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なので折角だし、それに話の構造がある程度見えてきたので書くことに……。
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でも、本編ではそこの所は既に終わっちゃってる………投稿しにくいな………。
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建前でも良いから、何かないかな………。
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あっ!!あった!!
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いつの間にかUA数が50000を越えているではないか!
だったら、その記念として投稿してしまえ!!
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ということで、ifストーリー解禁!!
そして、シェリアの口調が未だによく掴めていない作者です!!
───では、ライブ始まるよ~~!!
闘技場、北通路。
「よろしくね、サンディー」
「うん、こちらこそ、シェリア」
微笑みあう二人。
“三首の竜”サンディーと“蛇姫の鱗”シェリアだ。
二人はこれからの特別ルールに乗っ取った試合を行うため、戦場ではなく通路の一角で互いに自己紹介をしあっていた。
「でも驚きだよ。まさか、いきなりこんな形になるなんて」
「私としては楽しみだよ?」
「サンディーはノリノリだね」
「そう言うシェリアだって、案外乗り気だよね?」
「えへ♪バレた?」
「バレバレだよ~」
あはは、と楽しそうに笑う。
サンディーの現在の格好はフリフリのスカートに両肩を露出した派手な服。
シェリアの格好も殆んどサンディーと同じで違う点は服のメインカラーが異なっているぐらいだ。
サンディーは赤色。シェリアは黄色。
端から見れば、とても魔法によるぶつけ合いの試合をするようには見えないが今回はそれで良いのだ。
「ところで………後もう一人が来てないよ?」
「あれ?ウェンディ?まだ来てないのかなぁ………」
残りの一人、ウェンディも試合に参加する手筈になってあるが未だに姿を見せていない。
自分が選ばれていることは知っているはずなので、ここにもうすぐ来てもおかしくはないのだが寄り道でもしているのだろうか。
サンディーはピコンと思い付く。
「折角だし迎えにいこうよ!!」
「うん。そうだね!!」
シェリアは即答で頷く。
本日最終試合。急遽、ルール変更。
魔法による一対一の勝負ではなく───
────
◇
妖精の尻尾A、選手待機席。
「嫌ですぅぅ!!!!」
一人の少女の悲鳴が上がる。
顔を真っ赤にして、今にも熱で倒れそうなその少女は他でもない、ウェンディだ。
ルーシィは困った顔を見せる。
「そんなこと言ったってウェンディ………もう決まったことなんだから………」
「でもですよ、ルーシィさん!!こんな大勢の前でこんな破廉恥な格好で出るなんて恥ずかしいじゃないですか!!」
「あはは………」
どん、と彼女につき出された衣装を目前にルーシィはから笑いをする。
露出度が高いその服は、恥ずかしがり屋のウェンディにとっては絶対に一生をかけてでも選ばないであろう代物だ。
「ん~?」
「よくわかんねぇなぁ………」
ナツとグレイは端から見守る。
男の彼らにとっては理解しがたい内容なのだ。男の出る幕はない。
対して先程からはわわ、と落ち着きのないウェンディ。彼女の肩にエルザが手を優しく置いて一言。
「エルザさん………?」
「これも経験だ」
「そんなぁぁ………」
「案外面白いぞ。色んな服を着てみるとその度に新たな発見があったりして楽しいものだ」
「エルザの場合、鎧ばっかだけどな」
エルザはグレイを睨む。グレイはギョッとして目をそらした。
味方がいなくなったウェンディ。
それでもまだ気持ちが決まらない。目の前の両肩が露見した衣装とにらみ合いが続く。
と、そこに───
「あ!いたいた!」
同じ主役であるサンディーが来た。しかも派手な衣装を身にした彼女の姿はまさにアイドルそのものだ。
彼女の様子を見るに衣装を着るということに抵抗はなく、素直に受け止めているようだ。ウェンディは純粋に羨ましく感じた。
そして、ウェンディはサンディーの背後に別の少女がいたことに気付く。彼女もまた色違いの衣装を着用している。
その少女はサンディーの隣に立ち、ウェンディをじっと見つめる。
