緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍達の戦い 京都―東京

「う……」

 

キンジは目を覚ます。思考もゆっくり回復していく……確か白雪と理子たちに合流しようとしてそれから……そう、爆発してそこで記憶が途切れてる。背中越しにアリアがいるが纏めて縛られていて動けなさそうだ。

 

「眼が覚めたカ。ほとんど一瞬しか気を失わなかったネ……呆れた頑丈さヨ」

「そりゃ普段からボコられてブッ飛ばされて投げ飛ばされてるからな……ココ」

 

キンジは声の主を見る。相変わらずのツインテールのチビ……見方によってはアリアと間違えそうだ。

 

「キヒヒ……キンチお前一体どんな生活してるネ。それともボコられてブッ飛ばされて投げ飛ばされてるのが好きカ?興奮するカ?お前らドMカ?」

「んな訳あるか!!!!」

 

キンジはかなり本気で突っ込んだ。

それをみたココはまたキヒキヒ笑った。

それから傍らにあった剣を弄びながらキンジの顔を覗き込んできた。

 

「何が目的だ」

 

キンジが覗き込んできたココを睨み付ける。

 

「簡単ヨ。日本政府に日本円で凡そ3億円要求したね。因みにこの新幹線には爆弾仕掛けさせてもらタ。一定時間毎に速度を一定ずつ上げて行かないと爆発する特殊爆弾。理子にも教えてない新型ね。中にはさっきキンチを吹っ飛ばした爆弾をたっぷりと積めたヨ。キンチが死なないようにさっきは威力を抑えたけど今度はしないネ。こんな新幹線なんて木っ端微塵ヨ」

「っ!」

キンジは驚愕した。

 

「そんな驚かなくテ良いヨキンチ。お前たちは死なせないネ」

「なに?」

「日本政府が呑めば爆弾を止めるが呑まねばこのまま……でもココたちはどちらでも脱出するネ。そのときはお前達も連れていく」

「何のためにだ?」

「キヒキヒキヒ……お前自分の価値わかってないね。これからは魔術は使えないただの人間……でも化け物みたいに強い奴が必要ヨ。まあキンチが人間かは謎だけどネ」

「喧嘩売ってんのか?」

 

俺は普通の人間だっつうの!っとキンジは無言の圧力を与える。

 

「キヒキヒ。言っておくが世界中の組織が今はお前とカジキに注目してる」

 

カジキ……ああ、一毅の事かとキンジは納得した……って!

 

「世界中が注目!?」

「なに今さら驚く……キンチとカジキはイ・ウーぶっ潰した張本人ヨ。お陰で藍幇は大口契約先が消えて大損こいたネ」

「知るかよ」

 

キンジは吐き捨てた。

 

「だからココはキンジを藍幇に引き入れれば万々歳ネ。カジキの方は夏侯僉が倒し……」

「いや、それはないんじゃね?」

 

キンジがココの一言を一蹴した。

 

「は?」

「いや、あいつが簡単に負けるってそれこそシャーロッククラスじゃねえと無理だし、しかもあいつ夏休み前の戦い以降あり得ない速度で実力あげてるし基本的に人間じゃないしあんだけ強くなったら少しは強さが上がる速度落ちるもんだろ?絶対人間じゃないって!」

「……キンチに言われたくないだろうネ」

 

失礼な!っとキンジは叫びそうになったが黙っておく。何故なら……

 

「遅刻だお前ら」

「は?」

 

次の瞬間銃弾が飛び込んできた……げ!?

 

「うぉわ!」

 

キンジは縛られたまま転がって避ける。

 

「アワワ!」

 

ココも急いで避ける。

銃で破壊し尽くしたドアから現れたのは機関銃【M60】の銃口……そして武偵校の制服を来た黒髪ロングの美少女……

ガチャン!っと7.62x51mm NATO弾が銃にリロードされる。

 

「く、黒雪……じゃなかった、白雪!?」

 

キンジは顎が外れそうな程あんぐりと口を開けた。何でこいつ怒ってんの?

