ガイム&パンツァー  戦車道・ライダー道極めます!   作:フルーツ大将軍

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お待たせしました、第56話です。

今回は原作同じく楽しいキャンプ回!

もしかしたら少し暗いかもしれませんがちょっとした差異なので気にしないで下さい。

では、どうぞ!


第56話 「サバイバル・ウォー!…のはずです」

これまでのガイム&パンツァーは…

 

2回戦が終わりアンツィオチームの宴に参加する大洗チーム。

 

騒がしくも楽しい一時を過ごす一真だがその最中、桃に呼び出される。

 

その内容はライダーチームの新戦力を隠蔽していた事だったがそれは全て破神総一の仕掛けた罠だった。

 

それとは知らずに烈しく糾弾し殴り罵詈雑言を放つ桃。

 

その言動に何処までも拭い切れない自分の罪を悟る一真。

 

締めの野外ライブで歌う一真の姿に人々は熱狂するもその輝きの裏に更に影を落としている事に気付いた一部の者たちは一真を案じると同時に他の大洗チームの面々に失望の念を抱く。

 

相対した者ばかりに深く理解され慕われる、それは一真がこれまで戦ってきた者を敵と認識せず向き合うべき友として戦ってきたゆえなのか…

 

そんな事はつゆ知らずに大洗チームはとある場所に集まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

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「2回戦お疲れ様~、みんなで更に親交を深めるには?」

 

「せ~の!」

 

「「「「「キャンプ!!」」」」」

 

「どういう流れでキャンプになったんでしょう?」

 

「知るか、ただの気まぐれだろう」

 

とある宿営地に集まっていた大洗戦車チームとライダーチーム。

 

「今回は教官方のご厚意でこのキャンプ場を借りる事が出来た!」

 

「ここは貸し切りで一般人に覗かれる心配はありません」

 

「へぇ~教官が…(あの義姉があたしたちに親切をしてくれるとは思えないけど)」

 

 そう考え天子は辺りを見ると何時もはいないはずの者たちがいた。

 

「その前に…次の試合から参加するメンバーを紹介するよ~」

 

 杏がそう言うと杏たちの前に風紀委員を務める園たち3人が現れる。

 

「今日から参加します園みどり子と風紀委員です、よろしくお願いします」

 

「略してそど子だ、B1に乗ってもらうからみんなよろしくね~」

 

「会長、名前を略さないでください!」

 

「そんで隊長、何チームにしよっか?」

 

「う~ん…B1ってカモっぽくないかな?、どうかな一真君…あれ?」

 

「そういえば一真さん、ここに着いてすぐにトラックに乗って何処かに行ってしまいましたが?」

 

一真に尋ねようとするみほだが既に一真の姿がなく桃が鼻で笑う。

 

「破神は食材の調達と野外入浴セットの設営をさせている」

 

「待ってください!、食材の調達ってここから一番近い食料品店でも片道で1時間は掛かるはず!」

 

「それに野外入浴セットって結構時間が掛かるのでは?」

 

「自衛隊でも6名で3時間は掛かるはず…まさか?」

 

「無論設営も破神1人で行わせる、他の者は絶対に破神を手伝わないように!」

 

さも当然のように言い一同に注意を促す桃に鈴仙や早苗は怒り一同を睨み華扇もあまりにも内容に溜め息が出る。

 

「そんな!?」

 

「それに西住、もうあいつはライダーチームの総隊長ではない!、あの不出来な奴に代わって総隊長を務めるのは比那名居だ」

 

「えっ?、うっそでしょ!?、なに勝手に決めちゃってるの!?」

 

任命された当の本人すら初めて聞いた事実に驚き夜罪もがっくりと項垂れてしまう。

 

「既に連盟の方にも手続きも済ましてある、西住も今後は作戦の立案等は比那名居と行うように!」

 

「あと全員作戦概要等の機密は決して破神には一切喋らないように!、以上!!」

 

