緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と金と史上最強の名探偵 後半戦

『え?』

 

一毅達は驚愕し……そう声を漏らすのが精一杯だった。

光線のぶつかった場所には鏡のような物が現れていた。そしてそこには……見たことある少女が見えていた。

 

「アリア……?」

 

キンジが声を漏らす。そうだ、アリアだ……髪の色も瞳の色も違うため分からなかったが間違いなくアリアそのものだ。アリアもやっと自分だと気付いたらしく呆然としている。

 

「推理の通りだ。これで継承ができる」

「なに?」

 

キンジがシャーロックを睨む。

するとシャーロックは懐から何かを出した。

 

「イロカネ……または色金合金等とも称される金属だ。そしてこれはその中でも緋緋色金と呼ばれる物だ」

 

そう言って見せたのは緋色弾頭をした銃弾。

 

「別に形状はなんでも良い。理子君だって十字架状にして持ち歩いてるくらいだ。これはこれから行うことのために銃弾に加工してあるだけ……」

『…………』

「まあ便宜状名付けるなら【緋弾】と呼ぶべきだね」

 

そして……と続ける。

 

「このような高純度の色金合金を持つものは様々な……それこそ人知を越えた力を使える。これが僕がイ・ウーを統率し、僕の若さを保てた理由だ。だが残念なことに僕の寿命は尽きかけ……この緋弾を継承することにした」

 

そう言って緋弾を銃に込める。

 

「アリア君。君は十二才の誕生日に誰かに撃たれたね?」

「はい」

「それは僕が撃った」

『っ!』

「いや、これから撃つんだ」

 

そう言って銃を構える。

そこでキンジは何をするのかわかったらしい。

 

「やめろぉおおおお!!!!シャーロック!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

だがその叫び虚しく銃弾はアリアを撃ち抜き……鏡は消えた。

 

「緋弾の継承には条件と副作用がある。まずは最低三年は肌身離さず持つこと……そして僕も良く分からないがどうも子供っぽい性格をしている人間でなければならない。そして色金の保有者は年を取る速度が落ち、髪や瞳が緋色に近づく」

「なぜ……」

 

そうまでして継承に拘った……一毅はそう言いたかったが未だダメージがでかく喋ることも出来ない。

 

「……世界は今戦いが起きている。様々な物を巡って戦った。時には金、時には石油……君たちには想像もつかないだろうが服を作る布地を奪い合って戦った事だって時代によってはある。そして今代は色金だ」

 

シャーロックは語り出す。

 

「僕の【緋色の研究】によって色金の力はおおよそ解明された。世界中の組織や人間がこれを狙うだろう。アメリカのホワイトハウス、イギリスの00(ダブルオー)、イタリアのバチカン……に日本では宮内庁が星伽を……おっと、口が滑るところだった」

 

ここまで言ってシャーロックは慌てて口をつぐんだ。

 

「分かるかい?悪しき者に緋弾が渡ればそれこそ世界が滅びる。世界を守るためには仕方がなかった」

 

教科書に出てくるくらいの見た目になったシャーロックは一息つく。

 

「これが僕の緋色の研究の全てだ。これからは君たちが緋弾を……」

『ふざけんな……』

 

ダンッ!!!!と床を踏み鳴らしキンジと一毅が立ち上がる。

 

『ふざけんじゃねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』

 

咆哮……ぐらつく足を立て直し、二人の体からは怒りを原動力とする深紅のオーラ(レッドヒート)が溢れ出す。

 

「世界だと!?んなもんのためにてめえは自分の曾孫を撃ったのかよ!」

 

キンジの目の奥がチカチカしだし頭に血流が集まると痛みを発し出す。体が熱い。キンジはネクタイを緩め、ボタンを上から2、3個外す。久し振りのキンジの本気モード……

 

「君たちには分からないだろう……だが仕方なかったのだ」

「ふざけんな!!!!仕方なかっただと!?んな理由でたまっかよ!」

 

一毅も体がビリビリしだし全身が脈をうち始める。刀の柄が軋むんじゃないかと思うほど握る。

 

「どんな理由があるか分かんねえよ!でもなぁ!!!!俺は……いや、俺達はお前を!!!!」

『絶対ぶっとばす!!!!』

 

二人は武器を構える。

 

