八神ゆとりの日常   作:ヤシロさん

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難産でした。
でも、出来たので投稿します。


第十一話 今の幸せ

 翠屋を出た後も、さらに数件アリサちゃんのお気に入りのお店を見て回った。

 明らかに高級感漂うお店もあれば、逆にデパートのおもちゃ売り場といった普通のお店に案内され、そこで初めて見る物に驚いたり、喜んだりと大忙し。

 たまにアリサちゃんにからかわれたりもしたけど、体力のない私の体を常に気遣ってくれて、

 

「さあ、ゆとり。次に行くわよ!」

 

 そう言って、手を引っ張ってくれる度にアリサちゃんが私を楽しませようと一生懸命なんだと言うことが、すごく伝わって嬉しかった。

 

 初めてできた友達との買い物。

 それは、私にとって忘れられない思い出になりつつあった。

 

 ただ、唯一の失敗があるとすれば一つだけ。

 

「そろそろ日が暮れるわね」

「そうやなー」

「今日は一日遊びまくって、楽しかったわ」

「うん、私もやー」

「プレゼント・・・・・・買い忘れたわね」

「・・・・・・うん」

 

 肝心のプレゼントを買っていなかった!

 最初はちゃんと覚えていたんよ!?せやけど、翠屋出た頃から記憶が曖昧になって、なんか忘れとるな―って思ってたけど、今が楽しいからいいやって感じで遊んでて、日も暮れるからそろそろ帰ろうかっていう時になって、ようやく思い出したんや!

 

 あうぅ、反省も後悔もしてます。

 

 今私達がいるのは、町にある公園の中。

 私の家の近くにある公園よりも広く、もう日が暮れるというのに遊んでいる家族の姿がちらほらと見える。

 私とアリサちゃんは、その公園の隅にあるベンチに座り、二人で反省会をしていた。

 

「とりあえず聞くけど、プレゼントにしたい物は見つかった?」

「・・・・・・えと、怒らんで聞いてほしいんやけど」

「何? 見つかってないなら、そう言いなさいよ。別にそんな事で怒らないんだから」

 

 一応、言質は取った。

 でも、やっぱり怒るよね?

 

「実は・・・・・・忘れたんよ」

「は?」

「だから、私が今まで何見て来たのか忘れてもうて・・・・・・って、あ、アリサちゃん?」

 

 顔を俯かせて、小刻みに震えるアリサちゃんが怖い。

 目の前で噴火寸前の火山を見ているようで逃げ出したいが、生憎と私の腕にはがっしりと逃がさないという意思がすごく込められたアリサちゃんの手で押さえられているため、逃げたくても逃げられない状況だ。

 

「・・・・・・あ」

「あ?」

「ア ン タ ねぇぇえええええええええええええええええっ!!」

「あうぅぅううううううううううううううううううううううっ!?」

 

 やっぱり怒った! 怒らん言うたのに!?

 

 左右に引っ張られる頬が尋常じゃなく痛い。

 もうお餅みたいに伸びて、これ以上されたら本当に千切れてまう!?

 

「ほ、ほめんなはひ~!(ご、ごめんなさい~!)」

「忘れるってどういう事!?」

「ひょ、ひょへはひょひょ、ひひゅうはひゃるんひょ(そ、それはその、理由があるんよ)」

「なんて言ってるか、わからないわよ!(ぎゅ~~~~~~~っ!!)」

「あうぅぅうううううううううううっ!?」

「アリサお嬢様、そろそろその辺りで。ゆとりお嬢様が痛がってます」

 

 見かねた鮫島さんが助けてくれた!

