どうもご無沙汰しております、檜山アキラです。
長らくの間、筆を休めておりましたが、精神的にも復帰したいなという思いが強くなり、再び執筆活動に励んでいきたいと思います。
何事もコツコツと続けることが大事!
更新ペースはだいぶゆったりとなると思いますが、また拙作にお付き合い頂ければ、幸いです。
あと、更新再開につきまして、作中の設定をいじっております。
特にフィーの立ち位置・人間関係を大幅に変えております。
誠に申し訳ないですが、今一度プロローグから確認して頂けると助かります(宣伝)
トールズ士官学院1年特化クラスⅦ組B班
第1回特別実習記録
実習地:サザーラント州紡績都市パルム
◆
初となる特別実習を通して見えてきた各人の課題点は下記の通りである。
<マキアス・レーグニッツ>
学業における成績は優秀であるものの、有事の際の応用力並びに柔軟性に乏しく、固定観念に囚われがちである。
また、貴族に対しての見方が偏重しており、度々衝突を繰り返している。
……副委員長なんだから、もうちょっとクラスの雰囲気とか考えなさいよね!
<ユーシス・アルバレア>
知識・交渉力・戦闘能力など広い分野で同世代の中では水準以上のレベルであるものの、頭一つ抜き出るものがない器用貧乏タイプ。
また、一部の生徒に対して生来の口下手が表に出て、衝突を生み出してしまっている。
……しっかりと伝えないと、伝わらないこともあるんだからね!
<ガイウス・ウォーゼル>
身体能力は高水準。その反面、導力技術関連は苦手な模様。また、ノルドからの留学ということもあり、帝国における制度--貴族制度といったものに馴染みがないため、今後は重点的に指導の必要あり。
……ただ、そういったところは今後どうとでもなるから、焦らないように!
<エマ・ミルスティン>
委員長を任せられるだけの学力・知識量には目を見張るものがある。ただ、性格上致し方ないのか、リーダーシップに長けているとは言い難い。根っからのフォロータイプであるため、今後の方針は要検討。
……胸に関しては、クラス一主張してのにねぇ……
<フィー・クラウゼル>
一緒に過ごすようになって2年以上が経つけど、随分と成長したなと驚かされる。
人見知りで主体性のなかった子がよくぞここまで、ってのは身内贔屓過ぎるか……
けど、あの頃に比べて、自分から色んなことに挑戦しようとしてる姿が見受けられて、正直嬉しくもある。(中略)ただ、まだまだ対外的な言葉遣いや社会的なマナーなどに関しては身に付け切れていない感が否めなく(中略)あと、今回の実習中にユーシスとマキアスの喧嘩を仲裁したのには感心したけど、もう少し手加減ってものを(後略)
◆
<実習内容・所感>
遊撃士の活動を元に作られた特別実習の為、今回行った活動は私にとっては馴染み深いものであった。
市民の悩み解決を主軸に、素材集め、紛失物捜索、手配魔獣の討伐--私やフィー以外のメンバーからしてみれば経験のないことばかりだったらしく、街中や周辺の街道を駆け回っている内に、疲労の蓄積が如実に表れてきていた。
そうなると気持ちに余裕がなくなってくるのか、ユーシスとマキアスの口論が頻繁に繰り返されるようになる。
出発前にだいぶ釘を刺したつもりではいたけど、この問題は中々に根が深そうである。
ただ、この件に関して嬉しい誤算があった。
2人の仲裁をしたのが、まさかのフィーだったのだ。
まさかあの子が、と思う反面、彼女も成長しているんだなと、目頭が熱くなったのは皆には内緒にしないとね。
どうにか初日の実習を終えて休憩の合間に、面白い出会いがあった。
パルム市の片隅にあるヴァンダールの剣術道場で、あのミュラー少佐の弟くんと遭遇!
名前を聞くまで全然分からないくらい、線の細い美少年だった。
それにミュラー少佐と違って、彼は双剣使いなんだって。話した感じ、何か思うところがあるみたいだけど、同年代の中ではトップクラスの才能があるかも……これは成長が楽しみかもね!
あー……出会いって言ったら、あいつとも会ったわ。
相変わらずの憎まれ口というか、斜に構えてるというか……
まあ、あいつのおかげで2日目に起きた事件も無事に解決できたわけだけど……
あ、あいつなんだけど、しっかりリベールで経験積んで、今じゃ正遊撃士として活躍してるんだって!
……昔からの夢だ、って言ってたから、そこは正直叶って良かったなって思う。
そういう意味ではブライト家の持つ『力』って凄いなぁ、って感心しちゃうわ。
そういや、別れ際にまたレイルと手合わせしたい、って言ってたけど--
◆
「最初の方はまだ体裁保ててたけど、どんどん砕けて--いや、砕け過ぎだろ」
「うーん、報告書として書くなら大丈夫なんだけど、こう、なんていうの、どうしても雑記として書くと、さぁ」
「いや、分かんねぇよ」
列車に揺られながら、2人は雑談を交わしているが、傍らの少女達は見るからに気を張り詰めさせていた。
「気持ちは分からなくもないが、今からそんなんじゃいざっていうときにへばっちまうぞ」
「ん。分かってる。けど……」
「どうしても、ね」
フィーとリューネが口々に答えるが、どちらも顔を強張らせていた。
その原因を考えれば、致し方ないことなのかもしれない。
片や、行方不明となった古巣の仲間達の手掛かりが見つかったかもしれず--
片や、逃げだしたかつての組織が彼の地で暗躍したとあっては--
「けど、向こうに着くまでまだ時間あるし、ちょっとでも休んでなさい」
そう言うエミナであったが、今の2人に言っても聞き入れられるとは思っていない。
ならば、
--いざっていうときに、しっかりフォローしてあげなくちゃね。
そう思い、何気なく外の景色へと目を向ける。
外の景色は、1ヶ月程前とは逆へと流れていく。
「まさか、こんなにも早く戻ることになるとは、な」
エミナが思っていたことを代弁するように、レイルが呟く。
「……そうね」
それに応じるように、エミナも頷く。
4人を乗せた列車はただひたむきに東を目指す。
陰謀渦巻く彼の地--魔都・クロスベルへと……
次回、神薙の軌跡
断章『クロスベルの一番長い日』、開幕……
やっぱ小説書くの楽しいなぁ