問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん

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久しぶりの投稿です。

やっとテスト終わった!


『The PIED PIPER of HAMELIN』②

 

 

ゲーム休止期間から一週間後、ゲーム再開まであと十分を切っていた。プレイヤー側はマンドラの下に集結して今回の作戦を聞いていた。

 

「よいか!今回の方針は“サラマンドラ”と“ノーネーム”の主力が魔王と対峙し残りの物はこのジン=ラッセルの指揮の下、ステンドグラスを捜索する。各々全力を尽くせ‼︎」

 

マンドラが一喝すると他の参加者達は雄叫びで気持ちを奮い立てていた。

そして開始の鐘が鳴った。

 

「ゲーム再開だ!」

 

そして参加者達は各々の役割にへと向かう。

 

 

**

 

一方ペストらはそのプレイヤー達を見ていた。

 

「ねぇマスター。どうやら連中は私達の謎を解いちゃった見たいですよ?」

 

白装束の女性、ラッテンは微笑を浮かべながら困った顔をしていた。

 

「チッ!最後までバレないと思ってたんだが……やっぱあの金髪のガキと女見てえなガキか」

 

巨大な笛を持った軍服の男、ヴェーザーは頭をかいて十六夜と蘭丸を思い浮かべる。

 

「構わないわ。いざとなれば皆殺しにすればいいし、その為にヴェーザーには神格を与えているのよ」

 

ヴェーザーはペストから神格を与えられ霊格が膨大していた。ラッテンは詰まらなそうに頬を膨らませていた。

 

「なんでヴェーザーだけ…」

 

「今の私では二人は無理。我慢して」

 

「はぁ〜い……」

 

ペストの言葉にラッテンは拗ねながらも納得し、再び参加者達を見る。

 

「さて、謎が解かれた以上、温存しておく必要は無いわね……ハーメルンの魔道書を起動する」

 

 

 

 

 

**

 

突如として“サラマンドラ”の街は木造の街並みに姿を変え、パステルカラーの建築物に造り変わっている。

 

「これは……ハーメルンの街を召喚したのか?……なるほどな。これがハーメルンの魔道書か……」

 

変わり行く景色を見て蘭丸は笑みを零す。それを見た十六夜も同じように笑みを浮かべる。

 

「ああ、少しは楽しめそうだ」

 

「だったら俺を楽しませな‼︎」

 

と突如上空からヴェーザーが現れ、襲撃されるが二人ともそこから離れることでやり過ごすが、すぐさまヴェーザーは十六夜の頭を掴んだ。

 

「…!テメェ…」

 

「前回のお返しだ‼︎」

 

とヴェーザーは十六夜の腹部に笛をフルスイングし十六夜は吹き飛ばされる。

 

「十六夜⁈」

 

蘭丸は十六夜の吹き飛ばされた方向を見る。

 

「蘭丸!こいつは俺に任せな!お前は“黒死斑の魔王”の所にいけ!」

 

「…ああ任せたぞ」

 

蘭丸はペストを探す為、そこを離れた。

 

「チッ!……まあいい、まずはこいつだな」

 

ヴェーザーは蘭丸を諦め、十六夜へと向かって行った。

 

「……なんだよ。前より強くなってんじゃねえか?」

 

十六夜は血の混じった唾を吐きながらも嬉しそうにしていた。

 

「当たり前だ。こっちは神格を得たんだ。しかもホームタウンで力も倍増している……簡単に終わるんじゃねえぞ‼︎」

 

「ハッ!テメェもな‼︎」

 

そして十六夜とヴェーザーの殴り合った周りは衝撃波を生んでいた。

 

 

 

 

**

 

現在ステンドグラス捜索隊はジンの支持の下、“偽りの伝承”を破壊していた。

 

「あったぞネズミの描かれているステンドグラスだ」

 

「それは“偽りの伝承”です。破壊してください」

 

ジンの支持の下またステンドグラスを破壊する。

 

「十六夜さん達が魔王を相手にしている間に僕達は本物の……」

 

「はぁい。そこまでよ♪」

 

だがその道中、ラッテンと火蜥蜴達が道を阻んでいた。

 

「現れたなネズミ使い‼︎」

 

「ようこそ。フローゼン通りへ。これから皆さんを素敵な同士討ちへとご招待します♪」

 

とラッテンが笛を振ると火蜥蜴達が一斉に火をふく。それをレティシアが影で防ぐ。

 

(クソッ!今こいつらを殺しては、同士討ちになる)

 

「ジン、早く行け」

 

「で、でもレティシアさんは」

 

「…早く行け‼︎」

 

