ガイム&パンツァー  戦車道・ライダー道極めます!   作:フルーツ大将軍

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お待たせしました第33話です

サブタイ通り今回は麻子の回になります

ではどうぞ!



第5章 第1次大洗チーム戦力増強計画
第33話「麻子さんの辛い過去です」


 これまでのガイム&パンツァーは

 

 サンダースチームの試合に勝利した一真たち大洗チーム

 

 その後サンダースチームとの交流の最中一真はへカーティアとクラウンピースに再会しこれまでみほたち戦車チームには見せた事のない笑顔で話す一真の姿に華や優花里は複雑な思いをする

 

 サンダースチームが引き上げ一真たちも準備を進めようとすると麻子のケータイに1本の電話が入る

 

 それは麻子の祖母が倒れ病院に運ばれたという知らせであり一真はダンテライナーを使い送ろうとするが試合でのダメージに日頃の疲れが重なり倒れそうになる

 

 思い詰める麻子は泳いで行こうとするがそこに手を差し伸べたのはなんと黒森峰チームだった!

 

 黒森峰チームが所有するドラッヘを使い病院に急ごうとするが突如クラックが発生し巨大インベスが襲いかかる!

 

 だが総一が変身した斬月・真が物の数分で倒してしまいドラッヘは無事病院に向かいその後沙織から「到着した」と連絡を受けたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                    『私立 永亭病院』

 

 試合の翌日、みほ・華・優花里・一真は私服で麻子の祖母久子のお見舞いの為に運ばれた永亭病院(融資は神道コーポレーション)を訪れていた

 

(麻子ちゃんがあんなに慌てる所なんて初めて見たな・・・)

 

 一真は知らせを聞いた時の慌てぶりにそう思いながらも手に持っていたおはぎの入ったふろしきを大事そうに抱えながら歩いて行く

 

 すると一真たちは「0555号室 冷泉様」の病室に到着する

 

「ここですね」

 

 華がノックをしようと手を伸ばすと・・・

 

「もういいから帰りな!、いつまでも病人扱いするんじゃないよ!、あたしの事は良いから学校に行きなよ!」

 

 病室から久子の声が聞こえ躊躇してしまい一真たちは少しばかり驚いた表情をする

 

「か・・・帰ります?」

 

「いえ、ここは突撃です!」

 

 逃げ腰になる優花里に対し華は力強く答える

 

「五十鈴殿って結構肝座っていますよね」

 

 優花里の言葉にみほは苦笑いを浮かべるが一真は嬉しそうに微笑する

 

「失礼します」

 

 華はノックをし意を決して部屋に入る

 

「「「失礼します」」」

 

 一真たちも華の後に続いて部屋に入る

 

「あっ華!、みぽりんにゆかりんも!、一真君まで!」

 

「誰だいあんたたち?」

 

「学校で戦車道とライダー道をやっている友達」

 

 久子の当然の疑問に麻子が答える

 

「戦車道?、あんたがかい?」

 

 久子が意外そうに言うと麻子は無言で頷く

 

「西住みほです」

 

「五十鈴華です」

 

「秋山優花里です」

 

「破神一真です」

 

「破神?、まさかあの神道なんとかっていう」

 

「神道コーポレーション、一真はその会社の社長の息子」

 

 一真たちは自己紹介をし久子は一真の苗字に聴き覚えがあり麻子は付け加えて説明する

 

「私たち全国大会の1回戦に勝ったんだよ!」

 

(かなり苦戦したけどな・・・)

 

 沙織がポンッとみほと華の背中を叩き嬉しそうに言うと一真は苦笑いを浮かべながら心の中で呟く

 

「1回戦ぐらい勝てなくてどうすんだい、それで戦車さんとライダーさんが何の用だい?」

 

「試合が終わった後おばぁが倒れたって八意先生から連絡が、それでみんなも心配してお見舞いに・・・」

 

 久子の問いに麻子がこれまでの経緯を話す

 

「あたしじゃなくてあんたの事をしてくれたんだろう!」

 

「分かっているよ・・・」

 

 久子の怒鳴り声に麻子は目を逸らして答える

 

「じゃあお礼を言いな」

 

「わざわざ・・・ありがとう」

 

 麻子は久子に促され少し照れながらも一真たちにお礼を言う

 

「もっと愛想よく言えないのかい!」

 

