前世でやる気のない転生者が女神補佐を目指します。 step1 めだかボックス   作:呪壊 赤城

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 どうも皆様。とうとう問題児の1~4巻を買えて喜んでいる駄作者です。

 これで鶴戯を異世界に飛ばせるかもしれないのぜとか思っちゃったりしてますよはい。


 そんなこんなで文化祭上下の下的な本編どうぞ。


第37攻 [別に怖くはないけどな]

文化祭をのんびりと満喫するはずだったのが、急遽鍋島猫実達のクラスと出店対決(鶴戯は出店を出していない)をすることになってしまった戦神鶴戯は、仕方なしに焼きそばとお好み焼きをひたすら焼くという作業をするはめになっていた。

 

本当に心の底から思うンだが、何故こうなったンだ?とは鶴戯の心情である。

 

 

「あ、鶴戯!焼きそば2つ追加で、後はお好み焼き紅しょうが無し1つね!」

 

[りょーかい。]

 

 

反射的に返事を返しているため、ほとんどやる気の無い声になっている鶴戯。加えて、焼き上げたり味を付けるのも半ば機械的な作業だ。ちなみに、流れで強引に料理対決をさせられている鶴戯の目からは闘志は全くといっていいほど感じられない。というか、目の焦点があっていない。

 

 

・・・本当、俺が何をしたンだよ。

 

そもそも、俺って料理対決とか好きじゃないンだが。普通の戦いとか、ギャンブル関係の対決とかは嫌いじゃないが、流石に料理とか人の好みが別れるものの対決っていうのは得意じゃねェし、好きでもねェ。

まァ、料理云々もそうだが、他人の投票とかで勝敗が着く奴って嫌いだ。やるなら自分の力のみで勝負が出来る奴に限るというのか俺の好みだ。

勝負に好きも嫌いもあるかと言う奴もそういや前世に居た気もするけどな。

好きも嫌いもないというなら、得意不得意って言えば良いのかよ。とかなンとか言ってたのも随分懐かしいな。

 

 

終いには完全に現実逃避をする始末である。どれくらい料理対決が嫌だったかはさておき、鶴戯は気を取り直して時間を確認すると、制限時間まで後10分。

 

 

これが終わったら、チョコバナナとか焼きとうもろこし辺りを食ってみてェな。後、クレープも良いかもしれないな。わたあめとかも置いてたから、それも食ってみたいしな。

 

 

何気に言ったその台詞は完全なフラグをたてている。しかも、俗にいう死亡フラグだ。まぁ、鶴戯は滅多に肉体的な面では死にそうにないので、この場合は文化祭で振り回されるフラグだろうが。

 

それに気が付いた鶴戯は絶望的な感覚に陥りながらも、自分でたてたのだから仕方ないと諦め、焼きそばとお好み焼きを作っていく。

 

 

「では、定刻になりましたので、販売はここまでとなります!」

 

 

・・・融通、なンで居るんだよ・・・。と何故か料理対決の審判を勤めさせられている長者原融通に同情しつつも自分は結果に興味がないと、どこの出店を回るか思案し始める鶴戯。

 

そしてすぐに結果とかすごくどうでも良いと思った鶴戯はさっさと近くにあったクレープ屋に行きバラエティに富んでいるクレープを嬉しそうに選び始めていた。

 

クレープを3つ買った鶴戯は、料理対決が行われた会場より少し離れたベンチに座って先程買ったばかりのクレープの1つを取り、頬張っていると、安心院なじみが不貞腐れた顔をしながら歩いてきた。

 

なんでも、売れた数は向こうの方が多かったらしく、鶴戯達の方は負けたとかで機嫌が悪いらしい。

しかも、気が付いたら居なくなってたとかなんとかで、更に機嫌が悪いようだ。

 

 

「だからね。僕としては―mmm#$@£¢!」

 

 

あまりにもなじみが口煩いので思わず持ってたクレープを口に突っ込むという暴挙に出る鶴戯。どうやら、

mmmとよく分からない単語を吐きながらも抗議をするなじみを見て罪悪感が沸いた・・・訳もなく、少しクレープを食って大人しく冷静になれば良いと取り合えず様子を見ていると、幾らか落ち着いたようで、静かにクレープを食べ始めた。

 

こうして見てるとリスみたいだなと思いながら、なじみにリスという表現は正しいのだろうかと考えていると、それを敏感に感じ取ったか、ジト目をしながらなじみは話し掛ける。

 

 

「なんか今失礼な事考えてたでしょ。」

 

[なンで分かった?]

