オリ主ハウス   作:朝苗

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少し遅れてしまいました、あと後半が携帯から書いたので少しおかしいところがあるかもしれません。
何かご指摘がありましたら感想の方に一言書いて頂けるとうれしいです


第十二話 友達作りは簡単だけど親友となると難しい

 小学生も楽じゃない。

それが二度目の小学生をやっている俺たちの感想だ。

しかしこれはある意味では正しくないというべきか、ギルが日々こなしている仕事や前世でのことを考えると小学生というのも案外悪くないものである。

 

 毎日の授業はいくら私立と言えども小学生レベルなのでストレスにはならないし、授業時間自体も大学の講義や、いつ終わるかわからない会議などに比べれば天と地ほど差がある。教師も意欲にあふれ俺たちが理解しやすくできるだけ楽しく学べるように工夫を凝らした授業内容で思わず感心するほどだ。

 

 前世でもこれだけ恵まれていたらもっと成績も上がったのにと思ったのも一度や二度ではない。

なら何がそんなに大変なのかというと。

 

 「おい!蓮早くいかないと休み時間終わっちまうぞ!」

 

 「あー、はいはいすぐ行くよ」

 

 クラスメイトのテンションが高すぎてついていけないんだけど誰か助けてください。

 

 小学生の体力とテンションなめてた、もう精神年齢だけで言ったら俺なんかもうすぐ三十路なのにそんなに四六時中遊べないよ、昼休みはゆっくり飯が食いたいんだよ、そんな五分で食べてすぐに校庭で鬼ごっことかできないんだよオッサンだから。

 

 もう小学生の男子の体力の底なしさが怖い、朝早く来て授業が始まるまでサッカーして、授業受けて終わった瞬間ダッシュで校庭行ってドッジボール、また授業受けて昼休みになったら昼飯を早食い競争して鬼ごっことかマジで止まったら死ぬんじゃねえのってくらい遊び続けてるんだけど。

 

 「お疲れみたいですね」

 

 もそもそと昼飯を食っている俺にギルが言った。

 

 「ちょっとだけな、いや遊ぶのは楽しいんだけどもうちょっとだけ加減してくれないかなーと思うんだどな」

 

 「この年頃ならそんなものでしょう、そもそも蓮君は体力だけで見たら人外レベルでしょうに」

 

 「体力は持つけど気力は別だよ」

 

 「僕には童心に帰って満喫しているようにしか見えないんですけどね」

 

 「それは俺より百倍人生楽しんでいる一護に言ってくれ、あいつこの前クラスの男子集めてサッカーチーム作ろうとしてたぞ」

 

 「一護君はなじみすぎですよね、完全に隣のクラスのガキ大将ポジションに収まってますし」

 

 「ギルはギルでクラスの委員長じゃねえか、実質的なリーダー役だろ?」

 

 「僕は普通にしているだけなんですけどね」

 

 「学校始まって三日で何かあったらギルに聞けばいいみたいな風潮が生まれたんだがそれに関しては」

 

 「これまで仕事しなかったカリスマのおかげですかね?」

 

 カリスマスキルは関係ないんじゃないかなと俺はギルの立ち位置が決まった日のことを思い出す。

 

 その日はまだ学校が始まって数日のまだ学校生活に慣れておらずせいぜい仲の良いグループができ始めているという頃だった。

その日のHRはお決まりの委員長やクラス内部での係りを決める学校行事の始まりと言っていいイベントである。

この一年続く係りで何を選択するかによってその一年間が決まると言っても過言ではない。しかしここにいるのは学校生活初心者の一年生この係り決めにおける相方の選択や心理戦の過酷さを理解していない、なんとなく言葉の響きだけで楽しそうな生き物係なんかになってしまうと休み時間が金魚とニワトリの世話で終わるという可能性もあるのだ。

そんな地雷が埋まっているとは想像もしていないクラスメイトは各々好き勝手におしゃべりをしていて全然話が進まない。

いい加減に担任が注意しようとしたその時である。

 

「みなさん少しだけ静かにしませんか?」

 

 それはとても静かな声だった、独り言だと言えばそれでも通用しそうなほどさりげなくそれゆえにクラスの全員にスッと入り込んでくるような。

けどその声の裏にある感情を誰も取り違うことあり得なかった。

 

