暗闇からのキボウの歌   作:skav

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オペレーション・・・スタート!

「こちら遊佐です。音声・照明の準備が完了しました。そろそろ良いと思われます。」

四人の周りには気がついたファン達が押し寄せてきている。

「オーケー・・・それじゃあ、始めるとするか」

四人は紅騎が待機しているステージ裏に向かった。

 

「どうだい?綾崎、チューニングは」

ひさ子が言いながら自分の楽器の調子を確かめていた。

「・・・っ・・・・うん、良いじゃん」

やっぱり分かるもんなのか。

岩沢さんがマイクスタンドの前に立った。

「みんな、準備は良いか?」

俺、ひさ子、関根、入江は同時にうなずいた。

入江は小さく深呼吸をしてドラムを叩き始める。

それに合わせて俺たちは演奏を始めた。

 

 

 

何事もなく最初の曲、Crow Songを弾き終わった。

あたりは熱気が立ちこめている。

すげえ、これがライブってヤツなのか。

何百人もの大人数が一つのリズムを取っている様子はまるで一つの生命体のようだった。

「みんな、いつも通り集まってくれてありがと。早速だけどコイツが新しいメンバーの綾崎紅騎だ」

スポットライトが一斉にこちらを向いた。

・・・これは、何か言わないと駄目なのか。

「どうも、ギターボーカルをやってます。」

俺は挨拶代わりにギターを弾いて見せた。

・・・人前でこんなコトするのは初めてだな。

ワァァァ・・・・

おお、良い反応だ。

「・・・とまぁ、腕は確かだからみんな安心して。それじゃあ、最後行くよ」

岩沢さんがフィードバックを始める。

Alchemyは前奏の前に必ずこれをやる。

・・・練習じゃ、うるさいからやらないらしいけど。

間髪入れずに前奏も弾き始めた。

 

 

 

一方前線組は戦線の敵、天使と壮絶な撃ち合いをしていた。

しかし、撃ち合いと言うには一方的すぎた。

天使のスキル、Destotionはどんなに鉛の弾丸を撃ち込んでもかすりもしない。

「・・・くそ、もうDestotionまで出しやがったのか」

音無や日向達はかまわず撃ち続けた。一応足止めにはなるからだ。

「どけ、お前らぁぁぁぁぁ!!!!」

野田が、とんでもない跳躍力でジャンプし身長ほどの長さもある斧、ハルバードを掲げた。

「死ね、オルルルルァァァァ!!!」

ふと、音無は思った。自由落下は言葉ほど自由なものじゃないと言うことを。

野田は馬鹿正直に”真っ直ぐ”天使につっこんでいった。

「ああ、馬鹿・・・」

その場にいた全員がそう思った。

天使はその場から数歩だけ遠ざかった。

「ば、馬鹿なぁぁぁぁ!!??」

馬鹿はお前だ、野田。

ズドーーーン・・・

野田は橋に思いっきり激突し、橋の支えごと粉砕した。

「退避!退避ぃぃぃ!!」

「野田の大馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!!」

ついでに周りにいた天使と他、数名の戦線メンバーを道連れにして野田は橋と共に崩れ去った。

日向と、音無はすぐに逃げたので大丈夫だった。

「・・・あっちも終わったみたいだぜ」

食堂の方を見ると大窓から白い何かが雪のように舞っていた。

一枚をつかんでみると、肉うどんと書いてあった。

「・・・食券?」

「そう、これがオペレーショントルネードだ。・・・お前、そんなんで良いのか?」

良いも何も、俺はあまり腹が減ってなんだけど・・・

音無はばつが悪そうに食堂に向かった。


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