問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ? 作:ふわにゃん
今回は短めです。
魔王とのギフトゲームが終了し、“サラマンドラ”の街は歓喜が上がっていた。しかしこのゲームを手引きしたのはなんとサンドラ以外の“サラマンドラ”のメンバーであった。彼らはステンドグラスに媒介して祭りに潜入したらしい。蘭丸の違和感はそれであった。それらを十六夜は黒ウサギに謹慎を言い渡されていた蘭丸に報告した。
「そうか………」
それを聞いた蘭丸は残念そうにはにかんだ。彼は“サラマンドラ”とも個人的に有効があってだろう。
「まあ俺はこれを公表する気はない。それはお前も同じだろう?」
「ああ、皆あんなに喜んでるんだ。わざわざ水を指す必要はないだろう」
蘭丸は窓から祝勝会をしている風景を羨ましそうに見ていた。
「あークソッ!あんなに楽しそうなのに、謹慎とか黒ウサギのやつ…」
「ヤハハハ!まあ黒死病を隠しながら戦えばそうなるよな」
しかもこれから黒ウサギのお説教があるらしい。十六夜が笑っていると
「十六夜さん!お話は終わりましたか!」
黒ウサギが以下にも怒っていますよ。と言わんばかりの声でドアから十六夜を呼んだ。
「おう。今終わったから俺も今出る」
「ちょっ………
バターン‼︎
勢い良く開けられたドアの前には怒りMAXの黒ウサギと何故かレティシアが着いて来ていた。
「……黒ウサギ、ドアは静かに開けような?」
「フフフフ……蘭丸さん。これから黒ウサギ達によるお説教なのですよ……どうやらレティシア様もお怒りだそうで」
「ああ……今回は蘭丸に100%非があるな」
そのオーラに蘭丸は冷や汗をかいていた。
「蘭丸、説教を聞くときは正座だぞ」
「Yes!蘭丸さん?まさか嫌だとはおっしゃりませんよね?」
「……はい…」
蘭丸は諦めたように正座する。
「良いですか⁈まず蘭丸さんは…………‼︎
………ですからもう二度とこのようなことはしないでくださいね?」
「…は、はい…」
黒ウサギ達による説教が終わり、蘭丸はグッタリとしていた。
「………」
「………」
「二人とも、どうした?」
「心配したのですよ…」
「……」
黒ウサギとレティシアは涙をホロリと流し、蘭丸は言葉が出なかった。
「黒死病を隠してまで戦うなんて……黒ウサギは心配したのですよ…」
「そうだな……これは許せないな……」
「二人とも………すまんな」
蘭丸は二人を胸に抱き寄せて、頭を撫でる。
(俺の我儘で二人も女性を泣かせるなんてな……やっぱ俺は男として駄目だな)
蘭丸は自らの行いを悔いていた。
**後日、“ノーネーム”農地跡
「むり!」
荒れ果てた農地跡を見て新たな同士、とんがり帽子の小精霊、メルンは無情にも土壌の再生は無理だど言った。農地が復興することを期待していた子供達や飛鳥はがっかりしていた。
「ごめんなさい。私が変な期待を持たせて」
「気にしないで飛鳥。また他のゲームで頑張れば良いから」
「Yes!まだチャンスはありますよ」
落ち込む飛鳥を耀と黒ウサギがなんとか励まそうとする。
十六夜はしゃがみ込んで瓦礫を掴んで考える仕草を見せる。
「おい極チビ」
「ごくちび?」
「そ、極めて小さいメルンって事で極チビ。建物の瓦礫とか肥やしになりそうなものを分解してそこから土壌を再生出来ないか?」
メルンはんーと考える仕草を取る。
「できる!」
「本当?」
「かも!」
またもや一同がずっこける。
「まあでもやって見る価値はあるんじゃないか?かもなら可能性はあるんだし」
「Yes!蘭丸さんの言う通りなのですよ」
蘭丸と黒ウサギの言葉に皆の表情が明るくなった。
「さあ、早速作業に取り掛かりましょう。行くわよディーン。年長組の子達も手伝ってね」
「「「「はぁーい‼︎」」」」
「DEN!!」
ディーンに続き、年長組の子達は元気に走り出した。その後を十六夜と耀も歩いていく。
「蘭丸さん」
黒ウサギはぴょこんと蘭丸の前に出る。
「どうした、黒ウサギ」
「本当にありがとうございます。蘭丸さん達が来てから子供達も心から笑うようになりましたし。黒ウサギも蘭丸さんと会えて本当に良かったです」
黒ウサギは満面の笑みを浮かべて蘭丸を見る。蘭丸も照れ臭そうに頭をかいていた。
「何言ってんだ。その言葉は旗とか全部取り返してからだろ?……その言葉はそのときまでとっておけ」
蘭丸はそれにと続け、黒ウサギの頭に手を置く。
「俺だってお前や他のやつらと会えてよかったと思ってる」
「蘭丸さん……」
蘭丸の笑顔と言葉に黒ウサギはとろんとしていた。蘭丸はそんな黒ウサギの背中を軽く叩く。
「ほら、俺たちも行くぞ。まだやることは山程あるぞ?」
蘭丸は軽く走りながら十六夜に追いつく。
「そうです!まだやることはたくさんあるのでございますよ!」
黒ウサギは彼らの背中を見ながら小走りで彼らの後を追う。
**
“サウザンドアイズ”支店で白夜叉は一人の鎧を着た男と会話をしていた。
「なるほど、二宮と聞いた時にまさかとは思っていたがまさかおんしの息子だとはな」
「まあ俺の直接の息子じゃないがな……あいつは捨て子だったからな」
鎧の男はお茶を啜りながら呟くように言った。
「しかし、お前こそ、俺の息子に色目使ってるんじゃないよな?」
「いや、しとらんよ。ただ私好みの良い男だと思っているだけだ」
白夜叉はケラケラと笑う。それを見て鎧の男はため息を吐く。
「して、どうだ?十八年ぶりの箱庭は」
「あんまり変わんないな。まあ細かい所は変わってはいるが」
男は苦笑を浮かべて肩を竦める。
「まあ、おんしを知るものは驚くだろうな。なんせ“伝説の聖騎士”の凱旋だからの」
「よしてくれ。俺はそんな大層な存在じゃない」
「そう言うか十八年前、魔王の大軍を一人で蹴散らしたおんしがな」
白夜叉はクックックと笑う。男もつられて笑う。
「まあ近いうちに会おうかなあいつのいる“ノーネーム”に」
これで二章も完結です。次回から三章に突入します。
誤字、感想、お待ちしております。