流石の内容に一同は呆気にとれてしまい杏もまた頭を抱えてしまい柚子もなんとか場を繋ごうと考え…

 

「じゃっじゃあ、みんな今日は目一杯キャンプを楽しみましょう!」

 

「「「「「は~い…」」」」」

 

「一真からまた1つ居場所を奪えて良かったわね、隊長さん」

 

「言っとくけどあんたもあの戦車チームの命令も死んでも聞かない、それと練習や試合にも一切出ないからそのつもりでね、隊長」

 

気のない返事に不安が募り耳打ちで鈴仙と早苗が言った後、これ以上関わりたくないのか自分のテントを設営して中に引き籠もってしまう。

 

「…だな、あたしたちは飯の時間まで特訓でもする?」

 

「そうですね…早くゲネシスドライバーを…っ!?」

 

天子も自分に言い聞かせるように衣玖も答えようとすると林の中にスーツ姿でゲネシスドライバーを装着した自分の姿を見る。

 

「どうしたの?」

 

「いっいえ…」

 

思わず顔を背けもう一度見るとその姿はなかった。

 

「やるならさっさと始めよう、俺もジンバーアームズにさっさと慣れたい…一真にはここに抜け道があることを伝えろ、あとであんこうチームに会わせる」

 

天子に周辺の地形データを送り現在地より少し離れたライダー用の練習場に向かう。

 

「…ありがとう夜罪」

 

天子も礼を言い色々と先がおもいやられるが向かい衣玖や幽香・華扇も向かう。

 

その時、みほは静かな怒りを秘めた瞳で桃の前に立つ。

 

「河嶋先輩、これだけははっきりと言わせてください」

 

「なんだ?」

 

「河嶋先輩と一真君との間に何があったかは知りません、でも私はこれまで一真君と一緒に作戦を考えて困難を乗り越えてきました」

 

「それは比那名居でも…」

 

「一真君が総隊長だったから私は自分の…戦車チームの背中を預ける事が出来ました、比那名居さんも凄い方です、でも私は一真君以外に自分の背中を預ける気はありません」

 

そう言って天子たちの後を追い沙織たちあんこうチームのメンバーもみほに同意するように頷き共に歩いて行く。

 

そして他のチームもとてもそのまま遊ぶ気にもなれずにライダーチームのその過酷な特訓メニューに驚嘆しながらも見学していた。

 

 

 

 

 

 

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その頃、一真は…

 

「よいしょっと…よし、入浴セットも設置完了、ご協力ありがとうございます」

 

「いえいえ、これもお会いしたご縁ってやつですよ」

 

「って大洗チームが隣りのキャンプ場にいるなんて思わなかったけどな!」

 

「中も完了したぞ、ベートーヴェン…じゃなかった、破神」

 

「もうバッチリっすよ!」

 

「これからはどうするんですか?」

 

買い出しの途中で偶然隣のキャンプ場で残念会をしていたアンツィオチームと出会いヴィヴァルディやアンチョビたちが協力を申し出て共に野外入浴セットの設営を完了させた。

 

「そうですね…食材はもう届けましたので自分は学園艦に帰ります」

 

「えっ?、帰るって破神、チームの所に戻るんじゃないのか?」

 

「学園艦に誰もライダーがいないのは流石に…インベスの襲撃が来ないという保証はありませんから」

 

一真がサクラハリケーンロックビークルを開錠しようとした時、ケータイに着信が入り一度ロックビークルをしまいケータイの画面を開く。

 

「父さん?、はいもしもし?、うん…うん…分かった、そういう事ならせっかくみお姉が手配してくれたんだし今回はこっちで大人しくしてるよ」

 

応対している一真にまるでその会話内容を知っていたかのようにヴィヴァルディとアンチョビは頷き合い電話を終えると一真は少々呆れるが穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「全く相変わらず勝手なんだからな…すいません、自分1人で勝手に喋って」

 

「そんな…良いお父様じゃありませんか」

 

