問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん

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作戦会議

 

 

「直ぐにお風呂場へ行ってください‼︎その様な身なりで“サウザンドアイズ”の暖簾をくぐらせるわけにはいきません!」

 

女性店員は飛鳥の姿を見るなり半ば強引な形で風呂場へと連れて行った。そしてその後、黒ウサギ、白夜叉、レティシア、耀も風呂場へと向かった。

 

そして十六夜、ジン、蘭丸の男三人も風呂に入っていた。

 

「んで蘭丸は一体どうして北側に来てたんだ?」

 

「俺は今日だけじゃなくてもいろいろ“サウザンドアイズ”の商談とかにやってるし、今回は展示会の打ち合わせとかで白夜叉の代わりって事で来てた」

 

マンドラを宥めるのは大変だったと苦笑しながら髪を掻き上げる。

 

女風呂からスコーン‼︎と桶の音が聞こえた。恐らく白夜叉がセクハラをしたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして十六夜とジンは風呂から上がって談笑していた。

 

「あら?そんなところで会談中?」

 

そこに女性陣が姿を出した。

 

「ほう。こりゃあなかなかいい眺めだな御チビ」

 

「え?」

 

十六夜の言葉にジンはわけのわからない顔をしていた。

 

「黒ウサギやお嬢様の薄い布の上からでも分かる二の腕から乳房にかけての豊かな発育は扇情的だが、それとは相対的にスレンダーながらも、健康的な素肌の春日部やレティシアの髪から滴る水が鎖骨のラインをスウッと流れ落ちる様は自然に慎ましい胸の方へと視線を誘導するのは確定的にあ……」

 

スコーン‼︎

 

「変態しかいないの⁈このコミュニティは⁈」

 

「白夜叉様も十六夜さんもみんなお馬鹿様です!」

 

「お、落ち着いてください…」

 

怒る黒ウサギと飛鳥を慌てて宥めるジン。傍らでは十六夜と白夜叉が同士を見つけた様に腕を組む。

 

「そう言えば主殿、蘭丸はまだ風呂なのか?」

 

レティシアの言葉に皆がハッ!となった。確かに男性陣は上がっているのに蘭丸だけが上がっていない。

 

「いや、上がる時には同じだったんだが……」

 

「おいおい、今また十六夜と白夜叉辺りがアホなことをやったのか?」

 

「「「!!!!」」」

 

上がってきた蘭丸の姿を見て女性陣は絶句した。正確には黒ウサギ、レティシア、白夜叉の三人である。

蘭丸の髪や顔がツヤツヤであって形容しにくいが強いて言うなら女子力の塊をまとった蘭丸がいたのだ。

 

「ら、蘭丸さん……まさか遅かったのって」

 

「ああ、髪のトリートメントや洗顔とかやっててな……北側でいい石鹸とか手に入ったからな、それの試しを兼ねてだがな」

 

蘭丸はさもや当然の様に言っているが三人は凹んでいる。

 

(蘭丸がまさか美容にも気を使っていたなんて…)

 

(と言うより女でもここまで出来る人はそういないぞ?)

 

(い、一瞬別人に思えたぞ)

 

と黒ウサギ、レティシア、白夜叉の順番で凹んでいる。

 

「おい、俺がなんかしたのか?女ならこれ以上のことやってんじゃ無いのか?」

 

と蘭丸は途轍もない爆弾を投下した。

 

「「「蘭丸(さん)…それはおんし(お前)(貴方)が言っていい言葉ではない(のです‼︎)‼︎」」」

 

「お、おう…なんかすまん」

 

その怨念ともとれる声に蘭丸は後ずさる。

 

「ねえ十六夜。蘭丸って…」

 

「ああ、鈍いしデリカシー無いしな。そのうち刺されるぞ」

 

「蘭丸君ってある意味凄いわね…」

 

と問題児三人は黒ウサギ達を哀れんでいた。

 

……………

 

「…おい白夜叉。お前いつの間に蘭丸に惚れてたんだよ」(ヒソヒソ)

 

