問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん

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だいぶペースが遅いですが頑張ります。



蘭丸さんのメインヒロイン

黒ウサギ 1票
白夜叉 1票
レティシア 1票
ペスト 1票



まだまだ募集してるのでどんどんどうぞ‼︎


魔王の爪痕

 

 

蘭丸のギフトで質問攻めが終わりその日はお開きとなった。

現在、暖簾の下げられた店先に移動していた。

 

「今更だが聞いて良いか?おんしらは自分たちのコミュニティの状況を理解しておるか?」

 

「ああ、名とか旗の話か。それは聞いたぜ」

 

「ならそれを取り返すために魔王と戦うことになることも?」

 

「ああ、それも承知だ」

 

「ふむ、ではおんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

白夜叉の言葉に黒ウサギは唾を呑んだ。

 

「そうよ打倒魔王なんてカッコイイじゃない」

 

「格好いいで済む話ではないのだがの……全く。無謀というか勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが……そこの娘二人、それにミロ、おんしらは確実に死ぬぞ」

 

白夜叉は飛鳥、耀、ミロを指差す。飛鳥と耀は反抗しようとしたが、白夜叉の凄みに何も言えずにいた。

 

「…ご忠告ありがとう。肝に命じておくわ。次は貴女の本気のゲームを挑みに来るから覚悟しておきなさい」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。…ただし黒ウサギをチップにかけてもらうがの…」

 

「嫌です‼︎」

 

白夜叉のセクハラに黒ウサギはすぐに返す。

白夜叉は口を尖らせすねる。

 

「つれないことを言うなよ。私のコミュニティに所属すれば生涯遊んで暮らせることを保証するぞ?三食首輪付きの個室を用意するのに」

 

「首輪付きってそれもうペットじゃないですか‼︎」

 

黒ウサギは半泣きで怒る。

 

「まあまたリベンジに来るさ。今度はもっとこの力を引き出せるようになってるからな」

 

「うむ。おんしはなかなか面白かったからな。私もまだ本気ではなかったしな」

 

こうして蘭丸達は無愛想な女性店員に見送られ“サウザンドアイズ”を後にした。

 

そして現在二一○五三八○外門“ノーネーム”本拠の前に来ていた。

 

そして彼らは魔王の所業を見て、言葉を失っていた。

 

「これは……⁈」

 

そこには風化した廃墟とかしたものだった。飛鳥と耀は息を呑み、ミロは悔しがるようにその光景をじっと見つめ、十六夜と蘭丸はその光景に瞬きをせずに眺めていた。

そして十六夜は廃墟の残骸を手に取り軽く握った。すると残骸は音もなく崩れる。

そして蘭丸は目を瞑り左手を翳す。

 

「おい黒ウサギ、魔王とのゲームがあったのは何百年前の話しだ?」

 

「わずか三年前にございます」

 

「ハッ!マジで面白いぞ。風化しきったこの光景が三年前だと?」

 

十六夜の言う通り“ノーネーム”のコミュニティは何百年の時間をかけて自然崩壊したようにしか見えなかった。

 

「断言するぜ!どんな力が加わってもこんな壊れ方はあり得ねえ。長い時間をかけて自然崩壊したようにしか思えねえ」

 

十六夜は笑いながらも冷や汗をかいていた。十六夜ですらここまでの魔王の力に驚いていたのだ。

 

「ベランダのテーブルにティーセットがそのまま出ているわ。これじゃまるで、生活していた人間がふっと消えたみたいじゃない」

 

「…生き物の気配も全くない。整備されなくなった人家なのに獣が寄ってこないなんて…」

 

飛鳥と耀もそれぞれに表情を曇らせていた。

 

「これが魔王か…グールとはわけが違うな」

 

そして目を開いた蘭丸は哀しみの表情を浮かべていた。

 

「そう言えば蘭丸は時間を戻すギフトがあったよね?それで壊れる前にまで戻せないの?」

 

耀が蘭丸の方を見る。

 

「いや、さっき試みたが無理だった。規模がデカすぎる。……まだまだ修行が足りないな」

 

チッ、と蘭丸は自分の不甲斐なさに腹を立てているように舌打ちをした。

 

「魔王とのゲームはそれほどの未知の戦いだったのでございます。彼らがこの土地を取り上げなかったのは魔王としての力の誇示と、一種の見せしめでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると遊ぶ心でゲームを挑み、二度と逆らえないよう屈服させます。僅かに残った仲間達もみんな心を折られ・・・・コミュニティから、箱庭から去って行きました」

 

魔王の残した壮絶な爪痕。彼らは自らの力を誇示するために白夜叉のようにゲーム盤を用意しなかったのだ。

 

 

「魔王…か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか…!」

 

「…コミュニティの再建はかなり大変だな」

 

十六夜がいつもの笑みで笑い、蘭丸は廃墟を見てコミュニティの再建の膨大さを感じていた。

 

六人が居住区を通り抜け、貯水池にやってきた。十六夜が手に入れた水樹の苗を設置するために訪れたのだ。

 

「あ、皆さん!水路と貯水池の準備は整ってますよ!」

 

貯水池にはジンとコミュニティの子供達が清掃道具を持って水路の掃除をしていた。

 

「ご苦労さまですジン坊っちゃん♪皆も掃除を手伝っていましたか?」

 

「黒ウサのねーちゃんお帰り!」

 

「眠たいけどお掃除手伝ったよ!」

 

ワイワイと騒ぐ子供たちが黒ウサギの周りに着く。

 

「ねえねえ、新しい人達って誰?」

 

「強いの?カッコイイの?」

 

「Yes!とても強くて可愛い人達ですよ!皆に紹介するから

一列に並んでください」

 

黒ウサギが、パチンと指を鳴らすと黒ウサギに群がっていた子供たちは一斉に並んだ。

 

その数は20名程で中には猫耳や狐耳と言った子供もいた。

 

(マジでガキばっかだな。半分は人間以外のガキか?)

