Jumper -IN CHRONO TRIGGER-   作:明石明

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どうもこんばんわ、今回のサブタイを考えるのに5分以上を費やした作者です。

さて、今回は自分でもやらかした感が満載の話となっております。
どんな感じにやらかしたかというと……まあ、本編をご覧になっていただければわかるかと。


それでは本編第17話、どうぞご覧ください。


第17話「身の上話と自分の想いと」

「――これが虹の貝殻か」

 

 

 体力が回復しいざ虹の貝殻の元へやってきた俺はまずその神秘さに見惚れた。

 貝殻と呼ぶには大きすぎる――高さおよそ1メートル、直径は2メートル以上と推定――そのサイズ。まだ魔力の見極めが素人だが、そんな俺にもわかるほど高密度に秘められた魔力。そして魔力が漏れ出て辺りに漂う虹色の燐光。いずれも元いた世界では一生かかってもお目にかかれないものだ。

 そして原作通りにとてつもない重量があり、全てを持ち運ぶには明らかに人手が足りない。というか亜空間倉庫にも収納できないとかどんな素材で出来てるんだよこれ。

 

 

「ミコトさん。確かにこれは素晴らしいものですけど、これをどうするつもりですか?」

 

「ん? ああ、俺が手に入れた情報ではこの虹の貝殻は特殊な素材で出来ていて、様々な魔法や症状から身を守る力があるそうなんだ」

 

「なんと、この貝殻にそんな力が宿っているのですか」

 

「そこでだ。こんなハイスペックな貝殻を素材にして防具を作ったら、どんなものが出来上がると思う?」

 

 

 そこまで聞いて理解したのか、全員がハッとした顔になる。

 俺はニッと笑みを浮かべ、解答を告げる。

 

 

「魔法に対する防御力が大幅に上昇し、毒や混乱と言った状態異常から身を守ってくれるという高性能な防具が出来上がるってわけだ」

 

「それはすごいですな。しかし、素材にするということはこの貝殻を削ると言うことになるのでは?」

 

「むぅ、それは少々もったいない気がしますな」

 

「だがこの素材はどうしても必要になる。アレに勝利するためには、使えるものを総動員する必要があるからな」

 

 

 サラに目配せしながら説明すると、彼女も何に対してのことなのかを理解したようだ。

 ただ今回作るものは非常に限られたものとなるだろう。なにせ原作だとプリズムメットを3つ作るのに必要な量がプリズムドレスを一つ作るのと同じ量が必要になり、その後さらに攻撃力を超強化する虹のメガネとクロノの最強武器である虹を作るんだからな。

 しかもマールのイベントを進めるためにはガルディア城の家宝にするため最低限の形と簡単には運びだせない重量は残しておかないといけないし、かといって取り過ぎを警戒しすぎて防具を作るのに必要な量が作れなかったらそれこそ本末転倒だ。

 必要な量がわからないなら加工してくれる人を連れてくるのが一番手っ取り早いんだが、それだったら原作通り偽大臣のヤクラ13世を倒した後の方が効率がいい。

 けどそれだったら俺たちでここを攻略したメリットが薄れるんだよな。大きな目的としてはレベル上げだったし、言い方はアレだがこの虹の貝殻はついでといってもいい。

 しかしこうして実物を前にしている以上、やはりガルディア城の騎士たちに回収されるより先に材料を確保してボッシュに加工してもらったほうがいいだろう。

 

 

「削るぞ」

 

 

 サテライトエッジをツインソードで呼び出すと一本だけ手にして貝殻の末端から50センチほどの位置に刃を突き立てる。少し力を込めると――意外なことに――刃はあっさりと貝殻を貫通し、そのまま縦の曲線に沿って切り分ける。

 内側のほうは削りすぎないよう少し余裕を空けて刃を通し、切り取った部分は小さく削らずそのまま持ち運ぶことに。これは加工の際に大きさが足りないという事態が発生したときに備えての措置だ。

