咲と照のセリフと高校が逆だったら   作:緋色の

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中堅もこれにて終わりです。次は傭兵亦野が待ち受けております。露出巫女初美がいます。最近忙しくて更新があれになってきましたが、ちゃんと完結させます。それと咲さんの師匠的人はオリジナルキャラです。


第19話

 後半戦開始。

 

 東家・洋榎、南家・憧、西家・春、北家・尭深。

 

 前半戦は洋榎が実力を遺憾なく発揮した。その結果一人だけプラスとなり、二位になれるチャンスを生んだ。この後半戦も同じ働きを見せたら、場合によっては原点復帰もあり得る。

 

(白糸台のラス親かい)

 

 それを阻む障害は尭深だ。ラス親となった彼女がオーラスでどんなことをしてくるのか。役満連発、それさえも視野に入っている。だが、悪いことばかりではない。

 

 ラス親ということは削りが同じになる。ということはだ、尭深のラス親前に稼いで二位にしてしまえば、トビ終了になっても問題ないのだ。直撃さえ食らわなければどうとでもなる。

 

(まあ、せえへんけど)

 

 尭深を援護して二位になるという方法は確かに手段の一つとしてあるが、万が一、咲のような大明槓による責任払いが発生したら目も当てられない事態となる。白糸台の作戦が不明の現在、そのような方法は使わないでおくべきだ。

 

 無論尭深がラス親だからといってビビる洋榎ではない。親になったら連荘して点数は稼ぐし、できることなら白糸台に直撃を連発して、大将で一位抜けも無理ではないようにする。

 

 とはいえ一番の目的は決勝進出であり、無理してまで一位をとらなくてもいい。決勝で一位になれば全てよしなので、ここで攻めすぎるのも考えものだ。

 

「ツモ。2000オール」

 

 きっちりと和了を決める。

 

(愛宕洋榎、何連荘してんのよ)

 

 躊躇う様子を見せずに和了宣言をした洋榎を憧は焦ったように見つめた。連荘すれば、それだけ尭深を有利な状況にやることになる。極端な話、最後に天和できるだけの枚数を集められたら尭深は逆転することができる。だからトビさえしなければ尭深はそれでいいと言えた。

 

 親の役満を防ぐためにも子での和了を基本とするのが一番なのだが、残念なことに阿知賀の持つ情報が他の二人にあるとは限らない。オーラスに気をつけてればいいと考えられたらそれまでだ。

 

(くっ、流しにいかないと)

 

「防御が疎かやで。ロン、7700は8000」

 

 容赦ない。二回の和了で三位に立つ。二位の永水との点差は7500点。洋榎が次に2000オール、直撃で3900を決めたら二位となる。

 

『強い! 後半戦すぐに姫松が三位に浮上! このまま二位を奪うのか!?』

 

(あーもう。抜かれた……。強いのは分かってるけど、それにしたってこれは……)

 

 これで尭深は九枚確定した。連荘なしなら七枚で済んだものが、洋榎によっては九枚となった。

 

(これ、私が親で和了できないじゃない)

 

 二回の親でそれぞれ一回ずつ和了したら、尭深は十一枚となる。そこに洋榎と春も加えたら天和の連発があり得る。そうなったら最後、誰かがトブまで尭深は連荘だ。

 

 一方洋榎は憧の様子を見て、

 

(連荘したら困るってか。てことはお茶の姉ちゃんはゲーム数で何かが変動するんか。……何やろな。増えて得する……最初のツモ牌がオーラスに来るやと役満にはなれへんし。かといって最後の牌やとやっぱ駄目やし。あっ、最初の捨て牌はどや? それやと役満いけそうやん。うち天才や!)

