切り裂き魔と精霊ちゃん達   作:ぼけなす

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やっと一巻終了。そして次回から好き勝手に彼が動きます。

いやだいたい原作通りだけど、ナチュラルにブレイクしちゃうんだよね四季って……。


第十話 それでも世界はまわっている

 

 

 エピローグな話を言えば四季は十香の精霊の力をいつの間にか封印していた。彼が蘇生をしたときにラインが繋がったのではないのかと令音は考えている。

 

 もちろん十香の健康状態は良好で、元気な姿を見せていた。そして今日、彼女は来禅高校に入学することとなった。

 

 そして彼――――五河四季は、

 

 

「というわけで殿町。お前の髪を狩らせろ」

「わけがわかんねぇよ!」

 

 いつも通りに殿町いじりをしていた。しかしその代償はあまりにも重かった。

 

 十香の蘇生は見事成功した。死んだ魂は冥府へは行かず、彼女の魂を復元した。失われた心臓も元に戻り、彼女は元気な健康状態である。

 

 一方、四季は『士道』を代価に『再現』という錬成を行ったことにより、『士道』と十香に関する記憶がなくなった。

 

 『抑止の存在』――――世界の審判が彼の錬金術(キセキ)に干渉してきたため、彼の記憶は消去された。

 

 唯一の残ったのは『士道』と十香に関する日記である。これのおかげで四季は十香という少女や『士道』が誰なのかがわかった。

 

 つまり前の四季は死んだが、新たな四季が誕生したことになる。

 

(感情が蘇っていたか……。だが、十香を救うことでまた零になった。それにしても……)

 

 『抑止の存在』はなぜ自分の反逆を妨害せずに等価交換を許したのだろうか。あの事象とも言える世界の審判が蘇生を容認するのはあり得ない話だ。

 

 未来で何かが起きるのだろうかと四季は考えたが、すぐにやめた。

 

 転校し、『夜刀神』となった十香が自己紹介を終わらせて自分に抱きついてきたのだ。

 

「シキ、これからも一緒だな!」

「おお、確かお前は我がペットの十香というワン子じゃないか。どうしたんだ?」

「私はペットじゃないぞ!? 家族だぞ!?」

「ペットも家族と同じだろう」

 

 普通ならば『家族になる』=お嫁さんなのだが、四季にとって家族=ペットも有りという思考回路のため、彼女のことをペットになった少女と勘違いしている。

 

 日記で間違った推測で十香の立ち位置は『四季のペット』となったのだ。

 

「ぬぅ……ここはお嫁さんと言ってほしかったのだが」

「俺に嫁? 馬鹿言え。俺に嫁さんができたらソイツは頭がイカれた大馬鹿者だ。こんな鬼畜を好む女などいない」

「じ、自覚あるんだな」

 

 殿町さんもびっくりである。四季は「だが……」と続けて言った。

 

「十香、お前が俺のペットならば大切にするつもりだ。お前が離れたいやら死にたいと言っても絶対に離れないし、死なせない。お前の全てを肯定するつもりだ」

「私は四季のペットになる!」

「夜刀神さァァァァァんッッッ!?」

 

 キラキラと飼い主になってくださいまし宣言した十香に殿町のツッコミが炸裂した。十香は「肯定」やら「大切にする」という言葉に弱くなっているのだ。

 

 そのため彼女は社会的威厳よりも四季とずっといられることを選ぶ。すると折紙が席から立ち、四季に向かって言った。

 

「四季、私もペットにして」

「俺のペットの最低条件は興味を持たせる生物だ。ゆえにお前は範囲外だ」

「なら、お嫁さんにして」

「論外。俺の理想はムチムチボインと筋肉マッチョを兼ね揃えた女性だ。役者不足だから却下」

「大丈夫。あと二年したらムチムチボインになってみせる。あと筋肉マッチョも」

「いや気づいて鳶一さん! 四季の言ってること思いきり冗談で不可能なことだから!」

 

 ムチムチなのに筋肉マッチョとは矛盾を思いきり出している。「チッ」と四季はあからさまに舌打ちして、殿町の肩を掴む。

 

「余計なことを。これではコイツのアプローチが今日も続くじゃないか。罰だ殿町。やはりお前の毛の運命をここで終わらせる」

「うォォォォォ!? 何やら余計なツッコミで俺の毛根の危機!?」

 

 ギャーギャーと騒ぐ殿町を追いかける四季に、折紙はあのときのことを思い出す。

 

 四季が自分に向けていた目。復讐に身を燃やした男の目は恐ろしかった。

 

(後悔はしない。でも反省した。彼が関係する者に手を出せばおそらく死ぬのはこちらだろう)

 

 四季は埴輪の『士道』のことなど覚えていないことを知り、『士道』は十香のために何かの犠牲になったことを折紙は知った。埴輪がいない四季に、彼女は少しだけ寂しい気持ちになった。

 

(彼がいたから四季は輝いていたのかも……)

 

 ゆえに彼女は(しどう)を失ったという罪を背負おう。そしていつか自分の両親を殺した精霊を倒す。そんな決意をする。

 

 

――――結局、彼女は気づいてなかったことは一つ。四季がASTにしたことは、折紙自身の未来でもあるという可能性であることに

 

(あと、彼に攻めれる………………イイ)

 

 余談だがこのとき彼女に何かが目覚めていたりする。それが姿を表すのは、いつか来るのだろうか――――いや来ないでほしい、マジで。

 

 なぜならその何かは究極生命体とも言える混沌の変態と同じなのだから。

 

 燎子の胃を悪くさせる心労の原因なのだからである。

 

 そんなことをつゆ知らず十香はシキの背中に抱きついて、言った。

 

「ずっとずっとずーっと、一緒だぞシキ♪」

 

 彼女の笑顔は今日も輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殿町、今日こそ年貢の納め時だ。このハサミでまずお前のトサカを斬る」

「ちょ、マジでまっ――――うぎゃあァァァァァ髪の毛数本持ってかれたァァァァァ!」

 

 ということが背中に抱きついている十香の前方で行われていた。

 




十香=ワン子な立ち位置。タグで書いてましたが、精霊をペット扱いしちゃいます。

奴隷は今のところ考えてませんが誰にしましょうかねぇい(ゲス顔)

いじりがいのあるヤツを狙っときましょうかねぇい。


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