「ただの親バカなだけだよ、相変わらず加減も知らないし…」

 

「それだけ破神さんの事を想っているんですよ」

 

「だと良いんですけど」

 

穏やかな笑みを浮かべる一真にアンチョビやヴィヴァルディは安堵する。

 

「それじゃあ自分はみんなの所に戻ります」

 

「あの破神さん、1つ聞いても良いですか?」

 

歩いて向かおうとする一真をカルパッチョが真剣な表情で尋ねる。

 

「はい、大丈夫ですけど…」

 

「大洗チームは本当に貴方の仲間なんですか?」

 

「………当然です」

 

「にしては沈黙の間が長かったですよ」

 

「それは…」

 

「破神…なんでそんなに無理をして、心を擦り減らしてまで大洗にいるんだ?」

 

「なんか難しい話っぽい気がするっすけど、どう見ても仲間の元に帰るって顔じゃねえっすよ」

 

「そんな事…」

 

「じゃあなんでそんな辛気臭い顔してんの?」

 

一真も分からない内に表情が曇っていて何も答えられずにいた。

 

「その表情が答えです破神さん、はっきり言って見てられません」

 

「破神!、お前さえ良ければアンツィオに!!」

 

「その気は全くありません、俺は今度こそ…向き合わないと!」

 

一真はアンチョビにきっぱりと言って迷いを振り切ろうと走っていった。

 

「自分の罪と…ですか」

 

「一真君、君の言うものが罪なら全人類は大罪人だよ…」

 

 

 

 

 

 

#####

 

 

 

 

(恐らく練習場には天子が…いるな、でも人の気配が多いと思ったらみほちゃんたちもいたのか…てっきり川遊びにでも行ってると思ったけど)

 

その後、一真はライダー用の練習場に到着すると天子たち以外にもみほたちもいることに疑問を抱き木の陰に隠れ出ようか迷っていたが…

 

【ペキッ】「あっ」

 

「あれ?、来てたのですか一真?」

 

小枝を踏んでしまいその音で丁度クールダウンしていた華扇に気付かれてしまいそこにいた全員に気付かれてしまう。

 

「あっあぁ、今さっきね」

 

「一真君ごめん、手伝いに…「貴様!!、ここで何をしている!!」」

 

みほが謝ろうとすると怒りに満ちた桃が割って入り華扇は「しまった!」と思わず言いそうになる。

 

「アンツィオチームのアンチョビさんやヴィヴァルディたちに手伝ってもらって思いのほか早く終わったので自分も特訓を…」

 

「アンツィオチームが近くに来ているんですか?」

 

「うん、隣のキャンプ場に「そんな事はどうでも良い!!」」

 

華も頑張って話題を逸らそうとするがこの程度では桃の腹の虫は治まらない。

 

「貴様、何故我々のいる場所が分かった?」

 

「えーっとそれは…(天子たちの特殊な気配を辿ってきた…なんて言えないし)」

 

自分の秘密がバレる事は天子たちの正体がバレる事に繋がる為に答えられずにいると…

 

「やはり貴様、我々の会話を何かしらの方法で盗聴か盗撮をしているな」

 

「えっ!?、本当なの一真君!?」

 

「それはちがっ!(いや…自然と気配を感じ取れたりするのは、普通の人からしたら大差ないのかもしれない)」

 

「(これ以上はマズい!)違うんだ河嶋!、一真は私や衣玖たちげん「もしや思ったが、その沈黙が何よりの答えだな、破神一真」」

 

流石に隠し切れないと思い天子が自分たちの正体を告げようとするが一真を見下げるように桃が一切耳を傾けずに言う。

 

「こいつは自動車部と交じって戦車の整備も出来るぐらいならそういう類の物を作れるはず、こいつならやり兼ねないと思ったが…どこまでも最低最悪な男だな貴様は」

 

「一真君噓でしょ?、噓だと言ってよ!!」

 

