前世でやる気のない転生者が女神補佐を目指します。 step1 めだかボックス   作:呪壊 赤城

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 新年ですねー。皆様はいかがお過ごしでしたか?ちなみに私駄作者、お雑煮食べてヒャッホイしておりました。


 鶴戯の過去編ってことでいつもと書き方が違います。また、読者様からのご意見で、sideで誰の視点か書いていた方が読みやすいのではないかというのを頂きましたので、今回はそれでいってみます。

 その他、見ずれェェェェェェッ!!とか解説よろとか此所こうした方が良くね?等ございましたらお教えください。出来るところは修整etc.させていただきますので。



今回は依哉がほぼ独壇場ですね。

では、どうぞ。


第33攻 「戦神鶴戯だ。」

 

 

side:櫟野依哉

 

―アタシが鶴戯と会ったのは台風が丁度来てる頃だったかね。アイツは傷だらけの痣だらけで雨に打たれながらアメリカの路地裏にぶっ倒れてた。

 

その時アタシは"ちょっとした仕事"でアメリカに数日いたんだ。で、その日も"その仕事"の帰りだった。

 

 

「あんた、こんなとこに居たら死ぬけど。」

 

 

アタシは出会ったばかりの、それこそ名前も知らないガキではあったけど、それでもガキだからと言う理由でアタシはここにいるのは危険だと忠告をしておいたんだ。

 

 

「・・・・・・っとけ。」

 

 

そう言いながら、ガキはフラフラと立ち上がってその場を去ろうとした。でも、アタシの顔を見てそれこそ知り合いにでも似てたのか、何処かの誰かの名前を呟いていた。とはいえ、結局そんなわけないと奴は自己完結して去っていこうとしたんだが、血がそれこそなんで動いているのか、そもそもなんで生きてんのか不思議なくらいの量を流していることに気付いた。

 

 

「気が変わった。おいガキ。お前名前なんだ。」

 

 

アタシの言葉を目を開いて驚きながら奴は自分の名前を言った。

 

 

「・・・つるぎ。戦神鶴戯だ。」

 

「・・・そうかい。じゃあ鶴戯。家に来な。その傷くらい治療してやる。」

 

 

アタシがそう言うと、鶴戯は首を横に振りながら歩き去って行こうとした。でも、結局血が足りなかったか、鶴戯の奴はそのままぶっ倒れちまった。これが、アタシと鶴戯の出会いだ。

 

 

 

―まぁ、この時点で、あんたらは気付いてるかもしんないから言わないよ。まぁ信じられないかも知れないけどこの頃の鶴戯は不安定だったんだ。

 

 

 

―で、家に連れて帰って来て、服を捲って傷の治療をした。傷の深さとかはかなりのもんだったんじゃないかね。なん針とか何十針とか縫ったりもしたからね。そして、治療を終えて、包帯だらけになった鶴戯をベッドに突っ込んでアタシは飯を食い始めた。そう、確かもう夜だったかね。

 

で、美味しく飯を食ってると目が覚めたのか声が聞こえてきた。声の主は考えなくとも鶴戯と言うガキだって言うのは分かっていた。ドタバタドタバタと騒がしく音を立てるなんて事はせずにソーッとどこぞの忍のように近付いてくる鶴戯には正直感心したね。まぁ、それはさておき、鶴戯の奴はアタシに何処から取り出したのか銃を頭に当てながらここは何処なのか、何が目的なのか、を流暢な英語で聞いてきた。

 

 

「・・・てめェ何者だ。ここは何処だ。何が目的だ。身代金か?生憎様、俺を拐っても、身代金なンて物は出やしねェぞ。」

 

「おいおい、拾ってわざわざ助けた恩人に大してその言い方は些かどうかと思うぜ鶴戯だっけか?まずはありがとうございますだろうが。それに、アタシは身代金なんて物は生憎必要な程貧しくないんでね。取り合えずアタシの気紛れだ。気にするな。つーか、お前幾つだよ。その銃、ガキが持つにゃあ早すぎる物だぜ?」

 

 

アタシがそう言うと、鶴戯は銃を下ろし冷めた眼差しで関係ないと言いたそうだった。

 

 

「・・・まァ、いいか。じゃあ世話になったな。」

 

「おいおい、お前、まさかその傷で外に行くつもりかい?止めときな。殺し屋にされちまうか運び屋にされちまうか、もしかしたら素敵な死体になっちまうよ?」

 

 

アタシの言葉に足を止めることも無く、本当にその場を去ろうとする鶴戯。アタシは折角助けたガキが馬鹿みたいに死んじまうのが嫌で仕方がなく言うことにした。

 

 

「ああ、待て、やっぱりまた気が変わった。アタシはあんたを話し相手にするのに連れてきたんだ。ほら、下手したらここ2~3日外に出られないかも知れないだろ?その為の話相手さ。良いだろう?ほら、さっきてめぇが何が目的だって聞いたんだぜ?」

 

 

