Muv-Luv Alternative×創世奇譚アエリアル とある確率分岐世界    作:†バレット†

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指針

――――――スター・ノア ブリーフィングルーム

 

東郷少佐と工藤少佐に睡眠を取るように促した後、エインズレイ長官は各方面の中心人物を集めてこれからの方針を決めるべく作戦会議を開いていた。

 

整備員のトップであるマスターチーフにエインズレイ長官の補佐官である美咲補佐官と鹿島補佐官、コーンウェルDM戦闘団司令に参謀長官、ブライアン艦長そしてAXIAの約8人がこの場に集まっている。

 

丁度今、エインズレイ長官が、ブライアン艦長と共に聞いてきた情報をこの場にいる全員と共通し終えたところであった。

 

「なるほど……この場所がこれ程荒廃した土地であったのにはそのような宇宙生物と戦っている最前線であったからなのですね……」

 

「G弾……だったか、何故アメリカは……我が祖国はそのような核以上に危険だと言われる兵器を……しかも無許可で運用したというのだ!?」

 

世界は違うが、信じた祖国に裏切られたと言わんばかりに机を叩き付けるコーンウェル司令。

 

この世界に来て1日も経っていない自分達に、とても各国の事情を察する事など出来るはずが無い。だがしかし、それでもこの対応はあまりにも酷過ぎる。

 

例えアメリカが撃ったG弾のお陰で人類初のハイヴ攻略が成し遂げられたとしても、正直素直に受け止められない、日本人がアメリカ人にそういう感情を抱いてしまうのも納得だ。

 

 

『――香月博士も全ては語らなかったようですね。私がハッキングして調査した情報を伝えようと思うのですがよろしいですか?』

 

(ハッキング……少しばかり後ろめたくもありますが、情報が完全ではない今です、手段等は選んでいられないですね……)

 

「AXIAお願いします。今の私達には何よりも情報が必要なの、これからの身の振り方のためにもです」

 

『――Yes,Ma'am.それでは私が入手したオルタネイティブ計画の説明をさせていただきます……』

 

 

AXIAから語られたオルタネイティブ計画、それはBETAとの意思疎通を目的にした計画から始まって、現在は香月博士が主導するオルタネイティブ4へと移行しているらしい。

 

 

(どうやらこの計画の事が、あの時教えてくれなかった香月博士が主導している計画のようね)

 

 

それの予備計画としてアメリカが抱えているオルタネイティブ5から度々妨害工作を行われているらしい。

 

この地にG弾を無許可で撃ったのも、その有効性を知らしめるためだとか……。

 

「……オルタネイティブ5ではそのG弾を大量投下するんでしたね? それによる地球への影響は大丈夫なのですか?」

 

大丈夫な筈がない、それは今いるこの地上を見渡せば分かる事なのだが、どうしてもエインズレイはそれを知りたかったのだ。

 

『――計算の結果、G弾の大量投下による集中運用により、地球に重力偏差を生み出し、海が偏りユーラシア大陸を水没させる超巨大津波を引き起こされます。

その後、重力偏差により海水のほとんどを失った偏った海底は干上がり、塩害の大地と変り果て、大気も重力偏差の影響を受け、各地に無酸素地帯も出来上がってしまう事でしょう』

 

「そんな……事が……」

 

「……っっっ! 地球上には多くの人が残されているんだぞ!! それで一体どれほどの人物が生き残れるというんだ!!」

 

「いや、そもそも人が生き残れるかどうかも怪しいわね、そんな世紀末のような時が来るなんて……」

 

美咲補佐官、コーンウェル司令、鹿島補佐官が顔を青くさせて絶望的なその光景を想像しているのだろう。

 

「AXIA……その計画はオルタネイティブ4……つまりは香月博士の計画が頓挫した際に発動する。間違いはないのですね?」

 

『――Yes,Ma'am.香月博士の計画が頓挫した場合即座に計画は切り替えられるでしょう。そして、未だにこの世界から脱出する方法が分からない私達は巻き添えを喰うことになるでしょう』

 

「でしょうね……。分かりました、私達は最大限博士の計画を支援しオルタネイティブ5への移行を阻止する事を今後の方針にしようかと思います、異存はありますか?」

 

エインズレイ長官が全員をゆっくりと見回すが、否定的な態度を取るものは1人もいなかった。

 

それを確認してほっとするように息を吐いたエインズレイ長官にコーンウェル司令が豪胆な笑い声を響かせながら口を開く。

 

 

「長官、皆馬鹿じゃないぞ。幾ら敬愛する祖国の計画とは言え滅亡が分かり切っている物に乗れはせんさ!」

 

「……ありがとうございます、コーンウェル司令。AXIA、他に何か得られた情報はありますか?」

 

 

『――Yes,Ma'am.あと2つほど重要な案件が。――どちらもこの世界の人間は気付いていないと思われる情報です』


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