかしそのドリブルはボールが相手に渡った瞬間に態勢立て直した翠屋JFCのDF陣によって簡単にはゴールまで持ってはいけない。それだけでなく段々と周りを囲まれ逃げ場をふさごうとしている。
それに感づいたのか無理はせずにすぐ後ろにフォローに入っていた荒木君(小学六年生)にボールを託す。
その荒木君の視線が一瞬一護を捉え一護もその視線に反応する、しかし一護にはいまだにマークが張り付いておりどう引きはがすのか?と思っていると
「荒木!俺の欲しい所によこせ!」
一護が荒木君に対して声を張り上げパスを要求する。
しかもかなりふわっとしたその指示を受け荒木君は一護に向かって思いっきりボールを蹴る。
「あれは高すぎないかな?」
その軌跡をいち早く把握したすずかが荒木君のパスを見てそうにつぶやいた。
その言葉通り荒木君のボールは一護の頭上を越えてゴールキーパーまで届きそうな勢いを見せている、周囲のギャラリーもそのことを察して攻防が途切れることに弛緩した空気が流れる
「注文通りだぞ王様!」
そんな空気の中を荒木君の声が響く
「まかせろ!一護裂蹴拳!!」
荒木君の声に一護が一言そう答え、思いっきり跳躍し、空中で二回転するとするとボールは一護の足に吸い込まれるように飛んでいき回転の勢いを余すことなく伝えられたそのボールはそのままゴールへと吸い込まれ
「ほいっと」
キーパーにキャッチされていた。
……なんかもう恥ずかしすぎて俺までいたたまれなくなってきた。
精神的にはいい歳したオッサンがサッカーで技名叫んでしかも止められるとかマジもう心が痛い、しかも本人は「よく今のを止めたな」みたいないい顔してるし
「……
「……場所が変わったくらいで馬鹿が治ったら苦労してないわ」
そこからの試合は名試合と言ってよかったが今の俺にそれを堪能できるだけの余裕はないのだった。
「よーし、みんな今日はお疲れ!これから翠屋に行って恒例の合同打ち上げをするぞ!」
試合後士郎さんが両チームの選手を集めそう言ったようにこの練習試合の後は両チーム揃っての打ち上げではチームの垣根無く全員で交流を深めるのが第一回からの恒例行事だ。
なので本来なら店の中にいないといけないのだが
「いやー、前よりもうまくなってるわキーパーの宮本君」
一護はテラスの俺たちと一緒にいた
「ほんとにね、あそこまでお膳立てされてたんだから決めなさいよ」
「まぁ次はびしっと決めてやるよ」
アリサが一護に厳しい言葉をかけているがアリサが誰よりも熱心に一護のプレーを見ていたということは言わないでおくのが吉だろう
「そういえば今日はギル君はどうしたの?最後まで来なかったけど?」
「ああ、今日は用事があるらしくてな。打ち上げには来るって言ってたんだが……」
噂をすれば影というかすずかとそんな話をしているとちょうどギルがこちらに歩いてきているのが目に入り、ギルは一度翠屋の店内に入ると士郎さんに挨拶を交わした後俺たちのいるテラス席にやってくる。
「お疲れ様です、一護君。今日は残念でしたね」
「勝負は時の運っていうしな、大会ではこうはいかないから大丈夫だ」
ギルが一護に慰めの言葉をかけるが一護がこんなことでへこたれるようなメンタルをしているはずがなく強気な言葉で返す
ギルが席に座ったことでユーノの事を撫でまわしていたアリサとすずかも矛先をユーノからギルに変える
「用事はもう終わったの?」
「ええ、父の手伝いをさせられていただけですから打ち上げに顔を出せてよかったです」
すずかがギルに話しかけてギルもにこやかに答えているが俺がギルの発言を聞いてこっそり携帯ギルの会社の株価を見るとつい三十分前まで上昇し続けていた。
ギルが翠屋に来るのに大体三十分くらいかかるはずだからとそこまで考えてやはりこいつが一番怖いと思う。
(それで、計画のほうはどうなっていますか?)
