緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

21 / 177
龍と巌流

巌流…この剣術を使う者は古来より一人しかいない。物干し竿呼ばれる長刀を使い、飛ぶ燕をいとも簡単に斬る…神速にして通常よりも離れた間合いから切り捨てる剣術家…名は【佐々木 小次郎】。当時一毅の先祖の宮本 武蔵と並び最強の剣士に数えられその強さ故に常勝不敗。

なんと武蔵も一度この男に土を付けられた事があるらしく唯一宮本 武蔵を敗北に追い込んだ男なのだ。

だがその後、巌流島という島で武蔵と小次郎は一騎討ちとなり武蔵が勝利する形で決着を付けた。

だがその後、武蔵の生存の行方は知れていないが、今の一毅が居ると言うことは生きていたのか…それは知れない。

だがお互い一度ずつの敗北なのだがその後の歴史で名を残したのは武蔵…歴史の中で佐々木 小次郎の名は埋もれ…敗北者としてその名を刻んだ…

一度ずつの敗北…だがそれはハッキリと明暗を分けた。

そしてその後の子孫たちの関係に影響を与えたのだが…

 

 

「って何だ…?」

 

等の一毅は全く分からなかった。

 

「は、はい?」

 

志乃は唖然とした。

 

「巌流…韓国のドラマか?」

「一毅先輩、それは韓流です」

 

ライカが突っ込む。

 

「………うん。悪い。やっぱ心当たりねぇや」

「………るな…」

 

志乃は震える。

 

「ふざけるな!!!」

 

志乃はハンドガード付きの日本刀を一毅に振るう。

 

「待て待て!だからって闘う必要はないだろ!」

「大アリです!先祖・小次郎が負けた日から私たち巌流は技を磨き、何時の日か勝つことを夢見てきました!ですが…」

「ですが?」

「あなたの父…桐生 一明(かずあき)は私の父に勝負を持ち掛けられた際には…」

「ああ~、それは親父から武装検事時代の話を聞いたことあるぞ。確かジャンケンだったっけ?」

「それだけではありません!いつもいつものらりくらりと躱して逃げ回りあまつは結婚して引退…」

「つまりさ…」

 

それ俺関係なくね?…と喉まででたがそれを言ったら確実にぶちギレられること確実なので黙る。

 

「ですから…桐生 一毅さん!貴方に一騎討ちを申し込みます!!!」

『おお…』

 

周りのギャラリーは声を漏らす。

上勝ち狙いの一年は多いが他の学科でしかも女子…

だが近くの面々はハラハラものである。

 

「や、辞めた方がいいよ佐々木ちゃん。強いよこの人…」

「黙ってて…谷田君…これは負けられないの…」

「おい、どうすんだよ…」

 

キンジが一毅を見る。

 

「決まってんだろ」

「だろうな…」

 

キンジは一毅が何をするのか分かっているようだ。

 

『え?』

 

全員が一毅の行動に注目したあと…

 

「にーげるんだよー!!!」

 

一毅は食堂の出口に向かって走り出した。

 

「は!?待ちなさい!!!」

 

志乃は追いかけ始めるが一毅は物凄い速さで出ていってしまう。

 

「レキ…心配じゃないの?」

 

アリアが聞くが、

 

「大丈夫です。一毅さんの逃走技術は諜報科(レザド)で通用しますから」

 

レキは今日の珍品【エスカルゴのイスパニア風ぶっ飛びサラダ(あまりの不味さに意識が吹っ飛ぶため吹っ飛びサラダと着いた)】を口にいれた。

 

 

「いよっと!」

 

一毅は窓に飛び込み校舎内に入ると一気に階段をかけ上がる。

 

「逃げるんですか!?」

「俺女には剣は向けない主義なんでね!」

 

