切り裂き魔と精霊ちゃん達   作:ぼけなす

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一人称にしようかと思う今日この頃。これを投稿したら三巻が読むまで進めないや……。

そして第三の選択肢と第四の選択肢……マジでしようかと思いましたが、琴里の精霊の力を知るフラグをどこかに必要なのでまた次回にします。本当に申し訳ありません。

なお、R15指定な部分がありますので覚悟して読んでください。


第十五話 ヒーロー

 

 

 

「十香、お前が感じる嫌な気分――――無力感や絶望を思いだしてほしい。そうすればお前はストレスでまた精霊の力が使える」

「そう、なのか?」

「厳密には俺が封印したその力が逆流したことが原因だ。で、十香はその力で折紙達を抑えてほしい」

「四季はどうするつもりだ?」

「俺はあの結界に突っ込む。あの中は高速の弾丸に撃たれ続けてる空間のようだが、問題ない。俺の中にあるもう一つ(・・・・)の精霊を使う」

「もう一つの?」

「話してくれたよ。俺の中には自動再生させてくれる精霊の力がある。だから琴里は前の四季に『コンテニューがたる』って言ったのだろう。復元を可能にする力があれば納得できる」

 

 四季はそう言って十香の頭を撫でる。

 

「お前を頼りにしている。頼めるか」

 

 そう聞いた十香は気持ち良さそうな表情になる。

 

(……ああ、そうだ。この男は私を必要にしてくれる……肯定してくれるのだ)

 

 十香の答えは決まっている。そして四季は結界の向こうにいる四糸乃に向かって言った。

 

「さて、らしくないヒーローごっこの時間だ」

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「夜刀神十香、なぜあなたはここにいる」

「ふん、教えるもんか。いー、だ!」

 

 十香は<鏖殺公(サンダルフオン)>を振るう。その衝撃で飛ばされたところを他のASTが援護にまわる。十香はピョンピョンとビルを渡って回避し、シタリ顔で笑う。

 

「ふはははは、見える! 見えるぞぉ!」

「なんなの!? プリンセスの動きが早すぎる!」

「今の私にはある目的がある。そう、ある人にナデナデしてもらうことだ! …………あ。あときなこパンをごちそうしてくれることも」

「最後の最後で台無しだ!?」

 

 十香の動きについていけないAST。さらにCRユニットにも警告音が鳴り響く。そしてその機能を停止させた。

 

「な、なに!? CRユニットが停止した?」

「ハッキング!? 誰が!」

 

 ASTは混乱の渦に呑み込まれ、冷静ではいられなくなった。それもそうだ。武器が使えなくなるということは身の危険がはね上がる。

 

 そんな中折紙だけは冷静だった。

 

「これもあなたの仕業?」

「ぬ? 冷静だな。まあ、間違ってはおらぬが私はシキの指示でこのボタンを押したまでだ」

 

 十香が前に出したのは『お仕置きだべ~』とかかれたボタンだ。自爆スイッチとかによく見られるボタンだ。

 

(……もしやジャミング? だとしたら彼はCRユニットの構造を理解している?)

 

 それしかあり得ない。あんな複雑な構造を理解するのは彼しかいない。十香は「フンスッ」と胸を張って言った。

 

「アイツは私の家族だ。当然のことだ!」

 

 ……実のところ家族=ペットなんだけどね。

 

 そんなことを琴里は考えていた。

 

 

 

 

 

(四季side)

 

 

 

 

 

 結界の中を俺は足を進める。氷の弾丸が俺を連続的に貫き続ける。

 

 痛い。身体中が貫かれる。やはり錬金術で下から行くべきだったか?

