緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と執事

狼襲撃の騒動から早くも一週間……遂に作戦決行と言うかこれから家政婦として潜り込むため皆で屋敷に向かうため待ち合わせをしている。

因みに狼の名前は三人で話し合った結果【タロベエ】や【ごんべぇ】……狼なのに【タイガー】、果てや【権右衛門】等多数出たが最終的に【ハイマキ】となった。と言うかその名を聞いた瞬間ハイマキがその名にしてくれと言わんばかりに吠えたためだ。

 

「しっかし理子の奴遅いわね」

 

アリアが呟く。

 

「そうだな……何かあったのか?」

 

キンジも映画情報サイトを携帯で見ていたが携帯をしまいながら周りを見る。すると、

 

「ゴメンねぇ~遅れちゃった~」

 

全員が理子を見た瞬間息を飲んだ……だがその反応は二つに別れた。

アリア、レキ、ライカはその美しさに……キンジと一毅は……見たことあるその顔に……

 

『カナ……』

『え?』

 

一毅とキンジ二人の呟きにアリア達は疑問の声を漏らした。

 

「何で……」

「だって理子の顔ブラドに割れてるしさぁ~そのための変装」

「ふざけんなよ……何でよりによってその顔なんだよ!!!!!」

「だって理子が知るなかで一番美人だもん。カナわね」

「~っ!行くぞ!」

 

キンジは苛立ちながら先に行く。

 

「カズッチも驚いた?」

「まぁな……」

 

一毅も頭を掻きながら歩き出す。

 

「なんの顔なの?なんかキンジと一毅驚いてたけど」

「ひ~み~つ~♪」

 

理子達もそれに続いて歩き出した。

 

 

 

 

 

歩いて三十分の道のりを越えると見えてきた……屋敷だ。かなり立派だが何と言うか……カラスとか鳴いてるし全体的に暗いし……お化けとかゾンビとか出てきそう……ゾンビ?そう言えばバイ●ハザー●でもク●スとかこんな屋敷の中を探索していた。ゾンビはほんとに出てこないと思うがやはり少し薄気味悪い。

アリアに至っては完全にビビってるし……

 

「ここが玄関だねぇ~♪」

 

理子がチャイムを押す。こう言う反応を見てると恐怖とか無いんじゃないだろうかと思ってしまう。

 

「はい」

「家政婦商会から来まし……え?」

『げっ……』

 

中から出てきたのはあの武偵高校の教師……小夜鳴であった……

 

 

 

 

 

後で聞いてみれば知り合いの頼みで研究の傍ら管理人をしているらしい。

だがよりによって嫌な相手だ……女子生徒に手を出してるとか言う噂もあるしな……レキとライカ近づけないようにしておこう。アリアは……キンジがどうにか守るだろう。と言うかアリアはどうも理子が変装していた人物が気になるらしい。勘でキンジに親い人物だと見抜いたらしい。嫉妬だね。

さて、とりあえずキンジと一毅は執事服に着替える。

 

「お前似合わねぇな~ヤクザか用心棒だぜ。ここじゃなくてカジノとかそっちの方に行った方がいいんじゃないか?」

「お前似合うねぇ~さすが普段からパシられてるだけはある。パシり根性の塊だな」

『フッフッフッフ……』

 

等とじゃれあってからアリアたちの方にいく。

 

「おーい、入るぞ」

「…………誰もでねぇな」

「可笑しいな」

 

キンジが開けるとアリアは巨大な鏡の前でポーズを決めていた。

傍目から見てもかなり可愛い。まあアリアはイギリスのファッション雑誌のモデルになった事があるらしいし流石と言ったところである。

それにキンジもそれを見た瞬間顔を赤くしてドキマギしている。

 

「そういう趣味あったわけ?」

「いや、そう言うのはない筈なんだが……」

 

キンジは頭を掻いた。

 

「意外とこう言うのもいいわね」

「ええ、アリアさんも良く似合ってますよ」

「流石貴族ですねぇ」

「そう?二人も凄く似合ってるわよ?」

「そうですか?どう思います?一毅さん、キンジさん」

「え?」

 