「・・・ありがとう」

 

 久子は不満だったのかまたもそう怒鳴ると麻子はもう1度お礼を言う

 

「さっきと同じだよ!」

 

「だから、また怒鳴ったら血圧上がるって・・・」

 

 久子の怒鳴り声に麻子は心配しそう言う

 

「お婆ちゃん、さっきまで意識がなかったんだけど目が覚めるなりこれだもん」

 

「寝てなんかいられないよ!、明日には退院するからね」

 

「だから無理だって!」

 

 沙織の言葉に久子が答えると麻子は言い聞かせるように言う

 

「何言ってんだい!、こんな所で寝ってなんかいられないんだよ!」

 

「おばぁ、みんなの前だからそれぐらいに」

 

 一真たちの前でも言い合いを続ける麻子と久子だが一真は少し安心した様子で眺める

 

「花瓶あります?」

 

「ないけど、ナースセンターに行けば借りれると思うよ」

 

 華と沙織はそう言うと部屋を出てナースセンターに向かう

 

「あんたたちもこんな所で油を売っていないで戦車とバイクに油を注したらどうだい」

 

「えっ?」

 

(おっ旨い事言うなぁ~)

 

 久子の旨い例えに一真は感心してしまう

 

「お前もさっさと帰りな、どうせ皆さんの足を引っ張るだけだろうけどさ」

 

「そんな・・・冷泉さん、いつも冷静で助かっています」

 

「それに戦車の操縦が上手で憧れています!」

 

 久子が麻子に言うとみほと優花里がフォローする

 

「戦車の操縦が上手くてもおまんま(ご飯)が食べられないだろう」

 

 久子は2人のフォローに素っ気なく答える

 

「あの・・・つまらない物ですけど食べてください」

 

「なんだいこれは?」

 

「おはぎです、お口に合えば良いのですか」

 

 一真は差し入れに持ってきたおはぎの入ったふろしきを渡し久子に中身を教える

 

「・・・遠慮なく貰っておくよ」

 

 突き返さされるかもしれないと一真は一瞬思ったが久子は素っ気なく答えるも受け取り一真はホッと肩を撫で下ろす

 

「花瓶はここに置きますね」

 

 すると花瓶に花を入れて戻ってきた華と沙織は窓際の小さい棚の上に置く

 

「じゃあおばぁ、また来るよ」

 

 麻子はそう言うと部屋を出て行き沙織たちも出て行く

 

 一真とみほも軽くお辞儀をして部屋を出ようとする

 

「あんな愛想のない子だけど・・・よろしく」

 

「「はい!」」

 

 すると久子は窓からの景色を眺めながら言うとみほと一真は満面の笑みで答え部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「じゃあ帰ろうか?」

 

「あっごめん!、ちょっとトイレに行ってくる!」

 

 部屋を出た一真は集合し学園艦に帰ろうとするが一真は急にトイレがしたくなり急いでトイレに向かう

 

「ここで待っているから!」

 

「ごめん!、すぐに済むから!」

 

 沙織の言葉に一真はそう答え急いでトイレに入っていった

 

 数分後・・・

 

(麻子ちゃんのお婆ちゃん大した事なくて良かった・・・でも)

 

 トイレを済ました一真は洗面化粧台で手を洗いながら自分の事のように安心しているふと鏡の自分の顔を見る

 

(あの時俺がちゃんとダンテライナーで麻子ちゃんを送っていれば父さんやまほさんたちに迷惑をかけずに済んだんだ!、弱い俺のせいでまたみんなに迷惑をかけてしまった!!)

 

 自分の顔を憎々しげに見て握り拳を作る

 

 その後一真はハンカチで手を拭きながらみほたちの元へ急ぐ

 

(うん?・・・あれは?)

 

 すると一真は麻子と医者と思われる白衣を着た長い銀髪を三つ編みにしているツートンで赤十字の入った紺色のナース帽っぽい帽子を被った女性が麻子に何かを話しているのを見つけみほたちは少し離れた位置で心配そうに見守る

 

 銀髪の女性が麻子に何かを話していると麻子は驚愕の表情をし俯いてしまう

 

(麻子ちゃん・・・まさかお婆ちゃんに何か!?)