 

「キンちゃんと命の危機……アリア狡い……命の危機の中では男女が一番進展する……」

「おーい……白雪さーん?」

 

白雪は何かブツブツ言っているが聞こえない。

 

「う……ん?」

 

アリアが目を覚ました。

 

「あれ?何であたし縛られて……」

「ちょうど良いアリア!アレを使って脱出するぞ!」

「は、はぁ?」

 

アレとはアリアはある方法を使って縄で縛られてる時脱出できるのだがそれを早急に行って貰いたいのだ。何故なら……

 

「キンちゃんから離れろぉ……」

 

ゆらぁ~っとした動きで白雪がM60を構えた。

 

「どぉおおおおおろぉおおおおぼぉおおおおねぇええええこぉおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

次の瞬間M60が乱射。

慌てて角にキンジとアリアはずりずり行って隠れる。

だがすごい連射量で次々車両の中が破壊されていく。

 

「ちょっと雪ちゃーん!キー君もいるんだよ~!」

 

理子が言うと銃の乱射が止まった……

 

「あ!そうだった」

 

そうだったじゃないだろと言いたかったがアリアが脱出に入っていたため静かにする。

アリアは髪ごと紐などで体を縛られたときまるで猫じゃらしがスルリと手で握っていても抜ける用に脱出できるのだ。

夏休みに一発芸みたいにして見せてくれた。

だが流石にキンジも一緒の為か少し上手く行かないようだ。

 

「行けそうか?」

「うん……よいしょ!」

「っ!」

 

キンジは声を出しそうになり我慢した……アリアが動いてウネウネしてしまったためキンジの顔に水饅頭()の感触……鼻一杯にアリアのクチナシの香り……暖かくて軟らかくて……胸無いくせにこう言うところは無駄に女子だ……しかも……

 

「少し肩とか膝を借りるわよ」

 

アリアはキンジの膝に乗って脱出を図る。 ドクン!っと心臓が跳ねた……

 

「ぐぁ……」

「?」

 

キンジは声を押し殺す……アリアの柔らかくて暖かい太股が当てられる。何で武偵のスカートがこんなに短いののだろうか……こんなに短いスカートを恨んだことはない。それに何かスカートとは違う布地の感触を感じる……これって……

眼が見えないため余計な想像をしてしまう。

ドクン!っとまた心臓が跳ねた。

 

「……は!」

 

アリアも今の状況のヤバさに気付いたらしい。

 

「ちょ、ちょっとキンジ離れなさいよ」

「無茶言うな!」

 

キンジは今度はアリアの腹に顔を押し付けながら叫ぶ。

すると今度はアリアの足が見えてきた……生っ白くて細くて無駄な肉なんか無い小さなアンヨ……

 

「あぅ……」

 

ドックン!!!!っと最後の鼓動……成ってしまったぞ……今度は昨夜とは違う完全なるヒステリアモード……派生系ではないヒステリア・ノルマーレ……

 

「ぷはぁ!」

 

アリアが脱出しきる。

 

「キンジ!あんたねぇ!」

 

何時もならこのまま理不尽な暴力が振るわれる……が、

 

「御免よアリア」

 

スッとアリアの手を取ると笑みを浮かべる。

 

「君にとても恥ずかしい思いをさせたね」

「……っ!」

 

アリアは一瞬何が起きたのかと言う顔になり……気がつく。

 

「あ、ああああああんた!つ、遂に成りやがったわね!」

 

アリアは羞恥と怒りと驚きが混ざりあったような顔になる。

 

「そうだねアリア……でもアリア聞いて欲しいんだアリア……」

 

耳で囁くように言い聞かせるように甘い声で言う……

 

「俺はねアリア……君のように可愛らしい女の子にくっ付かれても冷静で居られないんだよアリア……」

 

ゆっくり……ゆっくりと甘い声で囁いて行く。

 

「もし冷静で居られたらそれはアリア……君に……いや、美と言う言葉そのものへの冒涜だよ」

「………うん……」

 

よし成功……アリアには悪いが少し催眠をかけさせてもらった。その名も遠山家秘伝……呼蕩(ことう)……甘い声で囁いて何度も相手の名前を読んでお願いを聞かせると言う兄に教わった技だ。悪用厳禁と言われてるが今回は仕方ないだろう。

トロンっとした目でアリアがキンジを見上げている。

 

「アリアはココで少し休んでいると良い」

「はい……」

 

はいって……初めて聞いたなアリアの汐らしいところ……等と思いながら角を出る。

 

「やぁ二人とも」

「おぉっと~!そこの角で何したのかなぁ!理子スッゴク気になる!」

「少しお話ししただけだよ」

 

理子の額を少し小突く。

 

「さてココは……っ!」

 

ココが避けた方向へ行こうとした瞬間鋭い蹴りが飛び込んできた。

 

「ココ!?」

 

移動した方向とは明らかに別方向から……

 

「キー君!」

 

理子が掌底を放つが中国拳法と思われる動きで防がれる。

 

「どういうこ……」

 

キンジが困惑した瞬間今度は隠れた方からココが飛び出してきた。

 

「っ!二人!?」

「キンちゃん!」

白雪が刀を抜いて弾いた。

 