アリアはドアの方をみてキンジを捕捉すると一瞬固まり……にっこり笑う。

だが残念ながら死神が親指で首を搔っ切る動きがアリアの背後で見えた……

そのままアリアはズカズカこっちに来る。一毅は既に安全圏に移動済みだ。

 

「ふん!」

 

アリアはキンジの正面から肩車するように乗ると股でキンジの首を絞めながら……

 

「何かご用でしょうか?ご主人様」

 

何だ言えるじゃねぇか……

 

「い、いや……特に用事はないんだが……殺さないでくれると嬉しいんだが……」

「ウルァ!」

 

アリアは美少女にあるまじき声を出してキンジを股で挟んだまま後ろに倒れるとキンジに頭を床に叩き付けた。

 

「ごほ……」

「次覗いたら風穴ぶち開けるわよ!!!!!」

 

アリアは叫んだ。

 

「まあキンジさん達は置いといて、どうです?」

「へ、変じゃないですよね?」

「ん?ああ、凄く可愛いよ」

「ふふ……」

「へへ……」

 

レキとライカの二人は照れくさそうに一毅の体に寄り添った。

 

 

 

 

 

 

さて、仕事の内容だが基本的に掃除、洗濯及び食事の準備と然程特別なものはない。まあ少し変わった所と言えば食事は串焼き肉であること、そして食材にはニンニクを使わないこと……と言ったくらいの物である。栄養バランス大丈夫なのだろうか……

因みにその間も侵入場所の調査をしてはいたがとんでもないところだった。

重量センサー(乗ったりすると警報がなる奴だ)に赤外線センサー……ちゃんとした入り方をしようとすれば暗証番号にカードキーだけにとどまらず指紋、声紋、顔認証に、目もセンサーに通さなくては行けず、極めつけは耳紋(耳も人によって形が違うのだ)も通さなくてはいけない。

明らかに防備固すぎる。あのロザリオがどれだけ重要なのかが分かるがマジでこれは酷い。盗めるのだろうか……

だが理子曰く、

 

「楽勝楽勝~」

 

と言っていたためそれを信じ一毅達は仕事に励んだ。

そして仕事についた二日目……キンジはレオポン使って雷が嫌いなアリアの気を逸らしてるのを傍目で見ながら一毅とレキとライカはビリヤードをやっていた。

結構一毅はこう言ったゲームには強いのだが相手の一人はレキである。

何と言っても正確無比なショットは一発で全部の球を落とす……ナインボール(盤上に置いた1~9のボールを順番に落としていくゲーム)しても一撃で全部落とされるし勝負にならない。だが、

 

「また私の勝ちですねライカさん」

「ぐぅ……」

 

今度一毅と一緒にお出掛け権を賭け二人は勝負していた。勝率はレキ十割、ライカはゼロである。勝負になってない。少しは手加減してやれよ。

 

「現実の厳しさを教えるのも先輩である私の仕事です」

「ズバリ本音は?」

「一毅さん独り占めしたい」

「大人気ねぇ上に平等にって言ったの君だよねレキさん!」

 

そんな事を言い合いながらその日の夜は深くなっていった……

 

 

 

 

 

 

それから更に一週間後……遂に作戦の決行日になる。

アリアが小夜鳴を庭の薔薇が見たいとかで呼び出しレキとライカは中から監視して動きを逐一報告、キンジと一毅は盗むため天井裏に忍び込む。理子は総指揮官だ。

しかし天井裏は面白いほど警戒されてなく逆に嫌な予感がしたが一毅は不安を振り払いつつキンジの補佐をする。

今回の作戦は天井からコウモリのようにぶら下がりレール作ってそこを釣糸通して釣り上げて偽物とすり替えると言うものだ。実行はキンジがやる。

一毅では天井からぶら下がることはできるが体格が大きいため赤外線センサーに引っ掛かる可能性があるし何より細かい作業に向かない。

 

「こちらモグラはコウモリになった」

【了解……じゃあ最初は……】

 

