問題児と化け物が異世界から来るそうですよ?   作:残留

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コミュ能力をください。切実に。
どうも、入り方がもう定着したのは良いけれど、ネタがまたまた尽き始めてきた残留です。
私情で申し訳ないのですが、最近睡眠時間が減ってきて眠気がヤバくなってきているので色々文脈がおかしいかもしれませんがそこは生温かい目でお見逃しください。
それでは、お話をどうぞお読みください。



キレると怖い

~side 十六夜~

 

零が作ってくれた結界越しでも分るほどあいつからの殺気が尋常じゃない。目から何か残像のような光が出ながら歩いている。そして何より零の周りで雷のようなものがバチバチと音を鳴らしている。こいつ本当に何者なんだ?

 

零が歩けば地面が抉れる。たとえ歩かなくとも周りの重力が狂い、またしても地面が抉れる。どうなってんだよ!

 

……そういや零ってリミッターを三段階目以降外してないよな……つまりまだ三つも付けているって事だよな……おいおい、三つも付けてこれかよ……

 

「お、いたいた。ヤッホー!遊びに来たゼー!」

 

壁を殴ったら爆発が起きるってどうゆう事だオイ!ありえねぇぞ!

 

「ぜ、零(零さん/零君/主殿/マスター/お兄ちゃん/)!!」

 

全員が一斉に歓声を上げるとは……てか全員裸だから目のやり場に困るんだが……って、女性陣が檻の中に居るのを見てから零の殺気がさっきより恐ろしくなってきてるんだが……

 

「全員これを羽織っていてくれ。あと、ここから先はR1000指定にさせてもらうぞ」

 

零が毛布を全員分空中から出して……もう突っこまないぞ……その後檻に真っ黒な結界を張った……って事はとうとう零の一方的であろうバトルが始まるのか……

 

「なんだよ!!お前!!せっかく僕ちんが楽しもうとしていたのに!!」

 

「うるせぇ……黙れ……」

 

……零の腕輪と手袋が外れて……空間が……歪んでいやがる……!!しかも結界はそれに耐えている……か……ヤハハ!!ホント何なんだよお前?本当に人間か?

 

~side out~

 

~side ―――~

 

リミッターを一段階目を残すのみとなった零はこの状態でもまだ、極限まで(・・・・)力を抜いている(・・・・・・・)のである。

 

神殺しが零に攻撃をした。が、零をすり抜けてしまう。確実にそこには居るはずの零に攻撃が当たらないのは何故だ?と神殺しが考えている間に、彼の右腕は消えていた。

 

「なっ!?」

 

「ありゃ?もう少し期待できると思ったんだが……期待はずれだな……相良だったらもう少しまともに殺りあえたのかねぇ……」

 

「……僕の……僕の前であいつの名前を呼ぶなぁ!!!!」

 

零が神殺しの内の一人、相良 紅の名前を口に出すと目の前の神殺しが急に暴走し出す。暴走した途端、彼の右腕は再生されていた。

 

「殺す!!ブッ殺す!!」

 

「お?本気を出してくれたのかな?けど遅いな。相良だったらもっと早く―――――」

 

「だから!!僕の前でそいつの名前を口に出すんじゃねぇ!!!」

 

零は完全にこの神殺しを弄んでいる。『相良』と口に出すたび、彼の力は急激な上昇を見せる。

 

「おぉ、早いねぇ。やっと光年レベルかな?」

 

秒速約千七百キロ(・・・・・・・・)……この速度まで行ってしまったみたいだが、十六夜たちには動いていないように見えている。あのマルドゥークでさえも。

 

「あいつらなんでずっと睨みあってるんだ……?そこの……」

 

「……マルドゥークだ」

 

「!?あのマルドゥークなのか!?」

 

「あぁ……」

 

「そ、そうか……で、あんたには何しているか見えてんのか?」

 

「……残念ながら私ですら見ることは不可能だ」

 

「……ヤハハ!!やっぱおもしれぇぜ!零!!」

 

十六夜は笑っているが、内心はとても驚き、恐怖しているだろう。目の前で在りえるはずの無い勝負が繰り広げられているのだから。

 

「どうしたぁ!その程度か?そんなんじゃあ相良を越せねぇだろうな!!」

 

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!」

 

「お!!やっと俺に当てられるレベルになったか!じゃあ俺もそろそろ攻撃と行こうかな!」

 

零が腕を振るう。それは光年よりも早く、たとえ神であろうと、その上を行く神殺しであろうと追うことのできない早さであった。

 

「あ?そんな遅い攻撃で僕に当たるとでも?」

 

彼が言っているのは一部間違っていない。彼らには一般人程の普通の速度で腕を振っているようにしか見えていないのだ。

 

「自分の体を確認してみたら分ると思うぞ」

 

「?……は……?なん……だよ……こ……れ……」

 

驚くのも無理はない。なにせ気づけば彼の胴体に穴が開いていたのだから。

 

(零……お前はなんでそう遊んでいるんだ?お前なら一瞬で倒せるだろ?)

