緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍達の文化祭

ワトソンが仲間になってから二日……ヒルダとの戦いからなら5日が経った……つまり今日は……文化祭である!

 

「よしお前ら!」

 

文化祭委員がダン!と机に足を乗せ叫ぶ。

 

「複数クラス合同!変装食堂(リストランケ・マスケ)開店だ!どんな手を使っても客を集めろ!銃を使っても良い!」

『出来るか!』

 

全員から総ツッコミを受けたがめげない。

 

「ジャカジャカ客を集めてジャカジャカ金を稼いでボロ儲けだぁ!序でに単位もボロ儲けだぁ!」

『オォオオオオオ!!!!!!!!!!』

 

さぁ開店だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開店一時間で既に客席は満杯だった。まあ当たり前だろう。顔は美人が多いので男性ウケがするし不知火などが女性客を集める。

更に、

 

「はぁい。ここに座ろうね~」

 

小学校の先生の姿をした白雪はちびっこ達の相手までする。

 

「流石に慣れてるな白雪」

 

キンジが注文の隙をついて言うと、

 

「う、うん……でもやっぱりキンちゃんとの子供を世話したいなぁ……」

「あ?悪い。周りがうるさくて聞こえなうぉ!」

 

突然のローキックにキンジは飛び上がる。

 

「何すんだアリア!」

「キンジこそ何デレデレしてんのよ!」

「してねぇよ!」

 

キンジとアリアは睨み会う。

 

「痴話喧嘩は後にして二人とも~。これ運んでね」

『違う!』

 

そう言いながらもキンジとアリアは理子から受け取った食器を運ぶ。

 

「お客様。ただいまこれをセットにすると非常にお得です。如何ですか?」

「あ、じゃあお願いします……」

 

一毅は完全に客に怖がられていた。別に脅している気はないが何せ怖い顔である。更に髪は掻き上げられワインレッドのシャツにグレーのスラックスとジャケットに蛇柄のエナメル靴……一般人のお客様にしてみれば存在が脅迫である。

まあ別に客に危害は……

 

「なんだ嬢ちゃんかわいいなぁ」

「……」

「レキにさわんな!」

 

レキに触れなければ店の外に処か窓から投げ捨てるなどしない人畜無害なウェイターである。

 

「おーい!材料がなくなりそうだ!」

 

武藤が叫ぶ。

 

「早くないか?」

「じゃあ俺と一毅と……」

「私がいきます」

 

一番ウェイターとして役に立ってないキンジ、一毅、レキの三人が買い出しにいった……

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおおおおおお一人様ですか!?」

 

白雪が声を裏返らせながらしゃべった声が響く。

 

「ああ……もしかして団体限定やったんか?」

「い、いえ大丈夫です!」

 

背は平均的だがつり目で切れ長な目に眼帯と蛇柄のジャケットを着た男は明らかに真っ当な道を歩く人間じゃない。普段から見ることが多い武偵の皆はわかる。ヤクザであると……

 

「ふぃ~……」

 

男は周りを見渡す。彼はここで知り合いがウェイターをしているときいたため着たのだが……

 

「なあそこにイケメンな兄ちゃん」

「はい?」

 

不知火は男を見る。

 

「ここで桐生ちゃん……じゃない、桐生 一毅っちゅうもんが居る筈なんやけど?」

「現在買い出しにいってまして……そのうち帰ってくるかと」

「ほうか、済まんかったな。忙しいなか」

「いえいえ」

 

次の瞬間全員心で叫ぶ……頼むから一毅早く帰ってこい!!!!!と……だが一難去ってまた一難というようにまた難が来る……

 

「ヒィイイイイ!!!!!」

 

理子が入ってきた人間を見て驚愕する……その男は二メートル近い身長に広い肩幅……更に鋭い眼光に圧倒的なオーラ……例えるなら教務科(マスターズ)に近い雰囲気を感じる男だ。

 

「一人なんだが……」

「あ、相席でよろしいでしょうか!」

 

理子は膝を震わせる。

 

「俺は構わないが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で!よりによってあの客と相席にしたのよ!」

「だってあそこしかお一人様のお客がいなかったし……」

 

