「やぁ、我が女神」
「……どうやったら完全に隠れてるわたくしを見つけられるんですの……」
統計と愛で。
とは言わずに笑顔で腕を広げた。
「……念の為に聞きますがそのポーズは?」
「もちろん女神を包み込むポーズだとも」
「仕方ありませんわね。その代わり今日の分はたっぷり頂きますわ」
時間と霊力の事だとわかっていても興奮せざるを得ないね!
「……はぁ。全く……」
「さて。それはともかく。如何なされるおつもりか?」
「しばらくは様子見に徹しますわ」
ではしばらく二人で日常生活だね。
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私は今、識別名〈プリンセス〉と五河士道が出会っているのを見ている。
正確にはその上空から二人を眺めて居るのだが。
あ、気絶した。
さて。
せっかく水銀もどきなのだし。
ようやく原作に近い形を得た記念に少しやってみよう。
「では一つ、皆様私の歌劇をご観覧あれ」
腕を指揮者のように振り上げて前を見る。
あぁ、懐かしき既視感に溢れた地獄よ。
「その筋書きは、ありきたりだが」
私は今。
「役者が良い。至高と信ずる」
ようやく『私』として生きていける。
「--ゆえに面白くなると思うよ」
だから始めよう。
私の喜劇を。
私だけの既知を。
「……。とはいえ。いつになっても少し恥ずかしいなコレは」
女神がやったらまず間違いなく鼻血モノだが。
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ともあれ。
無事に女神の元に帰り、廊下に女神の髪が落ちているのを回収。
漫画やアニメを見ていたラフな格好の我が女神の純白のトライアングルゾーンを観察する。
「いつもの倍頂きますわよ……?」
「構わないが」
女神が吐いたため息を周囲の空間ごと切り取って保管し、それを合図に起き上がった女神が展開した〈時喰みの城〉を受ける。
急激に吸い取られる感覚が襲いかかるが、ヒャッハー中尉の創造よりマシだ。
「ふぅ……う、限界ですわ……」
「横になるといい。今宵の夕餉は私が担当しよう」
「つ、作れるんですのね……」
「任せたまえ。私は全知全能だ」
任せましたわ、とフラフラと横になる女神を写真に収めてコレクションする。
私の霊力が強すぎて女神は酔ってしまうことがままある。
吸い取りすぎると体に毒な訳だね。
まぁ私は神様なのだから仕方ないね。
「さて。どうしようかね。あの様子ではあまり固形物を口にしたくはあるまい」
まぁ酔って気持ち悪くなっているのだから当然か。
無難にお粥にしようか。
……ふ。
「ふ、ふ、ふは、ふははははは!まるで看病しているようでは無いか!」
「楽になったのでやっぱり自分で作りますわ」
そんなご無体な。