「あなたがウェンディ?アタシはシェリアって言うの。よろしくね」
「え………あ、はい………私の方こそ、お願いします」
困惑しながらもウェンディは一礼。
頭を上げると目の前に女の子の手。シェリアの手だ。
彼女の意図を読み、ウェンディは彼女の手を握った。軽く握る程度だ。
だけど、数秒後にウェンディは異変に気付く。
「え?」
───離れない。
シェリアの掴む力が強くて、手ががっちりと掴まったままなのだ。試しに引っ張ってみたりするがどれも現状の打開策とはならない。
ウェンディが脳内で謎の光景を把握していない中、シェリアが追い打ちをかけるように笑顔で一言。
「逃がさないよ♪」
◇
闘技場、通路。
「ななな何するんですか!?」
ウェンディは必死に抵抗していた。
原因はシェリアが彼女の腕を引っ張って、連行しようとしているのだ。
何処へ連れていこうとしているか。ウェンディは薄々、察していた。試合の会場である戦場へと向かっているのだ。
サンディーも口を挟まず、ただ後ろから付いてきているだけ。ウェンディからして みれば静かに微笑まないで、助けてほしい。
「勿論、アタシとサンディーとウェンディの三人で出るからね。早くしないと」
「でも………っ!!」
「何をそんなに嫌がるの?」
「嫌がってる訳では………」
シェリアは立ち止まり振り返る。
ウェンディはじっと下唇を噛んで、俯いてしまった。
サンディーがそっと静かに告げる。
「人前に出るのが苦手なんだよね」
「そうなの?」
「はい………」
小さく頷いた。
観客全員の視線が一堂に介するであろう、今回の試合。他人からの視線を意識してしまい緊張してしまうのも無理はない。
ましてや、こんな舞台に出ることが初めてで右往左往している彼女にとっては難題過ぎたかもしれない。
「でも、これからすることはアタシたちにしか出来ないことだよ。よくよく考えてみると結構な大役だよね。アタシだって、緊張しちゃう」
「そうなんですか?」
「うん。アタシだって初めてだからね」
シェリアははっきりと気持ちを述べた。
ウェンディはゆっくりと顔をあげる。
なら、どうして彼女はそんなに不安な表情を見せないのだろうか。ウェンディは不思議で仕方なかった。
そんなウェンディの疑問を読んだかのようにサンディーが言った。
「ウェンディ、これから言うことだけは覚えておいて。あなたは一人じゃない。私やシェリアが一緒にいる。もしもウェンディが失敗を犯しても私達がしっかり支えるから」
「うん………」
「だから、ウェンディも私を支えてくれない?」
「え?」
「隣にウェンディがいてくれたら、私は百人力だよ。不安な気持ちも三人いれば、三等分ってね。だから、お願い!!」
彼女に励まされたようだ。
ウェンディの瞳に覚悟の決意が灯される。
「………分かりました。こんな私ですが、お二人の足を引っ張らないように頑張りたいと思います」
「じゃあ、早速。ね?」
「ななな何を………?」
サンディーの謎の笑みに後ずさるウェンディ。
彼女が取り出したのはウェンディが着る予定の何かと露出の多い衣装。ウェンディの頬がひきつる。
「これ、着てね♪」
「でも、ここで着替えるわけには………」
「と言うと思って、ちゃんと着替え場所は用意してあるよ」
ジャーン、と効果音と共にシェリアが両手を広げてまでウェンディに見せたいものはとある部屋の扉だった。
そこには“女子更衣室”と看板が隣に掲げられていた。
「ほら、行こ?」
「これを着るのですか………」
「他にないからね」
「恥ずかしくないんですか………」
「慣れたら平気だよ」
まだ決心がついていないようだ。
先程から更衣室に踏み入れることを躊躇して、サンディーに質問ばかりを浴びせている。彼女はは難なくあしらっていくので、ウェンディが段々と物静かになっていく。
「早くしないと皆が待ちくたびれちゃうよ?」
「そんなこと言われたって………これだけは譲れないんです!!」
シェリアにもはっきりと告げたウェンディ。そこに彼女のプライドが醸し出されている。
と、そこにサンディーの強烈な一撃が入る。
「
「えっ!?………」
ウェンディの目がおよおよと泳ぐ。
今ごろ、彼女の脳内では兄に褒められたい欲望と人前に出ることによる羞恥心との激闘が繰り広げられているであろう。
「ほら!!」
「えっ………あ、その………やっぱり無理です!!」
「あ、逃げないの!!待てぇぇーー!!」
ウェンディ、顔を真っ赤に逃走。
彼女を追いかけていったサンディーの背中を見送りながら、シェリアは一言。
「さっきのウェンディ、ソウに褒められるって言われて滅茶苦茶動揺してたね。分かりやすいったらありゃしない♪」
もうしばらく時間がかかりそうだ。