 

「やっぱりね。女の勘さ!」

 

 

え・・・?勘?失礼な事考えてると勘で分かンのか!?

怖ッ!スキルとかじゃなくて、勘で分かるのかよ!?いやいやいやいや、俺の世界にそンなンなかったぞ!?

 

 

いや、鶴戯が知っていないだけで前世にも女の勘は存在していた。ただ、鶴戯がそれを知ることは無さそうだ。

 

兎に角、前世が女子だった為、滅多に女って怖いなという感情は持っていなかった鶴戯だが、今回ばかりは、元女子であるにも関わらず、女って怖いという感情を抱いていた。何故スキルなら納得出来るのかは謎だが。

 

 

「ま、鶴戯ってたまに乙女心が分かってないときあるよなぁ。だから逆に良いんだけどね。さぁ、わたあめとチョコバナナのお店に行くかい?焼きとうもろこしは家で作っても十分でしょ。」

 

[・・・又女の勘ってやつか?]

 

「うん。」

 

 

事も無げにそう言ったなじみを見て、下手したら俺もこンな能力持ってかもしれないのか?と女に転生しなかったことに(何故か)安堵していたのは完全に余談である。

 

 

______________________

 

 

気を取り直して歩いていると、何気に人気のあるおばけ屋敷、基軍艦塔(ゴーストバベル)に入った。

 

おばけ屋敷の入り口の受け付けには何故か頭にまでグルグルと包帯を巻き付け立っている飛沫の姿が・・・って、はァ!?

 

 

「あー、なんか亜沙から頼まれてさー。あたしはやる気無かったんだけど、何気に怒江と蛾ヶ丸がやる気出しちゃってさー。で、結局やる羽目になってんだよ。」

 

 

やる気は無いが殺る気なら起きそうな飛沫は本当は断りたかった様子だが、他の仲間がやる気だったから結局付き合っているという感じだろう。

 

ただ、蛾ヶ丸がやる気を出したのは意外なンだが。というか、もう嫌な予感がするぞ。

 

 

[ああ、そうなのか。つーか、怒江は分かるが、蛾ヶ丸は何でやる気を出してンだ?]

 

 

流石にこれは聞いとかないと、後が怖いと聞くと、やっぱり、想像していた返答が返ってきた。

 

 

「えーっと、確か偉そうでムカつく奴と、リア充が心細くなって不安そうな顔をしているのを恐怖という絶望に叩き落としたいからとか言ってたな。ま、その、2人共、ご愁傷。」

 

[・・・だろうな。]

 

「あはは、ありがとう。」

 

 

なンか、蛾ヶ丸の奴は良くなってるのか悪くなってるのか分からない改心をしてる気が若干あるが、楽しンでるなら、まァ・・・仕方ないか?

 

何気に性格が良くなって来ている飛沫と別れ、取り合えず2人で、真っ暗な廊下の奥へ歩いて行く。何でも、此処を丸々借りる計画を立てたのは亜沙で、借りる交渉をしたのは半袖だそうだ。

 

真っ暗なと言ったが、足元はなンとか見えており、それを補強するかの如く、懐中電灯が渡されている。

 

 

「何て言うか、雰囲気出てる辺り、流石亜沙ちゃんと不知火ちゃんと言うべきだよね。」

 

[ああ。つっても、別に怖くはないけどな。]

 

「まぁ、怖がらせるよりは驚かせるって感じなんじゃないの?」

 

 

亜沙がそれで済ませる性格じゃないのは短い付き合いながら俺もなじみも分かっているのだが、流石にお化けだ幽霊だというのに驚く性格の俺達ではない。

 

故に、呑気に(出てくる作り物のお化けやゾンビ等の)造りが細かいと感心するだけかと思っていたのだが・・・。

 

 

「ギャアーーッ!!」

 

 