 (ギルがめちゃくちゃキレてるよ)

 

 ちらりとギルの表情を見てみても一見するといつもと同じ穏やかな笑顔を浮かべているが確実にイラついている、というよりなんでそんなにイラついてるのか分からないんだが。

 

 「先生?話を進めていただいてもよろしいですか?」

 

 「あ、はい」

 

 先生も敬語になっちゃってるよ……

それからは誰も無駄な言葉を発することなく誰も立候補者が現れないときはギルが目線で適任と思われる人に立候補を促すという絶対王政ぶりを披露し前世の経験を踏まえても最短ですべての係りが決まり解散となった。

 

 その日家に帰った後ギルになんであんなに怒っていたのかを聞いてみると 

 

 「別に怒ってませんよ」

 

 「いや、明らかにキレてただろ、背後に仁王像みたいなオーラが出てたぞ」

 

 「失礼なことを言わないで下さい。少し気が立っていただけですよ」

 

 「あれで少しとか言っちゃうお前が怖いんですけど。でもあの態度はひどいと思うぞ、確かに少しうるさかったけど小学生なんだから大目に見てやれよ」

 

 静かにしなければいけない場面だったのは間違いないがまだ小学生なのだ、これからそういうTPOを学ぶべき子供に対してあの反応は少し大人げないと思った俺はギルに注意する。それはギル自身も自覚していたようですぐに謝罪する。

 

 「それに関しては言われなくても反省してます、明日みんなに謝っておきますよ。」

 

 「そうしろ、それでなんであんなにイラついてたんだ?」

 

 「恥ずかしい話なのでできれば蒸し返してほしくないんですけど」

 

 俺の追及にギルが苦い顔をするが俺もギルのあのオーラにはビビらされたのだから詳しい事情を聴きたいのである、そんな俺の好奇心に満ちた顔に観念したのかため息を一つついてギルが話を始めた。

 

 「ちょっと会社の方で重要な連絡が入る予定でしたからHRを長引かせたくなかったんですよ」

 

 「え?そんな理由なのか?」

 

 「そんな理由ですよ、あと強いて理由を挙げるならば僕HRの時間は苦手なんですよ。」

 

 いつ終わるかわからないしそもそも何の話をしているのか論点がずれてくるし。

そのままHRの愚痴をぶつぶつとつぶやき始めるギルを見ながら俺は

 

 (たまにいるよな授業が時間道理に終わらないと焦るやつ……)

 

 ギルにも案外普通の学生らしい一面があることを知ってほっこりした気分になりながら、こいつが委員長の間は学級会がさくさく終わりそうでよかったと思うのであった。

 

 

 そんな風に愉快な出来事を思い出しながらゆっくりと昼飯を食べていると思いのほかのんびりしすぎたらしく昼休みがもう十五分程度しか残っていないことに気付く。

 

 「うわ、もうこんな時間かよ。こりゃあいつらに合流するのは無理だな」

 

 「そうですか?走れば五分くらいは遊べますよ?」

 

 「そこまで必死になってまで遊びたくはないわ」

 

 「一護君なら一目散に走っていきそうですけどね」

 

 「あいつと一緒にされるのは心外なんですが」

 

 あの小学生よりも小学生らしい一護と俺を同列に語るのはやめてほしい、ギルとは違う意味でこの学年での有名人だぞ一護は。

 

 「一護の事はどうでもいいんだよどうせ手遅れだしな」

 

 「手遅れって病気じゃないんですから」

 

 俺の一護に対する言い草にギルが苦笑しながら答えるがここで反論しない時点でギルも似たような感想を持っていることが分かる。

せっかく学校でギルと二人で邪魔が入らない状況なので馬鹿話だけでなく少しは真面目な話をしようと思った俺は気持ち声を潜めてギルに問いかける。

 

 「で、ギルの予想としてはどうなりそうだと思う?」

 

 はたから聞いていると何の話をしているか分からないほど言葉足らずのこの発言だが、ここ最近俺たちの中で重要な話と言えば一つしかないのでギルと一護に限って言えばこれで何の話がしたいのかは通じる。