◇
『では!!いよいよ登場してもらいましょう!!観客の皆さんは思う存分に今回だけの特別なライブを楽しんでください!!』
どっ、と熱気が上がる。
会場のど真ん中には派手にセットされたステージがライトアップされていた。
全体的に会場は光源を遮断して暗くされており、ライブの準備は万端だ。
『では!!登場して頂きましょう!!』
アナウンスが入ると同時にしんと静まり返る。
『“どじッ子シスターズ”の三人でーーーす!』
次の瞬間に派手な演出が打ち上がり、キラキラと紙吹雪がステージを覆った。
ステージの床の一部に穴が空いた。
そこから出てきたのは、他でもない───このライブの主役達。
「やっほーー!!」
「待たせちゃってごめんねー~!!」
サンディーとシェリアが呼び掛ける。
「みんなーー!!元気ーー!!」
『うぉぉぉぉおおおおお!!』
観客の空気を震わす大声が響き渡る。
『審査の基準は単純です。観客の皆さんにスティックを配布してますね。そこに三人のアイドルの名前が書かれてますので、良いと思ったアイドルの名前を押してください!!その合計で競い会います!!』
『これのことだスな』
無論、全員の手に行き渡っている。
ステージの準備に時間がかかったので配分する時間は十分にあった。
そのスティックは七色に光る仕組みになっており、会場を盛り上げる一役を担っている。
『そして、合計点はあの掲示板に表示されます!!』
『ですが、途中から結果は隠すんでよね』
『その通りです!!その方が盛り上がりますからね!!』
一角に設置された巨大な掲示板。
三人の名前の欄とその下に数字が入るであろう空白がある。
説明も終わり、サンディーが早速あることを宣言した。
「それじゃあ、始めるよ!!」
「え!?何をですか!?」
そわそわしているウェンディが慌てて聞き返す。
「そりゃあ、勿論───」
サンディーは満面の笑みで告げる。
「自分のアピールをするんだよ?」
「え………えええぇぇぇぇ!!そんなこと、聞いてませんよ!!」
「あ、忘れてた。ごめんね、てへペロ♪」
「そんなぁぁ………」
「というよりウェンディはステージで何をするつもりでいたんだろうね………」
シェリアのふとした疑問もウェンディの耳に届かないほど、彼女の表情は青ざめていた。
「まぁ、最初はアタシから行くから参考にしてもらったら良いよ」
シェリアが一歩前へと出る。
すると、彼女の足元にスポットライトが照らされる。
『アピールタイム!!ここでは彼女たちに自慢の技を魅せてもらいます!!まずは一番手、シェリアたん頑張れーー!!』
『シェリア………たん?』
シェリアは両手を構える。
「天神の
二つの黒い風が彼女の腕から出現した。それらを勢いよく腕を振り上げることで、二つの黒い風が竜巻となって空へと飛び出した。
不規則な動きで竜巻は空へと上っていく。やがて、空中で二つの竜巻が衝突して辺り一体に暴風を撒き散らした。
シェリアがさらに手を大きく動かす。すると、風が意識をもったかのように動く。
彼女の体に黒い風が付き纏い、幻想的な姿となった。
『なんと!!シェリア選手の雰囲気から、儚いダークな感じがします!!お見事です!!』
『彼女本来の魅力に彼女の魔法がオーラをもり立てる素晴らしい演技ですね』
観客達も彼女の演技に魅了されたのか、歓声が鳴り止まない。
シェリアは後ろへと移動しながら、満足そうに観客に手を振る。
「ありがとーー!!」
「じゃ、次は私だね」
入れ替わるようにサンディーがライトアップされた所へと歩みでた。
「滅竜奥義!!」
サンディーが構える。
彼女の周りを水が多い囲む。
「双竜・海尾拳剏!!」
水が段々と集まり、二体の龍を形成した。水の龍の目が光る。
ていっ、とサンディーが腕を上げると二体の龍は会場を力一杯泳ぎ出す。観客達は上を見上げて、唖然としていた。
やがて、龍は会場の中心へと移動した。そのまま渦を描くかのように昇っていったかと思えば、爆散。
『これは………とても幻想的です………』
キラキラ、と光に反射された細かい雨粒が彼女の最後にとった決めポーズに淡麗という言葉を添える。
『水を使った芸術とも言える演技でしたね。こちらも彼女なりの魅力を十分に引き出してますよ』
「手応えありだね!!」
サンディーは最後にガッツポーズをした。
出番を終えたので、交代する。
次に出るのはウェンディ。サンディーは彼女の元へと近づく。
「頑張ってね、ウェンディ」
「うん、ありがとね、サンディー」
ウェンディの表情に緊張の色はない。
というのは嘘になる。まだ動きにぎこちなさが残っていた。