 

 謎は全て解けた。

 

 クイズ番組なら大正解の景品として唐揚げ三年分は貰えそうなほどだ。もう、うち天才やわ、と自画自賛して、念のためにと最初の捨てを記憶する。

 

(連荘したら確かにオーラスに来る牌が多くなるな。オーラスを除いて、連荘なしやと七枚。これが基本枚数やとして、今は九枚か)

 

 つまりあと五回連荘が発生したら尭深の天和が確定する。

 

 だからどうしたと、洋榎は恐れを知らずに打ち進める。その強い姿勢に牌は惹かれるのか、無駄なツモなく、七巡目に親満をテンパイした。手は進まないツモも手を高くするのに有効な牌だったりと、まさに最高の展開だ。

 

「チー」

 

 憧が鳴く。永水の次の捨て牌で2000の手を決める。

 

(差し込みか)

 

 洋榎の連荘を危険とした二人による連携だ。洋榎本人は点数の変動がなかったのでよしとした。スタートダッシュは上手く決められたので文句なしだ。この勢いのまま稼ぎたい。

 

(二位から四位までの点差が約5000点ずつ……。逆転は簡単に狙えるけど)

 

 だからこそ厳しい。ここまで差が小さく、しかも中堅戦後半ともなれば点数を落とさないようにしていく。唯一隙があるのは白糸台ぐらいなものだが、さりとてオーラスに巨大な一撃が期待できるので、ある程度の失点には目を瞑れる。

 

(この親は諦めるしかない、か……)

 

 憧は溜め息を吐いた。

 

(残念やな。せやけどうちは容赦しないで)

 

 点差が小さいからこそ姫松にはチャンスがある。現在三位で、3900をツモ和了すれば二位となる。

 

 一時は最下位、それもダントツの最下位となった姫松が中堅戦終了時に二位になれば、これを見てくれる人たちはどんなに楽しいか。そして、それをやり遂げたらどんなにおもしろいことか。

 

「ツモ。1000・2000や」

 

(愛宕洋榎。あがりすぎ! そりゃ親が流れたのはいいことだけど、でもこれはいくらなんでもやりすぎでしょ)

 

 次の局で憧も積極的になる。このままでは洋榎が和了を決めまくり、決勝へ行くのが厳しくなってしまう。

 

 二位と三位は100点差と僅差で、阿知賀とは10000点差だ。差はそれほど大きくないが、これが大将戦で嫌な結果を招きかねない。

 

(もうなりふり構ってられない!)

 

「はっ。今ごろかい」

 

 しかし、洋榎は手強い。憧が欲しい牌を捨てることは一度もない。それで苦しいものがあるが、そんなので止まるわけにはいかないと、多少危険でも憧は手を進める。

 

「チー」

 

 春が鳴いた。

 

(二人の好きにはさせない)

 

(くっ、こっちはチーできなくて困ってるのに)

 

「おお、おもろなってきたなあ」

 

「あんただけですから」

 

「おお、こわ」

 

 どんな状況でも楽しむとばかりに洋榎は打つ。そうするだけの余裕を見せる洋榎に追いつこうと、憧は躍起になるが、一歩先を行く彼女はやはり強く、他者を寄せ付けない。

 

「ロン。5200や」

 

 尭深から直撃をとる。

 

『これは凄い! 姫松が原点まであと一歩に!! 先鋒からでは予想できなかった光景です!』

 

『本当に強いですね。先鋒の大きなマイナスを取り戻すだけでなく、二位と差を広げましたね』

 

 これからどうなるのか誰にも分からないとはまさにこのことだと、実況が言った。

 

 

 

 

 

 白糸台控え室。

 

「本当に恐ろしいな」

 

「この中堅で一気に取り返しましたね」

 

「愛宕さんは特別な能力こそありませんが、技術は高校生の中でもトップクラスですからね。正直渋谷先輩も厳しいでしょう」

 

「でも、今回はラス親だからね。しかも点数も十分あるからトビはないし。もしかしたら天和連荘見れるかもだね」

 

「そうなったら誰にも止められないよ」

 

 咲はチョコケーキを食べつつ、感想を述べる。隣ではショートケーキを食べる淡がいる。どちらも尭深の心配をしてる素振りはなく、もぐもぐとケーキの味を堪能する。

 

「今で九枚は確定してるから……」

 

 亦野に菫は言った。

 

「洋榎が親で何もしないわけがない。十枚、十一枚はいけるだろうな」

 

「あはっ。そこまでいったら役満連発もできるね」

 

「そうでなくとも、跳満、満貫ぐらいなら何回も出せる。200000点は突破するだろう」

 