アリアと理子は裏で言い合う。

無論理子を恐怖のどん底に陥れた男の相席の相手はその一つ前に来たヤクザの男だ……

二人は向かい合って座ると見合う……それが怖い……その結果客が次々お勘定していき何時の間にかお客はこの二人だけの上に来た客がヤバイ店かよ勘違いして逃げていくのだ。

何故こう言うときにキンジとか一毅が居ないのだとスタッフ全員が恨む……

 

「すまないが注文は良いか?」

「あ、はい!」

 

白雪が行く……

 

(あれ?どこかでこの人見たことあるような……)

 

白雪はデジャブを覚える。

 

「ん?もしかして白雪ちゃんかい?」

「え?何で……」

「あ~もう昔一回っきりだからな~忘れても仕方ないか……あんまり顔忘れられるってことないんだけど……」

「?」

 

すると、

 

「アリア先輩来ましたよ~え?」

「しつれいしまーす……あれ?」

「こんにちわ……へ?」

「ちわっす、ん?」

「師匠!拙者は懐が寒いのでなにか恵んで……むむ!」

「繁盛は……ないわね」

 

あかり、辰正、志乃、ライカ、陽菜、夾竹桃が来た……が、

 

『またの機会します』

 

ライカ以外背を向けて店を出ようとした……

 

『逃がすかぁ!』

 

まあ一発で捕縛されたが……

 

「……」

「どうしたのライカ?」

 

無理矢理座らされたあかりがライカを見る。

 

「もしかして……一明さんに……宍戸さん?」

『ん?』

 

二人が顔を向ける。

 

「おお!桐生ちゃん彼女の一人!」

「おお!ライカちゃんじゃないか!」

『……ん?』

 

謎の男た改め宍戸 梅斗と桐生 一明は互いを見る。

 

「何やお前桐生ちゃん知っとんの?」

「知ってるっつうか……桐生ちゃんが桐生 一毅を指しているならこう名乗るぞ……桐生 一毅の父だ」

『………………』

 

世界の時が止まった……そして、

 

『えええええええええ!!!!!!!!!!』

 

全員が驚きで飛び上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに怖い顔かなぁ……」

「あ、いえ……」

 

一明は結構真面目に落ち込んでいた。客が居なくなったのには気付いていたしスタッフが暗くなっていたのも気づいていた……だがその原因がまさか自分……しかも別に睨んでいたわけじゃなく普通にしてただけなのにそれだけで怖がられていた……

 

「でもすいませんでした。昔お会いしたのに忘れて……」

「良いんだよ。昔だったしね。まああんまり顔を忘れられたことなかったんだけどな……」

「そうなんですか?」

 

白雪が聞く。

「ああ、久々に会っ奴でも【ヒィ!き、桐生!!!!!】って……怖がられていただけだね……うん」

 

勝手に言って勝手に落ち込む……

 

「分かるでぇ……世間は冷たい!顔で人を判断する!別にワイはええけどな」

「全くだ!」

 

一明と宍戸は意気投合する。

 

「あ、あの!」

「ん?」

 

一明は声をかけられた……

 

「初めまして……佐々木 志乃と申します」

「ああ~あいつの娘かぁ~こりゃすげぇ!俺も年を取るわけだぜ」

「いえ、父がお世話に……」

「……いやいや、あいつ元気?いっつも俺に勝負挑んでくる面白い奴でなぁ。よく遊んでやったぜ」

 

主に落とし穴とか【私は馬鹿です】と書いた看板背負わせて町内一周とか顔に落書き等々である。

 

「あいつじゃんけん弱くてな~くじ運も悪いんだ」

 

一明は楽しそうに笑う。

それを見たら志乃を少し笑えた。父はそれはもう恨み辛みを込めた口調で言っていたが(今にして思うと悔しかっただけなのかもしれない)こうやってみると余り恨み合った間柄ではないのかもしれない。

 

「でも言われてみるとカズッチと似てるよね~」

「そうか?俺の方が頭いいけどな!」

「元武装検事ですもんね」

 

辰正が頷く。

武装検事は実技だけでは試験は通れない。ペーパーテストも良くないといけないし他にも人格とかその他諸々の試験を通ってやっと合格である。

 