だが、それでもウェンディは二人の魅せた演技に自分も負けられないと闘争本能をかりたてられた気がした。故に、全力で自分も精一杯魅せるのみ。
「いきます!!」
全員の注目を浴びながら、ウェンディはステージの中心で覚悟を決めた。
彼女の側から風が吹きたつ。
『おおっと!!なんとウェンディたんもシェリアたんと同じ風魔法の使い手か!?』
『ただスくは天空魔法だな』
ウェンディは両手をつきだし、告げる。
「滅竜奥義!!照破・天空穿!!」
彼女の手のひらから渾身の竜巻が発生。不規則な軌道を描いて、竜巻は空へと舞い上がる。
後はあの竜巻の中心に飛び込み、身を任せることで体を浮からせる。次にそこから風同士を衝突させて、フィニッシュを決めるつもりでいる。
ウェンディは竜巻へと走ろうと片足を出そうとするが───
「あぅ!!」
───こけた。
足元に邪魔にならないように置かれていたマイクのコードに引っ掛かった。風で吹き飛ばされていたようだ。
さらにこけた勢いでウェンディは魔法の制御を誤り、肝を冷やす。
『おおっと!!これはすごい強さです!!』
『いえ………ただ単に間違えたような気が………』
竜巻がさらに大きくなってしまって、周りを巻き込むほど巨大化してしまった。
慌てて、ウェンディは魔法を解除しようとするが───
───バチぃん、と何かが切れる音がした。
刹那、ステージは暗闇に包まれた。
観客の持っていたスティックも灯りを失ってしまい、会場全体が暗くなる。
『えーっと………先程入った情報によると、どうやら停電が起こったそうなので、復旧まで今しばらくお待ちください』
『あはは………流石にやりすぎたようですね』
『元気があるのはいいことだ』
停電。
「はわわ………っ!!」
ウェンディはステージの真ん中で失敗から来る羞恥心のせいで顔を真っ赤にして、ただひたすらに右往左往していた。
「これって採点出来るのかな?」
「どんまい~ウェンディ~」
陰で待機している彼女たちから声がかけられてくるが、ウェンディはそれどころではなかった。
盛大にやってしまったのだ。
「うぅぅ………恥ずかしい………です」
誰も辺りが暗くて、ウェンディの表情をが見えないのは、今のウェンディにとっては不幸中の幸いと言えた。
◇
闘技場、東通路。
「お疲れ、二人とも!!」
「楽しかったね」
アピールタイムから数十分後。
ライブの余韻に浸りながら互いに讃え合う彼女達。停電というトラブルが少々あったものの、あの後すぐに復旧されて問題なく再開することが出来て、無事にライブは最後までやり遂げた。
表情に疲労の色が少し見えるが、今の彼女達心ははやりきった感でいっぱいだ。
「ウェンディはどうだった?」
「うん。最初は緊張しちゃったけど………楽しかったよ 」
「あはは、でしょ!!」
サンディーは満足そうに頷く。
「でも勝負はつかなかったね」
「あぅ………私のせいで、すみません」
「まぁ、気にすることはないよ」
シェリアにとって、勝敗がつかなかったことは唯一の気掛かりでもあった。
ウェンディが思いっきり羽目を外してしまい、彼女の魔法が運悪く機材のコードをぶち抜いてしまったので、故障してしまった。そのおかげで採点が出来なくなってしまい順位もお預けという形で幕を引いた。
観客達はライブをすること自体に満足していたようなので、特に順位不問の件についての批評はなかったそうだ。
申し訳なさそうにしているウェンディが「あの………」と恐る恐る心情を述懐する。
「引き分けという形になってしまいまけど………私はこれで良かったと思います。私自身よく分からないんですけど………なんだか、この達成感に勝ち負けとか付けてはいけないような気がして………シェリアさん、曖昧ですみません………」
「シェリアでいいよ」
「え?」
「アタシのことはシェリアって呼んで、ウェンディ」
「う、うん、シェ………シェリア」
「うんうん、これでアタシ達も友達だね。あ、勿論サンディーもだよ」
「昨日の敵は今日の味方だね!!」
「まだ半日も経ってないよ」
分かってるって。サンディーは笑った。シェリアも吊られて笑う。
ウェンディも微笑ましく見ていた。
「お、いたいた」
「あ、ジュンだ!!」
「皆もいるよ!!」
そこにやってきたのはジュンを筆頭に、“三首の竜”と“蛇姫の鱗”の魔導士。
ジュンの姿を見つけたサンディーは嬉しそうに彼の元へと駆け付けた。サンディーも仲間達の方へと走る。
ウェンディはその場にポツンと残った。
妖精の尻尾の皆は来ていないようだ。
ちょっと気持ちがへこむ。
「どうしたんだ?」
そんなウェンディの目の前に来たのは、ソウだった。落ち込んでいるように見えた彼女にソウは優しく問いかける。
「お兄ちゃん………どうして私の所に?」