 

「……十六夜、それは簡単な理由だ。ただ単に俺が楽しみたいだけだ」

 

「おいおい……心を読むなよ……」

 

十六夜はもう驚く気力が無くなっていたみたいだ。

 

「はぁ……飽きた。もう飽きたから終わらせるわ」

 

「クソっ!僕は!僕はもっと強くなってあいつを越さないと!!」

 

「ハハッ!!お前みたいな雑魚がよくもまぁそんな大層な事を抜かせるもんだ!」

 

零はまず彼を宙に浮かせ、拳による連撃を繰り出す。それにより、彼の体にはいくつもの穴が開く。

 

「僕は……越さなくちゃ……いけ……ない…んだ……」

 

零はその言葉を聞いた瞬間、一瞬攻撃が止まった。そして周りの空気も正常に戻って来ていた。

 

「!……なにも努力をしていない癖に何を言う。世界の辛さを知らずに何を言う。自分の恥ずかしさに、愚かさに、無力さに気づいてるんだろ!?」

 

零は攻撃を止め、彼を地面に落とし、彼に言う。

 

「そんな…の分かって…いるさ……でも……どんなに頑張っても……どんなに分かっていても何も……何も変わってくれないんだよ!!僕にはそんな力が元からないんだよ!」

 

「……そんなのは!!自分に甘えているに過ぎない!!

お前は本当に努力をしたのか!限界と言えるところまで努力をし続けたのか!自分のどこが限界なのかを知れ!!

それに元から力が無いだなんて甘えてんじゃねぇ!!努力もしない奴が才能だの能力だの力だの、そんな事を語ってんじゃねぇ!!たとえどんなに力が無くとも!!努力をし続けて強くなったやつだっているんだ!!天才に勝てることは無いだろう!だが!天才に追いつくことぐらいは出来るはずだ!やらずに出来ないなんて言ってんじゃねぇ!!

自分に甘えてばかりじゃ何も変わらない!何も始まらないんだよ!!少し駄目だったからって諦めてんじゃねぇ!!!」

 

零にも思うところがあったのだろう。とても力強く、そして感情を昂らせながら言葉を発している。

 

「……じゃあどうしろって言うんだよ……家族からも、友人からも、自然からも、神からも、自分からも、何もかもから見放されて、嫌われた僕に何が出来るって言うんだよ!?」

 

彼は泣きながら、頭を抱え、膝を床に付けながら声を荒げる。

 

「そんなのただの思い込みだろう!!俺はほとんど何の努力も無しにここまで強くなってしまった!!だからお前の気持ちは分らない!!けれど分ることだって有る!」

 

「じゃあ何が分るって言うんだ!」

 

彼の声はとても必死で、今にも崩れてしまいそうな声で聞く。

 

「お前は寂しいだけなんじゃないのか?一人孤立して、周りが遠ざかって行ってしまう。そんな風に一人でいるのが怖くて、悲しくて、寂しいだけなんだろ?」

 

「やめろ……やめてくれぇ……」

 

「だからそんな力が欲しかった。”神殺し”。そんな力が有れば自分の好きにできる」

 

「いやだいやだいやだいやだいやだ!!」

 

彼の眼には涙が溜まり、声は逃げるかのように早口で発せられている。

 

「……お前とは事情が少し……いや、大幅に違うが俺も……孤独で寂しかったことが有った」

 

零は下を向き、とても悲しそうに語り出した。

 

「…!!」

 

「俺は世界から嫌われていた。全ての神々からも」

 

「……」

 

彼は零の話を静かに黙々と聞いている。

 

「俺には一人血の繋がっていない義妹がいる。そいつは基本何でもでき、よく褒められていた。けれど俺がどんな功績を挙げようと周りは俺を居ないものとして扱っていた。本当に辛かった。誰とも話せず誰とも関われず。ずっと一人ぼっちだった……」

 

「……僕にも、姉と弟が一人ずついた」

 

「!」

 