アタシの台詞を聞いて鶴戯は部屋に残る事になった。まぁ、その時にも色々あったんだけどねぇ。

 

 

 

―その後、色々あって、アイツとアタシは今の関係に落ち着いた。まぁ、そうだね、時間的にもそんなに話せないし、一番距離が近くなったときの話でもしようか。

 

 

 

―その日は晴天だった。清々しいほどの、そんな天気を見ながら鶴戯は憎々し気に呟いていた。

 

 

[こンな日は胸糞が悪くなるな。]

 

「まぁ、良いじゃないか。折角の日本の山なんだ。楽しもうぜ?いやぁ、でもいいねぇ。たまにこんな空気も良いじゃあないか。小鳥の囀ずり、草木のざわめき、小川のせせらぎ。うんうん。こんな天気だったら嫌なことも仕事のこともなんもかんも忘れていられそうじゃないかい?」

 

[・・・そンなわけないだろ。簡単にてめェの嫌な記憶てめェの都合で消してンじゃねェよ。]

 

「冗談だよ。でもあんたは少し忘れた方が良いんじゃないかい?・・・ここに溜まりすぎてると簡単に壊れちまうよ。忘れないにしても吐いちまいな。」

 

 

アタシのそんな言葉を聞いた鶴戯は首を横に振った。

 

 

[吐けば楽になるなンてもンじゃねェよ。そンな単純なモンなら俺はお前に会ってねェし。]

 

「それもそうか。悪いこと言っちまったね。忘れてくれ。」

 

[いや、悪いな。依哉。]

 

 

 

―そうアタシの名前を言うようになってからは鶴戯は少しずつヤバイ仕事をしなくなっていった。そして、中3の時以降、今年の4月になるまで姿を消してたわけさ。

 

 

 

―アタシの話はここまでだ。取り合えず、心辺りがあると言えばさっき初めて会ったときに呟いてた人物にでもあったからじゃないかね?さぁアタシも仕事が入っていてね。え?ああ、今話してただろ?ラーメン屋は趣味だからね。本業に力を入れるのは当然だろう?そういうことだ。じゃあな。

 

 

______________________

 

 

話すことは話した。そう言いたげな視線を向ける依哉と、取り合えず心辺りがその女性じゃないか、と言うことを聞いて更に不審そうな目を向ける3人。しかし、もう話す気も無いのか依哉は後ろを向いた。

 

 

「ねぇ、櫟野ちゃん。君がその女性だったんじゃないのかい?鶴戯はそれに気付いた。だから君も居なくなろうとしてるんじゃないのかい?」

 

 

なじみはそう問い掛けるが、依哉は目を瞑った後、呟いた。

 

 

「そいつは結局死んだそうだぜ?多分それでここ最近の様子が変だったんじゃないかい?ほら、帰りな。アタシも明日発てるように色々準備しなきゃならないからね。それと、伝えたいことは生きてるうちにしっかりてめぇの言葉で伝えた方が良いんじゃないかい?心配してるって言うのも、大切に思ってるって言葉も。遠くに、手の届かない場所に行っちまわないうちだけだよ。特に鶴戯は言葉にして伝えてやらないと・・・ね。ほら、分かったら行ってやんな。まだ、学校に居るかもしれないよ?」

 

 

そう言って、3人を部屋から追い出した。その後入ってもこれ以上は情報は聞けないと亜沙が言い渋々ながら帰っていく3人の姿を見送りながら、3人が出ていった扉に冷たい声で話掛けた。

 

 

 

「もう行っちまったよ。それにしても、なんで今頃になって気付いた。」

 

 

扉から現れた人影の返事を聞かずに依哉は喋り続ける。

 

 

「今までも隠していたから、このまま姿を消すまではバレないと思ってたんだけどねぇ。・・・まぁ良いさ。バレちまった以上アタシはここには居られないからね。ほら。」

 

 

そう言って依哉は小指程の大きさの銀で出来たペンダントを人影に向かって投げつけた。相手は慌てる様子もなくそれを簡単に受け止めた。それを見届けた依哉はうっすら笑うと話続ける。

 

 

「それ。お前にとって大事な物だろ?じゃあ達者でな。」

 

 

依哉がそう言うと、今まで黙っていた相手は漸く口を開いた。

 

 

「1度くたばってるのに達者も糞もあるか。」

 

 

相手の皮肉に少しの間、驚きそして笑いだした依哉。

 

 

「アッハハハッ!それもそうさね。まぁ1度死んだ者同士遠くでも頑張ろうぜ?」

 

「ああ。今日はサンキュな。"   "」

 

「その名で呼ぶなよ。ソイツはもう死んだも同然だからね。"   "」

 

「お前もな依哉。」

 

「まぁお互い様って事で、良いだろ。・・・兎に角、あんまり"前世"を引っ張り過ぎんなよ。"今は今"なんだから。」

 

「・・・分かってる。もう"あの頃"みたいに振り回されねーよ。じゃあな。」

 