 

 そう嫌な予感が過る一真だが銀髪の女性は不意に一真に向くと少し驚いた表情を見せると一真も銀髪の女性に向く

 

「まさか・・・八意先生って」

 

 一真はその女性の顔に見覚えがあり呟いてしまうと銀髪の女性は一真に向かって歩いていく

 

「久しぶりね一真」

 

「はいお久しぶりです永琳先生」

 

 銀髪の女性「八意 永琳」は微笑みながら言うと一真も笑顔で答える

 

「一真君、八意先生と知り合いなの?」

 

「うん・・・少しね」

 

 沙織の問いに一真は少し歯切れの悪い言い方をする

 

「そうなんだ・・・じゃあ八意先生と話してきたら?、私たちはここで休んでいるから」

 

「分かった・・・ありがとう沙織ちゃん」

 

 沙織はそう提案しながら麻子を見ると一真も応じる、どうやら麻子を気遣ってそう言ったようだった

 

「じゃあ私の診察室で話しましょう」

 

「はい・・・」

 

 永琳が先導し一真も付いて行くが一真はふと麻子を見ると今だ俯いたままであり心配そうにするも今の自分ではどうする事も出来ず永琳を追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「まさか永琳先生がこっちの世界に来ているとは思いませんでした」

 

「私は知っていたわよ、一真がこっちの世界でもライダーとして戦っている事を」

 

 一真と永琳は診察室に到着し2人とも椅子に座るとそう言い合う

 

「えっ?、どうしてそれを?」

 

 一真が永琳に尋ねた直後ノックが聞こえ誰かが入ってくる

 

「失礼します、師匠・・・じゃなかった!、先生診察結果を持ってきました」

 

 ナース服を着た何故かうさ耳を付けた女子が何か言いかけ一真の姿を確認すると訂正する

 

「大丈夫よ鈴仙、相手は一真だから」

 

「えっ・・・あっ!、ごめん一真私服だから気付かなかった!」

 

 永琳はナース服の女子をそう言うと女子は覗き込むように一真の顔を見ると一真に謝る

 

「いえ謝らなくて良いですよ鈴仙さん、鈴仙さんもこっちに来ていたんですね」

 

 一真はナース服の女子「鈴仙・優曇華院・イナバ」に優しく答える

 

「うん、実は私大洗女子学園にいるんだよ」

 

「えっ、じゃあ永琳先生の情報源って・・・」

 

「そう鈴仙から全て聞いた情報よ、私も病院と掛け持ちで大洗の校医もやっているけど」

 

 一真の事を知っていたのは鈴仙のおかげであり永琳自体も鈴仙と同じく学園にいるようだ

 

「そうなんですか、全く知りませんでした」

 

「私はいつも授業以外は保健室にいますし師匠も病院との掛け持ちなんでそんなに長く学校にはいないんですよ」

 

 鈴仙の説明に謎が解けたような表情をすると鈴仙は永琳にファイルを渡す

 

「そういえば永琳先生、麻子ちゃんに何を話したんですか?、まさかお婆ちゃんの事についてですか?」

 

「いえ違うわ、ご両親のことについて」

 

 一真は恐る恐る聞きたかった問いを尋ねると永琳は少し影を落としながら答える

 

「一真は麻子ちゃんからご両親について何か聞いた事はある?」

 

「いえ・・・特には」

 

 逆に鈴仙から尋ねられ一真はそう答える

 

「そうよね・・・実は麻子ちゃんのご両親は・・・」

 

「・・・10年前に「ヘルヘイム感染病」を患っているのよ」

 

 口篭る鈴仙に永琳が事実を伝え一真は驚愕の表情をする

 

「ヘルヘイム感染病ってまさか!?、インベスに襲われた人間が高確率でヘルヘイムの種を植え付けられて最悪インベス化してしまうって病気ですか!?」

 

「えぇ・・・インベス化しなくても感染した人は高確率で死に至るわ、冷泉さんのご両親はもってあと1年と麻子ちゃんに伝えたのよ」

 

 一真の言葉に永琳が付け加えると一真はガックリと項垂れてしまう

 

「そんな・・・お・・・俺のせいで・・・」

 

「一真のせいじゃないよ!」

 

「そうよ、逆にあなたがいなければ冷泉さんのご両親はとっくに死んでいるわ」

 

 何故かカタカタと震えながら自分を責める一真に鈴仙が強く答え永琳もそう答える

 

「ど・・・どうしてですか?」

 