 渋々と頬から手が離れて、ようやく痛みが治まった。ありがとうと言いたいけど、できればもっと早く助けてほしかったです。

 

「べ、弁解してもええやろうか?」

「却下するわ」

「アリサお嬢様」

「うっ・・・・・・きょ、許可するわ」

 

 今日ほど鮫島さんがいてよかったと思った日はなかった。

 鮫島さんにお礼を言うと、忘れた理由がちょい恥ずかしい理由なんやけど、このままだとアリサちゃんを怒らせたままにさせちゃうから素直に話す事にした。

 

「あんな、最初はちゃんと覚えとったんよ?」

「じゃあ、なんで忘れるのよ? 私との買い物は忘れる程度のことだったってことなの?」

「ち、違う! そやなくて、めっちゃ楽しかったから忘れてもうて・・・・・・」

 

 なんて言えばいいのだろうか。

 こんなこと初めてだから上手く言葉にできないが、それでも必死に言葉を繋げてアリサちゃんに伝えていく。

 

「私は体が弱くて、ここまで遠くまで来る事ができへんから、こうして友達と買い物するなんてずっと夢のような話やと思っとったんよ」

 

 アインと出会って、フェイトちゃんと出会って、アリサちゃんと出会ったあの夜まで、私はずっと歳の近い友達はできないものだと思っていた。

 

「せやけど、今日夢が叶った。アリサちゃんが私の夢を叶えてくれた」

 

 昔から憧れていた夢。

 窓の外で友達と一緒に走り回る子供達を、ベッドの中からしか見る事が出来なくて。

 

「めっちゃ楽しかったわー。初めて見る物ばかりで、目が回りそうやった」

 

 もう諦めて、無理だって思ってたのに、そんな私をアリサちゃんは簡単に外に引っ張りだしてくれたんだ。

 

「忘れられへんよ。こんなに楽しかったの、忘れられるはずがあらへん」

 

 全てが輝いて見えた。大きな建物も、広い街並みも、行き交う人の多さも。

 全部が眩しくて、思わず見失いそうになると決まってアリサちゃんが手を引っ張って次はこっちと私を導いてくれた。

 

「せやけど、思い出そうとすると私がどんな店でどんな物を見たかが思い出せなくて、代わりにアリサちゃんとどうやって遊んで、どんな話をしたのかしか思い出せへんねん」

 

 目をつぶれば、繋いだ手の温もりも、交わした言葉の数も、意地悪されたことも、怒られた回数も、一緒に笑い合った時も全部思い出せる。

 

「今日はほんまに楽しかったわー。私の幸せ、全部使い切ったんやないかと思うくらい楽しかった」

 

 何度夢なのではないかと思った事か。

 何度繋いだ手を離したら、私一人だけ取り残されるのではないかと不安になったことか。

 

 そんなことを考えてしまうくらい、今日一日は楽しくて。

 楽しかった一日が終わってしまうことが、泣いてしまうほど悲しくて。

 そんな想いを抱けた事が、涙が出るほど嬉しかった。

 

「ありがとうなー、アリサちゃん。私、今めっちゃ幸せや」

 

 

★★★

 

 

Side アリサ

 

 頬が熱い。

 たぶん、今私の顔は真っ赤になってるはずだ。

 幸いにも近くには鮫島しかいないし、ゆとりは涙で濡れた顔を洗いに行っているから隠す必要がなく、私は胸に渦巻く想いを深いため息にして吐き出した。

 

「私、何も特別なことなんてしてないわよね・・・・・・?」

 

 休日を利用して、町で一緒に友達と遊ぶ。

 特に珍しい事じゃない。

 なのはやすずかと一緒に町に遊びに行くなんてよくある事だし、私以外の人達でもそれは同じはずだ。

 でも、ゆとりは違った。

 

『今日はほんまに楽しかったわー。私の幸せ、全部使い切ったんやないかと思うくらい楽しかった』

『ありがとうなー、アリサちゃん。私、今めっちゃ幸せや』

 

 ゆとりは涙を流しながら、そう言ったのだ。

 とっても嬉しそうに、これ以上の幸せがないと本気で思っているかのように。

 

 だから、ゆとりに言いたかった。

 ゆとりが泣くほど幸せだと感じた事は、誰もが当たり前のように過ごす時の中にある、ほんの些細な日常の一つなのだと。

 

「鮫島はどう思う?」

 

 分からない時は鮫島に聞けばいい。

 私と違う回答をいつも用意していてくれるのだから。

 

「そうですね、確かにアリサお嬢様はいつも以上にゆとりお嬢様を気にかけていたと思います。ですが、それはアリサお嬢様がなのはお嬢様やすずかお嬢様に接する時の延長線上にあるもので、私自身も何か特別な事をしたようには見えませんでした」

