前世でやる気のない転生者が女神補佐を目指します。 step1 めだかボックス   作:呪壊 赤城

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大変長らくお待たせして申し訳御座いません。

まさか、あれから半年掛かるとは………
果たして、あれコイツ誰だっけ位に思われても仕方ないよな~な駄作者呪懐 赤城です。

精進します………

そんなわけで半年振りの本編です。


第56攻 「お伽噺の英雄と。」

―教えてくれないか?鶴戯が何処に行って何をしようとしているのかを、さ。前世持ちの櫟野依哉(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ちゃん。

 

安心院の言葉に内心動揺する。別に知られて不味いわけではないがこればかりはそれこそ前世の癖ってやつだ。・・・まぁ、素直に頷くのも癪だってのもあるかねぇ。

 

「・・・前世か。なんでアタシがそんな厨二染みた事を否定しないと思ってるんだい?」

 

そう問いかけると、笑いながら「その完全否定が何よりの証拠だろ?」と言われてしまった。

しかも真剣な眼差しで安心院がアタシの目を見つめてくるもんだから、これ以上はぐらかすことは出来ないと観念したアタシは溜め息を吐きつつも、重たい口を渋々開けることにした。

 

「その前に、1つ意地悪な質問なんだが、アタシの興味本意で聞きたい。アンタならそのアブノーマルやらマイナスのスキルでアタシの心を視るなり、無理矢理口を割らすなり出来るだろう?何故しない?」

 

醜い大人の―といったらそれこそ彼女の方がアタシなんかより数千万以上大人なんだが―精一杯の出し渋りに彼女はこう答えた。

―「君の口から直接聞きたかった」と。

真剣に、視線を真摯に向けて。

 

・・・こりゃあ、考えるまでもなくアタシの負けだよ恋する青春乙女。・・・ハァ、仕方ない。

 

「・・・何を聞いても後悔は・・・いや、野暮だったね。」

 

とはいえだ。アタシが知ってるのは6歳から数年間だ。あくまで、アタシが知ってる『めだかボックス』の内容をアイツが覚えてて、尚且つ、アイツがこのお嬢さんをキャラとしてではなく、一人の友人として、異性として、大事にしたいって思ってる前提で考えた場合だけでしか、この推測は使えない。

 

 

そう思いつつ、あくまで、推測でしかないが。と前置きして教えた。

 

 

 

 

 

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「・・・で、なんで先輩はあたしに引っ付いて来てるんですか?」

 

鬱陶しそうに、いや実際に鬱陶しいと思ってんだろうけど、不知火に実に鬱陶し気に何度目となる台詞を言われた。

 

「なンでって聞かれても、お前の里に用があるからって・・・これ何度目だよ。」

 

「・・・それに話し方変わってません?」

 

向こうも分かってると言いたげに話を唐突に変えてきた。言いたいことは分からなくもねェけど。

先日までの括弧付けた口調が突然普通の口調に変わってたら誰だってびっくりする。俺だって自分じゃなけりゃあびっくりするわ。

 

まァ、それだけ余裕がねェってのもあるけどな。

 

「あー、イメチェンってやつだよイメチェン。」

 

「まぁいいですけど。・・・で、いい加減付きまとわないでくれますか?ロリコン先輩。」

 

うっわ塩対応。俺に対しての視線が中学生達が禊に向けてたものと同じレベルの冷たさだ。

一線引いてる所じゃねェな。全くもって俺には関係ねェけど。

 

「ロリコンじゃねェ。そもそもお前をそういう対象として見る気は更々ない。それに大食いチビっ子のに欲情する気はねェよ。」

 

「何気に酷すぎませんか?ストーカー先輩。」

 

事実述べてるだけなんだがな。良くて妹分位にしか見えないな。なンせ幼女見たとこでそこまであれだし。・・・まァ、瞳先生は別にして。

あの人は合法ロリだし問題はない。

そもそも、離婚したとはいえ子持ちにしては美人だなって位だしな。あと、ストーカーも歪んだ恋愛云々だった気がするが?不知火はどれだけ俺をロリコンに仕立てあげてェンだよ。