「うむ、実はの、二週間程前程かの…//」(ヒソヒソ)

 

まさかの白夜叉にもフラグを建てていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場は白夜叉の私室へと移動して明日の作戦会議と………

 

「それでは…第一回黒ウサギの衣装をエロ可愛くする会議を……」

 

「始めません!」

 

「始めます」

 

「始めません‼︎もう、ちゃんと話を進めてください」

 

やはりこうなったのである。白夜叉のセクハラと十六夜の悪ノリにウサ耳を立てて怒る黒ウサギ。

 

「だが審判の件は事実だぞ?おんしらが騒ぎを起こして“箱庭の貴族”が来ているという事になってな。公に出さなければなと言うことになったんだ。頼まれてくれるかの?もちろん報酬もつける」

 

「分かりました。この黒ウサギ謹んでお受けしましょう!」

 

黒ウサギはぴょこんとウサ耳を立てて了承する。

 

「……では明日の黒ウサギの審判衣装は例のスケスケビスチェスカートを」

 

「着ません‼︎」

 

「着ます!」

 

「断固着ません!」

 

とまた話は脱線して行くのである。そこで耀が思い出したかの様に白夜叉に詰める。

 

「…そう言えば白夜叉。私の明日の相手のコミュニティって何処?」

 

「すまんがそれは不公平だからの、教えられんのだ。主催者として教えられるのはこれくらいだ」

 

と白夜叉はゲームの契約書類をテーブルに置く。

 

「“ウィル・オー・ウィスプ”に“ラッテンフエンガー”やはり強いのか?」

 

と契約書類を見た蘭丸は黒ウサギに質問する。

 

「はい、どちらとも一つ上の階層のコミュニティですので……」

 

(“ラッテンフエンガー”ですって⁈)

 

飛鳥は自分が洞窟であった出来事を思い出していた。

 

十六夜は顎に手を当てて契約書類を眺めている。

 

「それにしても“ラッテンフエンガー”ねえ、さしずめ相手は“ハーメルンの笛吹き”ってところか?」

 

「え?」

 

「どう言うことだ小僧。いやすまん実は“ハーメルンの笛吹き”とはとある魔王の下部コミュニティだったものの名だ」

 

「魔王だと?」

 

魔王と言う言葉に全員に緊張が走る。

 

「魔王のコミュニティの名は“幻想魔導書郡”。全200篇にも及ぶ魔書から悪魔を呼び出した驚異の召喚士の統べたコュニティだ」

 

「ですがそのコミュニティのリーダーは既に敗北しこの世を去ったはず」

 

「しかし十六夜さんは"ラッテンフェンガー"が"ハーメルンの笛吹き"だとおっしゃいました。それに例の"予言"のこともあります。滅んだ魔王の残党がラッテンフェンガーの名を騙ってこの祭りに忍び込んでいるかもしれません。もし何かご存知なら万が一に備えてご教授をお願いします」

 

「事情はわかった。だが俺が知っているのは童話としての“ハーメルンの笛吹き”だけだ」

 

と十六夜はジンに耳打してジンに説明を任せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それがハーメルンの笛吹きか」

 

「でもその隠語がなぜネズミ捕りの男なのかしら?」

 

「それはグリム童話の道化師が鼠を操る道化師だからです」

 

(鼠を操るですって?)

 

飛鳥は展示会の出来事を思い出していた。

 

「それにしても驚きました。ジン坊ちゃんは何処で“ハーメルンの笛吹き”をご存知に?」

 

いつの間にかそこまで知識をつけていたジンに驚きながらも賞賛する黒ウサギ。

 

「それは十六夜さんと地下の書庫で未読の書籍を読み込んだ時にだよ」

 

「そういう知識は神話や伝承を備えた相手の対抗手段になる可能性があるからな」

 

「なるほどな…」

 

「…………」

 

蘭丸は一人外を眺めていた。

 

「白夜叉、話が終わりなら少しお前に話しておきたいことがある」

 

そう言うと蘭丸は白夜叉以外を退出させた。私室から退出した。

 