未だに信じられないみどり子は声を荒げるが…

 

「いえ…事実です、園さん」

 

「違います!!、一真君は!(何を言ってるの?、全部自分が蒔いた種でしょ?、永江衣玖)えっ?」

 

あらぬ疑いを肯定し一同が動揺するなか衣玖が弁明しようとした時、良く知っている声が聴こえ辺りを見渡すが声の主はいない。

 

それもそのはず、声の主は永江衣玖本人だからだ。

 

「そんな…」

 

「本当なら警察に突き出してやりたいが貴様のような奴でもこれ以上ライダーチームの戦力を低下させる訳にはいかない、だから大会が終わるまでは伏せておいてやる、良いですか会長?」

 

その時、夜罪は事情を知っている杏に自分たちの正体をバラしてでも弁解するようにアイコンタクトを送る。

 

「あぁ、そうだね河嶋」

 

(なにっ!?、どういうつもりだ角谷!)

 

桃の言う事を支持するように杏に夜罪は驚きを隠せずにいた。

 

「だが今後一切外部への連絡手段は絶たせてもらう、貴様のケータイをこっちに寄越せ」

 

「分かりました…」

 

一真は自分のケータイを差し出し桃がひったくるように取ってへし折ろうとするとするが硬すぎて折れなかった。

 

(ソルメタル製で出来てるから私でも折れないわ)

 

「まぁいい、明日からは生徒会か風紀委員の監視を付けこちらからの連絡は五翠から伝言を伝える形を取る」

 

「ふざけるな、誰がそんな事をやるか」

 

「お願いだ五翠ちゃん、頼むよ…本当に…」

 

「…チッ!、勝手にしろ!!」

 

まるで謝罪するように頼み込む杏に夜罪は舌打ちをしてそう吐き捨ててその場を去る。

 

「以上だ、今日だけは自由にしてやる、だが私たちの半径100m以内は近付いたら即刻通報する、さっさと立ち去れ!!」

 

「分かりました、皆さんに不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございませんでした…」

 

一真はその場で頭を擦り付ける程度の土下座をした後、言われた通り半径100mには入らないように離れていった。

 

「これで1つの不安材料がなくなりましたね、会長」

 

「あっあぁ…そうだね(もうこれで破神流とその息のかかった人たちはみんな敵になったと考えないといけない)」

 

勝ち誇ったかのように言う桃だがこれから想像絶する脅威が襲い掛かってくる事を察した杏は不安と恐怖で押し潰されそうになっていた。

 

「一真君…なんで…どうして?」

 

みほたちもそれが真実かどうか判断がつかず気持ちの整理もままならないままキャンプなど楽しめるはずもなく夕食作りも用意していた食材を黒焦げにしてしまうアクシデントが発生するもこの事態を察知していたかのように一真は事前に手配していた予備の食材でバーベキューは恙なく行なわれた。

 

「本当に…人間という生き物は…どこまでも醜悪ね、反吐が出る」

 

始まりからずっと物陰にいた美織に一真以外の大洗チームを監視されながら…

 

ちなみにこの時、鈴仙と早苗は一同が練習場に行っている間にロックビークルを使い既に学園艦に帰っていた。

 

 

 

 

 

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夕食時、一真は一人焚き火の前で過去を懐かしむように座っていた。

 

「こうやって一人で焚き火の火にあたっていると旅をしている頃の事を思い出す…」

 

「なら是非私たちにその話を聞かせてくれませんか?」

 

すると林の少し開けた一角なのにも関わらずにヴィヴァルディたちが分かっていたかのように登場する。

 

「なんでこの場所が!?」

 

「やっぱりロックシードを使っていましたね…」

 

「それに破神の事だ、1人でいると思っていたぞ」

 

食事を摂らなくても良いように戦極ドライバーをヒマワリロックシードをセットした状態で装着していた事でヴィヴァルディたちはロックシード探知システムで居場所を特定していた。

 