レティシアに叱咤されジンを初めとする参加者達は再び移動を開始する。

 

「そうはさせないわ♪」

 

「BRUUUUUUUM‼︎」

 

ラッテンは再び笛を振る。すると三体のシュトロムがジンの行く手を阻む形で出現した。

 

「シュトロム⁈」

 

「さあ、やりなさい!」

 

「BUUUUUUUUUM‼︎」

 

シュトロムは大気を吸い込み始めた。そのままジンに攻撃をするつもりである。

 

「ジン⁉︎」

 

レティシアは助けに行こうも火蜥蜴の攻撃を受けて、それどころでは無い。

ジンは覚悟を決めるように目をつむる。

 

「DEEEEEEEEEN‼︎」

 

だがシュトロムの攻撃は来ず、何かの叫び声と砕ける音がした。ジンが目を開けるとそこにはシュトロム程の巨大を持った紅い鉄巨人の姿があった。

 

「………あれは⁈」

 

ジンの視線にはその鉄巨人の肩に立つ久遠飛鳥の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

**

 

そのさなか黒ウサギとサンドラはペストと対峙していた。

 

「サンドラ様。左右から挟み込みます」

 

「分かったわ」

 

黒ウサギとサンドラは右と左に別れ、ペストを挟みこむ形をとる。そして黒ウサギは金剛杵を振るい雷鳴を放ち、サンドラは火龍の炎を放つがペストの黒い風に相殺される。

 

「もしかして貴女達って学習しないタイプ?いい加減諦めたら?」

 

「そうはいかないんだよ魔王様‼︎」

 

ペストの後方から蘭丸が足を振り抜き、空間を切り裂く刃を繰り出す。ペストはそれを躱す。

 

「ふーむ。やっぱ二回目はそう当たんないか」

 

蘭丸はおどけた表情を浮かべていた。

 

「あら、蘭丸じゃない。もしかして私に会いに来てくれたの?」

 

ペストは妖艶に笑う。

 

「まああながち間違いじゃ無いな。……あいてしてもらうぜ?」

 

蘭丸は空間を走りながらペストへと迫り、ペストに蹴りを食らわせる。そして直ぐにペストの後ろに瞬間移動して、上空に蹴り上げる。そしてまた上空に移動し、踵落としでペストを地面に叩きつけた。

 

「………結構痛かったわ。やっぱりやるわね」

 

「よく言うな。どうせ神霊はその程度じゃ倒れないだろ?」

 

「え?」

 

サンドラと黒ウサギは驚く。

 

「まああくまでも俺の推測だがお前はハーメルンの笛吹きの百三十人の死の功績じゃあ無く、黒死病で死んだ八千万の死の功績………いや、正確には黒死病で死んだ八千万の怨念の死霊って方が正しいか?」

 

「……そうねほぼ正解よ。流石は蘭丸ね」

 

「そりゃあどうも」

 

「時間稼ぎ程度に細くさせてもらうわ。私が主催者権限を得るに至った功績。この功績は死の時代に生きた全ての人の怨差を叶える権利があった。黒死病を世界中に蔓延させ飢餓や貧困を呼んだ諸悪の根源、怠惰な太陽に復讐する権限が‼︎」

 

ペストの雰囲気が変わった。それに黒ウサギとサンドラは冷や汗をかく。

 

「なるほどな……」

 

「…さあ、始めましょう?タイムオーバーの瞬間まで、たっぷりと遊んであげる」

 

ペストはまた不敵な笑みを浮かべて蘭丸達を見る。

 

「ふーむ。参ったな…こりゃ一筋縄じゃ………⁈ゴホッ!ゴホッ!…ガハッ!」

 

ボタッボタッ……

 

「蘭丸さん⁈」

 

蘭丸は黒死病の影響での吐血を黒ウサギに見られてしまった。

 

「なんで……黙っていたのですか⁈そんな身体で……!」

 

「………さあな、俺にもわからん」

 

蘭丸は袖で乱暴に口を拭う。そして苦しそうにだが笑みを零す。

 

「…ただ、俺は………この戦いは引けないと……思ったからだな……」

 

「蘭丸さん…」

 

それをペストは少し不快そうに見ていた。

 

「そこのそこのウサギさん。貴女が蘭丸のちかくにいるとなんか不快ね」

 

黒ウサギはペストを睨む。

 

「蘭丸さんは黒ウサギ達の同じコミュニティの大切な同士です!だから蘭丸さんは渡しません!」

 

「黒ウサギ……」

 

そして黒ウサギは金剛杵を手にペストへと突っ込んだ。

 

「チッ、情けないな」

 

蘭丸は小さく呟いた。





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