「ウォオオオオオ!!!!!」
「デェエリャアア!!!!!」
一毅の右手に持った
「墳!!!!!」
剣を降り下ろしながら上から鞘で叩いて剣速を一気に加速……だが常人であればこれで終わっただろうが一毅はそれの臆する事なく左手の
「オラァ!」
そこを狙って二刀を構え……
「二天一流 必殺剣!二刀陰陽斬!!!!!」
「あめぇ!」
一毅の刀を交差させた剣撃を夏侯僉は鞘で一瞬抑えた。バランスを崩した状態では一瞬抑えるのが限界だ。だが夏侯僉にとってはその一瞬さえあれば十分だった。そのまま倒れる方に身を任せ地面を転がって受け身を取りながら一毅から距離を取ると共に体勢を戻す。
「めんどくせぇな」
一毅は舌打ちした。
夏侯僉の太刀筋は二度目だが未だに慣れない。剣と打撃と体術……一見無茶苦茶だが実戦的で現実的で幅広い戦術だ。
「お前もな」
だが夏侯僉も一毅の力には舌を巻いていた。世界から見た場合日本は東の小さな島国だ。田舎者だ。
無論強者だっているがそれは一部のものであり国力も軍事力もあらゆる面で日本は劣っていると言う認識が強い国である。
だがいざ対峙してみるとどうだろうか……腕力も判断能力も胆力も才能も下手すれば自分よりも上だ。剣術じたいも高いレベルを誇っている。
こんな男は……夏侯僉は一人しか知らない。 圧倒的な武力を誇る一騎当千の男……
そう意識し出してしまうとどうしてもその男と重なってしまう。
「嫌だねぇ」
「は?」
「いや、こっちの話」
一度戦ったときは一太刀も当てられず完膚なきまでにボコボコにされた
「それにしてもお前は強いなぁ~でも楽しいなぁ」
夏侯僉は笑った……
「だから俺も本気で殺るわ」
そう言って眼帯に手を掛ける。
「何だ?眼帯の下には邪気眼とか言うオチか?」
「んなわけあるか。俺の眼帯の下には……」
夏侯僉は眼帯を外す……その下には……
「普通の……目だなぁ」
「当たり前だろうが。俺は中二病でもなければ邪気眼もねえし別に先祖みたいに目玉喰ったわけでも眼疾に成ったわけでもねえ……」
敢えて片目で生活する……それがどれだけ戦闘面において不利だろうか……距離感は掴みにくく、相手の動きを見切るための目が一つしかない状態……動体視力も制限が掛かり同時に反射神経だって落ちる……幾らだって片目の不利は挙げていけるが……並ば片目状態で両目と同じように動けたら……夏侯僉の眼帯生活はそこから始まり……今、その封印を解いた。
「行くぞ……」
両目となった夏侯僉は疾走……剣を突き上げ一毅の顔を狙う。
「ちぇい!」
一毅は弾きながら斬る……が、
「見えるぜぇ!」
両目となった夏侯僉の回避能力は尋常ではなかった。そして意識は馬鹿みたいに攻撃一辺であり同時に高い実力の元に後を考えない戦いぶり……正に一盲夏侯であるがその強さは一流……そして夏侯僉の武術はこれで完成となった。
高いパワーと凄まじい速度と尋常為らざる反射神経……夏侯僉の剣打一体の剣術は遂に頂きに届いた……何千年も続いた歴史の中で唯一頂上に届かせた……桐生 一毅との戦いが夏侯僉を熱くさせ……進化させた。
「オラオラァ!」
夏侯僉の剣撃……だが、一毅はそれに対応していく。
「っ!」
夏侯僉は目を見開いた。今の一撃は夏侯僉最大級の速度とパワー乗せた一撃……だが一毅は……いや、桐生は何時だってそうだった。
相手は強敵……負けそうになったこともあるし挫けそうになったこともある。だがその度に折れない心力を奮い立たせ急速な進化を遂げてきた。相手が強かったならば相手を上回る速度で進化して勝ちを得てきた……その底無しの潜在能力は一毅にも受け継がれ、相手が強ければ強いほど一毅は強く進化していく……勝てない相手ならば同じステージに上がればいい……
「……勝機!」
一毅の体を
「二天一流……」
お前は強かったよ……一毅の目が語る。
「必殺剣……!」
だが最後の最後で……一毅には負けられない理由があった。例え相手がいくら強くても……一毅はレキを連れて東京で待つライカの元に帰らなきゃいけなかった。
「奥義……」
「何故……」
夏侯僉は一毅の力の源がわからなかった。
そんなの簡単だ。照れ臭いから秘密だけどな。
そう内心呟いた一毅は二刀を振り上げ……
「
夏侯僉の体に二天一流の奥義が……目にも止まらぬ早さで無数の斬撃が一気に叩き込まれた……
―――――――勝者・桐生 一毅――――――――
その頃新幹線では……
「……どうだ?」
「ここにもないわ」
放送の言葉から何かしらの危険物が新幹線内にあると踏んだ キンジ達は二手に別れ捜索していた。
理子と白雪は先頭の方に向かいキンジとアリアは後ろの方に向かっていた。
「遂に最後尾だが……」
キンジがボヤくと電話が鳴る。マナー違反だが今は仕方ないので着けておいたのだ。
「もしもし?」
【あ、キー君?爆弾がいくつか見つかったよ】
成程、人がいない貨物車の部分には爆弾がないようだ。
「戻るぞアリア」
「ええ」
するとフワフワとシャボン玉が此方に飛んできた……
『え?』
そのときキンジの脳裏にある言葉がフラッシュバックした。
【一人死んで……もう一人は戦闘不能ネ】
「――っ!アリア伏せろ!」
「ええ!?」
キンジは咄嗟に龍桜を広げアリアごと覆い被さる。
「ちょ!何してんの馬鹿キン……」
次の瞬間爆発音と衝撃が響き渡った……