「さぁそんな味気ない食事はやめて…」

 

「あっちょっと!?」

 

「ほらっ行きましょう破神さん!」

 

「行くぞ破神!」

 

「行くっすよかずっち!」

 

ヴィヴァルディにヒマワリロックシードを外され驚いている隙にアンチョビに左手をカルパッチョに右手をべパロニには背中を押され強引に連れて行かれる。

 

「わっ分かりましたから、それよりもひっ火!」

 

「分かっていますよ、ちゃんと後始末はしていきます」

 

ヴィヴァルディが焚き火の火を消していき一真はアンツィオチームがいるキャンプ場へと連れて行かれた。

 

 

 

 

 

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         『東富士演習場近く アンツィオチーム在中キャンプ場』

 

 

 

 

 

 

「お~い!、破神を連れてきたぞ~」

 

「ヤッホーイ!、やっと来たな!」

 

「さぁさぁ食べて食べて!」

 

「それとも飲め飲め~」

 

連れて来られたアンツィオチームのキャンプ場では宴会の真っ最中で一真の到着で更に盛り上がっていた。

 

「かずま~やっときたよ~」

 

「一緒に歌う?、ってお腹空いてるよね~」

 

「一真、これ…」

 

「響子ちゃんみすちーさん…ルナサさんまで」

 

響子やミスティアたち幻想郷の面々も待ち侘びていたようでルナサも恥ずかしながら一真に料理を食べさせようとしていた。

 

「あーお姉ちゃんズルい~」

 

「一真、はいあ~ん」

 

「わっ分かった1人ずつね、ひ・と・り・ず・つ!」

 

プリズムリバー三姉妹の猛攻に一真は渋々口を開けると3人同時に運び思わずむせてしまう。

 

「だっだから1人ずつって言ったのに」

 

「まぁいいじゃないのたまにはさ、ほいジュース」

 

「ありがとうございます雷鼓さん…やっぱ美味しいな」

 

「そうでしょう、みんなちゃんと私たちを演奏を聴いてくれるし」

 

「まぁたまにナンパがしつこい事が玉に傷だけど…」

 

「ひっでえなぁ弁さ~ん、俺たち泣いちゃうぜ~」

 

「つまりちゃんと相手してもらう程の良い男になれってことさ!」

 

「すいませ~ん、小野塚きょうか~ん」

 

アンツィオチームのどんちゃん騒ぎに不意に嬉しそうに笑い飲み食いをし一緒になって騒いでいた一真に美鈴も傍らで安堵の笑みを浮かべる。

 

「兄弟子が笑顔が戻って私も嬉しい限りです、美鈴師匠」

 

「兄弟子ね、確かにそうなるのかしら、でももう私の型とは全然違うけど」

 

「あれが途方もない死闘の中で磨かれた武術なんですね、しかもあれでまだまだ発展途上とは」

 

「本来なら死んでもやりたくない事をね人類や世界そのものに仲間や友を人質に強制されながら」

 

「でも…まだ大洗の連中を始末しても一真が傷付く…私にはもう介入する事が」

 

「なら少しでもかずさんの笑顔を少しでも取り戻してあげましょう」

 

未だ後悔の念が絶えない美鈴にレーネも口をソースで汚し料理が山盛りに盛られた皿を片手に言いまったく説得力の欠片もなかったが。

 

「そうね…誰かが死ぬ事を一真が望むはずもない、なら今この時を楽しんでもらう(そうですよね、皆さん)」

 

美鈴も騒ぎの中に入りより一層盛り上がりムジカライダーチームを演奏をバックに各々歌い笑いそして遊び疲れた子供のように眠りに着いた。

 

何時の間にかアンツィオチーム内では名前で呼ばれるようになった一真はその後、皆が寝ている間に宴会を片付けを晴れやかな表情でしていてアンツィオチームで唯一起きていたカルパッチョもそれを見て微笑んでいた。

 

「一真さん、私も手伝います」

 