 しかしこれだけでも結構な重量があり、一人で運ぶには厳しい重さだ。

 

 

「ガイナー、マシュー、オルティー、頼めるか?」

 

「「「お任せください」」」

 

 

 三人に頼んで持ち上げてもらい、俺たちは来た道を引き返す。原作ではここから脱出するときははしごを使用していたが、ここでは普通に道があった。

 ただし高さ数メートルから飛び降りることが前提となっているので、降りるときは俺がブーストアップを使う必要がある。洞窟を抜けるまでしんどい思いをするが、仕方ないか。

 その後は敵と遭遇することなく抜け道を通過し予定通り俺がブーストアップで貝殻を、ガイナーがサラを下ろし洞窟から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 外に出るなり即行でシェルターを展開しベッドで体を休めていた俺は急速に目が冴えていくのを感じた。体を起こして備え付けの時計に目をやると、最後に確認した時間からしてざっと4時間は眠っていたようだ。

 体調は万全。明日にでもチョラスで物資を揃えて直接トルース方面へ向かって航海するもよし。パレポリに向かってから地底砂漠のメルフィックを倒しにいくもありだ。ルストティラノに比べたら耐久力ももろく勇気を何発か使えば終わるだろう。

 しかしそれなりにでかくて重い虹の貝殻を運んでいる以上、ここはさっさと現代でボッシュに加工してもらうべきだろう。ただ大きな問題として――――

 

 

「クロノたちが待機している時の最果てのゲートを使わないとダメなんだよなぁ……」

 

 

 原作通りなら今頃マールたちはまだクロノの復活に時間を割いているか、すでに復活させて他の時代へ移動しているかだ。

 しかも魔王が味方についていた場合、俺の正体を知らされている可能性が非常に高い。そう考えると誤魔化し通すのももう限界がある。

 

 

「ここらが潮時、ということか」

 

 

 ここまできたらもはや隠し通す理由もない。それに俺自身の行動範囲にも限界がある。まともな移動手段が充実しているのがこの中世だけだし、訪れたことのない未来や原始は知識はあれどまさに未開の地といっていいだろう。

 ならばこちらから接触して協力関係を気づいたほうが圧倒的に有利だ。そうなればまずやるべきことは、彼女たちに俺の身の上を説明することだな。

 これはもう必要不可欠なことであり、最果てに行った後は隠し通せることでもない。ならば早めに説明するのがいいだろう。

 そう、必要なことなんだが――――

 

 

「……なんでこんな乗り気じゃないんだろうな、俺」

 

 

 説明が必要なのはもう変えられないことだし、俺もいつか話そうとは思っていたことだ。

 だというのにどうして今、こんな気持ちになっているんだろうか。

 

 

「……悩んでもしかたない、腹を括ろう」

 

 

 膝を叩いて立ち上がり、俺はサラとガイナーたちに声をかけこのシェルターの最後の一室に集めた。

 

 

「して、御館様。重要な話とはいったいなんでしょうか?」

 

「まあ焦るな。 ――さて、何処から話そうか……」

 

 

 腕を組んで少し間をおき、不思議そうにこちらを見るサラの顔を見て俺は決意を固めた。

 

 

「――単刀直入に言おう。俺はこの世界とは別の世界の人間だ」

 

 

 

 

 

 

 尊の発言を受け、サラは一瞬思考が停止した。

 何処か言いづらそうな雰囲気を纏いつつ告げられた言葉は彼自身が別の世界から来たというあまりにも突拍子のないことだったからだ。

 

 

「御館様、別の世界の人間というのは……」

 

「そのままの意味だ。並行世界、パラレルワールド、言い方は様々ではあるが、間違いなく言えるのは、俺はふざけた理由でこの世界に飛ばされてきたということだ」

 

「ふざけた理由? どのような理由でしょうか?」

 

「俺の世界にはどうやら神様が部署を作って働いているらしくてな、死んだ人間に生きることに未練があるならいろんな特典……例えば超人的な身体能力とか娯楽の中の兵器、望むものを与えて別の世界で新しい人生を歩めるようにしていたらしいんだ」