 

 鮫島でもそう思うんだ。

 振り返ってみても、やっぱり私がゆとりに何かをしてあげた覚えはない。

 

「アリサお嬢様、人にはそれぞれ価値観と言うものがございます」

「価値観?」

「はい。アリサお嬢様の言う特別と、ゆとりお嬢様の言う特別が同じとは限りません」

「特別が、違う」

 

 なんとなく鮫島が言いたい事はわかるが、それでもゆとりが泣いた理由がわからない。

 

「アリサお嬢様、以前お嬢様がゆとりお嬢様について調べてほしいと言ったのを覚えておりますか?」

 

 そりゃあ、先週のことだから覚えている。

 これまで何度か電話で連絡を取り合っていたのだが、そのほとんどでゆとりは熱を出して寝込んでいて、電話越しに聞こえる弱弱しい声が気になって仕方なかった。

 もともと体が弱いということはゆとり自身から聞いていたけど、実際に辛そうなゆとりの声に我慢の限界が来て、失礼だと思ったが鮫島にゆとりの体は本当に大丈夫なのかを調べるようにお願いしたのだ。

 

「私が調べた限り、ゆとりお嬢様は生まれつき体が弱く、幼少の頃は外に出る事さえままならなかったそうです。また、ご両親を亡くした今、どうやら父方の友人から生活の援助を受けているようですが、家では妹のはやてお嬢様との二人暮らしをしています」

 

 それは知ってる。

 援助を受けているという話は初めて聞いたが、だいたいの話はゆとりから聞いていた通りで、どうやら新しい情報はないようだ。

 いったいそれがどうしたんだろうと首を傾げると、鮫島は再び口を開いた。

 

「話が逸れてしまいましたが、私が思うにゆとりお嬢様には今まで友達と呼べる存在がいなかったのではないかと推測します」

 

 昔から病弱で外に遊びに行く事が出来ず、二人暮らしで妹を心の底から愛してるゆとりの性格を考えれば、家事を妹に押し付けているとは思えない。

 それなら確かに、ゆとりに友達ができる機会は必然と少ないはずだ。

 

 ゆとりと初めて出会った時、子猫のアインを大事そうに抱えて嬉しそうにアインは友達だと言う変な子だと思ったが、あの時点でちゃんとした友達が一人もいないのなら、ゆとりの言動が理解できる。

 

「ですので、私はゆとりお嬢様にとって友達と町へ出かけるという行為は、ゆとりお嬢様御自身が言っていたように夢のような出来事だったのだと思います」

 

 夢って。

 そんな当たり前のことが、あの子にとっての夢なの?

 たったそれだけで、ゆとりは満足したって言う事なの?

 

「馬鹿だわ。本当に大馬鹿」

 

 心からそう思う。

 そんな些細なことが夢であってたまるか。

 世の中にはもっと楽しくて、もっと幸せなことがあるのに、ゆとりはそれを知らずに目の前の幸せしか見ていない。

 そんなの、友達として見過ごすわけにはいかない。

 

「鮫島、私決めた。これから私はゆとりをいろんな所に連れて行ってあげて、ゆとりがしたい事を全部叶えてあげるの。そうすれば、ゆとりだって外の世界には楽しい事がもっとあるんだって気付くはずよ―――ううん、私が気付かせてあげるんだから!」

「私も協力させていただきます、お嬢様。ですが」

「わかってるわ。やり過ぎないように注意しろってことでしょ? 私だってゆとりが嫌がるようなことはしたくないから、一応気をつけていくつもりよ」

 

 その言葉に満足したのか、鮫島はそれ以上何も言わなくなった。

 くくくっ、楽しみにしてなさいよ、ゆとり。

 これからアンタは大忙しなんだから、涙を流す暇も与えてあげないわ!