「ヘルヘイム感染病の抑止薬はあなたたちロックシードを使うライダーの戦闘データや耐性の強い変身者のバイタルデータで作り出されているのよ、特に一真のデータは他の変身者とは比べ物にならない程の数値を叩きだしているから飛躍的に技術も進歩したのよ」

 

「だから一真のおかげで10年もの長い間も耐える事も出来たんだよ!、他に患っている人も全員!」

 

 一真は少し顔を上げて尋ねると永琳が説明し鈴仙も一真を励ます

 

「でも俺が・・・もっと早く来ていれば!」

 

「一真、「過去を悔いるより希望という未来に進む方に価値がある」って言ったのはあなたよ、それに今からでも遅くないわ」

 

「はい!、現在ヘルヘイム感染病の特効薬を開発中よ!」

 

 自分責め続ける一真は左手で握り拳を作るとそのまま自分の左足を殴り見兼ねた永琳が言い聞かせるように言い鈴仙も答える

 

「・・・いつぐらいに完成しそうですか?」

 

「そうね・・・あと半年以内には完成予定よ」

 

「えっ師匠!?・・・」

 

 一真の問いに永琳は真顔で答えると何故か鈴仙が驚き答えようとするが永琳が目を合図を送り鈴仙は黙る

 

「そうですか・・・」

 

「だからあなたが悩む事じゃないわ、それよりも私が心配なのはあなたの方よ、また無茶をして倒れそうになっていないわよね?」

 

 一真は少し安心したように言うがまだ表情は暗いままであり永琳は一真の状態を知っているように尋ねる

 

「そ・・・そんなわけありませんよ」

 

(相変わらず嘘はつけないみたいね)

 

 一真は目線を逸らしながら答え明らかな嘘を付くと永琳はやれやれと言わんばかりの表情になり鈴仙も苦笑いを浮かべる

 

「じゃあ自分はこれで」

 

「えぇ・・・また今度ね一真、でも忘れないであなたの唯一の主治医は私だからいつでも頼ってきなさい」

 

 一真は永琳の言葉に答えずに部屋を出て行く

 

「師匠、本当にあと半年で特効薬が出来るんですか?、完成にはあと2年は掛かるって言っていましたよね?」

 

「正攻法ならね・・・もうのんびりしている時間はなさそうね」

 

 一真が部屋を出た後鈴仙がそう懸念の声を上げ永琳は意味深な言い方をする

 

「まさか・・・私たちも遂に動くんですか?」

 

「そうよ鈴仙、私たちは総一の指示でここに来たけど、あくまで指示は「ヘルヘイム感染病の特効薬を完成させる事」なら多少総一の意思に反する事をしても問題ないはずよ」

 

 鈴仙が恐る恐る尋ねると永琳はさも当然のように言う

 

「それって破神総一に反旗を翻すって事ですよね!?」

 

「無茶は承知の上よ、それにもう一真にあんな顔をさせない為にも私たちは今出来る事をやるしかないわ」

 

 驚く鈴仙に永琳はそう答えながら机の引き出しを開けて何かを取り出す

 

「鈴仙・・・これを」

 

「これは?・・・っ!、師匠!どうやってこれを手に入れたんですか!?」

 

 永琳は取り出した物を渡し鈴仙は受け取るとその物は戦極ドライバーと緑の実の形をしたロックシードであり鈴仙は驚愕する

 

「ちょっと「友人」に頼んだのよ、鈴仙、これを使って一真たち大洗チームに加わりなさい・・・出来るわね?」

 

「はい!、私ももう一真のあんな暗い顔は見たくありません!」

 

 鈴仙は永琳の頼み強く答え永琳は頷く

 

 その頃一真はみほたちに合流し突かれて眠っていた麻子をおんぶしながら学園艦に帰っていきその道中沙織から麻子の祖母が何度も倒れている事や10年前にヘルヘイム感染病を患い今も苦しんでいる事を聞き言葉を失うみほたちだが一真は事前に聞いた事もあり驚きはしないものの依然暗い表情のままだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                      『連絡艦』

 

 一真たちは連絡艦に乗り学園艦への到着を待っていると一真は備え付けられた自動販売機でジュースを買いみほたちの元に戻る

 

(あれ・・・みほちゃんと沙織ちゃんがいない)

 

 そこには麻子と一緒に寝ている優花里と華しかおらず一真は辺りを見るとデッキにいる2人を発見する

 

