暗闇からのキボウの歌   作:skav

45 / 45
掴んだ希望、気づかぬ絶望

〜〜〜〜〜♪

”Crow Song”が弾き終わった。

今目の前に広がっているのはどこまでも白い世界だった。

隣にいるのはまさみだけだ。他には何もない。

「・・・・終わったな」

「・・・・・ああ。」

「ご苦労様・・・」

立華の声がどこからともなく響いた。

「立華・・・?」

「あなた達のおかげでこの世界を歪めることができたわ。」

「・・・・あまり、嬉しくない言い方だな」

「だって・・・私の想像を遙かに超えていたんだもの。あなた達の精神的な同調率が」

「・・・何か悪いことでも?」

「私が思ったとおりにいけば、あなた達は別の世界で新しい生活を送るはずだったの」

初耳だ。

まさか、そんなことをしようとしていたなんて・・・。

「それが、みんながあなた達の歌う姿を見てある強い感情が生まれたの。もちろん”彼ら”にも」

NPCに・・・感情?

「”今なら、生きていたときの苦痛を乗り越えられるんじゃないか?”という感情よ」

「私たちの歌で・・・変わったのか?」

「ええ・・・」

「それで・・・俺たちはどうなるんだ?」

「別の弦の音を無理矢理歪ませて、別の弦と同じ音を共鳴させる。ユニゾン・チョーギングって奏法は知ってるはず・・・」

「ああ、良く使うけど・・・それと、何か関係が?」

「弦を”世界”と置き換えた同じ現象が起こるわ」

「・・・・だからどうなるんだってば!?」

「歪ませる方は、私たちの世界。共鳴するのは別の世界・・・」

「つまり・・・そっちの世界と同調するって事か?」

「私たちは・・・どの世界と共鳴したんだ?」

「それは・・・分からないわ」

・・・・んな、無責任な。

「ただ、さっき言った感情とが混同してちょっと予測ができないの。・・・・ごめんなさい」

「気にするなって。俺は、そっちでどうなろうがきにしねーよ。まさみがいるからな」

「・・・・私も同じだ」

「・・・・そろそろ、時間みたい」

意識がふっと薄くなっていく気がした。

「・・・・まさみ、今度はどんなライブにしようか?」

「・・・・が・・・・なあ」

「・・・・まさみ?」

次第にまさみの声が遠くなってきた。

「まさみ!?どこに行ったんだよ!!まさみ!?・・・・・まさ・・み?」

大切な記憶が、やっと取り戻した記憶が・・・・だんだんと、消えていく気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさみ!!」

がばっと俺はベッドから跳ね起きた。

「・・・・またか、だからまさみって誰だつーの」

最近こんな事が毎日続いている。

「・・・・疲れてるのか?」

今日は土曜日だ。

学校もないし、部活も入っていない。

この店も、午前中は定休日だ。

「おい、紅騎!!寝てねぇで掃除するぞ!!」

「ご、ごめん。オーナー!!」

 

 

 

 

 

 

そう、これがおれの毎日だ。

 




そして、物語は新たなるストーリーへ・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。