暗闇からのキボウの歌   作:skav

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離ればなれ

講義室を抜けだした俺たちは体育倉庫にいた。

「・・・よし、関根、入江。このはしごで屋根裏部屋に上がってくれ。」

あまり知られていないのだが体育館倉庫にはゆりがふざけ半分で作った屋根裏部屋がある。

一応電気と水道は通ってるらしいけど・・・。

「入江と私だけ・・・・先輩達はどうするんですか!?」

「ここの屋根裏は狭すぎてとても五人で隠れられない。だから・・・分かるよな?」

「でも・・・でも・・・!!」

関根がすがるような目で訴えてきた。

俺は安心しろという意味で関根の頭に手を乗せた。

「大丈夫だ。ここ意外にも心当たりはある。絶対に捕まらないさ」

「・・・・本当に、本当に大丈夫なんですね!?」

「ああ、絶対大丈夫だ」

「・・・・・・・分かりました。」

そう言って関根は入江とはしごを登っていった。

「・・・・よし」

ガンガンガン!!

二人が屋根裏部屋に入って入り口を隠したことを確認し、はしごの接合部分を銃弾で破壊した。

これで外からは進入できない。

「・・・・ここからが本番だ。ひさ子、岩沢さん」

ここ以外の隠れ場所は俺は知らない。

二〜三カ所知っていると言ったのは関根達を安心させるためのウソだ。

「完全下校時間の六時まで何とか持ちこたえるぞ」

現在時刻午後四時。

あと二時間持ちこたえれば今日は何とかなる。

「そこの三人!!動くな!!」

体育館を出ると早速生徒会の奴らに見つかった。

「ひとまず校舎内に逃げ込むぞ!!」

俺たちは猛ダッシュで玄関口に走った。

 

 

 

 

 

『こちら遊佐です。現在日向さん達が直井らと交戦中。見たところ極めて不利と思われます』

早速校庭で日向君達がドンパチを始めたらしい。

しかし相手はNPC最初から私たちの負けと言うことは分かり切っている。

『野田さんが無力化されました』

「・・・ずいぶんと早いわね」

『満足な武器を持っていなかったので・・・』

このペースだと完全下校時間まで持ちこたえられない。

「私も出るわ。例の音声テープを音無君の持っているレシーバーに流し続けててちょうだい」

『了解・・・ガッ』

・・・・さて、私も行きますか。

 

 

 

 

 

「・・・・・何とか振り切ったか?」

「そうみたいだな・・・」

体育館から校舎に移動した俺たちは何とかNPCを振り切った。

「おい!!あそこにいるのってガルデモの三人だよな!?」

廊下の端からこんな声が聞こえた。

「あ、本当だ!!」

「きゃ〜岩沢さ〜ん!」

・・・マズイ、このままだと第三者に取り囲まれる。

「綾崎・・・どうする?」

岩沢さんの声が少し震えている。

どんどん増えていくNPCに若干の恐怖を感じているようだ。

「ひさ子、岩沢さん、絶対にはぐれないように・・・突っ込むぞ!!」

ここは三階の廊下だ。

窓から飛び降りることもできないし、すでに反対側からもNPCが押し寄せてきている。

俺たちは人の波に飲まれないようにしっかりと手を繋ぎ合った。

「・・・・・ぐっ」

「ひ、ひさ子?ひさ子ぉ!?」

岩沢さんの手とひさ子の手が離れてしまったらしい。

俺と岩沢さんの手も徐々に解かれつつある。

俺は必死に岩沢さんの手を放さないようにする。

・・・・・しかし。

「あ、・・・・・」

あっさりと岩沢さんと手が離れてしまった。

そのまま姿も見えなくなる。

「く、・・・くそ!!」

俺は何とか人混みから脱出するとができた。

・・・だが。

「岩沢さん・・・・ひさ子・・・・」

完全に二人とはぐれてしまった。

「おい!!お前らぁ何をしてる!?用も何のにうろちょろするなぁ!!」

生徒指導の教師達が現れた。

普段は鬱陶しいだけだが今は少し頼もしい。

生徒達はすぐに散り散りに去っていった。

だけど、誰もいなくなった廊下には俺以外の人間はいなかった。

「くそっ!!」

急いで二人を捜し出さないと。

 

 

 

 

 

 

人の波に飲まれて二人とはぐれてしまったけど、何とかひさ子とは合流することができた。

・・・・だけど、綾崎の姿はどこを探しても見つからなかった。

「ひさ子・・・綾崎を見なかったか?」

「いや、・・・全く」

「そうか・・・」

こうなったら私とひさ子だけで何とかするしかない・・・。

だけど訓練もしたことがないのに切り抜けられるのかな?

カツカツカツ・・・。

「っ、岩沢!誰か来る!」

とりあえず近くの教室に潜り込んだ。

カツカツカツ・・・・。

「・・・・そこにいるのは分かっている。出てこい」

音の主は生徒会長代理。

事の元凶の直井だった。


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