ギルも俺の真面目な表情と言葉で何を聞きたいのか察して返答してくれる。

 

 「そうですね、具体的な時期は特定できないですけどイベントが起きるのは間違いないと思いますよ」

 

 「だよなー、でも展開が変わる可能性も否定できないと……」

 

 「それは僕たちがいる以上仕方ないですよ。確実な未来予測なんてありえませんよ」

 

 「それを言われるとつらいものがあるけどな」

 

 「結局はいつも通りということですけどね、僕の目算では問題ないとは思っていますけど」

 

 ここで俺たちが気にかけているのはなのはとアリサとすずかの喧嘩イベントについてだ、というよりこの時期にはそれしかないというか。

 

 実際今のクラスにおけるアリサとすずかの立ち位置はアリサはその優秀さと容姿から少しクラスから浮き気味であり、すずかは読書好きな内気な女の子という感じだがそのすずかの自己主張の弱さがアリサには気にかかっているようだ、アリサ自身が自分の意見ははっきりと主張するタイプであるからその容姿と気の強さからクラスの皆が一歩引いた対応をしがちな現状にストレスがたまり些細なことに過敏に反応して更に気まずくなるという悪循環に陥っているようだ。

 

 これがギルがさりげなくクラスに聞き込みをした結果らしい。ギルの見立てによるとアリサも何とか友達を作ろうという努力をしているようなのだがここでクラスの特色が裏目に出たというか俺たちのクラスの女子はどちらかと言えばおとなしいタイプが多く、アリサのようにズバリと意見を言うタイプとはそりが合わない子が多い。なのはも中身は案外頑固だが表面上はこのタイプになるしアリサとは相性が悪い。

 

 (だからこそ危ないんだよな)

 

 アリサの方もそろそろ限界だと思う、アリサも小学一年生だ人間関係についてはまだまだ若葉マークの初心者なので自分の何が悪くて友達ができないのか理解していないだろう、一番理由として上がりそうな容姿にしてもアリサよりも突飛な容姿をしているギルが委員長としてクラスになじんでいるのだからアリサも内心どれだけ悩んでいるのか想像は難しくない。それでも周りに流されて自分が一歩引くということをしないのだからアリサの性格も筋金入りなんだなと思う。まぁそのくらいの方が可愛いとも思うけどな。

 

 そしてそんなアリサが最近気になっているのがすずかで色々とちょっかいをかけ始めているらしい、素直に友達になりたいと言えばそれで問題は解決しそうな話だがこういうことは本人は気づいていないものだ。

そんなアリサとすずかが気になっているのが傍から見ているなのはですずかがアリサにいじめられているように見えるのが気になっているが実際に注意するところまではいっていない。

 

 「すごいなこれ、胃が痛くなりそうだ」

 

 改めて状況を整理してみるとクラスがギスギスしているように見えてくる。

 

 「僕はむしろこんな状況で普通に遊んでいた蓮君にびっくりですよ」

 

 「そうは言っても女子の問題なんか普通男子は気づかないもんだろ?」

 

 「いえ、男子もほとんどは気づいてましたからね。蓮君があまりにもスルーしているから気にしなくなっただけで」

 

 「マジかよ……」

 

 俺の対人関係スキルが小学生以下だというのが証明されてしまった。

 

 「で、委員長のギルさんとしてはどうするつもりなんですか?」

 

 俺がギルはどう動くつもりなのかを聞くと

 

 「どうもこうもこれに関しては後手に回ります」

 

 「なるほど……つまりどういうことだってばよ?」

 

 「蓮君もさっき言った通りこれは女子の問題ですからね、いくら委員長とはいえ男子の僕がこのタイミングでできることはないですよ。実際に喧嘩が起きたなら仲裁しますけどね」

 

 「真面目に役立たずだな俺ら……」

 「人間関係なんて反りが合うか合わないかしかないんですからなるようになりますよ。三人とも根は悪い子じゃないんですから落ち着くところに落ち着くと思いますよ」

 

 「本当にそう思ってる?」

 

 「そう思わないとやってられませんよ」

 

 そんな話をした数日後に案の定喧嘩は起こった。

喧嘩の内容は原作通りすずかのカチューシャを強引に取ったアリサがなのはに殴られて乱闘になりそれをすずかが止めるという言葉だけで説明するとよくある小学生のごたごただが実際に目撃した立場から言わせてもらうと一瞬なのはたちも転生者じゃないかと疑うようなものだった。

 

 だって「痛い?でも大事なものをとられた人の心の痛みはこんなものじゃないんだよ」とか俺でも言えないよ。

しかもその台詞を聞いてアリサの方もはっとした顔するわけですよ、いや、普通の小学生はいきなりそんなこと言われてひっぱたかられたらポカンとするだろ。何でそんなになんてことをしてしまったんだ見たいに気持ちの整理がつくの?