本来なら同じチームのサンディーの所へと行くべきだ。実際、彼以外のメンバーは全員同じチームの所へと賞賛の声をかけている。
ソウは軽く頭を掻きながら、言った。
「なんか、
「そうなんだ………」
もしかして。
「ほら、行くか」
「え?どこに?」
「そりゃあ、あいつらの所」
ソウは手を差し出した。
ウェンディは驚くかのように彼の顔を見る。いつもの彼の顔だ。
彼の手を握るか、どうか戸惑っているとふとソウはほのめかす。
「俺と手を繋ぐのが嫌か?それとも背負ってほしいのか?」
「~~っ!!だだだ大丈夫!!」
顔を真っ赤にしながらもウェンディは彼の手をつかんだ。
ソウは歩き出す。ウェンディも彼の隣を照れながらも付いていく。
ニヤニヤしながら傍目から見守っているサンディーとその他大勢にウェンディは気付くことはなかった。
しばらくして、誰もいない通路を二人きりで歩いていた。
「あ………」
突然、彼は声を漏らした。
ウェンディは顔をあげて、彼の横顔を見つめる。
そして、振り返った彼と目があった。
「ウェンディ」
「どうしたの?」
「衣裳、可愛かったぞ」
ウェンディの思考が停止。
再起動を果たして、彼の言葉を理解するのに数秒のタイムログが生じた。
頬に熱が帯びる。あたふたとウェンディは必死に顔を横にふった。
「そそそそんなことないです!!」
「顔が真っ赤だな」
「あうっ!!こっちを見ないで!!」
彼から視線を逸らす。
これ以上、恥ずかしいことを言われると昇天しそうな勢いだ。
だが、それでもウェンディはソウと繋いでいる左手を放そうとしない。
それから、ウェンディはソウと色んなことを話した。ルーシィが部屋割りで愚痴ってることや他にも色々と。ソウはちょくちょく聞き返しながらウェンディの話に耳を傾けていた。
しばらくして───
「着いたぞ、ほらあそこ」
「え………あ、もう………」
通路の向こうには仲間達が手を振っている。つまりは兄ともここでお別れということを意味していた。
「ん?」
「お兄ちゃんはまた何処かへ行くの?」
唐突な妹の問いにソウは即答した。
「心配するなって。大丈夫、俺は必ず皆の所に、ウェンディの元に帰るから」
「本当?」
「あぁ」
ウェンディは名残惜しそうに彼と手を放した。一瞬、悲しそうな顔をするがすぐに笑顔を彼に見せる。
ドキリ、とソウの頬に赤みを帯びた。
「うん。じゃあ、私待ってる。お兄ちゃんが帰ってくるのを待ってる。だから………ちゃんと帰ってきてね」
「………ありがとな」
ウェンディは彼に背を向けた。
やがて、ゆっくりと走り出す。走る先ににはまだ手を振っている仲間達。後ろには大好きな兄。
───アイドルをやってみて、ウェンディは後悔はなかったと思っている。そのお陰で楽しいライブの思い出が作れて、シェリアとも友達になれて、こうしてソウともふたりきりで話が出来たのだから。
ウェンディはぎゅっ、と左拳を握り締めた。
「待ってるから」
握った彼の手はとても───
───暖かった。
続く────────────────────────────
裏設定:どじッ子シスターズ
スヌーピーさん、提供ありがとうこざいます。採用させて頂きました!!
因みに自分は“ゴッドテイルズ”ってどう見てもアイドルとは程遠いグループ名を浮かべていました………危ねぇ………(汗)。
そして、この話は本編とは一切無関係とだけ覚えておいてください。
アンケート募集中!!【ここ重要】
詳しくは作者の活動報告で。
現在、『竜王祭編』に並んで『ソウの過去編』も人気となっています。どちらも作者としては力が入りますね。
そしてですが、まだまだアンケートは続行してます!!
詳しくはここで話せないのでなんですが、このまま作者の活動報告のページへとポチッと移動して一目見てくださるだけでも結構です。
皆さんの協力を待っています!!
オリジナルの敵キャラってあり?(無しの場合だと、原作に出てきた敵キャラのいずれかを主人公が奪い倒す形となる予定)
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あり
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なし
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ありよりのなし
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なしよりのあり
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どっちでも