憑依の軌跡   作:雪風冬人 弐式

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ネタが浮かんで、時間もあって筆が進むこの頃。
さらに、るろ剣とルパンの実写見てテンションもアゲアゲ。(ルパンはちょっと残念だったけど)
初の一日に二回投稿!


第三話「特別オリエンテーリングっぽい」

「さあ、《Ⅶ組》の特別オリエンテーリングを開始するわ」

 

 パチン、とサラが指を鳴らすと、床が傾き落とし穴へと変わった。

 

「クッ!前のようには!! 」

「ならない!!」

 

 他の面々が落ちる中、フィーはワイヤーを使ってぶら下がり、リィは拳を床に突き刺して体を固定した。

 ちなみに、俺は普通に床板の隙間を掴んで留まっています。

 

「アンタ達、落ちてくれないとオリエンテーリングが始めれないでしょ」

「嫌だ!あの地獄に可愛い生徒を落とすなんて、アンタは鬼か!?」

「そうよ!パワハラ反対!!」

「…訴訟も辞さない!」

 

 二人とも、あの地獄、《蛇》の執行者並みの魔物が闊歩していた空間を思い出したのか、必死で抗議する。フィーなんか、若干涙目になってる。

 

「何がアンタ達を駆り立ててるのか知らないけど、さっさと落ちなさい!」

 

 フィーにはナイフを投げてワイヤーを切り、俺とリィにはゴム弾を撃ち込んで穴底に落とすサラ。

 

「鬼ぃ!」

「悪魔ぁ!」

「無駄乳寄越せぇ!!」

「フィー!!アンタ、そんなキャラだったぁあ!?」

 

 フィーの捨て台詞にツッコミを入れる、サラの言葉を尻目に俺達は暗闇の中に落ちた。

 

 

 

 

 少しすると、ぼんやりと明かりが見え、底に着いたことが分かった。

 

「あの乳女、今度会ったら揉みしだいてやる」

「むしろ、悦ぶから止めなさい」

「許すまじ、サラ・バレスタイン」

 

 底に降りると、石畳の部屋になっており、先に落ちた面子と隅に人数分の大きさがバラバラの箱が置いてあった。

 

〈アーアー。皆、聞こえるかしら?〉

 

 これからどうしようか考えていると、突然サラの声が部屋の中に響いた。

 

「一体どこから?」

「ん、これからだね」

 

 そう言ってフィーが取り出したのは、合格通知と共に送られてきた導力器だった。

 

〈どうやら通じたようね。その部屋にある箱の中には、貴方達が預けた武器とちょっとしたプレゼントが入っているわ。開けて見なさい〉

 

 各々が導力器を取り出して、サラの指示通り自分の武器が入った箱を開ける。

 そこには、自分の武器と宝玉ような物が一緒に入っていた。

 

「これは、マスタークオーツか?」

 

 箱の中身に驚く中、続いてサラから様々な説明があった。

 今回支給されたこの導力器、戦術オーブメントが、ラインフォルト社とエプスタイン財団による共同開発によって生まれた新型であるということ。結晶回路〈クオーツ〉と呼ばれる石をセットすることで導力魔法〈アーツ〉が使えること。その他の機能は追々話すということらしく、それぞれ用意されたクオーツを各自セットして欲しいとのことで各々準備を始める。

 俺も同様にオーブメントにクオーツをセットし、他の皆は武器も用意されていたようでそれぞれ手にとって感触を確かめている。

 そうして準備を終えて皆が再び部屋の中央へ集まると、突如奥にある石の扉が開いた。

 

〈その先はダンジョン区画になっていてね。進んでいけば、元の一階へ辿り着けるわ。ちょっとした魔獣なんかも徘徊してるけど、何だったら全部そこの彼女を侍らすリア充に押し付けなさい。いっそ、爆破してもいいわ〉

「おい、それが教師の言うことか!?」

 

 サラの言葉に戦慄するが、どうやらクラスメイト達は苦笑する人や労わる視線を送る人ばかりだったので、背後から襲われる事態は避けられそうだ。多分、きっと、Maybe。

 

〈ま、そういうわけだからさっさと登ってきて頂戴。このオリエンテーリングが終わったら文句でもなんでも聞いてあげるわ。……なんなら、ほっぺにチューでもいいわよ♪〉

 

 サラから激励を受けて単独、あるいはチームを組んでダンジョンに各々が向かい出す。

 その際に、貴族がどうの平民だからどうのといった小競り合いが起きたが、この帝国内では然して珍しいことではないので割愛する。

 結局、女子チームと男子チーム、俺らのチームといった具合に別れての探索となった。金髪貴族くんとメガネ平民は単独で行動するようだが。

 前回来た魔界のような空間は広がっておらず、感じる気配も大した脅威になりそうなものもないので、彼等なら大丈夫であろう。

 ちなみに、自己紹介もしたので軽くおさらいしよう。

 最初に、駅で合った金髪の少女はアリサ・R。隠しているつもりらしいが、ルーレ出身でRと言ったらラインフォルトだろう。あのエセメイドから、よく自慢されるお嬢様のことで間違いないだろう。

 校門前でリィが絡みそうになった青髪の少女はラウラ・アルゼイド。彼の《光の剣匠》の娘さんだ。あと、リィ。そんなに敵意を向けるな。困ってるじゃないか。

 メガネをかけた三つ編みの、いかにも委員長といった容姿の少女はエマ・ミルスティン。主席で合格したことから、ますます委員長キャラっぽい。なぜか、俺を観察するように見ているので注意しておこう。

 そして、エリオットと金髪貴族くんと平民メガネくんを除いた最後の、日に焼けた肌の長身の男子は、ガイウス・ウォーゼル。ノルド高原から来たそうだ。

 それなりの実力者もいるから、パーティ編成はその三つで十分だろう。むしろ、俺らが混ざったら経験を積む機会を潰すことになるかもしれない。元猟兵に、聖女様の直弟子だし、何より、俺は教えるの苦手だし。

 その点、ラウラとガイウスなら問題ないと思われる。面倒見も良さそうだし。

 こうして、ちょっとしたトラブルもあったが特別オリエンテーリングが始まった




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