 

「死んだ人間? ということは御館様は――」

 

「そこにふざけた理由があるんだよ。なんでも俺の生活していた場所を管理する神が調子に乗って生きたままの俺を別の世界に飛ばそうとしやがったんだ」

 

「なんと……」

 

 

 ガイナーたちは呆れた。神と聞いてもっと高尚な存在だと思っていたのだが、話を聞けばいい加減なことしかしていなかったのだ。

 

 

「無論、しっかり仕事をしている神様もいるのはわかっている。事実、魔王城のゲートに導かれて俺は世界と世界の間――次元の狭間とも言うべき空間でその人に会っているからな。ちなみに、俺がこの世界にきた理由もそこで教えてもらった」

 

「……む? では何故、御館様はここにおられるのですか? その神様にお会いできたのなら、元の世界にお戻りになることもできたのでは?」

 

「――ラヴォス」

 

「――っ!」

 

 

 その一言でずっと黙って話を聞いていたサラが息を呑み、唐突に理解した。

 

 

「ラヴォスの影響でミコトさんが元いた世界に戻れない、ということですか?」

 

「可能性があるという言葉がつくが、概ね正解だ。そして次元の狭間を抜けて魔法王国ジールに流れ着きサラ、君に出会った」

 

「……そうですか、あの時に。ではあの怪我は」

 

「魔王とやりあったときのものだな。 武者修行なんて嘘をついてすまない、ただあの時はそう言わざるを得なかった」

 

「いえ、流石に別の世界から来たといわれても私も納得しなかったでしょうし」

 

「いや、他にも理由があったんだ。むしろこれが一番、全員にとって衝撃的なことかもしれない。実はこの世界は……」

 

 

 今までで一番言いにくそうな表情をしながらも、尊はずっと黙っていたことを明かす。

 

 

「――この世界は俺からしたらゲーム、つまり娯楽の中の世界だったんだ」

 

 

 その告白に流石の4人も言葉を失った。自分たちが生きているこの世界が、彼からすれば架空の中でしか存在しなかった世界と知らされればそれは計り知れない衝撃だろう。

 

 

「俺はゲームとしてクロノたちを動かし、そして気が済むまで敵を倒し、ダンジョンを攻略した。そこで得た知識を元にここまできた。だから知っていたんだ、海底神殿での出来事やこれから起きるであろう事、そして――本来なら既にサラがここにはいないことも」

 

「私が、いない……」

 

「俺の知っている知識では海底神殿の崩壊を境に行方不明になっている。俺はいつも画面越しの君が報われないなと思いながら先を進んでいた。だがこの世界で君に出会ったことでその未来を変えてやりたいと思ったんだ。その頃にはこの世界は現実のもので、みんな俺たちと変らず生きているんだということは理解していたからな」

 

「ではガッシュに頼んでつけてもらったというあの装置は……」

 

「察しの通り、海底神殿から確実に助け出すために頼んで設置してもらった。まあ、脱出した先でラヴォスの出現に出くわしたのは完全に予想外だったけどな」

 

 

 苦笑いをして頭をかき、尊はさらに続ける。

 

 

「俺の知っている流れと同じならクロノは時の賢者のアドバイスと理の賢者のサポートで生き返る。そして力を蓄えてラヴォスを倒し、それで物語は終わる」

 

「! ハッシュとガッシュは生きているのですか!?」

 

「彼らはラヴォスのタイムゲートに飲まれてそれぞれ別の時代へと飛ばされた。時の賢者は時の最果てと呼ばれる場所で生活していて、理の賢者はラヴォスに滅ぼされた未来で精神を病み、研究の末亡くなった」

 

「……そう、ですか。ではボッシュは?」

 

「命の賢者はクロノたちの時代で平穏に暮らしている。俺もこの世界に着たばかりの頃、身を守るために防具を買わせてもらったよ」

 

