問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん

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時空の歪み

 

「さて…」

 

黒ウサギと(勝手に)別れた蘭丸は森の奥深くへと来ていた。

 

「お、見つけた!時空の歪み。まさか箱庭にもあるとはな」

 

「あ、あの…」

 

蘭丸が声のあった後方を見るとそこには何処かの民族衣装の様な服を着た、今にも泣きそうな18歳程の少女と同じ様な服の体の大きい男がいた。しかし男の方は胸の辺りに怪我を負ってかなりの出血だ。

 

「君等は?」

 

「私はミロ=フリーズです。南側のコミュニティに所属している者です。こちらが私の父のスカーロ=フリーズです。貴方は?」

 

「俺は二宮蘭丸。今日この箱庭召喚された人間だ。ところで君のお父さんの怪我、俺なら治せるぞ?」

 

「ほ、本当ですか⁈では貴方は医療系のギフトを?」

 

「いや、そういう類じゃないんだがな…」

 

「まあ見てろ」と言い蘭丸はスカーロの傷の箇所に手を触れた。

 

「ちょっと動くなよ?」

 

蘭丸の手から放たれた光がスカーロを包むと、傷はたちまち塞がっていく。

 

「嘘…傷が…」

 

「今のはスカーロさんの体を怪我する前まで戻しただけだ。俺は時空間を支配する類のギフトだからさ」

 

「時空間を…支配?」

 

「まあそれはさておき、君等はこの時空の歪みについて何か知っているのか?」

 

「ああ、この時空の歪みには、俺らの仲間が飲み込まれているんだ」

 

傷から復活したスカーロがはっきりと答えた。

 

「…その話、詳しく聞かせてくれ」

 

「ああ、実はこの時空のは最近この辺に見られるようになったんだ。俺らのコミュニティはそう言ったものの調査や救助を主としたコミュニティなんだ。この歪みも“サウザンドアイズと言うコミュニティの依頼で調査しに来たんだ」

 

「なるほど、でも君等は時空間に干渉するギフトは持ってないんだろ?どうやって調べるつもりだ?」

 

蘭丸は気になった。この二人は時空間に干渉する術を持っている様に見えないからである。

 

「この時空の歪みは一定の時間で物を呑み込むんだ。その時間を見計らって飛び込もうとしたら、中から何かに邪魔されて、そして俺と娘以外の三人の仲間が飲み込まれて行ったんだ」

 

「お願いします!仲間を助けて下さい!時空間に干渉できる貴方ならなんとかなるかもしれません‼︎」

 

ミロとスカーロは頭を下げる。蘭丸は一瞬考える仕草を見せるが…

 

「おう、任せとけ」

 

蘭丸は笑顔で応じ、時空の歪みのある場所に手を添える。

 

「むん‼︎」

 

蘭丸が念じると歪んでいた場所に穴があいた。

 

「こ、これは…蘭丸さんのギフトですか?」

 

「ああ、これは“時空扉”って言ってな、こういった時空の歪みの中に侵入する為の力だ」

 

「…わ、私も同行させて下さい‼︎」

 

「…俺はいいがスカーロさんは?」

 

「行ってこい。俺はここで待っておく」

 

蘭丸とミロは穴の中へと入って行き、穴は収束し、また時空の歪みが出現した。

 

 

 

 

 

「きゃあ⁈」

 

「さてと、侵入したのはいいが…」

 

異空間に侵入した蘭丸とミロであったが、目の前には巨大な宮殿があった。

 

「他に空間は広がってないし、原因はこの宮殿で間違いないはずだが…ん?」

 

蘭丸が宮殿の前で倒れている人を三人見つけた。

 

「こいつらはさっき言っていた仲間だろう。」

 

「はい、私達のコミュニティの仲間です」

 

蘭丸はすぐさま三人の生死を確認する為、脈を確認する。

 

「…手遅れだったか…すまん」

 

「そんな…」

 

蘭丸は彼等を並べ、黙祷をすると、宮殿へと足を運び始めた。蘭丸は宮殿の扉に一枚の黒い羊皮紙が貼ってあった。

 

【ギフトゲーム “夢幻宮殿の魔神”

 

・プレイヤー

この空間に入り込んだ者

 

・クリア条件

宮殿の奥にいるホスト、魔神グールの撃破

 

・敗北条件

この空間に二時間以上の滞在

上記の条件を満たせなくなった場合

 