「ほう?まだやるかね。僕にアレだけボコボコにされといて」

「残念だったなぁ!俺達は馬鹿なもんでしてとっくにそんな記憶忘れたよ!」

「つうかそんなのいつまでも覚えてるほど頭良いと思ってたのか?シャーロック!!!!」

 

頭よかったらこんな場所に銃とナイフと刀をもった二人組で乗り込まない。

 

「俺達は馬鹿だから今でもお前に勝てると思ってんだぜ!!!!」

 

頭よかったら……多分このまま寝転がっていた方が楽だった。そんなのは分かりきってる。でも……

 

「何故だい?あそこまで実力の差を見せられたのに折れることがない」

「何度も言わせんな!俺達は馬鹿なんだよ!」

 

一毅が口から血を流しながら叫ぶ。

 

「諦めた方が楽だっただろうさ!寝転がっていた方が楽だっただろうさ!お前が何処かに去るのを待ってた方が良かっただろうさ!でもなぁ……そんな器用な生き方出来ないんだよ!!!!」

「一毅の言う通りだ!どんなにてめえが強くたって……絶望的だって!諦めるって選択肢を頭の中に作れるほど器用に生きられないんだよ!」

 

馬鹿だと言われようが……愚かだと言われようが……間抜けだと言われようが……気に食わない相手に膝折ったままなんて出来ない。いや、もっと良い言い方とかあるんだろうけど……それこそ漫画とかアニメみたいに【アリアの犠牲の上での平和何ぞいらん!】と言えれば良いんだろうけど……馬鹿で不器用な二人にはうまく言葉にできなかった。

 

「大体気に食わないんだよ!全部知ってるぜ俺は……みたいな顔しやがって!!!!」

「ホントだぜ!どんな事情があるのか知んねえけどな!やっぱり気に食わねえ!」

 

二人の気に食わない……この言葉に多くの意味が含まれている事はシャーロックは分かった。不器用でバカな二人なりに纏めた言葉……

 

「ふふ……」

 

シャーロックは笑った。するとタイミング良く音楽が終わった。

 

「成程……大馬鹿が二人も揃って累乗か……良いだろう」

 

シャーロックはステッキを持つと引く……すると中から剣が現れた。

刀剣の種類としてはスクラマサクスという種類だろう。

 

「銘は聞かない方がいい。女王陛下の謗りを受ける」

「興味ねえよ。どうせエクスカリバーとかラグナロクとかそんなもんだろ」

「素晴らしいね。探偵になれるよ」

「お前も案外適当だな……」

 

更にシャーロックは銃も弾を込めて構える。武偵風に言うなら一剣一銃(ガン・エッジ)……これが本気のシャーロック・ホームズであることは簡単に分かった。

 

「はっきり言おう。ここから先は僕の推理の外……どうなるか分からないよ?」

『上等だ……』

 

一毅とキンジも構える。

 

「気に食わないなら……その拳と刃で語ると良い」

『行くぞシャーロック!』

 

二人は再度疾走……痛みといった感覚も麻痺した大馬鹿(おおばか)二人と今だ底を見せぬ最高の頭脳(てんさい)の戦いは最高潮(クライマックス)を迎える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オオオオオオオオオ!!!!」

 

一毅の体がミシミシ音を立てる。だが今の一毅には意味はない。

 

「ガァアアアアアアア!!!!」

 

キンジの頭痛が更に加速する。だがそれに呼応するがごとく視界も加速する。

 

「ふふ、君たちにはやはり力があるようだ……」

 

シャーロックが銃撃。剣術、バリツに加え銃撃も達人級のシャーロックが放つ不可視の銃撃(インヴィジビレ)……だがそれを一毅は残像が残る程の速度で躱し、キンジは先読みした世界で見えていたため銃弾切り(スプリット)で迎え撃つ。

 

『はぁ!』

 

二人の斬撃……それをシャーロックは瞬時に弾きながら距離を取る。

 

「まず教えよう。一毅くん。君のその力は……極限にまで研ぎ澄まされた本能だ!」

「なにっ!」

 

野生の獣は嗅覚と視覚、聴覚のみで獲物は追わない。寧ろそれはあくまで補助である。

本当に強い獣は見ずとも分かる。本能が教える。獲物の位置……そして敵の位置を……

人間も昔は持ち合わせていたが長き時間の中で失った本能。

見ずに相手の一撃を見切り、空かし、カウンターを決める力……最低の動きを最高の動きで行う力……他人の悪意も善意も感じとる超直感……人はそれを気を感じる……や空気の動きで……等といったがどれも正しくはない。