「まあ金叉……あ、お前らにだったらキンジの親父さんと言えば分かるか?あいつは頭よかったぞ~女にもモテたし」

「あ、モテたんですか?」

 

馴れない敬語でアリアは話す。

 

「モテたモテた。天然タラシ野郎でさ~その癖女難の相持ってた」

 

何かその辺血だなぁと一明の言葉に全員が思う。

そこに、

 

「あれ?親父と宍戸さん!?何でここにいるの!?」

 

一毅たちが帰ってきた……

 

「いや、ワイは桐生ちゃんの格好がすごいと思うでぇ」

「俺も自分の息子がそう言う格好というのには驚いたぞ……ん?よう!レキちゃん」

「お久しぶりです」

 

それからキンジを見る。

 

「ようキンジ。段々金叉に似てきたな~」

「一明さんは変わらなさそうですね」

 

キンジは頬を掻く。

 

「そう言えば何で東京に出てきたんだ?親父」

「ちょっと東京に用事がな。なあに、明日には変える予定だ」

「へぇ~そう」

 

一毅が言うと一明が叩いた。

 

「何すんだ!」

「少しは気を付けろよ~とか無いわけ!?お父さんは寂しいよ!」

「寧ろ親父に傷を負わせられる奴が居たら会ってみたいね!」

「まあまあカズッチ~お父さんは心配してほしいんだよ」

 

理子が宥める。

 

「いいなぁそれ」

「え?」

「なあ理子ちゃん?だっけ?おじさんに渾名つけっとしたどんな感じだ?」 「うーん……一明……だからアッキー?」

「アッキー?いいなそれ!いや~アッキーかぁ。うん、アッキーはいいぞ」

 

何故か気に入ってる。

 

「随分面白いお父様ね」

「からかうのは止してくれ……夾竹桃」

 

一毅が肩を落とす。

 

「しかし客が全く寄り付かないな……これじゃ俺たちは邪魔だしそろそろ……」

 

一明は行こうとする……だが宍戸が止めた。

 

「様は金払う奴がぎょうさんおればええんやろ?なら任せとき」

 

そう言って携帯を出す。

 

「おう鴛野!今から言う場所に全員集合や!何!?今仕事?ワイの命令とどっちが大事や!そうやな、ワイのほうやな?よおし全員現金全部下ろしてこい!そして金のあるかぎり飲み食いするんや!逃げたやつは海に捨てて魚に飲み食いさせたるからな!」

 

携帯を切る。

 

「ど、どちら様にお掛けに?」

 

辰正が聞く。

 

「まあ待っとれ」

 

すると五分後……

 

『全員集合しました!』

 

店から溢れそうなほどのヤクザの集団……全員宍戸組の構成員である。

 

「よおし!全員で売り上げに貢献!あと、どんなかわいい子が居っても見るのもさわるのも禁止や!」

「え!?見るのもっすか!?」

「お前らの汚い顔で見られたら気分害するやろが!No See Don,t Touch!!!!!」

『ひでぇ!』

 

ブーブー文句言うと……

 

「何か文句あるか?」

 

宍戸は鎖鎌を振り回す。

 

『イエス!サー』

 

それから行儀よく全員座ると……

 

『あるだけ下さい!!!!!』

 

そうヤクザの皆様は言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

「三番テーブルで来たぞ!」

「おし!」

 

ヤクザの集団食事場に変わった場は正に戦場……恐ろしき容貌ではあるが宍戸組の構成員の皆は宍戸の言いつけを守って厭らしい眼で見たりせず触りもせずひたすら飯を口にいれていく。

 

「委員長」

 

キンジが実行委員に話しかける。

 

「これでいいのか?」

「……金が稼げればそれでよし!」

 

良いのかい!っとキンジは突っ込みそうになったがなにも言うまい。

 

「来年の私たちもこの中ウェイターやるのかなぁ……」

「拙者彼らに物怖じせずに食事を配る勇気はないでござる……」

「だ、大丈夫だと思いますよ?先輩たちだって平気そうなの一毅先輩とキンジ先輩とレキ先輩とアリア先輩だけです」

「皆いい人みたいだけどな~」

「ああいうヤクザの方が珍しいのよ」

 

あかり、陽菜、志乃、ライカ、夾竹桃はコーヒーを片手に見ている。

 