(蘭丸さん…一体どうしたのでしょうか…話を聞いてなさそうですが…)

 

黒ウサギは心配そうに蘭丸を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「して蘭丸よ。話とはなんだ?」

 

二人になった白夜叉は何時もより真剣な口調で蘭丸に問う。

 

「ああ、俺が箱庭来て直ぐにグールを倒したことは覚えてるよな?」

 

「うむ、あやつのゲームの難易度が高く、最近推定五桁の魔王と言われたばかりだ」

 

魔神グール、別名魔王グールは実体が存在しなくそのゲーム盤を破壊しなければ倒せなく、しかもその破壊箇所を見つけなければ破壊出来ないかった。その難易度故、グールは五桁の魔王と推定されたのだ。

 

「実はあいつが出現したのは俺が関係していると思うんだ」

 

「何⁈」

 

「俺のギフトって時空間を支配するギフトだが、実はこれで半分なんだ」

 

「ふむ…半分とは?」

 

白夜叉は素朴な質問をぶつける。

 

「黒ウサギには言ったことがあるが俺は昔地球の四分の一を消し去ったんだ」

 

「なんだと⁈そこまでの実力なら下層にいていい訳が…」

 

「だから今はそこまでの力は無い。俺のギフトを欲しがった奴が俺のギフトを半分持って行ったんだ。恐らくあいつも此処に来る。火龍誕生祭の混乱に乗じてな。」

 

白夜叉は息を呑む。

 

「俺はあいつらを巻き込みたくないんだ。あいつとは俺がケリをつける。だから…」

 

「“ノーネーム”を抜けると?」

 

「⁈」

 

意を突かれた蘭丸は目を開く。その蘭丸を白夜叉は優しく抱擁する。

 

「白夜叉?」

 

「あやつらはそんなことは気にせんよ。それに明日はこの私もいるのだ。万一の時にはおんしは私が守るからの」

 

「白夜叉……サンキューな」

 

白夜叉のその小さな身体からは想像出来ない程の白夜叉の胸の中の大きさそれに蘭丸はホロリと涙を流した。

 

 

 

 

 

「して何故この話を今のタイミングで?」

 

白夜叉の疑問はそこだ。それを隠しておく必要があったのか。

 

「いや、ただなんとなくだ。明日は魔王が来るかもしれないからなタイミングとしては悪くないかと思ってだな」

 

「おんしはよくわからない男じゃの…」

 

白夜叉は呆れてため息を吐く。だが白夜叉は微笑み

 

「…だがそこが此奴の魅力の一つだがな…」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「な、なんでもない!それより一杯どうだ?いい酒があるぞ」

 

と白夜叉は酒瓶を取り出した。

 

「お、いいね!流石白夜叉」

 

蘭丸は未成年だが白夜叉からグラスを受け取ろうとした。

 

「何をやっているのですかこのお馬鹿様あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

が障子を勢い良く開けた黒ウサギによってそれは阻まれた。

 

「明日は耀さんのギフトゲームなのですよ⁈それに蘭丸さんはまだ未成年のはずですよね⁈」

 

「俺の世界だと酒に関しては成人してなくても呑めるぞ?」

 

「それでもお酒は明日終わってからですよ!」

 

と黒ウサギは酒瓶とグラスを取り上げた。

 

「悪かったよ黒ウサギ」

 

蘭丸は微笑を浮かべながらも謝罪する。

 

「い、いえもういいのですよ」

 

黒ウサギは素直に謝罪した蘭丸に驚いたが直ぐに取り直した。

 

「…そ、それにお酒を呑むなら黒ウサギもご一緒に…」

 

「ん?何て?」

 

「な、なんでもありません!///」

 

黒ウサギは紅くして出て行った。

 

「なあ白夜叉。俺黒ウサギに嫌われてんのかね」

 

蘭丸は黒ウサギのいた所を見ながら呟いた。

 

「いや、むしろおんしは黒ウサギに好かれておるぞ」

 

「そうかね」

 

ため息を吐きながら蘭丸は自室に戻るべく腰を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 





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