「そうなったら本当に怖いですからね」

 

「淡なんか泣いてたね」

 

「天和五連はないよ!!」

 

 調子に乗って十万点持ちにして、尭深がラス親となり、そこで淡は神の怒りを見た。それを見ていた咲も気の毒に思っていた。手も足も出ないとはまさにあのことだ。

 

『ツモ。500オールです』

 

「あっ、和了した」

 

「これで十枚か」

 

 着実に尭深は集めている。その時が来れば、爆発的な威力を発揮する。

 

 

 

 

 

 オーラス。

 

 白糸台124600

 姫松100400

 永水89300

 阿知賀85700

 

 尭深の手が十一枚確定した状態からのスタートだ。

 

尭深の手。

 

①⑧5西西西白白白発発発中中

 

 迷わずに五索を捨てる。

 

(これはヤバい。役満覚悟しないと)

 

(流せるか、あがられるか)

 

(二位やから無理せんでもええけど、邪魔させてもらうわ)

 

「ツモ。チャンタ、三暗刻、ホンイツ、小三元。12000オールです」

 

①②西西西白白白発発発中中 ツモ③

 

 もちろん続行。

 

「きゅあ……」

 

(やば、変な声出た!)

 

「ツモ。三暗刻、ホンイツ、小三元……8100オール」

 

 更に続行。

 

(何なのこれ。麻雀じゃないでしょ!)

 

(止められない)

 

(やばいなあ)

 

 確かに麻雀ではない。小三元、三暗刻、ホンイツが確定している。最低親倍が確定されており、しかも一向聴スタート。これはもう絶望しかない。いつ天和が降ってくるか分かったものではない。

 

 酷い。おっとりした外見からは想像もつかない、恐ろしい麻雀を打っている。彼女に勝つには一向聴、配牌時の聴牌が不可欠になる。彼女は天和を除けば、最短で二巡で和了が可能となる。

 

 たった二回の和了で憧たちの点数は二万点削られた。こうなると絶望しかない。トビ終了を中堅戦で覚悟することになるとは。憧の表情から生気が薄れ、暗いものになる。

 

 ここまでどうしようもない事態は何度もあった。それは不運だったとして片付けられた。しかし、今回は違う。不運とかではない。強大な力が場を支配し、他者になすすべを与えない。

 

「ツモ……16200オール」

 

 点棒を渡そうとした手が大きく震え、ぽろっと落としてしまった。すみませんと、沈んだ声で謝ってから点棒をとり、尭深に渡す。

 

(阿知賀の、心が折れたんか)

 

 洋榎は違う。その目に宿した光に陰りはない。かつて彼女は自分より二つ下の少女に優勝をかけた戦いにて圧倒的な力の差を見せつけられ、それでも心は折らずに一矢を報いた。あの日の、あの場の、あの状況に比べたら可愛いものだ。

 

(こないなったら一位は目指せん。せやけど二位はまだとれる)

 

「ツモ。8300オール」

 

(あの日から強くなったのは宮永だけでない)

 

 配牌一向聴スタート。確かにこれは強力だ。倍満が確定された状態による超高火力かつ速攻手だ。しかし、誰もが経験したことはあると思うが、一向聴スタートしたのに全然聴牌に繋がらない。それが起こらないとは限らない。

 

「ポンや」

 

 永水の捨て牌をポンすることで尭深のツモを飛ばす。洋榎はそれだけで気が済む人ではない。自身の行く方向に必要のない牌を捨てる。出てきた四萬を見た憧は知らない内にチーをした。手が勝手に動き不要牌を捨てた。

 

「もいっちょポンや」

 

 洋榎は止まらない。再び永水の捨て牌をポンをして尭深を飛ばす。

 

(もうちょいや。白糸台の。確かにあんたの能力えげつないわ。けど、それが裏目に出ることもあるんや)

 

 尭深が十一枚集めた。その分だけ、ささやかながら牌に偏りが起きてしまう。更に字牌を集めることにより、自分で自分に迷彩をかけることにもなった。そして、常に大物手故に引くことすらできない。

 