 

 その答えに満足したのかサラは少し安心したように息をつき、そしてふと気付いた。

 

 

「あの、私の弟のジャキはどうなりましたか?」

 

「あー、彼は生きているが、その……」

 

 

 再び言いにくそうな尊を見てサラは首をかしげ、もしやと思いたずねる。

 

 

「もしかして、あの予言者ですか?」

 

「……正解」

 

 

 心当たりがあったのかと思いながら尊は補足を加える。

 

 

「彼はこの時代から少し前に飛ばされて、ラヴォスに復讐すべく魔族の王となった」

 

「なっ!? ということは魔王はサラ様の弟君となるのですか!?」

 

「ああ、だからあまり言いたくなかった。生きてはいるがどんな状態かと問われれば答えにくかったし、命のやり取りをしたなんてもっと言いにくかった」

 

「いえ、生きているとわかっただけでも十分です。ですが、今はどちらに?」

 

「俺が推測できるパターンは二つ。ひとつはクロノたちに協力して行動をしている。もうひとつは……言いにくいが、この時代での決着を古代でつけてすでに死んでいるかだ」

 

「……ミコトさんは、どっちだと思いますか?」

 

「俺の予測は前者だ。奴も俺の正体を知りたがっていたから、早々命を張るようなマネはしないだろう」

 

「なら、きっと大丈夫ですね。何処へ行けば会えますか?」

 

「この時代にも時の最果てに繋がるゲートがある。明日、チョラスで道具をそろえてから船で直接トルースへと向かうつもりだが……どうするかは聞くまでもないな」

 

 

 訊ねる間もなく尊がそう判断したのは、彼女の瞳が絶対についていくと雄弁に語っていたからだ。

 

 

「さて。いろいろ話したが、何か聞きたいことはあるか? というか、ガイナーたちはこんな俺でもまだついてきてくれるのか?」

 

「愚問ですな、御館様」

 

「然り。我らの主はあなた様のみ。何処の世界からいらっしゃったとしてもそれは変りありません」

 

「何より我らは御館様に仕えたからこそここまでの強さを得ることができました。あなた様のお役に立つこそが我らの願いであり、誇りであります」

 

「……ありがとう」

 

 

――仕えると言われた当初こそ戸惑いはしたが、今なら自信をもって言える。

 

 

「俺は自慢の臣下を得られて最高だ」

 

「「「恐悦至極に御座います」」」

 

 

 ガイナーたちの言葉に満足し、今度はサラへと向き直る。

 

 

「私も彼らと同じです。いろいろ驚かされることは確かにありましたけど、それ以上に私は助けられたという事実があります。感謝をすれど見損なうようなことはありません」

 

「ありがとう。――それじゃあ、明日の朝一でトルースへと船を出し、時の最果てに向かう」

 

「我々はいかがいたしましょう?」

 

「すまないが魔物であるお前たちがついてくれば話がややこしくなりそうだから、今回は残ってくれ。その間、可能なら情報収集を頼む」

 

 

 この時代で残っているイベントが緑の夢と勇者の墓、そしてビネガーの館の三つしかないのは既にわかっているが、他に何かないか念のため調べてもらおうと尊は考えた。

 

――黒の夢を見かけないのがどうも気になるが、これから古代で潰すことに成功してもうなかったことになっているのか?

 

 そう考察しながら尊は解散と休養の指示を出し、自分の部屋へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 ベッドにどかっと腰掛け大きな息を吐く。

 ぶちまけた、本当にいろいろとぶちまけた。

 自分のことやこの世界のこと、そして個人の行く末まで現段階で話せることは伝えきったはずだ。

 しかし彼女たちは受け入れてくれた。そのことがとてつもない安心感を与える。

 

 

「……そうか、俺は怖かったのか」

 

 

 今回の話は俺の異常性を知ってもらうことと同義だった。その話を聞いた上で彼女たちの対応が変るのではないかと恐れていた。それが話す前に感じた乗り気でない気分の正体だったのだろう。