「双子だったのか?」

『気づくの遅いネ』

 

成程。実は役割を分担していたのか。通りで万能過ぎる気はしていたしアリアの前に現れていた頃自分と一毅の前にも現れていたのか。

 

「ん?」

 

するとヒステリアモードの耳にもうひとつ無視できない音を捉えた。

 

「……理子、白雪」

『?』

「ココたちを頼む。少し用事ができた」

 

キンジはネクタイを緩めボタンを上から2、3個外す。

 

「え~それじゃ嫌だな~。キンジは私たちのなんだ?」

 

裏理子聞いてきた。そうだった忘れていた。

 

「分かった。言い直す。理子、白雪はココたちを倒しておけ、俺は用事ができた。後、アリアは戦えないから戦い終わったら少し正気に戻しておいてくれ」

 

強い口調で命令するように……そうだったこれからは自分はリーダーなのだ。こう言うときは命令口調でやるべきだった。だが、

 

「なにしたのキンちゃん……?」

 

白雪が黒いオーラを発し出した……

 

「お望みなら君にも同じようにしてあげるよ?」

「え!?」

 

明らかに食いついたな。

 

「但しココをちゃんと倒せたらだ。よく言うだろう?御恩と奉公って言うやつさ」

「ふふ……任せて!」

 

刀を構えると白雪の闘気が強くなる。序でに何か背中に鬼がいる……目の前にいる剣を持ったココが後ずさったぞ……

 

「ねぇねぇ理子は?」

「君にもしてあげるよ」

「やったね♪」

 

理子はスキップしながら拳法を使うココの前にたつ。

 

「じゃあ任せたぞ」

 

キンジは走り出した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ、誰あんた……」

 

キンジたちとは同じクラスで通信科(コネクト)の 鷹根・早川・安根崎の三人は身を寄せあう……背中側の車両に逃げたいがそこには避難させた乗客がいる。中には不知火や武藤もいるが二人は車両の運転に向かってしまった(元々運転してた男はプレッシャーに耐えられず気を失った)……だが目の前には爆弾の山とククリ刀を両手に一本ずつ持った周岑が首を回す。

 

「ったく……全部集めやがって……設置のしなおしが面倒だ」

 

無論別にこのままでも新幹線ぶっとばすのには良いのだが几帳面な周岑は爆弾をきっちりと設置して爆発させたい人間だ。

 

「とりあえずお前ら邪魔だな……殺すか?」

「させるかボケ!」

 

周岑の顔面に壁を跳躍して回り込んだキンジの空中回し蹴りが決まって周岑は吹っ飛んだ。

 

「大丈夫かい?」

 

にっこり優しく笑い掛ける。

 

「君たちは下がっていてくれ……」

「だ、だけど遠山あいつ強そうだけど……」

 

それを聞くとフッとキンジは笑った。

 

「君たちに傷が付かないなら幾らでも強い相手と戦うさ」

 

鷹根・早川・安根崎の三人はボフン!っ顔を真っ赤にした。

 

(あ、あれ?遠山ってあんなやつだったっけ?)

(な、何かかっこよくない?)

(だ、駄目よ。キンジ×一毅の想像が出来なくなっていくわ)

 

最後のは是非出来なくなって貰いたいところだろう。

 

「さ、後ろ車両に行っていると良い」

 

キンジがそう言うと三人は避難した。

 

「さ、やろうか?」

「お前の方にはココが行った筈だが?」

「仲間たちに任せてきたよ」

 

そう言ってベレッタとバタフライナイフを抜くとキンジは銃とナイフと蹴りの構え……

 

「仕方ない……殺るか」

 

ククリ刀を周岑は握り直すと、

 

「逝けよ」

「そう言うわけにはいかないな」

 

二人は互いの距離を摘めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャ!」

 

キンジのナイフとククリ刀が火花を散らす。

 

「ふん!」

 

そこにはもう一刀のククリ刀が来たがヒステリアモードの反射神経であれば躱すのは昨日より余裕を持てる。

だが周岑の武威は決して低くはないし相手の急所を……しかも首筋や肋骨の隙間を狙うように斬って来るため油断すれば一撃で絶命させられる。

とは言えお返しに命を奪う攻撃は武偵と言う立場上することもできないし感情的にだって絶対に嫌だ。

 

「ちぇい!」

 

キンジは剣の腹を叩くように蹴って周岑の斬撃を躱す。

 

「ふん!」

「ウッシャ!」

 

もう一刀のククリ刀が迫るがそれも蹴って弾く……

 

「らぁ!」

「シャア!」

 

続いた斬撃も弾き上げる……

 