・宣誓

上記を尊重し、旗と誇りとホストマスターの名の下ギフトゲームを開催します。

 

“魔神グール”印】

 

「これが契約書類(ギアスロール)か…取り敢えず二時間以内にこの魔神グールとか言う奴を倒せばいいんだろ?案外簡単なのか?」

 

「ええ、ですがこの契約書類、魔王のギフトゲーム⁈」

 

「魔王?」

 

「はい、この箱庭では魔王と呼ばれる者が存在します。この黒い契約書類は魔王のギフトゲームの証と言ってもいいものです」

 

「ふーん」

 

蘭丸は興味なさそうに扉に手を掛けるが、扉に弾かれて触れることができなかった。

 

「うお?」

 

「蘭丸さん⁈大丈夫ですか?」

 

「これは、何かさわれないような力でも働いているのか?なるほど、どうりでこの辺りには沢山の死体が…」

 

蘭丸の周り、正確には扉の周りには沢山の亡骸があった。人の骨格をしていれば、そうでない骨もあった。

 

「ん…じゃあ触れなきゃいいか」

 

「え?」

 

蘭丸はあっさりそう言うと、ミロの手を掴み今度は扉に向かって歩く。すると蘭丸は扉をすり抜けた。

 

 

 

 

 

 

「なんだこんな程度なら魔神とやらも弱いんじゃないのか?」

 

「ら、蘭丸さん…」

 

宮殿内に入った蘭丸は不満の声を出していると目の前には三メートルはある巨大な鬼の様な生物が二体立ちふさがっている。

 

「へえ…こんな世界だと鬼とかも当たり前にいるのか?まあ似たようなやつなら俺の世界にもいたけどな」

 

「「Guwaaaaaaaa‼︎」」

 

 

 

雄叫びを挙げながら鬼は手に持っていた斧を振り回しながら走ってくる。

 

「ちょっと離れてな」

 

「え?蘭丸さんは?」

 

蘭丸はミロを少し離れた場所に移動させると向かってくる鬼に対して突っ立っていた。

 

「蘭丸さん‼︎」

 

鬼は蘭丸に斧を振り下ろす。ミロは目を瞑り、巨大な音がなった。

 

…が蘭丸にはその攻撃は蘭丸の体の真下の地面に穴が空く。

蘭丸は瞬間的に一体の鬼の背後に回り込むと、何処から取り出したかわからない刀で鬼を切る。

 

「Guwaaaaaaaa‼︎」

 

「え?」

 

ミロは切られた鬼を見て仰天した。

切られた鬼は真っ二つになっておりその間には裂け目ができていた。

 

「嘘?これって」

 

「ああ、この鬼を空間ごと切り裂いた。そして」

 

蘭丸は刀を鞘に収めると鬼はその空間の裂け目に吸い込まれた。

 

「こうやって証明させることもできる」

 

蘭丸の背後からもう一体の鬼が走ってくる。

 

「デカイわりには対したことはないな‼︎」

 

蘭丸は今度は鬼に一瞬で近づき、鬼の体に触れる。鬼の体は一瞬で消えた。

 

「え?今度は?」

 

「俺は触れた物を消すこともできるのさ」

 

「へえ〜すごいのですね蘭丸さんって」

 

ミロは目を輝かせて蘭丸を見る。

 

「ははは。すごいかわからないけど確かに龍の守護獣を宿す者は村では珍しいからな」

 

蘭丸とミロは小走りで宮殿を走っていると目の前に今度は猿の様な生物が飛びながらこちらに向かってくる。

 

「お?今度は猿か」

 

「蘭丸さん、ここは私が!」

 

ミロは蘭丸の前に立った。

 

「はあっ‼︎」

 

ミロが猿の様な生物を見つめるとその生物は突然の爆発を起こした。爆発後には何も残っていなかった。

 

「すっげ……なんだよ今のは」

 

蘭丸は驚いてミロと爆発のあった場所を交互に見る。

 

「今のが私のギフトの“核生成”空気中で核融合を起こして核爆発を起こすことができるのです」

 

「そりゃすごいギフトだが、制御は大変だろう?」

 

「はい、父からは暴走すると星一つ爆発させるかもしれないと」

 

「マジかよ…俺でも星を消すことくらいは出来るが爆発させるのはな」

 

「それでも大概です‼︎」

 

二人は魔王のギフトゲームだと言うのに呑気に進んで行った。

 

 

 

 

 




今回はすごく長く掛けました。次回、魔王戦です。

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