そんなことを考えているとギルが俺の方にちらりと視線を向け口の中で転がすように言葉をつぶやいた。
唇さえほぼ動かさずにつぶやかれたそれは独り言にも満たないほどの声量だったが校舎の屋上と校庭で会話を可能にするほどの聴覚を得ることができる俺にはその程度でも十分すぎるほどだった。
これこそが念話を超える秘匿交信その名も『オリ主に難聴は似合わねえ』である。
まぁこれは俺ぐらいしか聞き取ることができないということから今のところ一護やギルから一方的に俺に何か話したいことがある状況でしか使用できないので改良の必要があるが
そしてギルが言う計画とは今回の目玉のキーパーの宮本君が持っているであろうジュエルシードの確保の事だ。
原作ではこの後宮本君がジュエルシードを発動させて町中に大樹が生えてくるという大事件が起こるが、それを防ごうというのが今回の計画だ。
この作戦は簡単なツーステップで完了だ
まず第一段階としてジュエルシードを本当に宮本君が持っているのかの確認…これは俺が糸を宮本君の荷物に忍び込ませ直接確認することで済ましてある。
そして第二段階は
「それじゃあ皆今日はこれでお開きだ!翠屋JFCはこの調子で次の大会も負けないように頑張ろう。聖祥イレブンの方は……」
士郎さんがお開きの挨拶の途中で一護の方を見ると一護はその視線に応じて
「次は俺たちが勝ちますからね、油断しないでくださいよ」
堂々とそう宣言した
「だ、そうだ。それじゃあ今日はこれで解散!」
士郎さんのその言葉と共に三十人近い子供たちが一斉に家路についていく、宮本君もその例にもれず歩き出そうとするが、その前にジュエルシードをカバンからポケットに移すために取り出している。
そのタイミングを見計らいギルが声をかける。
「今日は大活躍だったみたいですね、宮本君」
宮本君も聖祥付属の生徒なのでギルとは顔見知りである。
なので宮本君もいきなり声をかけられても不信には思わず会話を続ける
「僕だけじゃなくてDFのみんなで頑張った結果だよ」
心からそう思っている声で宮本君は答える、なのはやアリサは特別大人びているが前世のクソガキそのままだった自分を覚えている俺からすれば程度の違いはあってもこの世界の子供は精神年齢高過ぎである、その分一護みたいなハイスペックバカにつられておかしなことになるようだが。
そして今回の計画においてはその高い精神年齢が仇となるのだ!
「いえいえ、それを差し引いても十分な活躍だったと聞いてますよ。できるなら直接見たかったのですけど急に父に手伝いを頼まれてしまって……」
「お父さんのお手伝いだったならしょうがないよ、近く大会もあるから忙しくないならまた応援に来てよ」
他愛もない世間話をしているように見えるが宮本君の受け答えは事前のシミュレーションの予想の範疇内だ、つまりそろそろギルが仕掛けるぞ。
その瞬間を見守るように俺といつの間にか隣に来ていた一護は固唾をのんで見守る。
「ええ、その時は何としても予定を開けておきますよ。まったく父にも困ったものです、いい年して落し物をした挙句息子をその捜索に駆り出すんですから」
ギルが最後にそう愚痴るようにつぶやく、俺たちの予想では宮本君の次の行動は
「ギルのお父さんが落し物をしたの?」
「ええ、そうです。あちこち探しまわったのですがいまだに見つかっていなくてですね、誰かが拾ってしまったか排水溝にでも落ちてしまったかもしれません」
「それは大変だね!僕もそれとなく探しておくよ。いったい何を落としたの?」
宮本君のギルの事を気遣う心配した声を聴いてギルがポーカーフェイスの裏で笑ったのが分かる。
そして、そのことを微塵も感じさせないまさに町中を捜し歩いたことを思いだして少し疲れたような声で
「ええ、なんでsも三角だか菱形だかの形をした青い石らしくてですね。価値はそんなにないらしいですけど……」
「もしかして……。これの事かな?」
ギルの言葉に宮本君はポケットからジュエルシードを取り出して見せる。
じぶんから誘導してくせにギルはそれを見て大げさなほどに喜んでみせ
「おお!これです!宮本君が拾ってくれていたんですね!」
「うん、この前帰り道で見つけてね。きれいな石だったから拾っておいたんだ」
ギルの芝居に気付いた様子もなく宮本君は快くギルにジュエルシードを渡してくれる。
「でもギルの大事なものだって分かってよかったよ」
「おや、もしかして誰かにプレゼントにしようと思っていましたか?例えばマネージャーとか……」
ギルが少し突っ込んで聞いてみると宮本くんは面白いように顔を赤くさせながら慌てて
「なんでそこでマネージャーの話になるのさ!」
「いやぁ、まあなんとなくですかね。……ああ、これは全くマネージャーは関係ないですけど見つけてくれた人にはお礼として父の会社が新しくオープンするアミューズメント施設のペア招待券を渡すように言われているので宮本君に差し上げますね」
「ああ、ありがとう」
「ええ、友達でもマネージャーでも誘っていくといいですよ」
「だからマネージャーとは何にも……」
ギルが宮本君をからかう声を聴きながら今回の計画が成功したことに安堵する。
今回のジュエルシードは今までのものと違って人間が発動することから被害が大きかったし、何より宮本君は友達だから何としても発動前に確保したかった。
事前に宮本君から渡してもらうという案もあったのだがどのタイミングでジュエルシードを見つけるのが分からなかったため確実性を考慮して結局この日を狙ったのだ。
これで計画『小学生を舌先三寸で丸め込んで物品を巻き上げる』は安全のためにギルの
なんとか今回も無事に終わり、ここまでは被害はなく済んでいるが次はとうとうフェイトがやってくるはずだ。
そろそろ俺たちもいろんな覚悟を決めないといけないなとこれからの事を思いつつ、俺も宮本君をいじりに行くのだった。
今回はオリ主たちが頑張りましたね。
次はやっとフェイトが出せます、そこからは本格的に魔法少女ですね。
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