プロローグ
JS事件から1カ月が過ぎた。
事件で活躍した機動六課の元に新たな仕事が来た。
運搬中のロストロギアが強奪される事件が発生した。その犯人グループの逮捕とロストロギア確保が今回の任務だ。
ミッドチルダがJS事件の爪痕も深く、その中で比較的動けてロストロギアの対応の経験もある六課にお鉢が回ってきたのだ。
すぐに動けるメンバーとしてファワード4人、スバル、ティアナ、エリオ、キャロがすぐさま駆り出された。
そして――結論から言うと、郊外に逃げ込んだ犯人グループはすぐに捕まり、ロストロギアも確保できた。
「ティア~なんか拍子抜けだったね」
頭をかきながら相棒のティアナに話しかけるスバル。
犯人たちはすでにバインドで縛られて身動きが取れない。
ティアナもそれに賛同して気のない声を出す。
「まーね。最初聞いた時はもっと重大な事件かと思ったけど」
「まあ、事件が惨事になる前に収められてよかったです」
エリオは嬉しそうに笑う。
今回の犯人グループは四人。全員魔導士で、強奪した後非合法組織に売り捌く腹積もりだったらしい。
魔導士だけで構成されたグループなのでそこらの管理局員では手に余るかもしれなかったが、
そこはかつての事件を潜り抜けた六課のメンバー、大した苦戦もなしに片付いた。
エリオとスバルで突撃し、ティアナとキャロでロストロギアの確保、接敵から僅か三分で事件は終わった。
ティアナが手をパンパンと叩く。
「さ、さっさと撤収するわよ!私は犯人たちを連れていくからスバル、エリオ、キャロ、あんたたちはロストロギアのほうを頼むわよ」
「わかったー」「「はい!」」
ティアナは犯人たちを立たせ、スバルたちは例のロストロギアのほうに駆け寄った。
ロストロギアはNo.1111002と書かれている。ナンバリングしてあるが本来の名前はない。
最も、レリックなどと違い名前が明らかになっていないロストロギアは数多くある。
形としては青い宝玉に白い石がスイカの黒い部分のように包まれている。真ん中で青く怪しい光を放ち続けている。
それをエリオが拾い上げた。
「特に傷とかもついていません。無事なようです」
「何もないならよかった。キャロ~こっちこっち」
「待ってください二人とも。すぐに…!?」
キャロの言葉が途中で途切れた。
エリオが持っているロストロギアが、突然光を増し始めたのだ。
「なっ!?」
「何これ!?」
持っているエリオだけではなく、近くにいたスバルまで光に飲み込まれ始めた。
「スバルさん!エリオ君!」
「キュー!」
「キャロ!ダメだ!来るな!」
エリオの声で駆け寄ろうとしたキャロが辛うじて立ち止まる。そして異変が更に続いてるのに気が付いた。
「これは、次元振動!?」
キャロの声が恐怖で震えた。
例のロストロギアの影響なのは間違いない。かなりの小規模ではあるが宝玉を中心に引き起こされている。
光を増し続け、エリオとスバルを完全に呑み込んだ宝玉は次の瞬間、光が消えて地面に落ちた。
二人の姿はどこにも見当たらなかった。
ここらは適当に。ミッドチルダ側の視点はこれくらいかも。