時間の合間を縫ってちょくちょくと書いているので、時間が空きます。ゆえに書き方もたまに変わってます。
まぁ………勘弁してください( ノД`)
さて、この話から原作には存在しない展開となってます。こちらも出来る限り違和感のないようにはしているのですが………何か不思議な点があったりしたら、感想欄に質問・指摘等をしてください。修正していきたいと思います。
───では、どうぞ!!
妖精の尻尾、医務室。
「ルーシィ!!」
「ルーシィは無事ですか!?」
設置されたベッドではルーシィが寝ていた。側ではナツ達を筆頭に仲間達が神妙な顔つきで彼女を見守っている。
先程入ってきたジュビアはルーシィの近くへと駆け寄る。
「お前ら………」
「チームは違っても同じギルドでしょ」
カナの言葉にグレイは頷く。
「ラクサス!!」
ルーシィを心配してなのか、ラクサスも医務室へと足を運んできていたことにナツは驚いた。
ガジルが容態を尋ねる。
「で、どうなんだ?」
「ウェンディのおかげで命に別状はないよ」
「いいえ、シェリアとサンディーの応急処置が良かったんです」
「良かった………」
「傷なども残らんようで安心している」
安堵の空気が流れる。
最悪なことにはならなかったことが不幸中の幸いと言えた。
と、同時にナツは怒りを表情に現す。
「あいつら………!!」
「言いたいことは分かっている」
ラクサスがそう告げた。
その時、意識が戻ったのかルーシィがうめき声を上げた。
「うっ………」
「ルーシィ!!」
彼女の弱々しい声が響く。
「みんな………ごめん」
「なんで謝んだ?」
「またやっちゃった………」
「何言ってんだ。ルーシィのお陰で二位だぞ!!」
「そうです!!8ポイントゲットです!!」
「あぁ、よくやった」
ルーシィに軽い笑みが浮かぶ。
これで少しでもルーシィには気持ちを楽にしてほしい。自分を責めないで欲しいと、ナツ達は考えていた。
「か、鍵………」
「はい、これ」
ハッピーから渡され、大事そうにぎゅっと抱き締める。安心したのか、そのまま再び寝息を立てて眠ってしまった。
「眠っちゃったみたいね」
「なんか………こうモヤっとするねアイツら」
「
「気に入らねえな」
各々が感情を口にする。
そこに───
「マスター」
マカロフが入ってきた。
「Aチーム、Bチーム、全員集まっとったか。ちょうど良かった」
マカロフの真剣な物言いに全員が耳を傾ける。
「今回参加チームが奇数の為、本来なら適用されんかったあるルールが大鴉の尻尾が失格となりチーム数が偶数となったことで改めて適用されることとなった」
「あるルール?」
マカロフはそのルールを手短に説明する。
全員の表情が険しくなる。
「───ということじゃ。これが今後の順位に大きく携わってくるということだけは間違いないとわしは思っとる」
「なるほど。最善でいけば、一気に一位の三首の竜に追い付くことも可能」
「だけど、最悪の場合、両チーム1ポイントも手にいれることが出来ないのよね」
「そのルールは俺らだけに?」
「2チーム以上参加しているギルドにのみじゃからのう」
マカロフから告げられた新たなルール。
それは戦況を一気に変えることができるものであった。良い意味でも、悪い意味でも。
「そしてタッグバトルに全てが託されると言うことになるのか」
「誰が選ばれるかは直前まで分からない………めんどくせぇな」
グレイが軽く舌打ち。
カナははっきりと言った。
「誰が選ばれても大丈夫なはずだよ」
「ギヒ………正々堂々ぶちのめすのみ」
「あぁ。それこそ、私達にとっての逆転の鍵となる。その為にはここにいる全員が勝利を手に入れれなければならないがな。私達は絶対に勝つ。ギルドの為、そしてルーシィがここまで頑張ってくれた努力を無駄にするわけにはいかない」
エルザの力強い宣言に全員がはっきりと意思を持って頷く。
ナツは勢いよく立ち上がると、思いっきり天に向かって叫んだ。
「オレは絶対にルーシィの敵をとる!! 仲間を笑われた!!」
───負けられない。
「オレは奴等を許さねぇ」
───逃げられない戦いがここにある。
◇
場所、不明。
「これじゃな………」
巨大な壁画。
「大魔闘演武………またの名を───」
そっと触れる。
「竜王祭………
その絵には熾烈な竜と人の闘いが刻まれていた。
◇
大魔闘演武四日目、バトルパート。
『いよいよ4日目バトルパートに突入します』
『今日だけはタッグバトルなんだね?』
『2対2ですか! 楽しみですね!!ありがとうございます!!』
『今回はすでに対戦カードも公表されています』
“青い天馬”vs“四つ首の仔犬”