時折聞こえる別の参加者の声がすごく切迫しているのは気のせいか?というか、奥に進むにつれて気温が低くなってきているような気がするンだが・・・。

 

2階3階はつい最近まで使われていたような感じが漂う手術室があったり、病室っぽい一室にある日記を読まなければ進めないなど、各所にホラーゲームやホラー映画を彷彿とさせる仕掛けが施されており、1階にあった仕掛けはあえてあまり怖くないように造っていたと分かる。

 

とはいえ、1時間程度で、クリア出来るレベルの物らしい。まァ、文化祭で他の場所も楽しみたい奴が殆どだろうし、少し長すぎな気がするがまだ妥当な時間だろう。

 

すぐに進めるように、初めの階は軽い仕掛けや装飾だけだというのも、評価が高いのだろうが・・・。

 

そう思いながら進んでいくと道中で包丁両手にどす黒い障気的なオーラを纏わせながら追い掛けてくるゾンビ風のナース(怒江)に追い掛けられたり、ノリノリなマッドドクター(名瀬さン)フランケン古賀(古賀さン)に会った。

 

その後、一緒に出口に向かう何人かの参加者に会ってから、大きな兎の縫いぐるみに追い掛けられたり、螺が頭にぶっ刺さって縫い目の特殊メイクが施されたフランケンシュタイン()に襲われたり、最後の最後で亜沙が本格的すぎるほど本格的なフラグを作っていて、俺となじみ以外の参加者は大声をあげてゴールインしたりした。

 

ゴールした後にも本物の幽霊に取り憑かれていたり、生徒会とキヲテラエとの対バン対決など色々あったが、まァ俺的には初めての文化祭というか祭りは楽しめたと言えるな。

 

 

・・・ただ、やっぱり俺が楽しめそうな祭りは文化祭よりも聖夜祭の方だが。そう思った俺の顔はとてつもないほどまでに最高の黒い笑顔だった。

 

 

______________________

 

 

そして訪れる12月24日。

 

 

この日ばかりは、いつも遅い仕事を早めに切り上げ家族の元へ帰る者や、上手くいっているリアじゅ-恋人達、プレゼントを楽しみにする子供達の喧騒に町中が包まれる。

 

 

そんな中、ここ箱庭学園では学園最大の祭聖夜祭と生徒会選挙が執り行われようとしていた。

 

 

 

主人公(黒神めだか)普通の高校生(人吉善吉)と中学生達の戦いを別の思惑で見つめている転生者は何を思い、何を企んでいるのか?

 

 

それを知るものは誰も居ない。




~キヲテラエとの遭遇~

鶴戯[おい、なじみ。アイツ隙間崎咲とかいうアイドルじゃねェか?]

なじみ「隙間崎じゃなくて須木奈佐木ね?まぁ、彼女は水槽学園の生徒で球磨川君と色々あってね。よく知ってるよ。」

鶴戯[そうかなのか?じゃあ須木奈佐木ってのも苦労しただろうな。その頃なら禊も愉快なキャラじゃなかっただろうし。]

なじみ「あ、いっそお話ししてついでにサインでも貰おうか。球磨川君に見せたらなんか面白そうじゃない?」

鶴戯[良いンじゃねェか?]

なじみ「うん。じゃあ話しかけようそうしよう。ヤッホー初めまして。ビーストアイドル、殺気姫の須木奈佐木咲ちゃん。僕は安心院なじみ。僕の事は親しみを込めて安心院さんと呼びなさい。」

咲「・・・あー、初めまして。(安心院なじみ?安心院?・・・どっかで聞いたことがある気がするが、気のせいか?)」

なじみ「で、急だけれどサインでもくれないかな。いや、なに取り合えずこの色紙にでも書いてくれると嬉しいな。」

咲「はぁ。まぁ、別に構いませんが。(・・・やっぱり俺様の気のせいか?)」

なじみ「あ、どうもー。じゃあこれで失礼するぜ。」

十字花「・・・あの人なんだったの?」

ぞめき「まぁ、須木奈佐木の熱烈なファンだったンじゃないの?」

咲「いや、絶対にそれはない。・・・安心院なじみって奴、どっかで聞いたことある気がするんだがな。」

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