『信長の庶兄として頑張る』   作:零戦

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注意。
今回の友人に依頼されて執筆したif未来編になります。また執筆する時に内容が違っているかもしれません。


if未来編 黒船来航

 

 

 

 未来、戦国の世が過ぎて二百年あまり日本は織田政権(大坂幕府)の元で平和な世となっていた。

 しかし嘉永五年、日本と国交を結んでいたオランダとイギリスからアメリカが条約締結を求める国書を持ち艦隊で日本に来航する事を報告した。

 報告は長崎奉行から幕府に伝えられ、時の老中主座阿部正弘は第十四代将軍織田信政に報告した。

 

「……既にオランダとイギリスの二か国と国交を結んで貿易を行っているから普通にやれば良い」

「はは」

「だが、念のために海軍には出撃待機をせよ」

「御意」

 

 日本はオランダとイギリスとの貿易を盛んに行っていた。大坂幕府が開かれた時、初代将軍の信長はキリスト教を布教させ日本を占領しようとしたポルトガルとスペインに宣戦を布告しフィリピンを占領、ルソン総督を斬首して削いだ鼻を塩漬けにして送らせたのは有名である。(その際に琉球、台湾を占領して日本の領土としている)その結果、幕府が開かれた当初からキリスト教を布教しないと公約したオランダと貿易を行った。後にイギリスもこれに加わる。

 日本は二か国から医学、造船、軍事力を取り入れ1700年代からは反射炉が史実より早くに日本で作られ鉄製の大砲が作られたりしている。

 それらはさておき、信政の指示で幕府海軍は訓練日を増やしたり新型艦の建造を急がせた。

 そして代将マシュー・ペリー率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊は嘉永六年五月二六日に薩摩藩が支配下に置いている琉球王国の那覇沖に到着して停泊した。

 この時ペリーは首里城への訪問を打診したが琉球王国は史実同様に拒否した。ペリーはそれを無視して武装した兵員を率いて上陸し市内を行進しながら首里城まで進軍した。これがペリーの最大の失態であり

 

「アメリカは条約締結ではなく日本に戦争する気だったか!!」

 

 琉球王国の国王である尚泰王は二八日に琉球王国でただ一隻の戦列艦を直ぐに薩摩藩に派遣して状況を報告。薩摩藩第十一代藩主島津斉彬は阿部正弘にアメリカの領土侵攻を報告した。

 

「信政様……」

「アメリカはオランダやイギリスとは違うというわけか。阿部、早馬を走らせて各藩に下命せよ。直ちに出撃待機だ」

「御意」

「それと陛下に宣戦布告をを宣言してもらおう」

 

 信政はイギリス商館長を呼び出してアメリカに宣戦布告の文書を渡してもらうよう依頼した。

 

「河野司令官」

「はは」

 

 信政は幕府海軍司令官河野通安を呼び出した。

 

「作戦はどうする?」

「恐らく敵艦隊は淡路と紀伊国間の紀淡海峡を通過するでしょう。その時に幕府及び四国、中国の大坂級戦列艦と信長級大型帆船を海峡の神島から出撃して敵艦隊を包囲、大坂級戦列艦で砲撃しつつ信長級大型帆船で体当たりを敢行、そのまま移乗攻撃をして斬り込みをします」

「うむ、斬り込みには海軍陸戦隊かね?」

「陸戦隊と島津隊にしてもらおうと思います。丁度共同訓練で島津隊二千名が紀伊にいますので」

「相分かった。それではアメリカを歓迎してやろうではないか」

 

 信政はニヤリと笑った。それからペリーの東インド艦隊は七月八日に紀淡海峡を通過しようとした時、イギリス船が現れ会談を求めた。

 サスケハナに乗艦したイギリス商館長はペリーに英文で執筆した(信政直筆)宣戦布告の文書を渡して下艦して直ぐに艦隊から離れた。離れたのを十分に確認した河野司令官は全艦に突撃を命令した。

 

「に、日本の戦列艦です!! 二十隻はいます!!」

「何だと!?」

 

 戦列艦は五十門艦の戦列艦だったが幕府海軍は保有していた十六隻全艦を投入していた。他にも長州藩、土佐藩も四隻ずつ投入して敵艦隊を包囲するべく後方に回り込んでいた。

 

「目標先頭艦、撃ェ!!」

 

 艦隊の先頭を航行していた旗艦サスケハナに砲撃は集中した。混乱した隙を突いて信長級大型帆船(ガレオン船)が日本最強の島津兵を乗せて四隻に次々と衝突。移乗攻撃の斬り込みを敢行した。

 

「な、何が起きたんだ一体……」

「チェストォ!!」

 

 状況が全く分からないままマシュー・ペリーは島津兵に斬られ戦死した。四隻は瞬く間に捕獲され播磨に移された。その後、イギリスを通してアメリカに塩漬けにされたペリーの鼻と信政の文書が届けられた。

 

『琉球に上陸したのは我が日本を武力を持って占領すると判断し貴国に宣戦を布告した』

 

「サムライと交渉する時に力押しは有効ではないと申し上げました。それを貴殿方が無視した結果がこれです」

 

 イギリス代表の言葉に第十四代大統領フランクリン・ピアースは唖然としながら塩漬けにされたペリーの鼻を見ていた。

 

 

「今回の事件は幕府に罅が入り室町や鎌倉のように滅びるのは確実だろう。なら今の安全のうちに政権を天皇陛下に返上するべきだな」

「は」

「信長」

「……ここに」

 

 信政に呼ばれた信政の子である信長が頭を上げた。信長は初代将軍と同じ名前であり、信長自身も女性だった。

 

「私は将軍職をそなたに譲り隠居する。そして陛下に政権返上をせよ」

「御意」

「……済まぬな信長。初代様のような立派な将軍になってくれればと同じ名を頂戴して頂いたのに御主で終わらせるはめになるとは……」

「いえ父上、初代様も頷いて認めてくれるでしょう。『信長から始まり信長で終わる』です」

「ハハハ。こやつめ言いよるわ」

 

 信政達は苦笑する。

 

「朝廷の事は近衛家に任せよ。何やら岩倉と申す者が目障りだが心配ないだろう。それはそうと御主の祝言がまだであったな」

「父上、それは……」

「伊勢藩主の信広と良い仲と聞いておる。少々話があるから今度連れて参れ」

「……はは(信広は生きて帰れるだろうか……)」

 

 内心、そう思う信長だった。その後、信政は将軍職を信長に譲り信長は第十五代将軍に就任した。就任したと同時に信長は天皇陛下に政権返上する大政奉還を上奏した。

 しかしその後の王政復古の大号令(史実と同じ内容)が発せられ織田家は朝敵になり戊辰戦争が勃発するがそれはまだ先の話である。

 

 

 

 

――後書き――

 

友達に黒船来航編書いてくれと言われたので色々と妄想しながら書きました。実際にこうなるかは分かりませんよ。

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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