 

 いや場所が特定できないと逆に危険だ。ゆえに俺の行動は正しい。

 

 俺はそう考えながら進む。手足はガタガタだ。しかしだからと言って止める理由にはならない。

 

 孤独は人を弱くする。

 

 

 四糸乃は自信がないのは孤独だったからだ。自分の強さを肯定してくれる人がいなかったからだ。だからよしのんが生まれた。

 

 まあこれは俺のそれまでの推測だったが、答えは令音さんが言ってくれた。ASTの過度によるストレスで撃退したいという気持ちを抑えるためによしのんが生まれたとか。

 

 

『シン、彼女を救ってくれ。こんな優しい少女が救われないなど冗談だろ』

 

 

 思い出す言葉。心優しい少女が救われない――――しかし冗談ではないんだよな。

 

 この世界など理不尽で残酷だ。こんな少女でもすぐに否定される。

 

 事実だ。残酷で最低なのが現実だ。

 

「だから見捨てる――――というのは道理ではない。ヒーローごっこなどシャクだが、世界の言う通りになるなど言語道断」

 

 光が見える。出口に足を踏み込む。俺はパペットを取り出して左手にはめる。奇跡的にこの結界の中でも無傷のままだった。

 

 そしてすすり泣く少女が求める存在の名前を口に出したとき、俺は口を開いた。

 

「よしのん……」

「は~あ~い」

 

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 

 

 四糸乃はよしのんの返事に頭をあげる。そこにはよしのんを左手にはめた穴だらけの人間がいた。その人間に火が灯り、傷口がなくなり四糸乃の知る輪郭となる。

 

「四季、さん……」

「そうだ。んじゃ、返すぞ」

 

 四季はよしのんを四糸乃に投げ渡すと四糸乃の左手にスッポリはまった。

 

『ふぃー。ただいま四糸乃』

「おかえ、り……」

 

 四糸乃はよしのんをギュッと抱きしめて感動の再会に喜ぶ。四季は「さてと」と呟いて言った。

 

「四糸乃、お前はこれからどうする? これまで通りに逃げる毎日を過ごすか――――それとも俺達のような生活をしたいか」

「そんなこと……できるのですか?」

「できる。お前の力を封印することになるが」

 

 四季がそういうと彼女を抱えてズイッと顔を近づける。

 

「キスは知ってるだろ? 心を開いた状態でそれを行えばお前の力は封印される」

「そ、その……恥ずかしい、です。四季さん、みたいに……生きたいです、けど」

「ならば受け入れろ」

『あのー、シキくん。まだ四糸乃は心の準備が』

「待てない」

 

 四季は四糸乃にキスをした。四糸乃はまるで時間が止まったかのような気分になった。一方、四季は四糸乃から自分になんらかの力が移るのを感じた。

 

 おそらくこれが精霊の力だろう。結界は解除され、四糸乃の霊装は解除された。

 

『ワオッ。スゴい早業だねシキくん。そんなに四糸乃のヌードが見たかったの~?』

「ヌードよりスク水ウサ耳の四糸乃を選ぶ」

 

 顔を紅くしてうつ向く四糸乃を気にせずそんなことを言う四季である。

 

 

 

 

 

(四季side)

 

 

 

 

 

 エピローグ的な話を言えば四糸乃の力は封印され、十香と一緒に隣に立てられたマンションに住むこととなった。<ラタトクス>が建てたらしいが、税金の無駄遣いじゃねと思ったのは秘密だ。

 

 さて、俺はと言うと十香のために作ったきなこパンを食べさせていた。もちろん首輪とリードをつけて。

 

「し、シキ……これは少し恥ずかしいのだが……」

「気にするな。俺は恥ずかしくない。むしろお前の萌えが見れて感激」

「む、そ……そうなのか? うむ、ならばそれで良し!」

「よくないわよ変人」

 

 琴里は呆れた顔でツッコむ。しかし十香は気にせず俺が作ったきなこパンを食べる。

 

「むー、やはりシキが作ったものよりお店の方が上だなぁ。これはこれでおいしいが」

「仕方ないだろ。あそこが元祖でしかも秘伝のきなこを使っている。再現できたのはパンだけだ」

「いや秘伝のきなこって何よ。それ初耳なんだけど。まあいいわ。それよりも四季。あなたのもう一つの精霊の力――――誰の者なのかわかっているの?」

 

 琴里は真剣な顔で聞いてきた。ふむ、何やら俺が再生の精霊が誰なのか知っているのか気になったのだろう。

 

 まあ俺はこう答える。

 

「さあな。俺はこの力に関してまだ知らない方がいい。いずれお前が話してくれるだろう? 琴里」

「そ、そう……。そうよね……」

 

 俺がそう言うと琴里はそれ以上は聞かなかった。すると十香がスリスリと頬釣りしてきた。

 

