劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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ほぼ接点がないな


IFデートルート 平河姉妹・エイミィ編

 グループ分けの際、微妙にあぶれてしまったエイミィは、平河姉妹との組み合わせとなっていた。小春とはそれ程付き合いはないが、千秋とはそれなりに付き合いがあるので、それ程居心地が悪いとは思わなかった。

 

「千秋って最初達也さんと敵対していたのに、まさかここまで来るとはね~」

 

「あの時はお姉ちゃんのことで頭がいっぱいだったから。でもそれが私の勘違いだって分かって、私のことも助けてくれたから」

 

「それで好きになっちゃったんだね~」

 

「べ、別にいいでしょ! エイミィだって最初、達也さんに担当してもらうの嫌がってたって聞いたけど」

 

「そりゃ、CADの調整って、ある意味自分の中身を曝け出すわけじゃない? 男の子より女の子の方がやりやすいかな~って思うのは当然だよ。それにそのことを気にしてたのは私だけじゃなくて、スバルたちだってそうだし」

 

 

 一年の時の九校戦、達也にCADの調整をしてもらうことを嫌がっていた女子は少なくなかったが、練習段階でそんな不満はきれいさっぱり消え去っていた。それだけ達也が調整したCADは使い心地が良く、その時の体調に合わせた調整をしてくれていたお陰で、身体に不調を来たすことなく戦いに集中できたのだから。

 

「私はその時のエンジニア組だったから分かるけど、達也さんの調整能力はあの中の誰よりも高かった。まぁ、トーラス・シルバーの片割れだったと思えば、当然なのかもしれないけど」

 

「でも、お姉ちゃんだって十分に活躍してたじゃん」

 

「でも私は、小早川さんを救えなかった……」

 

「でもでも、小早川先輩は今、防衛大学で頑張ってるじゃん! 達也さんだから見抜けただけで、他の人があのからくりを見抜くのは難しいって、老師だって言ってたらしいし」

 

 

 烈は達也だから――などとは言っていないが、知識のない若者に見抜くのは不可能だっただろうと言っていたのだ。だが千秋の中では、達也だから見抜けたと変換され、もしかしたら小早川の時も見抜いていて見捨てたのではないかと勘繰り、そこを周公瑾に付け込まれたのだ。

 

「随分と盛り上がってるようだが、俺はいない方が良いか?」

 

「あっ、達也さん! やっと来た」

 

「明智さん、私たちが早すぎただけで、達也さんも十分早いんですよ?」

 

「平河先輩、私のことはエイミィで良いですよ! その代わり、私も小春先輩って呼んでも良いですか?」

 

「えぇ、構わないわ」

 

「というか、達也さんはまだ忙しいんだよね? デートしてくれるのは嬉しいんだけど、無理してるんじゃない?」

 

「そうだよ! ただでさえ事故の後なんだから」

 

 

 小春は真相を知っているが、千秋とエイミィはあの事故の真相は聞かされていない――というか、裏があるなど考えもしていないので、追及していないのだ。

 

「ESCAPES計画の邪魔をしようとしていた輩は片付けたからな。後は後れを取り戻すだけで十分成果を上げられるくらいにはなっている。少しくらいこちらで時間を使っても問題は無い」

 

「達也さんがそう言うと信じられるから不思議だよね~。私なんかが言っても間に合わないのを誤魔化してるだけにしか聞こえないだろうし」

 

「確かに」

 

「ちょっと千秋! 自分で言う分にはいいけど、人に言われるとむかつくんだけど?」

 

 

 楽しそうに逃げる千秋を、エイミィが追い掛ける。そんな二人を見て小春は優しい表情を浮かべ、達也は苦笑いを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千秋とエイミィの感性と、小春の感性は少しズレている。だが小春は年上として、姉として二人が行きたいところを優先的に選んでいた。

 

「あそこのケーキ、深雪がお薦めするだけあって美味しかったね」

 

「だからってエイミィ、三個も食べなくても良かったんじゃない? その前にはお昼だって食べてるのに」

 

「千秋だって二個食べてたじゃん。お昼は私より多く食べてたのに」

 

 

 既に満足してる二人を見て、達也は視線を小春に向ける。何故このタイミングで見詰められたのかが分からない小春は、動揺しながらも不自然ではないように尋ねた。

 

「どうかしました?」

 

「いえ、小春さんが行きたい場所に行っていないので、何処か行きたい場所があれば付き合いますよと言いたかっただけです」

 

「あっ、そうだよ! お姉ちゃんの行きたい場所に行ってないじゃん」

 

「小春先輩は何処に行きたいんですか?」

 

「二人が楽しんでるのを見て、私はそれで満足よ。まぁさすがに、ケーキの取り合いを始めた時は恥ずかしかったけど」

 

「「ゴメンなさい……」」

 

 

 残り一個のケーキを取り合った二人は、罰の悪そうな表情で俯き、小春から視線を逸らす。なお達也は、そんな二人の遣り取りを完全に無視していた。

 

「少し落ち着ける場所に行きましょうか。食後のお茶でも飲みながら、ゆっくりとお喋りするのも楽しいかもしれないわよ」

 

「お姉ちゃんっぽい場所だよね。少なくとも、私やエイミィが一人で行っても場違いだろうし」

 

「反論したいけど出来ないわね……まぁ、小春先輩と達也さんならピッタリだろうし、私たちも大人しくしようか」

 

「じゃあ、出発!」

 

 

 意気込んだのは良いが、そのような店に心当たりがない千秋は、すぐに達也に助けを求めた。達也も近頃のんびりする時間など無かったので当てなどなく、結局は小春の行き付けのカフェへと足を運んだのだった。




妹が二人になった?

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