“人魚の踵”vs“蛇姫の鱗”
“三首の竜”vs“妖精の尻尾AB”
“剣咬の虎”vs“妖精の尻尾AB”
『やっぱり注目は一触即発の妖精の尻尾対剣咬の虎でしょうか?』
『さっきはどうなるかと思ったよ』
『熱かったです! ありがとうございます!!』
『それと個人的には三首の竜と妖精の尻尾との対戦もまた白熱しそうで楽しみです!!』
『どうやらギルド同
『ありがとうございます!!』
本日は一対一による対決ではなく、二対二による
その為、試合展開は何倍にも膨れ上がりその無限の戦略の中から選手はパートナーと共に励んで勝利を取りに行く。一人を集中攻撃、マンツーマンで攻めるもよし。結果はどうあれ最終的に手にしたいのは勝利という称号のみ。
パートナーは同じチームの中からランダムで選ばれる。よって個々の魔導士としての実力も大事だがそれと同様に普段からどれほど相手との協力関係を築けているかも重大である。
ただし、これには例外がある。
『おおっと………ここで何か知らせが………ななななんと、重大発表!!今回のタッグバトルでは新ルールが適用されます!!』
『新しいルール?』
『予め配布してあったルールブックにも掲載されていましたが、二つ以上同じギルドから参加しているチーム───妖精の尻尾のことですね。この妖精の尻尾のみに適用されるルールがあります』
つまりは妖精の尻尾の特権。
吉と出るか、凶と出るかは分からない。
『それぞれのチームから一人を選抜され、その二人で即興のタッグを組んでもらいます。そして、試合を行いその試合で手にいれたポイントは両チームの得点となります。つまり!!妖精の尻尾のみ最高で20ポイント獲得可能なチャンスなのです』
『ここに来て二チームの新たに利点が出てきたという訳だスな』
『そういうことですね。では早速!!今回からの新ルールが今後の展開にどう作用するか、そこも注目してもらいながら行ってみましょう!!』
───第1試合。
“
一夜&???。
───そして、
“
バッカス&ロッカー。
───三首の竜、選手待機席───
「あのぬいぐるみ、中身は本当に誰なんだろうね~」
戦場を見ながらサンディーは呟く。
そういえば、とソウは彼女の疑問である根源のぬいぐるみを眺めた。顔が見えず表情が読めないので、何を考えているかは分からない。
ピョコンと突き出た対の耳。全身を青く染められ、時折白が混じる。口元では自慢の出っ歯が光っていた。
言い換えれば、青いウサギである。
『バッカスさん、ワイルドにやっちゃいましょう。このままじゃオレら………』
『なーに、オレは魂が震えりゃそれでいい』
対する四つ首の仔犬の一人、ロッカーの顔つきは良くない。彼が懸念しているのは青いウサギのことではなく、自身のチームの得点数の低さである。現在ではダントツの最下位。
ただ、相棒のバッカスはまったく気にしている様子がない。少しは危機感をもって欲しいとロッカーは思っていた。
『さて……ついに君を解放する時がきたよ』
こくり、と頷くウサギ。
「あのウサギ、秘密兵器だって~」
「そのわりにはそういうオーラがないよ」
「むしろ、雰囲気は一夜って奴に似てねぇか?」
「アホな予感しかしないわ」
「まぁ………雰囲気が似てるのは当たり前だろうな」
「ソウ、それはどういうこった?」
「………見てれば分かるさ」
ソウは魔法越しにちゃっかり中身を見てしまった。そして、少し後悔した。
故にジュンの疑問に苦笑いで返す他なかった。
『見せてやるがいい。そのイケメンフェイスを』
アナウンス席のチャパティもヤジマもラビアンも観客たちも身を乗り出し固唾を飲んで見守っている。
そしてウサギの頭がゆっくりと外される。
中からぽっかりと頭が出た。誰かと確かめようと注意深く見れば、どこか見覚えがある。
いや、見覚えがある以前に隣にいるではないのか。全員が目を見開く。
ウサギの中にいたのは他でもない、一夜と瓜二つの顔を持った人物であったのだ。
………ただし、エクシード。
『『『うわ~~~っ!!』』』
悲鳴に近い声が漏れる。予想とは裏腹の正体にショックを隠せずにいた。
名を“ニチヤ”。
昔、エクスタリアの近衛師団長を務めていたエクシードである。
ニチヤは着ぐるみを脱ぎ捨てると、一夜と同じポーズを取った。
『ダボルイケメンアタック』
『危険な
その瞬間、あちこちからブーイング。
ソウの隣ではジュンは「なんじゃありゃ!?」と驚き、サンディーは絶句してしまっている。
「………気持ち悪いわ」
「思っても言ったら駄目だよ」
ルーズにそう注意するアールも微笑みを浮かべている。
