でも、できるだけ書いてはいきたいな、と思っていますので。
「というわけで開発だ」
「いやなにが『というわけ』なのかさっぱり全然まったくもって理解できないんだけど。どういうこと?」
「安心しろ。俺もよくわからん」
「ちょっと、提督?」
志賀乃さんと私がいるのは鎮守府の一角を占める工廠。
マイ中尉に呼ばれて来ただけなのでこれからなにがあるのか私は知らない。
「やあ。よく来てくれたね」
「いえ、中尉が呼んでくれるのならたとえコロニーの中ジャブローの中でも突入して見せますよ!」
火はともかく水は厳禁なのでこの言い方も微妙だけど。
ジャブローの戦線は地獄だったって元ザクⅡのパイロットさんが言ってたのを覚えている。
まぁMAの頃は論外として今の姿でも行けるかと問われたら難しいと答えるけど。
こういうのは心意気の問題だから。あまり気にしないで。
「今日呼んだのは他でもないラングのことでね。ミサイルの補給ができそうにないからひとつひとつ開発していくことにしたんだよ」
「そうだったんですか」
「まずはデイリー分で4回な。それ以上は備蓄が干上がるから勘弁してくれ」
「はーい」
妖精さんの指示に従って資源と資材を炉に放り込む。
炉の中がどうなっているのか、それを知る者はいないそうだ。
「真夜中に提督が入り込もうとしてそのまま行方不明になったって噂なら聞いたことがあるけどな」
「なにそれ怖い」
4回分ともなると少し時間が掛かるので雑談をして暇を潰す。
「おわたー」
「まずまずかー」
「なかなかだー」
「なにゆえはじめてでしてー?」
「しかたないなー」
結果、2回しか成功せず、ひとつは失敗、もうひとつはドラム缶ができてしまった。
「これで2セットか……微妙だね」
「対艦ミサイルをそうほいほい乱射されたらこっちの立場がないんだよなぁ……あの威力は大和が泣くぞ」
そういうものだろうか。
軽く撃って巡洋艦を沈められる程度の威力なのに。
……1発で、だけど。
「次は建造だね」
「が、頑張ります!」
魔方陣みたいな模様が床にある部屋まで案内された。
「資源は適当な戦艦レシピにしておいた。大物を頼むぜ」
「初めてなんだからプレッシャーかけないで」
「よぶかー?」
「よぶぞー」
「なにがよろしいかー」
「あれだー」
「あれかー」
「やってみよー」
アレックスはいらないよ?
そう言いたかったが、時すでに遅し。
魔方陣から放たれた眩い光が辺りを包み込んだ。
まぁ、MAだからね。遮光できるけどね?
光が収まると、そこにいたのは――
「ザク?」
緑色の我等がジオン軍の士官服。
左肩には大きなスパイクシールド。そこに描かれているのは蒼と黒に紅いアイライン、神を喰らう狼……フェンリル。
右肩に担ぐ大型のバズーカは……ドムのラケーテンバズ?
そこまで観察すると鋭い視線が私に向けられた。
「君かな、この私を呼び出したのは」
「あ、はい。そうです」
肩まである黒髪、前髪に白いメッシュの入った不思議な髪型に空色の瞳。
「私の名は……ない。闇夜のフェンリル隊所属のザクⅡ陸戦型だ」
「お会いできて光栄でありますフェンザクさん! 握手してください! あとサインください!」
「フェ、フェンザク……?」
困惑しているが構わずまくし立てる。
「貴女方の活躍によって無事に宇宙まで打ち上げられたHLVがたくさんあったと聞いております! 地上でのご活躍は宇宙にまで届いていました!」
「そうか……そう言ってもらえると、嬉しいよ。君の名は?」
「後期生産型ビグロ6号機、超弩級可搬補給廠MAビグラングであります!」
「うむ。実はまだ現状がよくわかっていないので混乱しているのだが、これからよろしく頼むぞビグラング」
「はいっ! よろしくお願いします!」
「僕はマイ。よろしくねフェンザクさん」
「俺は志賀乃。提督だが、陸風に言うと……部隊長みたいなもんかな。よろしくな」
「はっ! 若輩者ではありますが、どうぞよろしくお願い致します!」
「君が若輩者だったら他の立場がなくなっちゃうよ……謙遜はほどほどにね」
あ、そういえば打ち上げられたHLVの回収ってマイ中尉が参加していたような。
ヅダ? 欠陥土星エンジン? 流れ星?
うっ、頭が……。
これ以上は私が知らないことだ。やめておこう。
「さてと。ラングとフェンの歓迎会でもやるかね。丁度全員遠征から帰ってくるし」
「フェン?」
志賀乃提督の言葉に釣られてしまった。
なんかちょっと得意げにしていて憎たらしい。
「フェンリルザクってんだろ? 略せばフェンだ」
「わぁいシンプル。フェンザクさんはそれでいいの?」
「命令であれば、謹んでお受け致しますが……個人的な意見を言わせてもらうと、短く簡潔な名の方が戦場で呼びやすく使いやすいと思う」
「じゃあフェンさん採用?」
「そうなるな」
名前が付いて少し嬉しそうなフェンさん。
こうして見ると歳相応の少女なのに。
キリッとしているかっこいいフェンさんも好きだけど。
……LOVEじゃないよLIKEだよ?
「よぅしっ! 今日はパーッと飲んで食べてたくさん騒ぐぞー! てめぇら! パーティータイムだ!」
「ぽい?」
突然どこからともなく現れた香色の長髪の少女を脇に抱えて走り出す志賀乃提督。
声をかける暇もなく工廠から飛び出ていった。
「……なんというか。アグレッシブだな」
「すぐに慣れるよ。たぶんね」
「そうか。楽しみだ」
初めて自分自身で自由に動かせる身体を手に入れたんだからね。はしゃぐ気持ちはよくわかる。私もそうだったから。
人に操縦してもらうのも中々奥が深かったんだけどね。関節とOSが悲鳴を上げるくらい張り切ってパイロットに戦果を上げてもらうのって快感なんだよね。
「さ、行こっ!」
「あ……あぁ!」
フェンさんと手を繋いで志賀乃提督の後を追う。
マイ中尉は私の首もとにしがみついている。
楽しい楽しい歓迎会。待ちきれないね。
心がわくわくうずうずしてくるよ。
私が生まれ変わってから数日。
新しい仲間ができました。
私は今日も、幸せです。
ゼロ魔にアマ公召喚させたいよぉぉぉ!
SAOとALOにバルバトスぶち込んでみたいよぉぉぉ!
落ち着いたらまたガンガン書けると思う。
たぶん。
……頑張れ、未来の私!