 

「ストーカーもないな。」

 

「じゃあ不審者。」

 

「不審者?大いに結構。不審者は間違いじゃねェな。そこに狂犬注意も追加してくれ。」

 

と軽口を叩いていると、急に不知火が真面目な顔になった。

 

「・・・ふざけないで下さいよ先輩。本当に、本当に、ついてこないで下さい。」

 

「・・・別にふざけてねェよ。俺だっておふざけでここまで付いてきてる訳じゃねェ。」

 

ある意味不知火にとってはふざけているように聞こえるかもしれねェ。正直なとこ、これが俺の杞憂で、本当に不知火が家の仕事の為に嫌々ながら帰郷するってンなら大人しく帰る気だ。

 

・・・でもまァ、近付くに連れて嫌な気配がひしひしと伝わって来てるから間違いって事はなさそうだな。

 

半纏の本能を考えると、想像出来ない事ではなかったし、なじみが言ってた奴の強さを考えると納得せざるおえねェけど、どうしたモンか。

だが、確認はしねェとな。

 

獅子目言彦(死に損ないの英雄)に会いに来た。」

 

「っ!?」

 

反応からして当りか。

・・・全く、毎度の事だが、全然嬉しくねェ予知夢だな。でもまァ、納得は出来た。

なじみが死ぬ(・ ・ ・ ・ ・ ・)のは奴と戦うからだ。

 

「あひゃひゃひゃ☆何言ってんですか?獅子目言彦なんて居るわけないじゃないですか!」

 

「俺は獅子目言彦なンて言ってねェぞ?その言い方はやっぱり、いるのか。お伽噺の英雄が。」

 

「・・・どうでしょう?でも、仮に居るとして、獅子目言彦に会おうなんてしてんですか?死にたいんですか先輩。」

 

言い方的にビンゴかこりゃあ。

だが、死にたい、か。・・・ないな。まァ、それで死ンじまったら死ンじまったで仕方ねェけど、ただで死ぬ気はねェな。

 

「死ぬ気はねェよ。ただ、お茶くらいしてみようかと思ってな。お伽噺の英雄と。」

 

「・・・やっぱり、ふざけてますよね先輩。」

 

「ふざけてねェって。ま、俺はお前が家業に専念するってンなら止めねェよ。お前がその仕事に信念持ってやってンならな。」

 

信念なんか持ってなくても、俺は連れ戻す気はねェけどな。・・・あいつ等はどういうか知らねェけど。

 

「・・・先輩。はっきり言って似合わないですよ。先輩がそういう台詞言うとか。」

 

「だろうな。俺もわざわざ面倒なことしてお前を連れて帰ろうなンざ思ってねェし。ま、そンなわけで、里までの案内頼むぜ。お前が仕事でやンなきゃなんねー事があるように、俺も獅子目言彦に会ってみなきゃなンねェ事があンだ。例えそれで死ンじまっても後悔はねェくらいにな。」

 

「・・・・・・。」

 

死ンじまっても構わないとは言わない。だが、俺が出来ることをしたい。それで俺が死ンでも、それでなじみが生き残るなら後悔なんざねェな。

 

・・・本当、我ながら似合わねェ事してンな。

 

 

 

・・・ああ、くっそ。

なじみに言われた事気にしすぎじゃねえか俺!!

あー、これもう俺完全なじみの事そういうアレとして見てる確定じゃねェか!!

俺はアレか!ゾッコンになると見境無くなるってタイプだったのかよ!!

てか元の性別考えると俺はレズだったのか!?