 

 勝手にプリン食べたとか、夕飯の豚カツのでかさが違うとかで喧嘩してる俺と一護が馬鹿みたいじゃん。

 

 まぁすずかが二人を止めたタイミングを見計らって俺とギルが仲裁に入って三人とも保健室に連れていったんだけどそこで仲直りさせるために三人娘に話し合いさせたんだけどまぁ三人とも大人だわ。

 

 まず喧嘩の大元であるすずかとアリサから話を聞いたんだけどアリサは自分がいけないことしたって既に反省してるから第一声が

 

 「ごめんなさい、月村さんのカチューシャを強引にとってしまって。それに高町さんも私のことを止めてくれてありがとうあのままだと私は取り返しようのない卑怯ものになってしまうところだったわ」

 

この発言である。もうここまでくるとわぁお嬢様ってすごいなー、としか思えなくなってくる。

 

それに対してすずかとなのはも

 

 

 「ううん、私が最初からはっきりとバニングスさんに言えばよかったんだ。そしたら高町さんも巻き込まずにすんだのに」

 

 「そんなことないよ、巻き込んだとか言わないで、二人とも大事なクラスメイト何だから。それにバニングスさんもお顔ぶっちゃってごめんなさい!痛かったよね?」

 

 「いいのよ、私にとっていい薬になったから」

 

 「でもやっぱり暴力をふるった人が一番悪いと思うからごめんなさい!」

 

 「なら……自分でも恥知らずだと思うのだけど二人に一つお願いがあるんだけど……」

 

アリサは少しいいよどんでから緊張した声で言葉を続けた

 

 「もし良かったら私と友達になってくれませんか?」

 

 そう言った声は緊張で少し上擦っていたがそれでも、いや、だからこそアリサの真剣な気持ちが現れていた。

それに対する二人がどう答えたかここで語るのも無粋だろう、ただ一つ言えるとしたらこの時からこの三人はお互いに名前で呼びあうことになったとだけ記しておこうと思う。

 

 「いやー、一件落着ですね」

 

 いい気分で余韻に浸っている俺にギルがそう声を掛けてくる

 

 「綺麗に落ち着いてよかったよ、でも小学生の喧嘩って感じが全くなかったな」

 

 「それは僕も思いました。いつもの一護君と蓮君の喧嘩の方がよっぽど子供っぽいですよね」

 

 「い、いつまでも少年の心をわすれてないだけだし」

 

 「まぁ蓮君と一護君はそれが似合ってるので問題ないんじゃないですか?僕は大人なので滅多なことでは怒りませんけど」

 

 何かギルが余裕ぶっていてイラッとしたので俺はこいつの化けの皮を剥がさなければならないと決意した

 

 「そういやさー、ギル昨日翠屋のシュークリーム買ってただろ?」

 

 「ええ、今日のお茶うけにでもしようかと」

 

 「そうそう!それだけどな……一護が食ってたぞ」

 

 「………はい?」

 

 「いや、俺も止めようとしたんだけどな一護のやつラッキーとか言ってぱくっと一口で食べちまったから止めようがなくてさー」

 

 「そうですか、ちょっと行ってきますね」

 

 そう言って出ていったギルを俺は生暖かい目で見守る。

ちなみに放課後になりギルと一護の喧嘩の話を聞いたなのはが二人を正座させて説教をすることになるのだがそれについては語らないでやるのが武士の情けというやつだろう。

 




これで原作前にやっておかないといけないことは概ね終わったので次までにネタが思い付かなければ無印まで時間が飛ぶと思います。

感想、誤字報告ありましたらお気軽によろしくお願いします。

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