それにしても・・・・・・。

 

「遅いわね。ゆとりは何をやってるのかしら?」

「探して参りましょうか?」

「ううん、行き先はわかってるから、私も一緒に行くわ」

 

 ここらへんで顔を洗うなら、公園に設置されたトイレくらいだろう。

 ゆとりの居場所に目星をつけて、トイレのある場所に向かおうと遊具広場に近づくと、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「ほ、ほんまに? 嘘やない?」

「ほんまほんま。私は嘘つかないから、安心しなって!」

 

 どうやら誰かと話をしているらしい。

 そっと近づいて見てみると、ゆとりと見知らぬお姉さんが楽しそうに話をしている。

 

 二十代くらいの眼鏡をかけた赤毛のお姉さんで、足元に広げられたシーツに並べられた色とりどりのアクセサリーを見る限り、きっとここで露店でも開いていたのだろう。

 片方がどかりと路上に胡坐をかきながら座り、もう片方がシーツを上から覗き込む図は、まさしく客と店主といったところか。

 

 見ていて気持ちのいい笑みを浮かべるお姉さんに、子供のようにきらきらと目を輝かせるゆとり。

すごく二人が仲良さそうに見えるのに、不安になるのは何故だろう。

 

すぐに答えはわかった。

 

「いいかよく聞け。このネックレスは流れ星を捕まえて作った、すごく貴重なネックレスなんだよ!」

「流れ星を捕まえたん!?」

「あの時は大変だった。夜空に流れる流れ星を捕まえるために、地上二百万メートルから網を持ってダイブしたのは、懐かしい記憶さ」

「ほえー、すごいわー」

 

 いやいやいや、どう考えても嘘でしょ。

 地上二百万メートルってもうそれ宇宙だし、そもそも流れ星が捕まえられるわけないでしょ!? 何でゆとりは信じてるのよ!

 

「こっちは私が新米の時にとある別世界で手に入れた不思議な指輪でね、これと同じものを持ってると異世界人だろうが宇宙人だろうが言葉が通じるようになるはず!」

「おー!」

 

 もう何を言ってるのかも、分からないわよ! あとはずって!?

 そして、ゆとりはほとんど話の内容を理解してないのに感心するのはやめなさい!

 

「そして、これがゆとりちゃんの探してる妹さんとの絆を深めるエンゲージリングだ」

 

 そう言ってお姉さんが取り出したのは、二つの輪が十の字に交差した腕輪だった。

 

「エンゲージリングって、指輪やないの?」

「おっ、よく知ってるね。でも、これもエンゲージリングなんだよ」

「???」

 

 お姉さんの説明がわからなかったのか、ゆとりが首を傾げている。

 

「この腕輪はね、あの織姫様と彦星様がつけてた腕輪なんだよ」

 

 織姫と彦星って、あの天の川のやつよね。

 もう何も言う気はないけど、真剣に聞いているゆとりの姿に少し不安を覚える。

 

「栄えある時も、健やかな時も、病める時も、貧しい時も、死が二人を別つまでずっと二人で一緒にいようと作られた、特別な腕輪なんだ。だから、ずっと一緒にいたいって願いを込めて『エンゲージリング』って名前なんだよ」

「そうなんや。ずっと一緒に・・・・・・」

 

 話を聞いてると、なんだか私も引き込まれそうになるわね。

 お姉さんが必死に笑いを堪えた顔をしてなければね!

 

「あの、これがあれば、ずっとはやてちゃんと一緒に居れるやろうか?」

「それはゆとりちゃん次第だね。でも、君の心はきっと妹さんにも届くと思うよ」

 

 ああ、なるほど。

 さっきからすごい真剣に聞いていると思ったが、妹の誕生日プレゼントのことだったからか。

 

「これが欲しいかい?」

「うん、欲しい!」

「いいよ、二百万で売ってあげよう」

「え?ええっ!?」

 

 さすがにぼったくり過ぎでしょっ!?

 子供からどれだけ金を巻き上げるつもりなのよ!

 まあ、冗談だと分かっているからいいけど、ゆとりの様子を見る限り、本気で焦っているようで、確かにからかいたくなるのも分かる。

 

「どうしたんだい、ゆとりちゃん?」

「あうぅ、お、お金足りひん」

「そうなの? 予算はいくらくらい?」

「え、えと、二万とちょいしか持ってないんよ」

「そうなんだ。それは残念ね」

「あうぅ、ごめんなーはやてちゃん・・・・・・」

「うーん、よし! 妹想いのゆとりちゃんのために、このエンゲージリングは二万にまけてあげようじゃないか!」

 

 って、おい!