・・・いや、別にそういう感じで同性を見たことは・・・ってよく考えたら、壱夏位しか俺の周りに同性居なかったなおい。

 

「先輩は・・・本当、滅茶苦茶ですよね・・・」

 

若干の現実逃避に走っていると、不知火は小さな声でそう言った。そう言えば、前世の時もンな事言われてたな。・・・で、前世の時は色々やらかして恨まれまくってた挙げ句、死に方が余りに呆気なかった訳、だが。

 

「・・・滅茶苦茶やって、馬鹿みてェに命晒すしか知らないだけだ。命捨ててまで守りてェ程大事な奴は今まで居なかったし、餓鬼の頃は邪魔になってたら消してたしな。」

 

前世は本当クズだったな俺。いや、今でも、クズだけどな。最後までコイツらの選択を見ていたいってだけの理由で、禊達が来るまで余り目立つことしなかったしな。

来てからだって、そこまで命かけるようなことはしちゃいねェし。

 

「凄いクズですね。」

 

「だな。」

 

否定できねェな。

・・・でも、そンなクズの俺が、本気で好きだって思う奴が出来て、ソイツの事を守りてェなンて思うようになるとはな。

・・・ゼウスの奴が言っていた選択は、つまりはこれの事なンだろう。

奴の思い通り動いているのは癪だが、そうしねェとなじみが殺られるのは目に見えてる。

夢じゃあ、獅子目言彦になじみが撃たれる瞬間から何時も始まっていた。だから、どのタイミングで起きるのか、それが全く分かってねェ。

それで、元凶を初めから潰そうかと獅子目言彦が居そうな不知火の故郷に当たりを付けた訳だが、こうなるなら記憶消さない方が良かったか?

・・・いや、俺が消さなくてもどっちにしろ亜沙が消してただけだな。

 

「・・・・・・輩!・・・聞いてないですよね?着きましたよ。」

 

グッと、不知火に裾を引かれる。

それに気付くと、呆れた顔で不知火は道を指した。

里の入り口だろう其所には、漆黒宴の時の変態共・・・基、影武者達と座敷わらしがいた。

 

「・・・大任を終えてお疲れ、と言いたいとこだが、そちらは御客人かい?」

 

座敷わらしがそう言い、俺へ視線を向けた。

じっとこちらを覗くその目には、明らかな敵意があったが、どちらかと言えばさっさと去れと言いたげに感じた。

 

「驚いたな。帯、お前まだ引退してなかったんだ。まぁ良いか。そうだよ、こっちの悪人面は職場の先輩だけど、変わり者でね。この里をどうしても見たいって言うから連れてきた。」

 

「へぇ・・・・・・お前が連れてきたなら戻りたいからとかいう訳じゃあないか。何もない所だが、ゆっくり見学でもしてってくれ。怪儡、案内してやれ。半袖、お前は-」

 

「分かってるよ。・・・じゃあ、あたしはこれで失礼しますね。さようなら。」

 

暗に来るなオーラで此方を見てきた不知火に、軽く手を上げておいた。

 

「へーへー。お仕事お疲れ。・・・ま、頑張れよ。」

 

そう言って不知火と別れ、潜木怪儡に付いて里の中へ這入った。

里の中は一見、時代劇にでも出てくるような建物や服装以外は至って普通に見える。

だが、あまりにも(・ ・ ・ ・ ・)普通過ぎた(・ ・ ・ ・ ・)

違和感があっても可笑しくない筈の此処は、余りにも

 

平凡で、

 

日常的で、

 

平和的だった。

 

 

 

その光景は、テレビから画像を引っ張ってきたように、粛々と、さながら組み込まれたプログラムの如く、こなしているだけにすら思えた。

 

-引き返すつもりは毛頭ない。

 

だが、自分が今、どこに居るかが良く分かった。

再確認出来た。ゼウスの比じゃねェ。

ゼウスとは別のプレッシャー。

これが英雄。これこそ英雄、って奴か。

よくまァ、こンなの封印してるなァおい。

 

潜木怪儡なンて平然としたムカつく顔で「具合でも悪いんですか?帰り道でも案内しましょうか?」なンて言ってやがる。

 

ハッ、誰が帰るか。

 

・・・・漸く、見付けたンだぜ?

 

御伽噺の英雄が(殺しがいのあるやつが)

 

獅子目言彦(英雄)(化物)、はてさてどっちが生き残れるだろうなァ?