「シキ、シキ。私も四糸乃みたいにキスしてくれ! がんばったのだぞ」

 

 そういえば作戦が成功したらきなこパンとなんでも言うことを聞くと約束したっけ。まあ、きなこパンが十個程度なのはこのおねだりが要因なのだろう。

 

 なので俺は目の前に琴里がいるのにも関わらず、十香にキスをした――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ディープで濃厚な大人の方の

 

「むぅっ!? む、ぅー……あ、んちゅ……」

 

 十香はされるがままに俺の舌を受け入れ、蹂躙される。琴里は真っ赤になってそれをジーと見ていた。そしてディープキスが終わり、十香がヘナヘナとヘタリ込むと琴里は正気に戻る。

 

「な、なななんてチューをしているのよ!?」

「ん? ディープキスを直に見るのは初めてか?」

「当たり前よ! それはふ、ふふ夫婦とか恋人同士がするモノでしょう!?」

 

 琴里は真っ赤にしながらウガーと批判する。コイツ案外ウブなのか?

 

 クスクスと俺は笑い、そして言ってやった。

 

「お子ちゃまには早かったかな?」

「ッ……! もう知らないもん!」

 

 琴里は不機嫌な声を荒げてリビングから出ていった。ありゃりゃ……怒らせちゃったかな?

 

 と俺がそう考えてると四糸乃が顔を紅くしてこちらを見ていた。

 

『やっほーシキくん。アダルティなキスをありがとうね。勉強になったよん♪』

「よ、よしのん……四季さん、に失礼だよぉ」

『んー? じっくりねっとり見てたの四糸乃じゃなーい♪』

 

 そう指摘された四糸乃はボッと顔をさらに紅くした。俺はそんな四糸乃にやれやれと呟いて耳元で言った。

 

「望むならしてあげるよ? お前は俺の奴隷(所有物)なのだから」

 

 そう言うと四糸乃は目をグルグルまわして失神するのだった。おやまあ、まだまだお子ちゃまばかりだねぇい。ここの人達は。クスクスと俺は笑いながらまた席につくのだった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シキぃ……もっとぉ……」

 

 なお、十香の目がトロンしていたことは俺以外知らなかった。

 

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 

 

 ASTの拠点にて新たな補充要員――――崇宮真那が折紙の隊に入った。彼女の目的は自分が追う精霊のことを殺すことだ。あの精霊が危険で凶悪なのだから。

 

「そんなことよりこれに関して話すことがあるわ」

 

 燎子が映したのは僅かに映る四季の姿だ。それを見て驚くのは真那だった。

 

「兄様? ……いやちょっと違う?」

 

 このとき折紙の四季に似ていた真那についての疑問は解消されたと同時に真那は獰猛な笑みを浮かべる自分の兄に言い様のない不安が生じた。

 




さ、さすが四季! オレ達のできないことを平然とやってのける!

一誠「そこに痺れるぅ、憧れるぅ!」

……とまあ、特別ゲストに書いてる小説の主人公の一誠くんをここに出しました。キスされてるときの背景音が『ズキュゥゥゥゥゥンッ』だったりします。

次回は三巻の物語ですが、しばらくお休みです。申し訳ありませんが三巻が読み終わるまでお待ちください。




ボツ案


四糸乃がよしのんの声が聞こえたことに辺りを見回す。

「どこ……!? どこなのよしのん!」
「ここだよーん」

四糸乃の前にズゴォンと前に落ちてきた。四糸乃はその乗り物がなんなのかわからなかった。

「えっと……四季、さん? なんですか、それ……」
「ロードローラだ!」

すると四糸乃の後ろの地面から二人の男が飛び出してきた。青い髪の男と金髪の男が何かを言いながら殴りあっていたのだ。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、WRYYYYYYYY無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

四糸乃はそれを見て四季に聞いた。そう彼らこそ最高の助っ人――――

「スタンド使いだ!」
「わけがわからないよ」

ネタですから(笑)


以上、即興で思い付いたネタです。

ロードローラとか、直死の魔眼を出せば、もう四糸乃が死ぬフラグしかないじゃない……!(某巨乳魔法少女のネタ)

四季「わけがわからないよ」


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