 

「ほ、ほんまに! いいの!?」

「ああ、ゆとりちゃんの想いにはおねーさんも負けたよ。二万円で売ってあげる」

「ありがとう!」

 

 もう、いいよね?

 我慢とかしなくても、いいよね?

 

 鮫島に確認取ると、笑顔で頷かれた。

 

 許可も出たし、とりあえずゆとりに説教する前に、妹を想う心を利用する悪者に制裁を加えようかしら?

 

 それじゃあ、アリサ・バニングス―――行きます!!

 

Side out…

 

 

★★★

 

 

 走る車の中で私は手の中にある二つの包みを見て、思わず笑みを浮かべる。

 隣でアリサちゃんが納得してないという顔をしているが、お姉さんも悪気があってやったわけじゃないから、そろそろ許してあげてほしいと思う。

 

 私の手にある袋の中には、二つに分かれた腕輪が入っている。

 青い袋は私ので、赤い袋がはやてちゃんの。

 途中で現れたアリサちゃんがお姉さんに見事なドロップキックを炸裂させた時はどうなるかと思ったが、無事にプレゼントを買えてよかった。

 

「ねえ、本当にそんなのでよかったの? 確かに綺麗な腕輪だと思うけど、あの嘘つき女が作った腕輪なのよ?」

「もー、そんなこと言ったらあかんよ。お姉さんは私を元気づけるために嘘をついてくれたんやから、そろそろ許してあげてくれへん?」

 

 あのお姉さんは、どうやら泣きながらトイレに行く私を見ていたらしく、私を励まそうと楽しい話をたくさんしてくれたのだ。

 確かに嘘は良くない事だけど、私のためを思ってついてくれた嘘ならとても嬉しいと思う。

 

「アンタは・・・・・・まあ、いいわ。無事にプレゼントも買えたから良しとする」

「うん。アリサちゃんも私の分のエンゲージリングを買ってくれて、ありがとなー」

「いいわよ、それくらい」

 

 お礼を言うと、アリサちゃんは照れたように笑う。

 友達になった印とお出かけした記念にってお金を出してくれた時、すごく嬉しかった。

 

「ゆとり、また一緒にお出かけしましょ? 今度はもっと遠くまで連れて行ってあげる!」

「うん。せやけど、今度ははやてちゃんも連れてってあげたいんやけど・・・・・・」

「もちろん大丈夫よ。二人とも一緒に連れてってあげるわ!」

「ありがとなー」

 

 今度ははやてちゃんも一緒。

 はやてちゃんと一緒ならもっと楽しくなるから、すごく楽しみや。

 

 二人でそう話をしていると、気付いたら家に着いていた。

 名残惜しいけど、今日のお出かけはこれでお終い。

 

「ゆとり、またね」

「うん。アリサちゃんも」

 

 車から降りて、お別れの言葉を言う。

 

「ゆとりお嬢様、これを熊山様からお預かりしてます」

「え?」

 

 渡されたのは、大きなリボンのついた袋。

 一緒についているメッセージカードには『今日はごめんね』と書かれていて、鮫島さんが言うにはお詫びとこれからもよろしくという意味を込めての贈り物らしい。

 

悪い気もしたが、素直に受け取ることにした。

 バッグにシュークリームに熊山さんからの贈り物、それからはやてちゃんへのプレゼントと、出かけた時よりもたくさん手に持って帰宅する。

 

「ただいま、はやてちゃん!」

 

 




 プレゼントに悩みました。
 どうせなら身につけられるものがいい。そう考えてアクセサリーで検索を繰り返して五分、面倒になったので断念。
 ならば前の話から伏線回収を兼ねて考えて・・・ティーン!そうだブラだ!と天啓なみの思いつきだとテンションを上げた投稿一時間前。
 書いてみて気づく。あれ?はやてにブラっていらなくね?
 目の前が真っ暗になった。

というわけで腕輪になりました。イメージは昔やってた不思議遊戯?とかいう怪力女装さんが持ってた腕輪。
あれ見たとき、すごくかっけえ!と思ったのはヤシロさんだけでしょうか?

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