『私と私の出会い。それはまさに運命だった』
『ウム………あれはある晴れた昼下がり』
唐突に語り出した。
誰も聞いていない。そもそも誰も聞こうとしないのだが、どうやら本人たちは語る気満々のようだ。
最終的に終わりまで話してしまった。
と、そこに───
『だっはァーっ!!』
『メェーン』
バッカスの掌底による一撃がニチヤの頬に命中。ニチヤの叫び声と共に吹き飛ばされる。
『何をするか!?』
一夜が抗議する。
そこに外野にいる仲間からニチヤは闘えるのか疑問の声が飛び散った。
『当たり前だ!!私と同じ顔をしている!!つまり私と同じ戦闘力!!』
自慢げに告げる一夜。
ソウの視線は吹き飛ばされたニチヤの方へと移る。
「大丈夫かよ………あいつ」
「多分、大丈夫じゃないよね………」
ジュンとサンディーの不安。それは先程あっさりと飛んでいったニチヤが地面にへこたれて、ピクリと動いていないことに対するものである。
ニチヤは明らかに戦闘不能な状態だ。
『ウソーーーン!!』
勘違いしていたことに衝撃を受ける一夜。誰が同じ顔をした者がその者と同等の強さを誇ると決めつけたのだろうか。
そこからバッカスとロッカーによる猛攻が始まり、2人の攻撃をただただ受けている一夜。反撃する元気もないようだ。
───………私は君を戦いに巻き込んでしまった………まったく戦えない紳士とも知らず………それなのに君は私たちと共に戦う道を選んだ。そしてなんてイケメンなんだ………なぜ君が倒れている………なぜ君がキズついている………私は君の想いを無駄にはしない。イケメンこそが正義!!───
2人の猛攻を受けた末に、ボロボロになりながらも立ち上がった一夜の目が揺らぐ。
『君に捧げよう───勝利という名の
一夜の体に異変が起こる。筋肉がモリモリと盛り上がり、徐々に体が大きくなっていく。
『な………何でぇ!?急にワイルドに!!』
『こいつァ、力の
『くらうがいい!!これが私のビューティフルドリーマー』
───微笑み。
『スマーーーーーーッシュ!!』
『『どわぁぁぁあああ!!』』
気色悪い笑顔を添えられながら、バッカスとロッカーは吹き飛ばされた。そのまま壁に勢いよく衝突をしてしまい、地面へと倒れ伏せてしまう。
『ダウーーン!!
観客からは歓声ではなく、ブーイングが巻き起こる。
『いやーいい試合でしたね』
『そ………そうかね?』
『とってもキモかったです! ありがとうございます!』
気を取り直して次に移行。
───第二試合。
“人魚の踵”。
カグラ&ミリアーナ。
───そして、
“蛇姫の鱗”。
レオン&ユウカ。
「どっち応援するか迷うな」
「私は勿論人魚の踵だよ!!」
「サンディーちゃんは随分と気に入ってるんだね」
さて、とジュンは迷う。
無理にどっちを応援するかを決める必要はないが、決めた方が何かと観戦に熱が入ってより一層試合が面白く見えるものだ。
参考にしようと、アールにも聞いてみる。
「アールはどっちだ?」
「僕は………蛇姫の鱗かな?あのリオンって人とは会ったことがあるけど、良い人だったからね。ルーズはどうなの?」
「何で私にふるのよ………しいて言うなら………そうね、人魚の踵かしら?理由は特にないわ」
二人の意見を参考にしてもジュンの決意は固まらない。
最後の一人にも聞いてみる。
「ソウはどっちにするんだ?」
「人魚の踵だな。カグラって奴の実力も知りたいし、蛇姫の鱗のユウカってのは確か………俺と同じ波動使いだろ?応援するって気にはなれないからな」
「そうか………」
思考を唸らせるが、なかなか定まらない。
「結局、決めたのか?」
「あぁ………決めた!!オレは両方を応援することにするぜぃ!!」
いつの日にか、片方を決められないなら両方とれば良い、と聞いたことがある。
ジュンは素直にそれに従った。
「お?」
と、戦場を見てみるとカグラが前線から抜けて後ろへと下がっていく。戦闘には参加しない意思を見せていた。
「まずはミリアーナに任せるみたいだな」
ソウの解説にジュンは納得する。
やがて、試合が始まった。
「猫だな」
ミリアーナの戦闘スタイルを見て、そう思わずにはいられなかった。
素早い動きで相手を翻弄。その隙をついて、魔法で相手を拘束することにより逃げ場をなくして確実に相手を倒すスタイル。
相性によっては苦戦するだろう。
拘束チューブの同時操作により大量のチューブを操ったミリアーナは見事に二人を捕らえる。
窮地に陥った二人だが、リオンが頭を使ってある作戦に出た。
『アイスメイク───マウス』
ミリアーナの足元にちょこんと氷のネズミが出現。ちょこまかと動き回る。