「あっ、一真君もこっちに来たんだ」

 

「あぁ・・・寝ているのを邪魔するのもあれだし」

 

 一真は沙織にそう答えると持っていたジュースをみほと沙織に渡す

 

「ありがとう一真君、あれ?一真君の分は?」

 

「俺は飲んできたから良いよ」

 

みほは礼を言うが一真自身の分を持っていない事を尋ねると一真は笑顔で言うもその笑顔は何処か無理をしているようだった

 

「そういえばここで風にでも当たっていたの?」

 

「うん・・・そんな所かな?」

 

 みほに一真は少し頷くと柵に手に置く

 

「麻子、みぽりんや一真君の事心配してたと」

 

「えっ?」

 

「俺の事まで?」

 

 沙織の言葉に一真とみほはそれぞれ尋ねる

 

「うん・・・みぽりんは1人で大洗に来たじゃない家族と離れて、一真君も1人でこっちに来てそれになんかお父さんと仲が悪そうって言っていたよ」

 

「いつも俺と父さんはあんな感じだよ」

 

 沙織の言葉に言葉が出ないみほだが一真は微笑しそう答える

 

「麻子のお母さんお婆ちゃんにそっくりで患う前に喧嘩しちゃったんだって・・・「謝れなかった」って今も後悔してるみたい」

 

 沙織の言葉に一真もみほも言葉を失しなってしまう

 

(喧嘩別れした後にインベスに襲われてそのまま・・・麻子ちゃんにとっては一番酷な現実だな)

 

 一真は辛そうな表情にそう考えながらも麻子を見る

 

(俺が麻子ちゃんにしてあげられる事は何かないのか!?)

 

 一真は必死に麻子の為に自分が何が出来るか頭の中で模索していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                    『麻子の家』

 

 その後学園艦に到着しみほ・優花里・華と別れた麻子をおぶっている一真と沙織は麻子の家に到着し麻子を布団に寝かせる

 

「一真君、ありがとうねここまで運んでくれて」

 

「俺で良ければいつでも力を貸すよ」

 

 一真に礼を言う沙織に一真は笑顔で返す

 

「私はすぐに帰るけど一真君も帰る?」

 

「あぁ・・・俺も帰るよ」

 

 一真と沙織は帰る準備をし玄関に向かうと

 

「うっ!?」

 

 一真は突然目眩に襲われ倒れそうになる!

 

「ちょっと一真君!?、大丈夫!?」

 

「大丈夫・・・1人で立てれるから」

 

 慌てて駆け寄る沙織に一真はそう言いよろよろと立ち上がる

 

 昨日の今日でそこまで体力が回復するわけがなくまして一真はおはぎ作りで休んでいなかったので回復するどころか自ら削っていたのであった

 

(うん?・・・これは)

 

 すると一真は自分が倒れそうになった拍子に1冊のノートが落ちていた

 

「あっそれ麻子のお母さんが書いたお料理ノートなんだ・・・麻子お母さんとお父さんが帰ってきたらこのノートを見ながら一緒に作ってみんなにご馳走するんだって言ってよ」

 

「そ・・・そうなんだ・・・」

 

 沙織がしんみりと話すのを聞いて一真はそう答えノートの中身を見る

 

(ちゃんと味付けの仕方や盛り付けの仕方まで丁寧に書かれている・・・すごく想いが伝わってくる)

 

 一真は心の中でそう感想を述べノートを閉じ元の場所に戻そうとする・・・しかし

 

(俺が出来る事・・・少しでも家族と一緒にいた頃の事を思い出させる事ぐらいでもしてあげれば・・・いや!・・出来る!)

 

 一真はある1つの答えに辿り着き決心した表情をする

 

「沙織ちゃん!、俺ちょっと用事が出来たから!」

 

「ちょっと一真君!?」

 

 一真は沙織の制止を聞かずノートを片手に走り始めサクラハリケーンロックビークルを開錠し変形すると飛び乗り猛スピードで走っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                      『?????』

 

「ちょっと麻子!、朝よ起きなさい!」

 

(これは・・・お母さんの声?)