「カルパッチョさん、じゃあお言葉に甘えてお願いします」

 

「いえいえ、甘えちゃっているのはこっちです」

 

(このままアンツィオにいてくれたらずっとこんな明るい一真さんを…私は見たい!、でも一真さんはそんな道は絶対に選ばない)

 

一緒になって行う一真とカルパッチョ、潜入時や試合では一切見せなかった一真の明るい表情にこのまま時が停まってほしいとも思うカルパッチョだが一真の覚悟の強さも分かっている為に言い出せずにいた。

 

「今日は本当に一真さんが来てくれて嬉しかった…」

 

「えっ?」

 

「戦車チームやライダーチームの皆さんや教官さんたちも勿論ですが…私も一真さんの笑顔を見れて本当に良かった…」

 

「カルパッチョさん…なんで?」

 

嬉し涙を流すカルパッチョに一真は戸惑い咄嗟にハンカチを取り出して拭おうとした左手をカルパッチョが両手で掴む。

 

「ひなって呼んで下さい、2人っきりの時だけでも」

 

「…分かりました、ひなさん」

 

一真が応じた時にカルパッチョの色んな思いに火が付きゆっくりと顔が近付けていき…

 

「あー!!」

 

「ドゥーチェ!?」「アンチョビさん?」

 

タイミング良く?アンチョビが起きて2人にゆっくりと歩み寄って…

 

「ま~だ起きてたのたけしぃ~、も~うだめだろう~ちゃんと寝なきゃ~…また怖い夢でも眠れないの~か?」

 

如何やら寝ぼけていて一真をヴィヴァルディと見間違えていた。

 

「よ~し今日はお姉ちゃんが寝かしてやるからな~」

 

「あっえっとアンチョビさん!?」

 

「な~に~?、アンチョビじゃなくて千代姉だろ~」

 

「ですね~猛士君」

 

何故かアンチョビの間違いに乗っかり無理やり振り解く訳にもいかず一真はそのままアンチョビに連行されていった。

 

「ドゥーチェ、ファイトです!、私は…私が今出来る事を」

 

そう言ってある人物に電話を掛けある日に会う約束をするのだった。

 

その次の日の朝、寝ぼけていた自分がまさか隣で一真を寝かせていたとは気付かず叫びそうになる。(一真もタイミングを見計らって逃げようとするが疲労からそのまま寝てしまう)

 

「みお姉…良かっ…無事で…」

 

だが一真もアンチョビを美織と間違え夢の中で不安のあまりに両手を伸ばす一真に自分に抱き着かせ頭を撫でていた。

 

「大丈夫…大丈夫だよ…カズ君」

 

その光景を見ていた少し悔しそうだったが微笑んでいた。

 

「今日は譲ってあげるわ、千代美ちゃん…でもくやしぃ~」

 

やっぱり悔しいものは悔しかったようだった。

 

 

 

 

 

 

#####

 

 

 

 

 

         『東富士演習場近く 大洗チーム在中キャンプ場』

 

その時、大洗チームのキャンプ場では一足早く起きたというより眠れなかったみほがテントから出て朝日を浴びるも身体が重く感じていた。

 

「一真君…なんで河嶋先輩の言う事を…クシュ!」

 

昨日の一真の事で原因でありくしゃみと同時にみほは寒気も感じていた。

 

これがまたも一真たちを追い詰める事になるとはみほ自身も知らなかった。

 

 




如何でしたか?

桃ちゃんのおかげで大洗チームのメンバーも目を覚ましてこれ以上一真の毒牙に掛かる事もなくなるでしょう。

流石のみほや沙織たちの恋心も信頼も犯罪者と分かれば一気に冷めます、事実はどうであれ一真も認めましたし。

あとはライバル校のメンバーですね、頑張れ桃ちゃん!大洗チーム!

次回からは新章ですがその前にちょっとした幕間を挟みそちらの方で次回予告を入れたいと思います。


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