普通なら戦闘中なので無反応なのだが、猫のミリアーナは本能的に反応してしまった。
『ってばかにするなぁー!!』
続けざまにリオンは吹雪を散らす。
寒さの苦手な猫はこたつで丸くなろうとする。ミリアーナもまったく同じ行動をとった。
『って!!だから私を猫扱いするなってば!!』
ミリアーナは少し怒り気味だ。
「ノリノリだな」
「うん、楽しそうだね」
「これってそういう時間だったかしら?」
「猫はこたつで丸くなる~♪」
リオンは真面目にしていたようだが、周りの反応があまりよろしくなかったようで次に入った。
彼がとっておきと言って出したのは氷の虎。同じ猫ではあるが、スケールの違うその虎にミリアーナは必死に逃げるものの、前方不注意による壁への衝突により、ダウンしてしまった。
『やはり私が出ていかねばあるまいか』
ここでカグラの登場。
ようやくのお出ましにユウカが先手を仕掛ける。波動弾を放った。
が、カグラは紙一重でそれを避ける。
後から数発放つものの、カグラは抜刀せずに魔法をも使わずに波動弾を切断。一瞬でユウカの背後に周り、一撃で彼を倒す。
「早ぇな」
「あぁ………俺の魔法でも間に合うか微妙だな………」
ソウの魔法でも追い付かないとなると、それはもう凄い速度を叩き出しているということになる。
試合は両チーム一名、脱落により一対一の展開となった。
リオンが攻撃を仕掛けるも、カグラはあっさりと跳ね返す。本気などまったく出していない。
それはリオンも同じだ。待機席のグレイに鼓舞されたリオンは一気に三体もの巨大な氷の造形魔法を作り上げた。流石のカグラもこれには感心せざるをえない。
リオンの形勢逆転かと思われたが、カグラは自身の魔法“重力変化”を使用。彼を含めた全てを宙に浮かび上がらせる。
リオンが身動きが取れないなか、カグラは一気に彼の作った造形物を切断。留めに彼本人に牙を向けるが───
『試合終了~ーー!!』
リオンの目と鼻の先でカグラの刀が停止。試合はそこで終わりを迎えた。
結果は引き分け。
「やっとだな」
「おう、次はオレらの番だぜ」
そして───次の試合は。
◇
『興奮覚めない会場!!いよいよ第三試合の幕開けです!!』
どっと沸きだつ会場。
『なんと、第三、第四試合全員が滅竜魔導士という驚きの試合内容となってます!!』
───あぁ………来てしまったな。
『まずはその前半戦!!』
──楽しんでいこうぜい。
『詳しい正体は謎に包まれたままのギルド!!だが、その実力は圧倒的で現在トップを維持してる!!その名も“
───…………負けねぇぞ。
『対するは七年前の栄光を取り戻そうと奮闘しているギルド、
───お兄ちゃん………やっとだね。
『さらには驚くべきことに四人の中の二人は互いに敵でありながら同時に兄妹であるとの情報も!?なななんと!!前代未聞の兄妹喧嘩が始まろうとしているーー!!』
───第三試合。
“三首の竜”。
ソウ・エンペルタント。
ジュン・ガルトルク。
───対するは、
“妖精の尻尾A”。
ウェンディ・マーベル。
“妖精の尻尾B”。
ラクサス・ドレアー。
………まもなく開始。
続く────────────────────────
裏設定:新ルール
原作では妖精の尻尾はAチーム、Bチームが合併していたがそれではチーム数が奇数となるため、ここでは合併していない。
だがそうなるとナツとガジルが別々のチームなので剣咬の虎とのバトル・オブ・ドラゴンスレイヤーが出来ない。その為に急遽こうして新ルールが出来た。
………え?バトルパートに二回目の参戦はありって?
バトルパートには一回しか出れないと誰が言った?
否、そんなことは言っていない。つまり問題はない(はず)。
また、このルールは兄妹喧嘩を勃発させることに一役買っている。
オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)
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あり
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なし
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ありよりのなし
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なしよりのあり
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どっちでも