 

 麻子は夢を見ていた、恐らく家族みんなと一緒にいた頃の夢を

 

「麻子、早く食べてしまいなさい」

 

(お父さんの声・・・もう10年も聞いていないんだ)

 

 麻子はとても懐かしく思えた、ヘルヘイム感染病に患った後も何度かお見舞いに行ったが病室にはいつもガラス腰からしか見ることしか出来ず声もロクに聞こえなかったからだ

 

「麻子!、今日も遅刻ギリギリよ早く起きなさい!」

 

「・・・朝なんてなくっちゃえば良いのに」

 

(この日は・・・お母さんとお父さんが!)

 

 すると麻子は一番思い出したくない日を見てしまう

 

「そんな事言っていないで早く支度しなさい!」

 

「・・・おかぁには私の気持ちなんて分からないよー」

 

 布団を引き剥がれ縮こまる麻子は抑揚なく答える

 

「えぇ分からないわね、それよりも早くご飯を食べなさい」

 

 麻子はその言葉にかちーんときてしまい起き上がると寝間着姿のまま家を出て行く

 

「ちょっと麻子!?、戻りなさい!」

 

「今日の麻子は一段と不機嫌だな」

 

 その後麻子の母と父も家を出て麻子を探し始める

 

「おかぁが悪いんだ、おかぁがあんな事言うから・・・」

 

 麻子はいつも遊んでいた公園の小さいなトンネルの中でそう呟いていた

 

 いつもそんな口喧嘩をし不満が爆発した結果なのかそれから数分経った後近くで救急車のサイレンが聞こえる

 

(近くで何かあったのかな?・・・!)

 

 麻子はそう考えていると妙な胸騒ぎを感じ急いでサイレンの聞こえる方向に走っていく!

 

 そして到着した麻子の目には衝撃の光景が映っていた!

 

  それは獣よりも大きな爪に引掻かれその傷口から植物を芽のような物が生え苦しむ麻子の母と父の姿があった!

 

「お母さん!お父さん!」

 

「麻子・・・あなたが無事で・・・良かった」

 

 母と父の元に駆け寄る麻子にそう優しく母が言い父も優しい笑みを浮かべながら頷く

 

 すると父と母は救急車に担ぎ込まれ病院へと運ばれた

 

 あとから聞いた話によると麻子の父と母は麻子を探している道中偶然開いたクラックから現れたインベスに襲われたと麻子も耳にも入りずっとその時の事を謝れずにいる事が麻子の一番の後悔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                     『麻子の家』

 

「ん~・・・、家まで運んでくれたのか」

 

 麻子は目を覚ますと自分の家に戻ってきた事に気付く

 

(あんな夢を見たのは八意先生におかぁとおとぉがあと1年しかもたないって言われたせいだな・・・きっと)

 

 麻子は夢の内容の思い出しいつの間にか流していた涙を拭うと何やら美味しそうで懐かしい匂いがする

 

(この匂い・・・それに居間に電気が、でもおばぁはまだ病院だしもしかして沙織か?)

 

 麻子はその時初めて居間に明かりが点いている事に気付きそんな予想を立てながら居間に入る・・・すると

 

「あっ麻子ちゃん、起きたんだ、もう支度は済んでいるよ」

 

「なっなんで一真が?」

 

 そこにはエプロンを掛けた一真がテーブルに料理を運んでおり麻子は至極当然な問いを尋ねる

 

「いや~起きたらお腹減ってるだろうな~っと思ってね、お昼もロクに食べていないでしょ?」

 

「それは・・・そうだが」

 

「さぁさぁ~早く!、冷めないうちに食べてくれ!」

 

 イマイチ腑に落ちない麻子だがせっかく作ってくれた物を無下にする訳にもいかずテーブルの前に座り箸を取って置かれた料理の1つに手を付ける

 

 その様子を息を呑んで見守る一真

 

「・・・!、この味!?」

 

「どうしたの麻子ちゃん!?、もしかして不味かった?」

 

 麻子は手を付けた直後何かを堪えるように俯いてしまい一真は咄嗟に駆け寄り尋ねる

 

「違う、でもお前どうやってこの味を?」

 

 麻子が手を付けた料理の味は昔母が作った料理の味であり麻子は思わず尋ねてしまう

 

「実は麻子ちゃんのお母さんが書いたお料理ノートを見てしまってね、少しでも昔の家族の思い出を思い出せるキッカケになるかもって思って再現してみたんだ」

 