『ウォオオオオオオ!!!!!!!!』

 

凄まじい数の斬撃をキンジは剣の腹を叩くように蹴って弾いていく。一歩間違えれば足が切断されるような無茶な技をキンジは行っているのだ。

 

「イヨッシャア!」

 

完全に弾き返すとその隙をキンジは腰の捻りを加えた後ろ回し蹴りを放ちぶっとばした。

 

「ぐほ!」

 

更に同時に銃を発砲……二発ほど当たるが案の定防弾仕様だ。あまり意味はない。

 

「お前……昨日と違うくないか?」

「残念ながら俺はスロースターターでね。本気になるのが遅いんだ」

 

キンジは軽くその場に跳んでリズムを取るように構える……

 

「で?大人しく捕まるならこれ以上蹴らないけど?」

「そう言うわけにはいかにだろう」

 

そう言うと周岑は立ち上がる。

 

「誇るが良い。俺にこれを使わせたのはある男だけだ。そしてあの世で悔やめ。これを使われた己の不運を……」

 

そういった瞬間周岑は手に持ったククリ刀を投げる……それと同時に背中に手を入れ新たなククリ刀を四本程出すとそれも空中へ……

落ちてきたククリ刀はキャッチすると再度空中へ……それをひたすら繰り返す。

 

「曲芸ショーか?」

「ほざいてろ」

 

そう言って間合いを詰めた周岑はククリ刀を降り下ろす。

 

「っ!」

 

それをバタフライナイフで受けたキンジだがそれは悪手だった。

次の瞬間周岑の(ストーム)のような猛攻が始まる。

まずは降ってきたククリ刀を片手でキャッチし一閃……

 

「くっ!」

 

体を逸らして避けるが足を落ちてきたククリ刀が狙う……

 

「くぉ!」

 

キンジはそれをかなり無茶な姿勢になりながら足を引いて躱すがそこを周岑は狙い再度剣撃放ちキンジの腹を狙う。

 

「っ!」

 

例え避けてもそれはククリ刀を上へ投げ上げる動作へと替わりそのまま降ってきたククリ刀を使いキンジを狙ってくる。

 

「この!」

 

キンジが銃撃したがそれは周岑の周りを跳ぶククリ刀邪魔をして当たらない。

この戦法は周岑の靭やかな筋肉と幾度も積み重ねた修練が作り出した周岑のオリジナルの型だろう。

多量に降ってくるククリ刀や周岑の動きは予測が非常に難しい。ここで万象の眼が使えれば楽だがシャーロック戦以降自分の意思での使用には至っていない。

そこに周岑はキンジの顔面を突く……

 

「ちっ!」

 

だがキンジはそれを伏せて躱す。そこから深紅のオーラ(レッドヒート)と共に必殺……

 

「エア!」

 

キンジの強烈な蹴り上げをまともに喰らった周岑は上空に跳ね上がる……それをキンジは追うと……

 

「ストライク!!!!!!!!」

 

キンジの代名詞にもなりつつあるエアストライク……それは相手を蹴った反動や足を降った強烈な風圧で自分と相手を浮かし続けながら蹴り続けると言う常識と重力をを無視した蹴りの(ストーム)……周岑の乱撃にも負けず劣らずの猛攻が周岑を襲う……だが、

 

「邪魔だぁ!」

 

それを腕力と靭やかな筋肉を使ったククリ刀一閃……それをキンジは空中で避けて二人は落ちた……

 

「く……」

「ちっ……」

 

二人は舌打ちしながら睨み合う。

 

「面倒だな……」

「お前こそな……」

 

周岑は再度剣を上へ投げ出す……

序でに足元に落ちたククリ刀も次々空中へ跳んでいく。

 

「今度は捌かせん」

「良いよ」

 

キンジは新たな手札を切ることにした。ここで出し惜しみしても仕方ない。

 

「捌かないからね」

「?」

 

キンジの言葉を周岑は理解できなかった。まあ関係ない。

 

「行くぞ!」

「ああ……」

 

周岑が来た……

キンジはベレッタを腰のホルスターに仕舞う。それからキンジは胸に手を突っ込むと……

 

「勝機!」

 

次の瞬間銃声……だがその音はベレッタの物ではない。ベレッタにしては大きすぎる。大口径の銃が発射された音……

 

「がはっ……!」

 

周岑が後方まで吹っ飛んだ……更に込み上げてきた血を吐く。防弾処理をしていたがそれでも破壊力が高すぎて意味が余り無かった。

キンジが撃ったのは先程ジャンヌを経由して平賀から届けられたキンジの新装備……夏休み時に一度実家に戻って引っ張り出してきた今は亡き父の形見の1つ……周岑にも指摘されたキンジの攻撃力の低さを補うために新たに配備した拳銃……その名も【デザート・イーグル50AE】だ。世界最強の弾丸を射ち出せる世界最強の拳銃……

