切り裂き魔と精霊ちゃん達   作:ぼけなす

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いつの間にかお気に入りが一〇〇を越えてました……。
本当に感謝感激です!

ではどうぞ。


第十四話 雨よ、|止《や》め。

 

 

 

(四季side)

 

 

 よしのん(パペット)の居場所はなんと鳶一折紙の家だった。<フラナクシス>は彼女の家に侵入したが、どうやらトラップで全て失敗に終わり、直接俺が行くことに白矢が立った。

 

 俺は微妙な顔持ちで彼女宅に向かう。

 

 なんか知らないけど、アプローチを受けてたしなぁ。

 

 なんでか知らないが鳶一折紙は俺に好意的だ。理由は不明だし、前の四季の記録ですから知らない。ゆえに彼女がなぜ好意的なのかがわからない。

 

 まあいい。早くよしのんを回収し、さっさと渡せばいい。

 

 俺は鳶一折紙の住居の扉を開けた。一応、アポをとっているため折紙は俺が来ることを知っていた。お土産のケーキを持って、その扉の先へ入る。

 

「いらっしゃい」

「…………」

 

 一度思考が停止した。理由は鳶一折紙の格好である。メイド服――――世の男子が活性化させる服装である。

 

 萌えの根源とも言えるその姿を見れば、それも鳶一折紙がその格好をすれば俺の思考も停止する。

 

「なんだその格好は?」

「気に入らない?」

「最高だ。だが、次回からは普通にしてくれ。さすがの俺でも驚いた」

「……そう」

 

 背中を向ける鳶一折紙が「計画通り」と黒い笑みを浮かべたような気がした。

 

 うん、お前はどこのデスなノートの持ち主だ。まあそれはさておき、リビングに入る。

 

『ジャミ……グ!? し、……れんら……ザザザ……』

 

 ジャミングか。ふむ、後は自分でなんとかするしかないな。メイド服のままで鳶一折紙は紅茶を出した。

 

 ……紅茶らしくない色だったが。

 

「どうぞ」

「断る」

「どうぞ」

「毒味はしたか?」

「どうぞ」

「…………」

「…………」

 

 やれやれ、仕方あるまい。俺は紅茶を口に含む。ひどい味だ。こんな紅茶を客に出すのは些かどうかと思う。

 

 それに媚薬……なのか? 身体がホットになる。残念な話だが俺に媚薬は効かない。

 

 性欲はないこともないが希薄な程度しかない。俺は嘆息を吐くと、鳶一折紙が押し倒してきた。

 

「オイ、俺がムラムラすると思ったか? 馬鹿め。俺に媚薬など効かぬ」

「…………残念」

「残念がるな。てか、どけろ鳶一折紙」

「断る。どいてほしければ私のことを夜刀神十香と同じように名前で呼んでほしい」

 

 ……なるほど。どうやら呼び名が不服のようだな。やれやれ、仕方あるまい。

 

「折紙。これでいいか?」

 

 俺がそう呼ぶと折紙はどいてくれた。すると折紙はシャワーを浴びてくると言ってリビングから出た。

 

 今がチャンスだな。俺はリビングから出て、折紙の部屋に入る。折紙のことだ。人形となると自分の部屋かリビングに飾るはずだ。リビングにはないとすると、後は彼女の部屋となる。

 

「ビンゴ。見つけた」

 

 よしのんは可愛らしいタンスの上に飾られていた。それを回収して、俺がリビングに戻るとバスローブ姿の折紙がいた。

 

「…………」

「…………」

「…………どう?」

「セクシー。って言ってる場合か。早く、服着ろ」

「四季が望むならこのままでいいよ?」

「風邪をひくからやめろ。俺はそんなこと望んでいない」

 

 まあ折紙の白い肌にドキッとしたのは秘密だ。いくら変人とは言え、人間だ。本能が反応するのは無理もない。

 

 ふと俺は折紙に疑問をぶつけた。

 

「……そういえば折紙。お前はなぜ十香を嫌う。いつも目の仇にしてるじゃないか」

「簡単な話。彼女は精霊だから」

「精霊――――なるほど。確かに人類の災厄ならわからんこともない。しかし今の十香は無害に等しい。それにお前が怨むべき精霊ではないはずだが?」

 

 折紙の仇は炎の精霊だ。ならば十香は見当違いのはずだ。しかし折紙はこう答えた。

 

「確かにそう。だけど精霊が世界に災厄をもたらすことには変わらない。いつ、また空間震を起こすかわからない」

「…………では今の十香は殺されるべきと? 人間と変わらない少女を」

 

 この質問には彼女は沈黙した。ASTは精霊を討伐する組織だ。だが、人間を殺すことは容認するヤツらじゃない。

 

「……今の彼女は精霊として見られていない。だから討伐対象じゃない」

「そうか……」

 

 いつの日か折紙が復讐を果たさないことを祈ろう。でなければ彼女はとんでもないことを犯しそうだしな。

 

 ……まあ既に媚薬を使っている時点でとんでもないが。

 

 すると空間震警報が鳴り響く。これには折紙は表情を変えた。

 

「……あなたはここにいて」

「…………」

「あなたが何者なのかは私にはわからない。けれど味方であると信じてる」

 

 ……悪いが立場的には敵になるがな。まあいい。勝手にそう思っている方が救いだろう。

 

 さて折紙がいなくなった後に俺は部屋から出ようとするとトリモチが飛んできた。分解で無効化。ふむ……これがトラップか。

 

 これはとても――――

 

「面白いアスレチックだな」

 

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 

 

 四糸乃は精霊の力を顕現し、逃げていた。ASTに見つかり、お互いが傷つくのが嫌で嫌で逃げたのだ。

 

 そんな彼女のことを強いと言ってくれた少年をふと、思い出したがすぐに頭を振って否定した。

 

(四季さん……私、強くない……です) 

 

 そして遂に一発の弾丸が彼女の足を貫いた。痛みで彼女は冷静でいられなくなる。それを好機とみたASTは一斉にたたみかかる。

 

氷結傀儡(ザドキエル)!」

 

 彼女がそう叫んだ直後、氷の嵐が起こる……。

 

 

 

(四季side)

 

 

 

 ……四糸乃の本気を垣間見た気分だ。やっと回復したインカムから状況を理解した。

 

 四糸乃は過度のストレスにより吹雪の結界を展開したのだ。

 

 やれやれ……厄介な状況になったな。しかしこのままでは四糸乃が危ない。

 

「さてさてどうやって行こうか――――なーんて、実はもう考えてるけど」

「シキ!」

 

 振り返るとそこには十香がいた。なんでここにいるのか気になったが今は気にしている暇もない。

 

 どうやってASTから注意を逸らすか……だ。

 

「…………」

「な、なんだ? 私をジロジロ見て」

 

 俺はインカムで琴里にあることを聞いた。その内容には琴里も少し訝しげな感じで答えてくれたが、確証を得た俺はニヤリと笑う。

 

『し、四季……まさか…………』

「ククク……」

「し、シキ?」

 

 俺は十香と琴里に作戦を伝えた。もちろん琴里は反対したが、そんなこと俺が聞くと思うか?

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 

 四季が作戦を決行する前に折紙はこの結界を突破する策を思い付いた。それを決行するとき、突如。謎の影がASTに襲いかかる。

 

 折紙はレーザセイバーで防ぐ。その影の正体は――――

 

「夜刀神十香?」

 

 やや霊装化した制服を着た十香がそこにいた。

 




さて四季はどうするでしょうか?

1地面から行く(錬成)

2原作通りに行く(根性論?)

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