暗闇からのキボウの歌   作:skav

11 / 45
オペレーション・トルネード~発令~

歓迎会の数日後俺と岩沢さんは校長室(前線基地?)に呼び出された。

なんでもこれから作戦会議を始めるらしい。

校長室にはゆりと、日向に音無と椎名、そのほか四・五人の戦線メンバーが集まっていた。

「みんな揃ったようね、それじゃあブリーフィングを始めるわよ」

例のごとく部屋が暗くなって上からプロジェクターが下りてきた。

「今回のオペレーションは”トルネード”を実行するわ」

トルネード?学校に竜巻でも起こすのか?

「トルネードってのはどんな作戦なんだ?」

音無が質問した。

ああ、そういえばコイツも新入りだったんだっけ。

「簡単に言うと食券の巻き上げよ」

ああ、だからトルネードか。納得。

「巻き上げって、かつ上げでもするのか?」

「やだ、音無クンってば激しいのがお好み?」

ゆりがわざとらしくイヤーンとしなを作った。

「じゃあ、どう違うんだよ!?」

・・・だよなぁ、かつ上げと巻き上げの違いなんて無に等しいからな。

「それは後になればわかるわよ。この作戦のメインは陽動班だから」

え?俺たち?

岩沢さんのほうを見ると静かにうなずいた。

「私たち前線チームの任務は、陽動班が動いている間天使を近寄らせないことよ」

そういや、これが俺の初ライブだったな。

・・・あ、そういえば男の俺が出てくるのってファンの人たちはどう思うんだろう?

「・・・なぁ、岩沢さん」

「ん、何?」

「バンドの名前って変えるのか?男の俺がいちゃ”Girls”じゃないだろ」

「ああ、ダイジョウーブ」

軽いなぁ・・・

「なんでそう言い切れるんだ?」

「二・三日前ユイ達にうわさを流させたんだよ。ガルデモにめちゃくちゃ上手い男が入るらしいってね」

「それで・・・反響は?」

「かなり良かったってさ」

よ、よかった~・・・

「安心するのはまだ早いよ、アンタはめちゃくちゃ上手いってことになってるんだからね。」

・・・そうでした。

「下手な演奏はできないな・・・こりゃ」

無論失敗もだ。

「ん゛、ん゛ん゛そこのお二人さん、お話はもういいかしら?」

あ、そういえば今はブリーフィングだった・・・

『す、すみません・・・』

「じゃあ、作戦は今日の1800時ね、陽動班は1730時まで待機してて。後のみんなは細かい打ち合わせをするからちょっと残って」

『はい』

・・・俺の初ライブか~なんだかわくわくするな~

「じゃあ、私たちも打ち合わせをするからいつもの場所に行こう」

「ん?あ、ああ分かった」

 

 

 

そして場所を移し、いつもの面々がそろった。

「じゃあ、今日の六時ジャストからゲリラライブをやるからそのつもりで」

「わっかりました~」

「はい」

「りょーかい」

さすが、やりなれているのかいつもと変わらないテンションだ。

俺だけわくわくしてて少し恥ずかしい気もする。

「・・・で、何を演奏するんだ?」

「いつもは大体一曲で終わりだけど今回は新メンバーもいるから二曲でいいかな?」

「あ!そういえば綾崎先輩は今回が初ライブなんですね!」

・・・忘れてたのか、関根よ。

「じゃあ、Crow SongとAlchemyでいいと思います」

・・・てかそれしか練習していないんだよ、入江よ。

「ユイの話によるとすげー期待されてるんだって?綾崎」

「ああ、俺はうわさ上だとめちゃくちゃ上手いそうだ」

「はは~・・・じゃあ、失敗はできね~な~」

他人事みたいに言うな、ひさ子よ。こっちはすでに緊張しかけてるんだ。

「じゃあ、移動を始める1730時までリハを兼ねて練習」

くそー・・・みんな俺のことは全く気にかけないで・・・

泣くぞ!泣いちゃうぞ!

「大丈夫です。綾崎さんなら上手く出来ますよ」

・・・その優しさが心にしみます。入江サン・・・

 

それから戦線メンバーの奴が呼びに来るまでみっちり練習した。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。