まあその使い手は自分の動きを感じれず、気がつけば相手を倒していたような感覚に襲われる。そのため使い手は自分の力の説明はできず、感じることもできなかった。

そう、例えるなら無我夢中の極地……その名も、

 

「【心眼】……時の人はそう言った。鬼と呼ばれた男、武蔵坊 弁慶!戦国最強と言われ徳川軍最強の男、本田 忠勝!黒田 官兵衛に使えた槍の名手、母里 太兵衛!新撰組の沖田 総司!幕末の人切り、岡田 以蔵!同じく人切り、河上 彦斉!無論、君の先祖の宮本 武蔵や残念ながら受け継がれなかったようだが佐々木 小次郎だってそうだ。世界を変えれば三国志の関羽や張飛、更に呂布などもそうだったと推理している。武に置いてすさまじい功績をあげた者達だ。皆ね」

「オォ!!!!」

 

キンジの蹴り……それをシャーロックは見切って躱して剣を振るうがキンジも見切ってナイフで受ける。

 

「君の力は僕も持っている……君の目は正確には未来は見ていない。見たものから導き出された相手の動きを君は脳に見せられている。そう、君の力は極限の観察眼……だよ」

「っ!」

 

目自体が物を見てはいない。目に映ったものを脳が処理して……そして視覚と言うものが生まれる。

キンジの目は常に観察しているのだ。相手の筋肉の収縮を……相手の視線を……動揺を……相手の剣の刃の向きを……銃口の向きを……引き金を引く瞬間を……全て見て、見抜いて、見切って……見逃さない。

更にその目は時の流れを遅くする。すべてがスローになった世界でキンジは銃弾だろうが音速に匹敵しようかという剣撃だろうが見えてしまう。相手の動きも見切ってしまう。

無論キンジの驚異的な銃弾回避技は全てこの眼のお陰だ。幾度となくキンジは無意識にこの力を引き出してきた。だが今一歩というところで完全に引き出さず終わっていたがシャーロック・ホームズと言う敵がキンジの眠らせ、鉄の檻に入れて幾重にも鎖を巻いて封じた才能を引き出させた。この力の一端は金一も持っている。だがキンジほど引き出せない。この眼の才覚はキンジが圧倒的に上回っていた。

 

「【万象(ばんしょう)()】……そういう名前の力だ」

「万象の眼……?」

「そうだ。希代の軍師、竹中 半兵衛及び黒田 官兵衛……更には織田 信長に徳川 家康……他にもレキ君の先祖の義経や武田 信玄に上杉 謙信に諸葛亮 孔明や周瑜 公謹に荀彧や司馬懿 仲達と言った人物が同じ眼を持っていたとされる」

『……………』

 

一毅とキンジは鍔ぜり合いしながらも聞いていた。

 

「その力の使い方だが……一毅くん。君は氷となれ……闘争心を深層に抑えろ。氷のような闘争心を身に付けるんだ。どこまでも澄みきった冷たい天に広がる闘争心を……キンジ君……君は炎となれ、熱く熱く、何処までも燃え上がれ、感情の高ぶりこそが脳のリミッターを外す」

 

そう言って切り返して一毅とキンジを見る。

 

「さぁ、講釈は此処までだ。あとは実践あるのみだよ」

 

シャーロックの言葉に答えるように二人は疾走する……

 

「おっらぁ!」

 

一毅の横凪ぎ……それをシャーロックは受け流す。だが其処にキンジの後ろ回し蹴り……

 

「っ!」

 

それを伏せて躱しながらキンジ一毅は飛び蹴り……

 

「くっ!」

 

シャーロックは腕を交差させて受けるが後ずさる。

き一毅の体が悲鳴をあげ始め、キンジは頭痛と共に頭のなかでプチプチ音が出始めた気がした。

 

「気を付けるんだ。力に惑わされれば当然負担も大きくなる」

 

一毅の力は最善を選択しすぎる。そして人間の普段は抑えてある潜在能力(ポテンシャル)を簡単に引き出させる。キンジは脳に負担が掛かりすぎる。結果、脳がオーバーヒートすれば廃人になるかもしれない。