無論こんな馬鹿でかい銃はヒステリアモードでなければ使うことはできない。父ならば二メートル近い身長でガタイもよかったため簡単に扱えていたが……

まあそんなことを考えながらキンジは周岑との間合いを詰める。

こいつは昨夜まで練習中だと言った技だ……ぶっつけ本番だがやるしかないだろう。

 

「ウォオオッシャアアア!!!!」

 

キンジのバック転による蹴り上げで周岑は上に吹っ飛ぶ。

ここまではエアストライクと同じだ。だがココからが別……

 

「アルファドライブ!!!!」

 

キンジは飛び上がると横回転蹴りで周岑を地面に叩きつける。

 

「ごほ!」

 

更に、

 

「ベータドライブ!!!!」

 

地面に着地するとキンジは飛び上がりながら思いっきり蹴り上げる。

 

「ががっ!」

 

最後にキンジは体を大きく捻りながら飛び上がるとトドメの一発……

 

「ガンマドライブ!!!!」

 

渾身の回転を加えた両足蹴りを喰らった周岑は床を跳ねながら壁に激突……

今の三連攻撃はエアストライクの派生系……打ち上げた相手を質より量で倒すのが普段のエアストライクであればこれは量より質で決める技……エアストライクは今まで打ち上げてもキンジ同様に身軽な金一だと決まらなかった。今回の周岑もそうだ。故に構想を練って密かに練習していた技……相手を打ち上げる事が出来れば決められるように三発の蹴りに全てを賭けるキンジの新技だ。更にこれはレッドヒート使わずにできる。

 

「ごほ……」

 

そのまま周岑は気絶した……

 

「俺の勝ちだな……」

 

キンジは言った……すると、

 

「オーイ、キー君」

 

理子がずるずる何かを引きずりながら現れた。引きずっていたのはココだ。

 

「キンちゃーん!」

 

ハートを飛ばしながらココとアリアを引きずりながらキンジの元に白雪も来た……

 

「お疲れ二人とも」

 

さてと……とキンジは目を細める。

 

「爆弾はどうする?」

 

キンジがそう言うと理子はニシシと笑った。

 

「理子凄いこと考えたんだ~!」

「凄いこと?」

「うん」

 

そう言うと理子は白雪を見て……

 

雪ちゃん(先生)……ここは1つよろしくお願いします」

 

そう言いながら爆弾を抱えて後ろの方に消えた。

 

「任せて」

 

そう言うと白雪は車両の連結部分に立つ。

 

「もう爆弾いちいち解除するの無理でしょ?」

 

理子が戻ってきた。

 

「だからここなら人も建物もないし~爆発させちゃお」

「俺たちはどうなる」

「大丈夫だよ。切り離すから」

「……は?」

 

キンジが唖然としたところに白雪は気合いを込める。

 

「星伽候天流 奥義!緋緋星伽神(ひひのほととぎがみ) 斬環(ざんかん)!!!!」

 

次の瞬間新幹線から切り離された後ろの車両は減速……だがいつのまにか相当な速度が出ていたキンジたちがいる新幹線はあっという間に距離を取り……爆発したときには既に安全圏にいた……

 

 

 

―――――勝者・遠山 キンジ及び峰 理子、星伽 白雪の三人。更に京都では同チームの桐生 一毅が勝利しているためこの戦い、チームバスカービルの完全勝利――――――

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「が……はぁ……」

 

東京駅ではライカが地面に倒れたところだった。

他にも風魔は身体中を切られ……間宮は壁に凭れながらも血を吐き動けず意識も朦朧としている。

志乃は全身余すところなく叩かれ辰正は顔が腫れ上がるほど殴られていた……

 

「お前ら……弱いな」

 

関羅の言葉にライカは歯を噛み締めながら立ち上がる。

 

「まだ……だぁ……」

「たいした根性ではあるようだな」

 

関羅は青龍偃月刀肩に担ぐ……

 

「……ウワァアアアアア!!!!!!!!」

 

ライカの二天一流 拳技・煉獄掌が放たれ決まる……だがその前にライカの鳩尾には関羅の青龍偃月刀の石突きがめり込んでいた……

 

「ごほ……」

 

ライカは地面に完全に倒れ伏した……

 

――――一年生総勢五名……敗北―――――




一年生たちに戦いはちゃんとやります。

どのようなことが起きたのか……次回までお待ちください。

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