 尭深はツモがよくないことを嘆く。一向聴になってから聴牌まで遠いというのは何度も経験してきた。既に爆発的な稼ぎを見せたので十分な気もするが、やはりできる限り稼いで、決勝進出を確定的なものにしておきたい。

 

 引いた北を捨てた。字牌を集めたことで役満の一部は絶望的であり、仮に役満に振っても点数を見ればあまり痛くない。精々倍満だろうという考えもあって、尭深は深く考慮しなかった。

 

「それロンや。ダブ南、ホンイツ、ホンロートイトイ……16000は17200」

 

「はい」

 

 やっぱりそこまでかと思い、尭深は点棒を渡した。

 

 これにて中堅戦が終わりを迎えた。

 

 白糸台241200

 姫松73000

 永水44700

 阿知賀41100

 

『凄い! 凄いぞ姫松!! 白糸台のとんでもない攻撃を食らいながらも収支はなんとプラス! この中堅戦で23100点の稼ぎです!! そして二位に躍り出た! 三位との点差は30000点近くです』

 

『白糸台の点数を考えると、二位争いは熾烈を極めるでしょうね。永水の次の選手は高火力ですし、阿知賀は厳しい所に立っていると言えますね』

 

『そうですね。やはりここは高火力選手が欲しい所ですが、しかしいないものは仕方ありません。何とかするしかないでしょう』

 

 

 

 

 

 テレビを見ていた清澄の面々は絶句した。白糸台の怒濤の和了で他校の点数は一気に落ちた。そして、先鋒では圧倒的な最下位にいた姫松が二位となった。

 

「流石名門姫松ね。まさか本当にやるとは」

 

「とんでもないじぇ。白糸台もとんでもないけど、こっちもヤバヤバだじょ」

 

「でも、白糸台は親での和了だったから、削りも均等。点差はそこそこあるけど、永水から狙われるのも考えたら、阿知賀にもチャンスはある」

 

「ええ。穏乃と鷺森さん次第で二位になれます。だから頑張って欲しいです」

 

 昨日まで遊びに行かず、ひたすらに麻雀をしていた。そんなすぐに強くなることはまずないが、しかし経験は力となる。僅かでも多くの経験を積めているのを前提に見守るしかない。

 

 和としても友達のいる阿知賀が決勝進出を果たすところを見たいし、十年前に越えられなかった壁を越えるところを見たい。こうしてここで応援するしかないのは、やりきれない思いがあるが、駆けつけることができない以上見守るしかなかった。

 

 今すぐにみんなの所に行って、励ましの言葉をかけたい。酷いことになった憧を慰めたい。大丈夫ですと、ここから頑張れば二位になれると。言葉をかけたい。

 

 この部屋から飛び出して、阿知賀の控え室に行こうとする自分を押さえるべく、膝の辺りをぎゅうっと爪を立てて握る。

 

 今回の白糸台はできすぎている。あんなのをやられたらこんなこともあると割り切れる和でも、多少は心に来る。みんなに顔向けなんかできないし、控え室に戻るのも躊躇われる。

 

 むしろ戻らず、何処かで気持ちを落ち着けてから戻ろうと考える。

 

 照は今の試合を見て、憂い顔になる。

 

(これが咲のチームメイトか。ラス親は凄いけど、県予選から見てもラス親はこれがはじめて。決勝では多分ないだろうけど、肝心の咲はまだ全力じゃない。優勝は厳しいよね)

 

 決勝には龍門渕もいることを考えたら、阿知賀に優勝の目はない。確実に白糸台と龍門渕が争うことになる。覇権を巡る戦いの中で阿知賀は戦う。

 

 それでも優勝を目指すというなら、

 

(私たちも全力で協力するだけ)

 

 インターハイチャンピオンとして、阿知賀の強化に全力を注ぐ。妹の咲に優勝してほしいという気持ちは確かにある。それを優先するのが普通なのだろうが、後輩の友達が優勝するのを願う気持ちも大きい。

 

 二つの気持ちの間を行ったり来たりして、名残惜しそうに咲への思いにそっと傷つけないように蓋をして、阿知賀への気持ちを優先する。

 