 だが蓋を開けてみれば全員が変らず接してくれ、悩んでいたことがどうしようもなく小さかったことのように感じられる。

 心配しすぎたということだろうか……いや、これ以上考える必要はないか。俺を受け入れてもらえた、その事実に変わりはないのだから。

 そうとわかれば、後は明日に備えて寝ると――――

 

コンッコンッ。

 

 

「ん? どうぞ」

 

 

 不意に鳴ったノックへ入室を促すと、おずおずとサラが入室した。

 ――なぜか枕を抱きしめて。

 

 

「と、突然ですみません。あの、少しお願いがありまして」

 

「……うん、なんとなく察したけど、なんだ?」

 

「……い、一緒に寝ても、いいですか?」

 

 

 ……予想通りというかなんと言うか、まずどうしてそんな思考に至ったのだろうか。

 

 

「……一応、理由を聞いてもいいか?」

 

「その、お、お礼がしたくて」

 

 

 頬を赤らめて恥ずかしそうにそう告げるサラ。

 ヤヴァイ、なんかいろいろヤヴァイ。こっちまで顔が熱くなってやがった。

 

 

「……ま、まあ、適当に座ってくれ」

 

「あ、はい。――失礼、します」

 

 

 そそくさと移動し俺のとなりに腰を落とす。……えーっと、これは……。

 

 

「――あ、あの」「――な、なあ」

 

「「あっ」」

 

 

 いろいろと声が重なり気まずい空気が余計に気まずくなる。

 漫画とかドラマでしかないと思った展開だけど、こういう時ってどうすりゃいいんだ……。

 

 

「み、ミコトさんからどうぞ」

 

「そ、そうか? ――えっと、お礼って、どういうことだ?」

 

 

 とりあえず最初に聞いた理由を深く知るべく確認するように訊ねる。

 

 

「……ミコトさん、私を海底神殿から連れ出すために母に取り入ったんですよね」

 

「ん、まあそうだな」

 

「あの時に母を止めることは……出来たのでしょうか?」

 

「……残念だが、あの段階では止めようがなかった。止めれたのかもしれないが、俺の知ってる歴史から大きくずれてしまったらと考えた時に俺は確実性を取った。少しでも確実に君を助けられることを考えてな」

 

「そしてミコトさんが知る歴史から大きくずれることなく、私は上手く助けられたということですね」

 

「そういうことになる。 ――もしかしてお礼って言うのは」

 

「はい。ミコトさんが助けに来てくれなければ私もどうなっていたかわかりませんでしたし、ジャキやクロノたちの行く末も知ることはなかったでしょう。もしかしたらこの世界に絶望したまま命を落としていたかもしれませんし、自分が自分でなくなってしまっていたかもしれません。ですから、私は私のまま助けてくれたミコトさんにお礼がしたいんです」

 

 

 なるほど。ゲームでの自分の結末を知り、それとは違う未来を進ませてくれた俺に対してのお礼ということか。だけどなぁ……。

 

 

「……この流れでお礼って言うのは、そういう風に捉えられるってわかってるか?」

 

「それは……重々承知しています」

 

「だったら自分の部屋に戻れ。そういうのは、自分が心に決めた人へやるもんだ」

 

 

 サラ自身、今の自分が出来る精一杯の礼を考えた結果なのだろうが、流石にそれは違うだろ。

 少しきつめの口調でそう突きつけ、俺は熱くなってきた頭を冷やすべくシェルターを出ようと立ち上がる。

 ――が、それは捕まれた腕によって中断させられた。

 

 

「――……なら」

 

「っ、サラ?」

 

「心に決めた人なら、いいのですね?」

 

「……おい、それはどう――――!?」

 

 

 振り向いた瞬間、口が柔らかいもので防がれる。そして目の前には――――俺との距離が0になったサラの顔。

 俺は金縛りに体が固まり、頭が軽いパニックを起こした。

 何が起こった?