 

(じ、実際目の当たりにすると想像以上に多いわ。これで六分の一?)

 

(・・・・・私子供嫌いなのに大丈夫かなぁ)

 

(ふーん、この獣耳をした子供たちは獣人系のギフトか…でもゲームに参加出来るもんじゃないのか)

 

四人が四人、それぞれ感想を心の中で呟く。

 

「それでは紹介します。右から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、二宮蘭丸さんです。こちらのミロさんも何度かお世話になってあるから分かると思います。皆も知っている通り、コミュニティを支えるのは力のあるギフトプレイヤー達です。ギフトゲームに参加できない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼らの為に身を粉にして尽くさねばなりません」

 

「あら、そんなにしなくてももっとフランクに接してくれても…」

 

「駄目です‼︎それでは彼らのためになりません!」

 

飛鳥の申し立てを黒ウサギが今までで一番厳しい声で断る。その迫力に飛鳥は驚いた。

 

「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避けられない掟。子供のうちから甘やかせばこの子供達の将来の為になりません!」

 

事実である。コミュニティが崩壊してから三年、ここまでやって来てこれたのは全て黒ウサギのおかげである。その言葉には説得力があった。

 

「なるほどな、それがここでのルールってんなら従うが、子供だ。あまり無理はさせるなよ?俺も出来ることならやるからさ」

 

そしてその後、十六夜が手に入れた水樹の苗を貯水池に置き、水事情はかなり助かったらしい。

その後十六夜と蘭丸が“フォレス・ガロ”の刺客からガルドを倒して欲しいと言われリーダーであるジンが倒すとジンが言い(勝手に)その条件として、十六夜と蘭丸に“サウザンドアイズ”のギフトゲームに参加して欲しいと言われた。なんでもその仲間は元・魔王であった。戦力に乏しい“ノーネーム”には貴重な戦力になるはずである。

 

そして皆明日のゲームに備え早めに就寝したが蘭丸ただ一人バルコニーで夜空を眺めていた。

 

「…ふぅ」

 

「あれ?蘭丸さんはまだ起きていたのでございますか?」

 

そこに黒ウサギが近づいてきた。

 

「おう黒ウサギ。ちょっと考え事をしていてな」

 

「それはなんでございますか?」

 

黒ウサギが耳をカクンと傾けて蘭丸を見る。

 

「ああ、俺のギフトって実を言うと、世界を崩壊させるかもしれない代物なんだ」

 

「ええ⁈」

 

さらりと、そして重みのある言葉に黒ウサギは大きな声で驚いてしまった。

 

「すいません。でも世界を崩壊させるかもしれないとはどう言うことですか?」

 

「俺のいた世界って俺のような異能の人間はさほど珍しいわけではない世界だったわけだ。俺も生まれつきこの力を

持っていてな、七歳頃に精神が不安定になり暴走させて、世界の四分の一程を消滅させかけたんだそれで大切な仲間や友達も殆ど死んだ」

 

蘭丸から語られたのはそれは耳を疑いたくなるようなものであった。

問題児の中で一番大人っぽくで情に厚く、強い心を持っている蘭丸からは想像できなかった。

 

「だからさ、ここにいたらさまた大切なものを失ってしまうんでないかと考えてしまうんだ。そう考えると…」

 

「蘭丸さん」

 

蘭丸が目尻に涙を浮かべながら話すのを黒ウサギがその手を取り、優しく制す。

 

「大丈夫ですよ!ここにはそれを聞いてもどなたも蘭丸さんを拒絶したりはしませんよ。それに…もしそうなったら黒ウサギ達全員で止めますから。だからそんなご自分を責めないでください」

 

黒ウサギは笑顔で蘭丸に語りかける。それを見て安心したのか蘭丸は黒ウサギの頭をポンと触れた。

 

「サンキューな黒ウサギ。いやー本当にありがたい。俺、箱庭に来れてよかったな」

 

蘭丸の口調はいつもの落ち着いた雰囲気に戻っていた。

 

「黒ウサギと話したらスッキリしたわ。俺は寝るな。おやすみ黒ウサギ」

 

そうして蘭丸はバルコニーを後にしたがしばらく黒ウサギはバルコニーにいた。

 

「ふふ、蘭丸もちゃんと弱い所もあるのですね」

 

黒ウサギは顔を少し赤らめていた。

 

 

 

 

 

**

 

「二宮…蘭丸」

 

時を少し遡り白夜叉は私室で今日の人間の一人であった、二宮蘭丸のことを思い浮かべていた。

 

「なんであの時気づかなかったのだろうか…考えればすぐに分かったのに…。二宮蘭丸あやつは

 

 

 

 

 

 

 

“人類最終試練”の一角であるかもしれないことに」






これで終了です。

最後にトンデモないことになりました。その辺は蘭丸の過去編を出した時に詳しく説明しようかと思います。

あとメインヒロインアンケートもまだまだやっておりますので是非是非お願いします‼︎

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