「ふふ……」

 

一明はパフェ食い終えると立ち上がる。

 

「一毅、俺は用事があるからもう行くよ」

「そうなの?じゃあな」

「おう」

 

一明は一毅と拳を軽くぶつけてから店を出た……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

学校の門を一明が出ると電話が鳴る。

 

「どうした?久し振りだな」

 

一明は数年来の友人からの電話に顔を綻ばせる。

 

「俺がアメリカに行ったのがもう十年以上も前だしな……懐かしいぜ。お前との殴り合い。え?本気だしてなかっただろ?いやいや確かに心眼は使わなかったけど俺の持てる格闘技術はフル活用したぜ?」

 

一明は苦笑いした。

 

「でもまさか()()()()を恋人に連れてきたときは驚いたぜ。おいおい、子供の恋愛くらい許してやれよ。え?嫁には出さん?」

 

一明は吹く。

 

「お前娘大事にしすぎだ。だからアメリカに越させないんだろ?まあアメリカの犯罪者は危険人物多いからなぁ……危ないのは分かるが少し位認めてやんねえと将来ヴァージンロード一緒に歩いてくれなくなるぞ?」

 

電話の主が階段からだと思うが落っこちた音がした。

 

「騒ぐなよ。え?結婚させないからヴァージンロード歩くことはない?あいつと結婚するなら俺の屍越えさせる?お前も良い年だがいまだに現役を張る一流じゃねえか。一毅でもキツいって」

 

一明はそこまで言うとギャーギャー騒ぐ友人の電話を切る。

 

「ま、頑張れ一毅。応援してるよ……何てな」

一明は冗談めかしながら道を歩く。自分の息子に応援はいらない。自分が居らずとも彼を支えるもの達が居る。きっと大丈夫だ。

そう自分に言い聞かせていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに余談だが、

 

「ヤッホー!」

『え?』

 

宍戸組の構成員達が腹を膨らませ倒れて他のスタッフ達が裏で死屍累々状態で死んでるところに顔を出した銀灰色の髪の少女……

 

「ロキィ!?」

 

一毅は驚く。ここ数日姿を消していた少女が来たのだ。レキも少し驚いてる。

 

『?』

 

まあキンジ以外の面々や一年生たちは知らないので首をかしげる。

 

「レキの妹だって」

「え!あんた妹いたの!?」

「はい」

 

するとロキは一毅の前にたつ。

 

「お前その服……」

 

一毅は驚くが当たり前である。何せその服武偵高校の制服……

 

「来週からこの学校でお世話になるから宜しくね」

『ええ!?』

流石のレキも驚いて声を出した。

 

「と言うわけで宜しくね、お兄ちゃん」

 

ロキが頭を下げる。

 

「あ、ああ……」

 

一毅が困惑の中で返事するとニヤリとロキが笑う。

 

「あ、専門は狙撃だから宜しくねお姉ちゃん」

 

ロキはレキを見ていいながら、

 

「でもお兄ちゃんにも教えてほしいなぁ」

「お前近接戦闘できんのかよ」

「出来ないから教えて。手取り足取り……ね?」

 

ロキが体をくっつけてくる。

胸が当たるが……でかい……小柄なくせに胸は白雪クラス……

 

「おお~レキュ!ライライ新たな敵の登場だぁ!」

「ちょ!」

 

理子が要らんことを言ってレキとライカがキレた。

 

「ほぅ……」

「へぇ……」

「ワーフタリガイジメルタスケテー」

 

ロキは一毅の背中に隠れながら抱きつく。モニュンモニュンと当たる胸が……ってその前に、

 

「ま、待てお前ら……背中に死神立ってるぞ!」

『ロキィ!!!!!』

 

一毅の言葉など聞かずレキとライカが突進してロキを追いかけ回す。だがロキは器用に一毅を盾にして逃げ回る。

たまったもんじゃないのは一毅だ。レキに撃たれるわライカの拳が狙いを外して自分に飛んでくるわ大忙し……心眼など使えるはずもなく一毅は喧嘩が収まるまでサンドバック状態となった……

 

(一毅……何か同情するぜ……)

(良かった……俺はモテなくて……)

 

キンジと辰正は一毅に向かって十字を切ったのは秘密である。


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