彼は零の話を聞き、何を思ったかは分らないが話しだしてきた。

 

「姉と弟はとてもハイスペックだった。勉強も運動もリーダーシップもずば抜けていたんだ。けど、僕はなにも特筆することが無い平凡…それ以下の事しか出来なかったんだ……」

 

「……」

 

「それで、僕はいつも比較されて、僕ばっかりいつも怒られていた。最終的には『お前がいるとあの子たちの質が下がる』って、家から追い出された。寺も、施設も国にすら邪魔者扱いをされた」

 

「……そうか、辛かったんだな……」

 

「………そんな時に…”ナニカ”が僕に行ったんだ。力をくれてやろう。って……それからだ……僕がこんな風になっちゃったのは……」

 

「…なぁ良ければ名前を教えてもらってもいいか?」

 

「別にいいよ。僕の名前はルガルド=サールインだ。気軽にサールインって呼んでくれ」

 

彼――――サールインは零に徐々に心を開いてきたのか、少し苦笑いをしながら名前を教える。

 

「ま、どうぜもうすぐ消えるんだけど」

 

零はとてもこの神殺しを哀れに思った。それは聞いていた十六夜たちも同じだった。

 

「……」

 

「……僕は……居る場所が有るだけありがたいのですね……」

 

「……?これは………まさか!?二人とも!!」

 

マルドゥークがいきなり大きな声を上げた。その次の瞬間、神殺しの彼の背中に半透明の白い槍が刺さっていた。

 

「…?これ……は……?」

 

「ッ!!誰だ!?」

 

「全く……俺がせっかく与えてやった力をそんな風に言うとは……」

 

いきなり現れた”ソレ”は一言で表すのであれば、”闇”そのものだ。全身に黒い(もや)がかかっており、姿が見えない。

 

「お前か!!」

 

「あぁ、俺だ―――っと、危ないね。もうすぐで当たってしまうところだったではないか」

 

「へぇ……俺の攻撃を避けるとか……お前すげぇな!」

 

お互いに話し合いつつ超高速で殴り合う。が、お互いそれを完全に避け合う。

 

「……これじゃ埒が明かないし俺は帰らせて頂くよ。それではまた会おう。黒水零君」

 

「……サールイン、大丈夫か?」

 

零はサールインを見る。サールインは背中から槍が刺さった状態でその槍の先端が床に刺さっており、身動きのできない状態で、体が床と離れている状態になっている。

 

「は…は…僕……もうすぐ死ぬみたい……ねぇ、零君……せめて……君の手で殺してくれ……出来れば…初めて僕が人を信用したその人に……殺されたい……もし…嫌…だったら……やらなくていいから……」

 

「……分かった……」

 

零は俯きながら”無”から【ゼロ】を取り出し柄を持つ。

 

「それじゃあな。せめて、良い夢を見られるようにはしておくよ」

 

「……あ…り…が…とう……ばい……バイ……」

 

零は腕を振り上げ、サールインの首目がけて振り下ろした。

 

「御チビ、お前は見るな」

 

「え?十六夜さん?なんですかこの音?何が起きているですか?」

 

十六夜はジンを抱きしめ、ジンが目の前の光景を見ないようにした。

 

「お前は知らなくて良い。それと、十六夜と言う若者よ、貴様は平気なのか?」

 

マルドゥークが十六夜に聞くと、十六夜は

 

「正直言ってキツイ。さすがに人の……こんな光景は見たこと無い。けど、見なきゃならないんだと思う」

 

「……そうか……」

 

その時の十六夜の顔は泣いていた。恐怖、同情、どう思ったのかは十六夜本人にしか分らない。

 

「お疲れ様……」

 

そう言って零はサールインを無の空間へ連れて行った。

 

~side out~

 

~side 零~

 

こいつも哀れなものだ。全てに嫌われ、全てを憎んだ。

 

だがこいつを誰かは知らないが確かに、笑顔で(・・・)殺そうとしてきたやつ……あいつは潰す、どんな事が有ろうと。

 

「すまん、十六夜、しばらく戻れそうにないわ」

 

「なんでだ?」

 

俺が全ての結界を解除して、女性陣だけを”ノーネーム”本拠地へテレポートさせ、十六夜に言う。

 

「ちょっと野暮用が出来た」

 

「……一応聞いておこう。内容は?」

 

「本当に潰すべき存在が見つかった」

 

やっぱりこの世界は狂っている。

 

 

そしてこの世界は

 

 

 

 

 

違和感で満ちている。

 

 

 