 キスされた?

 サラに?

 何故?

 わからない。

 だが……心地いい。

 

 

「……っ! サラッ!?」

 

 

 正気に戻ると同時にサラの腕が俺の背中に回る。心臓がドクンドクンと激しく脈動し、凄まじい勢いで血液を循環させる。

 

 

「私の心に決めた人……それはあなたです、ミコトさん」

 

「……本気、なのか?」

 

「最近までこの気持ちがなんなのかはっきりしませんでした。ですが、あなたに言われてはっきりしました。 私は、ミコトさんのことが好きです。自分の一生を捧げてもいいと思うほどに」

 

 

 迷いなく、そして真っ直ぐに放たれた言葉。強い意志を秘めたそれは俺の心に深く刻まれ、同時に自分の奥から湧き上がる感情を把握させ、これは受け入れるしか選択肢がないと理解した瞬間、俺はサラを抱きしめた。

 

 

「――――俺も、君のことが好きだ、サラ。一生をかけて守りたいと思うほどに」

 

 

 いつからこんな気持ちを抱いていたかはわからない。だが、この気持ちに偽りはない。それだけは堂々と胸を張っていえることだった。

 そこから言葉は要らず、俺たちの距離は再び0となった。

 




えー、というわけで暴露回と告白回でした。
うん、早すぎた感が否めないし告白に至るまでの描写が足りていない気もしますが、勢いのままくっ付けてしまいました。
え、最後の後どうなったかって? ナニかしたんじゃないですかね。(明後日の方向を見て)
これが今後どのような影響を与えるかは作者にも未知数です。
プロット通りに進めているはずなのになんででしょうか……。

次回はサラを連れて最果てやらボッシュの小屋やらに向かう予定です。
最果てで再び暴露シーンが発生しますが、キンクリが発生して終わりそうです。

さて、今回はこのあたりで失礼します。また次回にお会いしましょう。

           ザシュッ
え、魔王の反応? そりゃ(ここから先は血で染まって読めないみたいだ……


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共通ステータス
名前:月崎 尊(24)
属性:天・水

魔法・精神コマンド
努力     MP2
サンダー ★ MP2
アイス  ★ MP2
集中     MP4
加速     MP4
ケアル  ★ MP4
熱血     MP6
レイズ  ★ MP10
勇気     MP20
アイスガ ★ MP8
ケアルガ ★ MP5
サンダガ ★ MP8
???
???

※勇気について
「熱血」「必中」「不屈」「加速」「直撃」「気合」が同時にかかる
「必中」……次の攻撃・技・魔法が必ず当たる
「不屈」……最終ダメージを10%に軽減
「直撃」……バリア、防御系魔法、上昇した防御力を無力化
「気合」……ダメージ1.5倍
「熱血」と「気合」の効果で最終ダメージが3倍となる
ブーストアップと併用不可

特殊スキル
UG細胞改
亜空間倉庫
ブーストアップ
次元跳躍
底力(Lv6)
???
???


次元跳躍について
 └神の気まぐれによって付与された特典能力の一つ。
  特定条件(サテライトエッジに月の光を吸収させ続けると第7の形態として無作為に別の世界へ転移する扉<サテライトゲート>に変形する)を満たすか自分のすぐ近くで転移が起こるとそれに誘発されて別の世界へ飛ばされてしまう。また、クロノ世界ではゲートをくぐる際にゲートホルダーを必要としない。
  本来なら大量の魔力を消費するだけで転移の際に行きたい世界へ移動できるはずだったが、最初の転移で起こったエネルギーの暴走と謎の力の干渉で狙った世界へとうまく移動できなくなってしまった。
底力
 └体力が一定数以下になると攻撃力と防御力が上昇する。スパロボのアレである。

クロノ世界でのステータス
Lv   :45
HP   :588
MP   :86

力   :75
命中  :20
すばやさ:14
魔力  :71
回避  :22
体力  :93
魔法防御:68

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