だが二人は徐々にシャーロックに追い付き始めた。

 

「ラァ!」

 

一毅の横凪ぎ……

 

「オォ!」

 

キンジのハイキック……

 

「ふん!」

 

一毅の振り降ろし……

 

「シャ!」

 

キンジの足払い……

 

「オッラァ!」

 

一毅の二刀を使った交差切り……

 

「ヨッシャ!!!!」

 

キンジの旋風脚……

 

一撃一撃が最初は気にならない程度のダメージ……だがそれは何時しか大きくなった。

 

「オオオオオオオオオ!!!!!!!!」

 

斬!っと一毅の横一文字が遂に深々とシャーロックを切り裂く。

 

「ラァアアアアアアア!!!!!!!!」

 

キンジの渾身の蹴り蹴り上げがシャーロック顎を穿つ。

シャーロックが大きく体勢を崩した。

 

『勝機!!!!』

 

 

キンジはクラウチングスタートの構えを取る。これは理論だけが出来上がった状態で一度も使わなかった技……だが今ならできるだろう。

ナイフを構え、シャーロックを見据える。

 

「この桜吹雪……散らせるもんなら……散らせてみな!!!!」

 

キンジは走り出す。まずは足の関節……続いて肩と腰の関節……最後に腕の関節……これらを同時に加速させる技……元は風魔のヂ撲ちと言う技を原型とした瞬間的に秒速1235㎞と言う音速に匹敵するキンジの最速技。この技を好んで使ったキンジは後に【速星(スピードスター)】と呼ばれるようになる。その名も、

 

桜花(おうか)!!!!!!!!」

 

ナイフの先から円錐錐状(ヴェイバーコーン)が現れ、同時にキンジの腕から血と龍桜(りゅうおう)の袖が破れて撒き散らす。まるで桜吹雪のように……だが、

 

「惜しかったね……」

 

シャーロックには見えて……見切られ……見抜かれた。 だが……キンジの眼はその先を見た。

 

「んなもん……」

 

キンジはシャーロックのもう一方の手を掴み……大きく体を逸らす。

こんなのは必殺技でも何でもないが遠山家代々の奥の手……アリアを先程相手取ったときもこれを使えればよかったがそれはしなかったと言うかできなかった一撃……

 

「とっくに見抜いてる!!!!!!!!!!!!」

 

ガス!!!!っと大きな音をたて大馬鹿の偏差値40切ってる武偵高校でも中の下クラスの頭脳を誇るキンジの頭と世界最高峰にして最強を支え続けた頭がぶつかり合う。

 

「がっ……」

「残念だったなぁ……先祖代々石頭でよぉ……」

 

キンジは崩れる。さすがに限界……だから……

 

「後は頼むぜ、親友(一毅)

「ああ、任せろ、親友(キンジ)!!!!!!!!」

 

キンジの横を走り抜け、一毅は殺神(さつがみ)一本のみを握る。

同時に蒼いオーラ(ブルーヒート)深紅のオーラ(レッドヒート)と混じり会う。

 

「二天一流!」

 

シャーロックは崩れた体勢で剣で突く……だが、バツン!と言う音と共に一毅の残像をシャーロックは突く。

 

「秘剣!!!!」

 

人知を軽く凌駕した身体能力からの膝蹴り、

 

「がはっ!」

 

顔面に叩き込まれた膝蹴りにシャーロックは大きく後ずさる。

 

「アアアアアア!!!!!!!!」

 

一毅は襟を掴むと引っ張り前に倒しながら自分に向いた背中に渾身の袈裟斬りを叩き込んだ。

 

「奥義……一流(いちなが)れ……!」

 

一毅も地面に膝をついた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハァ……ハァ……』

 

一毅は体がバキバキだしキンジは視界がボヤけてる。

 

「ふ、ふふ……負けた……ハッハッハ!完敗だよ!」

 

シャーロックは嬉しそうに笑う。

 

「僕を負かしたのは今までで一人しかいない。いや、追い詰めたのは何人かいたがね」

「一人いたのか!?」

 

一毅たちは驚愕した。

 

「ああ、ふと現れて僕に決闘を申し込み三分で負かされた。終わった後戦う前に作っていたカップ麺煤って帰っていったよ」

「なにもんだよ……そいつ」

「宮本 武蔵と斎藤 一両方の血を受け継いだ男……桐生を探している……そう言っていた」

「っ!」

 