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

つい先程まで少女が座っていた席にはもう誰も居ない。

少女は大切な者の元へ向かうために居なくなった。

 

もし、推測が外れているなら、アイツの事だ、大切なモンが無けりゃあ、生きるくらいしか生きる理由がない位のすっからかんの生き急ぎ野郎だ。

確実性で鶴喰梟を殺しに行くだろう。

 

-だが、『もしも』は無いだろうな。

 

嬢ちゃんを見る目が、昔、アイツが守った弟分と同じだ。それに、異性として、見てたからなアイツ。わざわざ突き放してまで姿消したってことは今まで以上に、守ろうとしてんだろうな。

間違いじゃあない。間違いじゃあないが、それは良策とは言えねぇ。それじゃあ、本当に守りたいモンは何一つ守れない。根本的なことは何も変わっちゃあいない。

 

大事だから。

 

守りたいから。

 

そう言いながら、アイツは平気で傷付ける。

守れないなら、アイツは平気で敵ごと守りたい命を奪う。そんな奴だ。

端から見りゃクズだろう。

アイツ自身もクズを自称するくらいには。

アタシも、アイツを何も知らなかった時は、実際にクズだと言った。

 

でも、アイツは、ただ知らないだけだ。

自分の為に涙を流す奴も、自分の為に命を賭ける奴が存在するのを知らない。

だから、アイツは生きるか死ぬか場で、手負いの獣の如く、自分の周りに居るもの全てを手当たり次第に襲い掛かる。

それはアイツであり、アイツの異能の時もある。

 

1つだけ言えるなら、アイツがその場の雰囲気で、安全圏内で高みの見物に洒落こむのは、ただ全力を出したくなかったからだろう。全力になって、前世からの異能が暴走するのが嫌だから。

だからアイツは何からも一歩引いて、いつも余力をもって、何もかもを見下すように演じた。

 

-ここは、アイツにとって、居心地の良い、望んでいた理想郷だ。当たり前に法で守られて、学校に通えて、馬鹿みたいに喧嘩できる後輩に友人、帰り道、一緒飯食いにいく悪友、親友がいる。

家に帰れば、自分を待つ人が居る。

お帰りと言えば、ただいまと返ってくる。

・・・・多分アイツが前世で一番望んで、

あの腐りきった世界じゃあ叶えることは絶対に出来なかったモノだ。

 

一番求めていたものを、アイツは自分で壊さない様にアイツなりのやり方で守った。

ふざけて、適当に、嫌味ったらしく、高みの見物決め込んで、時々引っ掻き回す。

大きいイベントも、本気で潰しきらない様に、なぁなぁになるように、良い折り合いを提示して、納得させる位は暗躍しただろう。

 

容赦なく、潰して壊していた前世に比べると甘っちょろいやり方だろが、学園と、学園の生徒の周りではそう立ち回っていたのは周りの反応で良く分かった。

 

 

-だから、スイッチ入ったら確実にヤバイねぇ。

アイツのトび方は尋常じゃあないから、獅子目言彦と全力で戦いなんてしたら、今まで押さえられていた異能も勝手に外れて暴走しかねない。

 

手負いの獣、なんて比喩じゃあ出来ないくらいにはなりそうだねぇ。手負いの古龍とか位はいきそうだ。でも、どちらにせよ、今のアイツは-

 

 

 

 

 

       -確実に負ける。

 

 

 

 

             To Be Continued........




安心院さんの!これで安心!後書きボックス!

なじみ「読者諸君お久し振りだね。今回からちょっと後書きコーナーのデザインを変えたよ。」

駄作者「~を無くしましたからね。」

なじみ「それよりさあ、こんな亀更新クソ小説、はたして覚えてる読者はどれだけいるんだろうねぇ?」

駄作者「………あははは、一割、とかですかね?」

なじみ「それに続編を待ち望む読者はどの程度いるんだろうねぇ?」

駄作者「………………いて、くれると嬉しいなぁ、と。ああ、そう言えば、鶴戯さんは暫く来ないそうですはい。」

なじみ「露骨だね。………ま、良いけどね?次回もまた半年後かい?」

駄作者「………………………とりあえず、そうならないように頑張ります。」

なじみ「だ、そうだよ?ここまで読んでくれてありがとうそれじゃあ、また次回ノシ」

駄作者「が、頑張ります。」

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