理子が指示を出してキンジはその指示通りに組み立てていく。

だが、

 

【監視班のレキです。雨が降ってきました】

【アリアよ……小夜鳴先生が戻ろうとし始めたわ】

【うーん……アリア胸………は無理だしお尻でも触らせて時間稼いで】

【は、はぁ!?馬鹿言ってんじゃないわよ!】

【うーん】

「不味いんじゃねぇか?」

「ああ、この状況じゃ言い訳も出来ないぞ」

 

キンジは慌て始めたがこのままでは……

 

「ん?」

 

すると通信が切られた。どうしたんだ?

するとキンジが突然ヒステリアモードになり凄まじい速度で回収と偽物の設置を済ませ一瞬で天井裏に戻ってきた。

 

「理子め……後でお仕置きだな」

「何があったんだよ」

 

一毅のジト目をキンジは視線を逸らして躱した。

 

 

 

 

 

 

 

その後、とあるビルの屋上に来た。

理子とここで待ち合わせである。

 

「お待たせ~」

 

理子が遅れて登場した。

 

「これだろ?」

「うわぁ!」

 

理子はキンジから受け取ると嬉しさのあまり踊り出した。

 

「ちゃ、ちゃんとママの裁判出てもらうからね?」

 

アリアは理子の奇行に若干引いていた。

 

「まあ、これにて一件落着ですかね」

 

ライカが言うと一毅とレキも頷く。

 

「あ、キー君。このリボン取って~」

「ん?ああ……」

 

キンジが手を伸ばして解いた瞬間……

 

「【チュッ!】……っ!?」

 

その場のレキ以外全員が目を限界まで開いた。レキも若干驚いたように表情を変えている。

 

「な、な、何しとんじゃぁあああああああ!!!!!」

 

一番アリアが復活が早かった。

だがアリアの一撃を理子は軽く躱し、

 

「理子にとってはロザリオの回収が一番大切だからね。これさえ貰えば後は用無しだよ」

「はん……利用したってことか」

 

すると理子は笑いながら銃を抜く。

 

「そう言うこと、忘れたの?理子は泥棒だよ」

「全く……仕方ないね……でも許すよ。女の嘘は嘘にならないからね」

「?」

 

この場で唯一ヒステリアキンジ始めてみるライカはキンジの変化に首をかしげた。

でも慣れた方がいいぞライカ……多分これからも何度も成るから。

 

「上等だわ。あんた気に入らなかったのよ。無理矢理裁判に連れ出してやるわ」

「はは、私も嫌いだったよ。オルメス……あんた倒してやるよ」

「最後に一つ聞いていいか?」

 

一毅に視線が集まる。

 

「そこまでしてなんでアリアを倒すことに拘る」

「……カズッチってさ~繁殖犬って知ってる?」

「なに?」

 

一毅は首をかしげた。

 

「悪質なブリーダーとかが高く売れる犬とか繁殖するためにろくに食べ物与えないとかって奴だよ」

「それがなんの話に……」

「私がそうだった」

『え?』

 

全員が驚愕した。

 

「昔ブラドに理子は監禁されてた。泥水とカビの生えたパンでも貰えればラッキーで食えない日もあった。私はあそこでは……リュパン5世を生む機械だった」

『っ!』

「でも私はこのロザリオの力で脱出できた!イ・ウーでまたブラドに捕まったときはもう駄目かと思ったけど実力をつけた私にあいつは言った……もし初代リュパンを越えられたら解放するってね……そのために四世……あんたを倒す。初代リュパンがなし得なかったホームズを倒す!!!!!」

 

理子の髪が意思をもって動き出す。

 

「お前達は私の踏み台に【バチっ!】……え?」

 

急に理子の体に電撃が走り体が崩れた。

 

「お、まえは……」

「相変わらずダメダメですねぇ……四世ぇ……」

「お前は……」

 

一毅たちの驚きをよそに理子の背後に立った男は笑う。

 

『小夜鳴……』

 

遠くに雷の音が聞こえた……


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