斎藤 一……明治の時代に生きた桐生の妻が斎藤 一の娘だったはず。そのため二天一流には斎藤 一の剣技も組み込まれているのだが……なぜそれを知っているのだろう……

 

「確か名は……亜門(あもん) 丈鬼(じょうき)……そう名乗っていた。いずれ君の前に現れるかもしれないね」

『…………』

 

一毅とキンジは互いに肩を貸しながら立ち上がる。それからアリアに手錠を借りると、

 

『シャーロック・ホームズ……お前を……逮捕する』

 

手錠をかけようとした……が、

 

『え?』

 

シャーロックが土になって崩れた。

 

「残念だが諸君。老兵ただ死すのみってね」

 

シャーロックはいつの間にかICBMに乗り込んでいた。

 

「曾祖父様!」

 

今にも飛び上がろうとするICBMにアリアは小太刀を刺して張り付く。

 

「アリア!」

 

キンジもアリアを追ってスクラマサクスをICBMに刺して張り付くと……二人をくっつけたままどこか遠くに飛んでいった……

 

「おいおい……俺置いてけぼりかよ……」

 

一毅がボヤくと爆発音が響く。

 

「え゛?」

 

嫌な汗が流れた。だがそれを笑うように爆発は続く。

 

「不幸だぁああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

一毅は筋肉疲労がMaxの状態で全力疾走する羽目になった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!」

 

沈むボストーク号を見て武藤が声をあげる。

 

「勿体なおごふぅ!」

『心配すんのは船の方ですか!』

 

一年生たちから総攻撃を受ける。

 

「大丈夫かな。三人とも」

「大丈夫ですよ」

 

不知火にレキは返答する。

すると、

 

「ぷはぁ!」

『っ!』

 

一毅が浮き上がった。

 

「引き上げてくれ。疲れてもうだめだ」

「わ、分かった」

 

武藤に引き上げられ一毅は息を吐く。

 

「ヒデェ目に遭った。キンジと一緒だとろくな目に遭わねえな」

「お疲れ様でした」

 

レキに頭を撫でられた。

 

「ってアリア先輩は!?」

「……ミサイルの側面にくっついて飛んでった」

『はぁ?』

「キンジも一緒だ」

「益々意味わかんないんですけど!」

 

すると金一がなにかに気づく。

 

「あれは……」

 

指差す方を全員が向く……その方にはアリアとキンジがいた。

だが一番驚いたのはアリアは髪をパラシュートのように広げゆっくり落下してきたのだ。

 

「そうか……」

 

だからああいう髪型にさせたのかと一毅は納得した。

他の皆はポカーンと見てる。一毅も緋弾の事を知らなければ多分同じだっただろう。

そしてさっきまでキンジはアリアにくっついていたが泳げないアリアはキンジに着水する直前にくっつき直し着水する。

 

「よう。さっきぶり」

「ああ」

 

引き上げられたキンジは桜花の反動でボロボロの腕を金一に見てもらう。

 

「多分痕に残るだろうなぁ」

「傷がない武偵の方がすくねぇだろ?CVRくらいだ」

 

キンジが言って肩を竦める。

 

「だな……あぅ!」

 

一毅はピキッと体が言って顔をしかめた。

 

「こりゃ病院だな」

「ま、どちらにせよ……」

 

キンジが笑う。

 

「これ……にて一件……落着……だ……な……」

「取り……合えず……わ……な……」

 

そこまで言ってキンジと一毅はそのまま倒れた。ちなみ頭はキンジはアリアの膝に、一毅はレキとライカに凭れるように倒れた。

 

「あ!こら!!!!遠山 キンむぐぐ」

 

辰正にあかりは止められる。

それから指を口に持ってきてシーッとやる。何故なら、

 

『くー…zzZ』

 

完全に限界に来たのか二人とも完全に睡眠中であった。

さすがのアリアも顔を真っ赤にするが頭を退けるようなことはせずにそっと撫でる。

レキとライカも一毅をそっと撫でた。

 

 

 

だがそれから1ヵ月後に知ることになる。これはまだ序曲……巨大な戦いの始まりなのだと……

 

だが今は二人の戦士に一時の休息が与えられんことを……


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