紅の流星   作:河灯 泉

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(*´ω`*)


宇宙と新手

「ラング。あちらでスターデストロイヤーとギャラクティカとマクロスとアーガマが喧嘩しているので止めてきてくださらない?」

「無理です!!」

 

 死にます。

 仲介する前に両者の間を飛び交っている艦載機の攻撃に晒されて死にます。

 というか主砲が掠っただけでも即死する自信がある。

 艦娘らしく肉弾戦を繰り広げていると思わしき場所では仲裁に向かったこちらの戦艦や空母の人たちが木の葉の如く吹き飛ばされている。出力がダンチなのだから仕方がない。

 

「では、アバター様とリバイアサンとエレバスとラグナロクの四大戦争を――」

「もっと無理ですよ!?」

 

 ジャッジメントとオブリビオンとオーロラオミナイとギャラルホルンの集中砲火を受けたらア・バオア・クーだってゼダンの門(崩壊後)になってしまう……ってこの例えは分かり辛いか。

 そんなお方たちの間にただのMA(モビルアーマー)が入ってなんになるというのか。

 

「あぁ、あの方々はリンク仕様なので戦闘力自体は低いらしいですわよ」

「核みたいなスマートボムをぶっ放しますよね!?」

 

 本人たち曰く持ち合わせの中ではスマボが一番弱いから、とのこと。

 それでもサイズが超大型なのでこちらの戦艦クラスでも長くは耐えられないらしい。

 あちらのフリゲート艦がこちらの駆逐艦以上のサイズなので最初から話にもならないのだが。外宇宙に進出している文明と張り合うのは無駄に尽きる。シールド技術ってなにさ。

 

「ふぅ……深海棲艦どころの騒ぎではないですわね」

「まったくだな」

 

 私も同感だ。

 隣でやれやれしているかっこいいフェンさんと一緒に騒動を眺めている彼女はコンフェッサーちゃんである。艦種は戦術駆逐艦。宇宙世紀の地球を飛び出して外宇宙で一度石器時代まで衰退して再び宇宙に進出した世界からの訪問者……らしい。四大戦争をしている戦略要塞の方々と同じだ。

 んー。なんで仲良くなったんだっけ?

 ……。

 忘れた。まぁ、いいや。

 

 そんで。

 今回私たちオーパーツ組が一箇所に集められた理由とは!

 

 ……。

 それを今から聴くのだ。

 だってこんなに集められているなんてここに着いてから初めて知ったのだし。

 

「ほらー、お前ら静かにしろー。大将様のお通りだー」

「……」

 

 なぜか志賀乃提督が仕切っている。

 その隣で黙っている大男が大将様なのだろう。

 

 一時休戦。

 宇宙戦艦や宇宙要塞の方々も会議室にやって来る。

 良くも悪くも、彼女らは軍属なのだ。命令にはそこそこ従う。

 直撃したら蒸発させられそうなビームを撃っていた艦載機たちも母艦へと帰っていく。ただし、数は少し減っている。落ちたのは妖精さんがリスポーンするタイプだけなので問題は無さそうだが。

 ただの小競り合いとはいえボーキがマッハで溶けてそう。彼女たちの提督さん、ご愁傷様。

 

「えー、今回集まってもらったのは、こちらの艦娘では対処しきれない深海棲艦の数が増えたからだ。君たちのような、SF混じりの敵が現れた」

 

 ざわざわ。

 わいわい。がやがや。

 

 ……あんまり動揺していない。

 勢力別に船が分かれている面子は少しばかり不安そうにしているが、国や陣営が違っても様々な船が集まり敵にも味方にもなる世界の面子は当然とばかりに雑談に花を咲かせている。

 私の世界風に言うと、エゥーゴとティターンズみたいなものだ。どちらも私が知っているはずの無い陣営だが、それはそれ。知らないのであれば知ればいいのだ。

 マゼランやサラミスは両軍とも使っていた。そりゃそうだ。連邦軍から分かれた者たちがいたのだから。

 つまりは、そういうことだ。

 同型艦、元同軍同僚と戦った経験があるかどうか。それだけの話なのだ。

 

「監視衛星からの画像は配布された資料の14ページに載せてある。詳しいスペックがない船もあるが、それを知っている者がいたら報告してくれ」

 

 ……。

 ぱらりぱらり。

 紙を捲る音だけが聞こえる。

 

 私も資料に目を通しておく。

 ……。

 ほぅほぅ。

 私が知っているのは確認された内の一割にも満たない。

 連邦からはマゼラン型とサラミス型。あとなぜか陸戦型のギャロップとビッグトレー。

 あとは……ジオンのムサイとチベとザンジバル、ダブデ。

 

 ……。

 問題無い。

 沈んだ後の記録だっていくらか取り入れた。だからジオン軍同士の戦争だって、それがあったことを、あったかもしれないことを知っている。ハマーン様とグレミー様とかね。

 

 だから、なんの問題も無い。

 相手がなんであろうと、私は戦うだけ。

 連邦だろうとジオンだろうと、深海棲艦であることに変わりはない。

 

 

 ……そもそも、アーガマさんやらラーディッシュさんやらドゴスギアさんやらと知り合っている時点で宇宙世紀の敵も味方もないのだし。

 

 

「――では、各自解散。自分の提督の指示に従うように」

 

 わやわや。

 一気に騒がしくなる。

 結局、あの大将様は一言も喋らなかったけど、なんのためにいたのだろう?

 

「行くか、ラング」

「あ、はい。またね、コンフェッサーちゃん」

「ちゃん付けで呼ばないで下さいまし!」

 

 防御モードから射撃モードに変形したコンフェッサーちゃんから逃げるようにフェンさんと一緒に鎮守府へと帰る。射程数十キロのビームレーザーとかおぉ怖い怖い。しかも推進モードでアフターバーナー焚けば安定して秒速1000m出るとかなんの冗談だと。

 

「……戦いか」

「どうかしましたか、フェンさん」

「いや。宇宙船というのがどんなものなのか、考えていた」

「フェンさんはずっと地上にいましたからね」

「あぁ」

 

 楽しみだ。

 そう、彼女は呟いたような気がした。

 口には出さなかったが。

 

「……私も」

 

 楽しみです。

 笑う。

 戦いこそが、我々の存在意義なのだと。

 

「ラングー、フェーン! 今夜はカレーよー」

「やたー!」

「うむ」

 

 鎮守府から聞こえてくる声に歓喜で答える。

 ……ん? 今なにを考えていたっけ?

 

 んー。

 ……。

 まぁ、いっか。

 そんなことよりカレーだカレー。

 ちなみに私は甘口派。フェンさんは中辛派である。

 

 

 

「楽しみだなぁ、カレー!」

 

 

 ビグラング。

 本日も幸せに稼働中也。

 




↑幻想。

(´・ω・`)←現実。

未来→_(:3」∠)_

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