 

そうして、その人影は音もなく帰っていった。

 

 

 

一人部屋に残った依哉は窓から見える晴天の空の下、歩いていく彼を見ながら一人ボソリと呟いた。

 

 

「アタシが死んだのも無駄じゃなかった、か。」

 

 

秋の風と共にそう呟いた彼女の呟きは誰にも聞かれることなく消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

side:戦神鶴戯

 

 

依哉の店を出て箱庭学園に向かって一人歩いていく道すがらに俺はふと、依哉に出会った時の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

―アメリカの路地裏。何処の州だったのかは興味が無いから覚えてないが、あの頃は原作の知識がまだあったから黒神めだかや雲仙冥利、球磨川禊、そして"     "と戦う可能性があると戦う事に慣れるために、また、何か不測の事態が起こって殺らなければならなくなったときに人殺しをできる(躊躇わない)様にと前世で覚えていたハッキングのスキルを活かして、アメリカの"裏稼業"(何でも屋)として金を稼いでいた。

 

 

確か、その間に『大嘘憑き』(オールフィクション)があるのを思い出して造ったり、銃を造るスキルを思い付いて造ったり等の事をしていたはずだ。

 

 

それはさておき、そんな綱渡りの生活をし続けていたある日、とうとう因果応報か自業自得かで面倒な奴等に目を付けられ、気付いた時には時既に遅く、生きるか死ぬかというレベルの怪我を負ってしまっていた。スキルを使えばすぐに回復出来るのだろうが、俺が将来的に戦おうとしている奴の攻撃は受けると回復その他諸々のスキルが効かない。何より、この場から早く逃げるのが先決だと痛む身体を引き摺り何とか撒いた筈だったのだが、途中で情けないことに意識を失っていた。

 

・・・そしてどれくらい時間が経ったのだろう?段々と意識が戻ってきた俺の耳には前世で聞いたアイツの声に酷く似通っている声が聞こえた。

 

 

「あんた、こんなとこに居たら死ぬけど。」

 

 

・・・なンで、アイツの声が聞こえるンだ?意味が分からねェ。そう思いつつ、俺はほぼ反射的にほっとけと呟き、立ち上がろうと足に力をいれ、ズルズルという感じではあるが何とか立ち上がることが出来た。そして、そこから急いで立ち去ろうと身体を動かしたが、血が流れすぎたのか身体が思うように動かない。

 

 

「気が変わった。おいガキ。お前名前なんだ。」

 

 

聞き間違いだろうか?いや、きっと聞き間違いであってるか、せいぜい他人の空似か平行世界の別人に違いない筈だ。・・・それなら名前を教えてもなにも問題はないだろう。もし、さっきの奴等の仲間なら消せば良いだけなンだからな。

 

 

「・・・つるぎ。戦神鶴戯だ。」

 

「・・・そうかい。じゃあ鶴戯。家に来な。その傷くらい治療してやる。」

 

 

その台詞は、信用できるか分からない。少なくとも、血が目に染みて視界が余り良くない状態の俺には、何か企んでいるのか、それとも本当に治療をするだけなのか、全く分からなかったのだから。そして、そのまま去ろうとしたが、俺の意識はまた闇に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

今思うと、その時点でアイツは俺が転生者でしかも知り合いだと気が付いていたのだろう。だが、まさか本当にくたばっちまっていたとはな。

ま、ペンダントも戻ってきたから良いか。

 

 

ペンダントを首に掛け、無意識に笑いながら俺は箱庭学園の校舎に這入っていった。




~駄作者の言い訳(解説)~

ここまで読んでくださりありがとうございます。UAが何だかんだで30000突破しているのがとてつもなく嬉しいですね。

今話の解説ですが、何故に舞台がアメリカ?といわれると、鶴戯は日本で名前売れたら色々めんどいよなー的な事を思っています。後は、銃を買っても足が着きづらいとかそんな感じですね。

ぶっちゃけ、えっ!?とか思った皆様もいるとは思いますが、依哉もまさかの転生者だったんですよね。しかも、亜沙は知りません。(神様なのに)



ここからは全く解説ではありませんが、バレンタイン辺りに番外編を書こう的な感じの事を思っています。近い内にアンケートをとる予定ですのまたご協力頂ければ嬉しいです。

それと、視点を誰の視点か書いた方が分かりやすいのではないかというご意見がありました。というわけで、今回と前回までのどちらの書き方が良いか、皆様の声をお聞かせください。締め切りは1月10日午後9時までにお願い致します。

ちなみに、次話は視点切り替えがないので今までの書き方でやります。

①以降からは今回の書き方で。

②前のは見辛い。最初の奴も修整してこれから全部今回の書き方で。

③今までの書き方で。

④その他



ちなみに、視点切り替えがない所は今まで通りに進めていこうと思っております。


活動報告に載せますので、そちらの方からご参加頂けるようご協力お願いします。

それでは、次回にお会いしましょう!

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