 

さぁ、本気の潰し合いを楽しもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side out~

 

~side ―――~

 

零が十六夜たちをそれぞれの居場所に返した後、零は”無の空間”へ向かった。

 

「さて、ここならあいつの居場所も特定できる……あいつの居場所……は……お、いたいた……さっそく行くか……」

 

犯人を見つけたらしくすぐさまその場所へとワープする。そこには―――――

 

「よ、まさか黒幕が仲間の格好をしているとは思わなかったぞ」

 

全員「零!?」

 

十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギなどの先程”ノーネーム”に送った面々が揃っていた。つまり此処はコミュニティ”ノーネーム”である。

 

零は『身内の格好をしている』と言った。では、それは一体誰なのか?そう零を除く全員が思った。

 

「いやぁ、この状態の俺を驚かせるとは凄いもんだ。だよなぁ……ジンの格好をした黒幕さん?」

 

零がそう言った瞬間、全員が一斉にジンの方を向き、戸惑っていた。

 

「正体を現せよ、黒幕さん……」

 

「……ばれちゃあ、仕方ないな。どうも皆さん、一番初めの”神殺し”『レッド・スパイク』です。どうぞ宜しく」

 

「……おい、ジンは何処へやった?」

 

十六夜がレッド・スパイクに問いかけると、黒幕は何食わぬ顔で

 

「え?あのチビッ子くん?あの子ならもう殺しちゃったよ」

 

と言った。

 

「……あっそ……じゃあ失せろ」

 

そう言った零の背後には無数の剣や斧、鎌や槍など、多種多様な武器が先端をスパイクの方へと向けていた。

 

『!?』

 

その事に驚愕していた全員だが、気が付けばスパイクの体には何処からか出てきた鎖が体に巻きつき、零の方向だけを抜いた、半球状に小さな魔法陣が現れる。

 

「あ、結界張るの忘れてたわ。すまん」

 

結界を張った零は右腕を体の方へと曲げ丸め、一気にスパイクに向けて振る。

 

するとその瞬間、零の背後にあった武器達が一斉にスパイクめがけて音速で射出される。それと同時にスパイクの周りにあった小さな魔法陣から次々と様々な属性の魔法弾が撃ち出される。

 

スパイクを針山状態にするまでわずか約コンマ六秒。まさに一瞬の出来事だった。

 

「……はぁ……やっぱどんな奴でも俺を本気にさせる奴はいないのか……いや、技が強すぎたのか……?」

 

零はスパイクを見るが、ピクリとも動かない。その次に十六夜たちを見ると、完全に怯えきっていた。

 

「あちゃー……これは……しばらく会わない方が良いかな。それじゃ、俺はちょっと別のとこ言ってるな。またしばらくしたら会えると思う」

 

そう言って、零は何処かへとテレポートして行った。

 

「あれが……怒った時のお兄ちゃん……?」

 

「……零……あれが……」

 

「ねぇマスター、さっきの零ってどうなっていたか分る…?」

 

「残念だけど全く……」

 

「ヤハハ……どうなってんだよオイ……死体も消えてやがるぞ……」

 

上からアリア、舞、ラッテン、ペスト、十六夜である。この五人とヴェーザーとマルドゥークを除く他の全員は皆気絶していた。

 

思考を正常に保っているヴェーザーとマルドゥークは零に疑問を抱いていた。

 

(零……あいつ何かいつもと違う雰囲気だったな……)

 

と、ヴェーザーが。

 

(零様のあの雰囲気は昔の知り合いに似ている……たしか……”違和感”……まさに違和感の塊のような……)

 

と、マルドゥークが思った。

 

この二人が思っていることは間違っていない。実際、零自身でさえそう思っているのだ。

 

この”違和感”が今後どう関係してくるのかは、零でさえ分らない………

 




いやぁ、零君って怒ると怖いねぇ……あ、最後のVSスパイク戦はfateのギルガメッシュさんの攻撃方法をパク……参考にさせてもらいました。あと、ジン君については大丈夫です。零君が何とかしてくれるはずですので。
さて、話は変わりますが次回から三巻突入と行かせて頂きます。
あ、ネタバレになってしまうかもしれないのですが、もしかしたらオリキャラが何人か離脱する可能性があります。ご了承ください。
……あれ?そう言えば了承してもらう事多くね……?
そう思ったそこの貴方、まったくもって正論です……
すみません……
こんな作者や小説ですが、次回も読んで頂けると嬉しいです。
では、次回までサヨウナラ。

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