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”Crow Song”が弾き終わった。
今目の前に広がっているのはどこまでも白い世界だった。
隣にいるのはまさみだけだ。他には何もない。
「・・・・終わったな」
「・・・・・ああ。」
「ご苦労様・・・」
立華の声がどこからともなく響いた。
「立華・・・?」
「あなた達のおかげでこの世界を歪めることができたわ。」
「・・・・あまり、嬉しくない言い方だな」
「だって・・・私の想像を遙かに超えていたんだもの。あなた達の精神的な同調率が」
「・・・何か悪いことでも?」
「私が思ったとおりにいけば、あなた達は別の世界で新しい生活を送るはずだったの」
初耳だ。
まさか、そんなことをしようとしていたなんて・・・。
「それが、みんながあなた達の歌う姿を見てある強い感情が生まれたの。もちろん”彼ら”にも」
NPCに・・・感情?
「”今なら、生きていたときの苦痛を乗り越えられるんじゃないか?”という感情よ」
「私たちの歌で・・・変わったのか?」
「ええ・・・」
「それで・・・俺たちはどうなるんだ?」
「別の弦の音を無理矢理歪ませて、別の弦と同じ音を共鳴させる。ユニゾン・チョーギングって奏法は知ってるはず・・・」
「ああ、良く使うけど・・・それと、何か関係が?」
「弦を”世界”と置き換えた同じ現象が起こるわ」
「・・・・だからどうなるんだってば!?」
「歪ませる方は、私たちの世界。共鳴するのは別の世界・・・」
「つまり・・・そっちの世界と同調するって事か?」
「私たちは・・・どの世界と共鳴したんだ?」
「それは・・・分からないわ」
・・・・んな、無責任な。
「ただ、さっき言った感情とが混同してちょっと予測ができないの。・・・・ごめんなさい」
「気にするなって。俺は、そっちでどうなろうがきにしねーよ。まさみがいるからな」
「・・・・私も同じだ」
「・・・・そろそろ、時間みたい」
意識がふっと薄くなっていく気がした。
「・・・・まさみ、今度はどんなライブにしようか?」
「・・・・が・・・・なあ」
「・・・・まさみ?」
次第にまさみの声が遠くなってきた。
「まさみ!?どこに行ったんだよ!!まさみ!?・・・・・まさ・・み?」
大切な記憶が、やっと取り戻した記憶が・・・・だんだんと、消えていく気がした。
「まさみ!!」
がばっと俺はベッドから跳ね起きた。
「・・・・またか、だからまさみって誰だつーの」
最近こんな事が毎日続いている。
「・・・・疲れてるのか?」
今日は土曜日だ。
学校もないし、部活も入っていない。
この店も、午前中は定休日だ。
「おい、紅騎!!寝てねぇで掃除するぞ!!」
「ご、ごめん。オーナー!!」
そう、これがおれの毎日だ。
そして、物語は新たなるストーリーへ・・・