 一真は料理を作ろうと思った経緯を話しそれを聞いた麻子は必死に何かを堪え肩が震えると一真がそっと肩を掴む

 

「麻子ちゃん、ここにはお祖母ちゃんも沙織ちゃんたちもいない、泣く時に泣かないと身体に毒だよ?」

 

「一真!・・・うわぁぁ-----ん!」

 

 一真の言葉に遂に堪えきれなくなったのか麻子は一真の胸の中で泣き出し始め一真も優しく頭を撫でる

 

「お母さんとお父さんがあと1年って言われて!、もし特効薬が出来なかったら!、それにおばぁも何度も倒れて!」

 

「大丈夫さ、永琳先生ならきっと特効薬を完成させてくれる!、それにお祖母ちゃんも何の命に別状はないって言っていたよ」

 

 麻子は泣きじゃくる子供のように一真に思いの丈のぶつけ一真も安心させるように答える

 

「一真!・・・うわぁぁ-----ん!」

 

「麻子ちゃん・・・大丈夫!、麻子ちゃんのお母さんとお父さんは俺と永琳先生で必ず救う!」

 

 またも泣き始める麻子に一真は新たな決意を固める

 

(特効薬の完成にはライダーの戦闘データとバイタルデータ・・・ならもっと俺が戦って沢山の情報を与えれば特効薬の完成は早まるはずだ、だから・・・何が何でも俺は負ける訳にはいかない!、試合にもインベスたちにも!)

 

 それから数分後・・・

 

「ありがとう一真・・・お前のおかげで少し楽になった」

 

「そっか・・・俺なんかで良ければいつでも良いよ!」

 

 泣き止んだ麻子は少し照れながらも言い一真は満面の笑みで答える

 

 すると麻子の心臓が一段と大きな鼓動を刻み顔を真っ赤にしてしまう!

 

「どうした麻子ちゃん?、顔が赤いけど風邪でも引いたのか?」

 

 一真はそう尋ね麻子の顔を覗き込むと麻子はまるで沸騰したやかんのように頭から湯気が出そうになる

 

(い・・・いやまさか!?、私が一真の事をすっ!・・・好きになるわけ!?、でも人前で泣いたのは一真だけだし一真は私を受け止めてくれたし・・・でも秋山さんや五十鈴さんも一真の事が好きだし!?)

 

 初めて感情に混乱する麻子だが一真はそんな気持ちはいざ知らずに不思議そうに麻子を見る

 

「おーい聞こえてるか?」

 

「ハッ!、大丈夫だ一真!?、今日の所は帰ってくれ!」

 

 麻子は一真に呼びかけられやっと気付くと慌てて隠すように一真の背中を押して帰るように促す

 

「わっ分かったよ、今日はすぐに帰るから・・・でも何かあったらすぐに教えてほしい」

 

「あぁ・・・ありがとう一真」

 

 麻子は一真に顔を見られないようにそっぽを向いて答えると一真は少し心配そうにしながらも麻子の家を出る

 

「・・・やっと帰った、でも私は本当に一真の事を・・・」

 

 一真が帰ったのを確認すると麻子はその場でへたれてしまいそう呟き胸に手を置く

 

「いや・・・嘘なんかじゃない!、私は一真の事を・・・好きになったんだ」

 

 そこで初めて自分の気持ちを自覚し麻子は華と優花里に悪いと思いながらも自分の気持ちを貫く決意を固めるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回ガイム&パンツァー!

 

 第1回戦の勝利を大々的に報じる生徒会

 

 一方で生徒会は一真を呼び出し追求を始める

 

「やはり一真は信用なりません!」

 

 だが裏でその会話を聞いていた人物がいた

 

「一真を疑うなんて・・・身の程を知りなさい!」

 

 そして今の戦力では心もとないと隊長のみほと生徒会の指示で2回目の戦車・ライダー捜索を開始する!

 

 ある1人の意思を無視して

 

 第34話「2回目の戦車捜索とライダーさん探しです!」

 

「どうしてもライダーを増やさなきゃいけないのか・・・!」

 




いかがでしたか?

今作では麻子の両親は事故で亡くなっておらず、存命中だがヘルヘイム感染病であと1年しかもたない設定にさせてもらいました

次回は何やら不穏な空気が漂っていますが次回を過ぎると当分そんな空気はなかった事になりますのでご安心ください、そう当分はですけど・・・

次回も乞うご期待です!

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