(だからお願い。ここを抜けて)

 

 照は祈るようにして、次の試合を待つ。

 

 

 

 

 

 白糸台の控え室では、珍しく咲がうたた寝をしていた。それを菫は咎めず、むしろ毛布をかけてあげた。

 

 一年生で、先鋒に立つ咲は他人では分からないプレッシャーを抱えている。尭深の爆発による稼ぎを見て、安心から緊張の糸が切れたのだ。少しぐらい休ませようと考えるのは当たり前とも言えた。

 

 そのうたた寝で咲は夢を見た。

 

「ああ、またこれか」

 

 色などない。声は字幕となって表れる。

 

 いつか姉に連れてきてもらった丘だ。その時に自分にはどんな感情があったのか思い出せない。前方で仲よく、楽しげにする宮永姉妹を見ても、何も思わない。

 

『りんしゃんかいほー?』

 

『ああ。嶺の上で花を咲くという意味を持つ役だ』

 

『私の名前とおんなじだ!』

 

『そうだね。森林限界を越えた山の上で咲くこともある。咲もそのように強く』

 

 東京に来た頃は色々な感情が込み上げてきたが、今となっては風化した思い出となったか、咲の心を揺らすことはない。

 

 彼女は背を向けた。こんな夢に、思い出に価値はない。過去の姉の願いとは違う形で強くなった。約束をおかしな形で守ったのは自分でも想像していなかったろうが。

 

 宮永照と笑いあっていた宮永咲はとうの昔に消えた。家族、姉、そう言われても実感が湧かない。その感覚は、顔も知らない人に突然あなたの家族ですと言われたようなものと同じだ。

 

 中学一年の時に起きた感情と感情のぶつかり合いの果てに家族への想いは消えた。だから、姉はいない。家族に思うところはない。赤の他人だと思っているぐらいだ。

 

 しかし。

 

 しかし、この咲には微かな、ふっと息を吹きかけたら飛んでいってしまうような疑問があった。

 

 ――私は家族を今はどう思っているのか。

 

 たくさんの、強い感情がかつてはあった。今は消えてしまったが、やはり今の自分にある感情が何なのかを知りたい気持ちはある。赤の他人だとしているように全く何も思っていないのか、それとも自分では気づけないだけで、何かしらの感情は残っているのか。

 

 知りたいとしながらも、しょっちゅう忘れ、たまにあっとなって思い出す程度のものだ。

 

 一度はあれほど怒りで心を燃やしたのだ。何もないはずがない。されど、心には何もない。家族の顔を見ても何にもなかった。

 

「でも個人戦で全てがはっきりする」




ある日の白糸台。

淡「みんな、おっはよー。今日は中学生になったばかりの子や小さい子にお知らせがありまーす。今度×××にある麻雀教室〇〇〇で今活躍中のプロの人たちが来てくれるんだって。この人たちがみんなに麻雀を教えてくれるから是非来てねー☆」

皆「あははははははは!」

菫「くふっ。ふふふ」

尭深「テンションの高さとか似て……ぷふ」

亦野「くっくくく……お腹が、お腹が」

「紅茶返せこのやろう」

淡「嫌どす」

「あー、これ見られたら死ぬね」

淡「大丈夫大丈夫ー! だって咲は撮影だし、みんなおっはよー☆」

皆「ふ、腹筋が、腹筋が……」







咲「楽しそうだね」

淡「そりゃあね! あんな咲の真似したら面白いに決まってんじゃん!」

咲「ふうん。人の仕事がそんなにおかしい?」

淡「似合ってるけど、でもネタにしない手はないっしょ」

皆「」

咲「へえ。ちょっと麻雀で楽しもうか」ゴッ

淡「」





そのあとのことは何も覚えていません。意識が戻ったのは三日後のことでした。その間、信じられないでしょうが私たちはきちんと生活していたのです。学校に通い、授業に参加し、部活に出て、帰宅して、入浴して。ご飯はちゃんと食べていたようで、空白の時間を友人に尋ねても、普段と変わらないよと言われました。これを読んだあなたにお願いです。あの日何があったのか教えてください。それが私たち麻雀部員の願いです。

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