暗闇からのキボウの歌   作:skav

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Reward or Punishment

球技大会の翌日俺と岩沢さんは前線基地に連れてこられた。

理由は明確だ。

優勝したらご褒美という名の罰ゲームが付いてくる。

これにはちゃんと理由があるらしい。

”優勝したら消えてしまうかもしれない”

他にも細かい理由があるが、これが一番の大きな理由だ。

だけど、未登録で強引に参加した奴らは生徒会に正統的な対処で敗退させられたらしい。

という訳で生徒会の魔の手が来なかった俺たちはまんまと優勝してしまった。

・・・まあ、約束は約束だからちゃんとやるよ?・・・・罰ゲーム。

「じゃあ、優勝した綾崎君と岩沢さんには”ご褒美があるわよ♪”」

ゆりの合図で日向達がダーツとルーレットを出してきた。

「な、なあゆり・・・これは何?」

「これより『綾崎・岩沢一日ご奉仕させていただきますデー』を始めるわよ!」

「・・・・ご奉仕?」

「そう、今日一日綾崎君と岩沢さんが私たちにご奉仕してね☆」

「優勝したのに俺たちがやらないといけないのか?」

・・・・これじゃあ、ご褒美の要素が全く入ってないぞ。

「あら、私は一言も優勝した人自身にご褒美があるなんて言ってないわよ?」

・・・・そうだっけ?

そのときは軽く聞き流していたからあまり覚えていない。

「大体消える可能性があるってのに本気でやる方が悪いのよ?」

しかも陽動班のリーダー二人が、と付け加えた。

「・・・はいはい分かりましたよ、暴走した岩沢さんを止められなかった俺も悪かったからな」

「綾崎・・・私は暴走なんてした覚えはないぞ?」

「あれを暴走と呼ばずしてなんと呼べば良いんだよ!」

「・・・?」

純粋に分からないという顔をされた。

・・・マジで天然だこの人。

「さて、二人とも?・・・”衣装くらいは選ばせてあげるわよ”」

そう言って俺と岩沢さんにダーツを渡した。

「くそっ!もう観念してやるぞ、岩沢さん!!」

「あ、ああ・・・」

まずは俺がダーツを構える。

日向が俺用の台紙をルーレットに貼り付けてから回した。

・・・あ、何が書いてあるのか見るの忘れた・・・・・。

じゃあ、無難にど真ん中を狙うか。

「ちなみにど真ん中は女装だぜ♪」

危ねえ!?

「もう、どうにでもなれ!」

真ん中以外の所を狙って適当に投げた。

トスッ

一応真ん中には刺さらなかった。

「え〜と、綾崎は・・・・ちぇっ執事かよ」

ちなみに他の選択肢は・・・全部女装だった・・・・。

「ちっ、運が良いわね・・・日向君、音無君、綾崎君を連れてって。それと他の男どもはさっさと出て行く!」

ゆりに追い打ちをかけられる形で俺たち男連中は部屋を追い出された。

「日向・・・なんで俺たちは追い出されたんだ?」

「決まってるだろ、中で岩沢さんが着替えるからだよ」

「「・・・え!?」」

「え?・・・て、お前らそれくらい理解しろよ」

・・・まあ、考えてみればそうか。

「・・・・ちなみに岩沢さんの選択肢は?」

「悪い、俺も分からないんだ。俺が任されたのはお前の台紙だったからな〜」

・・・・えらく不安だ。

「あ、そうそう。綾崎君は着替え終わったら部屋の前で待っててね☆」

ゆりが満面の笑みで言った。

・・・・・やっぱり不安だ。

「ほらよ、お前の服・・・」

「お、おう・・・」

ひとまず着替えをさっさと終えてしまおう。

とりあえず誰も使って無いであろう美術準備室で着替えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜・・・やっぱり慣れないな・・・この服」

着慣れないスーツに困惑しながらも前線基地の扉の前で待つ。

『ほら、岩沢さん。そろそろ覚悟を決めて着替えたら?』

中の声が扉の隙間から漏れてきた。

・・・まだ岩沢さんは着替えていないらしい。

『分かったから、その・・・あっちを向いててくらないか?』

『いいけど岩沢さん、それ着たことあるの?』

『・・・・わかった、手伝ってくれ』

『浅はかなり・・・』

・・・・一体何を着るつもりなんだ?

もう少し会話に集中してみる。

『い、岩沢さん・・・』

『どうしたの?』

『い、いや・・・その・・・岩沢さんっていつもその下着なの?』

『そうだけど・・・ってむしろこれが数着しかないんだっけ』

『黒とは・・・浅はかなり・・・』

あー・・・どうしよう、聞かなかったことにしておくか?

・・・うん、それが良い。そうしよう。

『じゃ、せっかくだから眼、閉じててよ。』

『あ、ああ。分かった』

『どれどれ・・・ほう、意外と大きいですな』

『ゆ、ゆり!何を!?』

『いや〜岩沢さんって着やせするタイプだったのね・・・』

『そ、そんなコトよりも早く着せてしまってくれ!』

・・・・着やせ・・・大きい・・・。

イカンイカン、何も聞こえない何も聞こえない何も聞こえない・・・・・。

『えーとぉ、ここをこうして・・・っと』

『あ・・・ゆ、ゆり・・・そこは・・・んん!・・・』

『敏感なのは分かったから少し我慢して』

『ちょ・・・あ・・そんなに強く・・・ああっ』

『・・・・ごくっ・・・・・・』

『こら、椎名さん!生唾飲み込んでないで手伝って!』

・・・・・・・・・・・・・。

椎名さんもそっちの方の人なのか?

おっと、考えるな考えるな考えるな・・・。

『・・・よし、後はここを上げて・・・・はい、終わった!』

『はぁぁ・・・はぁぁ・・・はぁ』

『岩沢さん?眼・・・開けて良いわよ?』

『あ、ああ・・・・』

『どう?岩沢さん・・・・岩沢さん?』

『・・・・・・。』

『おーい・・・岩沢さ〜ん?』

『・・・・・・。』

どうやら着替えが終わったらしい。

とりあえずノックをする。

「ゆり〜、そっちは終わったか〜?」

がちゃ・・・。

「あ、綾崎・・・」

扉を開けたその先にはメイド服姿の岩沢さんがいた。

ぎゅぅ・・・。

「あ、綾崎!?」

おっと、いけない。無意識に岩沢さんを抱きしめてしまった。

「ごめんごめん、あまりにも岩沢さんが可愛いから・・・つい」

「か、可愛い!?」

岩沢さんは一瞬にして顔を赤くした。

・・・マジで可愛いな〜この人。

ドゲシ!!

「ぐほぁぁぁ!!??」

「人前で堂々とイチャついてんじゃ無いわよ!」

不意に食らったゆりのドロップキックで身体が壁にめり込んでいた。

・・・くそ、ぴったりはまっていて動けねぇ。

「あ、綾崎〜・・・大丈夫か〜?」

岩沢さんが心配そうにのぞき込んできた。

「心配はご無用です、お嬢様・・・」

「そうよ、この程度でくたばる訳無いじゃない」

蹴った本人が言うな!!

「・・・まあ、いいわ。それじゃあ椎名さん、みんなを呼んできてブリーフィングを始めるわ」

「承知・・・」

音もなく椎名さんはどこかに消えていった。

「・・・・ブリーフィング?」

「ええ、ブリーフィングよ」

・・・・とてつもな〜く嫌な予感が。

 

 


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