一毅は的確且つ素早く、そして迷いのない走りでどんどん距離を取っていく。

何故一毅がこんな逃げなれているのか…それは単純。純粋に逃げなれているだけだ。

普段からレキに怒られて高い狙撃能力から幾度となく逃走を成功させている一毅…狙撃科(スナイプ)のSランクからの逃走に比べればこんなの屁のカッパである。

まさか普段のレキとの攻防がこんな形で幸を奏し逃げきったかと思いきや突然下の階から剣を突き刺し壁を這い上がってきた志乃が襲い掛かってくる。

 

「お前はヤモリか!」

 

一毅が驚く中志乃は飛び上がると剣を腰に仕舞い背中から長刀を抜く。

 

「それが物干し竿…か?」

「ええ…そしてこれが…」

 

巌流の技は基本的に居合いである。その巨大な間合いと神速の剣を最も活かす技…鞘を使わずに行うことで鞘の摩擦による減速を無くし斬る技…その名も、

 

「燕返し!!!」

「あぶな!!!」

 

一毅はとっさに伏せて躱す。

 

「くっ!」

「まだ完全に習得してないみたいだな」

 

一毅は来た道を帰っていく。

 

「まちな…さい!」

 

志乃は振り下ろすが、

 

「あ、そこは…」

 

一毅が言い掛けるが一歩遅く物干し竿はその長さ故に天井に引っ掛かった。

 

「え?」

「あーあ…」

 

志乃は慌てて引っ張るがかなり深く刺さっているのか全く抜けない。

 

「あー…じゃあな」

 

一毅は置いていくことにした。

 

「あ、ちょ!まっ!」

 

慌てて抜こうとするが志乃が押せど引けどピクリともしない。

 

「卑怯ものぉおおおおお!!!」

「言ったろ?俺女に剣は向けない主義なの」

 

そう言って一毅は強襲科(アサルト)用の体育館に向けて歩き出した。

 

 

その日の放課後…志乃から逃げきった一毅はライカの相手をしてやりレキ、キンジ、アリアと帰っていた。

 

「でも逃げ出したときには驚いたわ」

「いや俺は何でキンジがボコボコにされてるのか非常に気になるんだが?」

 

一毅が聞くとアリアいわくキンジは二重人格で戦闘のストレスを受けることで変化する。ならばこちらから意図的に変えることも可能なはずだから調教…もとい、特訓していたらしい。

とはいえキンジのヒステリアモードは多重人格ではないのだが…まあそこは割愛だ。苦労するのはキンジだけである。

すると、

 

「あ…」

「どうした?レキ」

 

一毅がレキを見ると指を指される。その方向を全員で見ると…

 

【超能力捜査研究科・2年 星伽 白雪……至急教務科に来ること…】

 

「なにしたんだ白雪…教務科(マスターズ)に呼ばれるって…」

 

教務科(マスターズ)とは武偵高校の三大危険地帯の一つで武偵高校の教師たちの巣窟である。

無論普通じゃない武偵高校の教師なのだから前歴も普通じゃなくマフィア、殺し屋、暴力団に傭兵と聞かなきゃ良かったような御方達が沢山いるのだ。良い子は絶対…と言うか武偵高生でさえも進んでは近付きたくない一角である。

 

「お前昨日の件言ったのか?」

「そんなわけないでしょ。そんなみみっちぃ真似…やり返すなら正々堂々とやるわ」

 

それもどうかと思うが…

 

「ま、どうしようもないし帰ろうぜ」

 

だがアリアは動かない。

 

「アリア?」

 

キンジが呼ぶと…

 

「潜入するわよ」

『は?』

 

一毅とキンジの声がハモる。

 

『ど、何処に?』

 

嫌な予感しかしないが一応二人は聞く…

 

教務科(マスターズ)によ?』

 

アリアがあっけらかんと言うので、

 

「さあキンジ、レキ帰ろうか!」

「そうだな!」

 

さっさと帰ろう…としたのだが、

 

『お家へ帰【パキューン!】……せめて遺書を書く時間だけでもくれないか?』

「そんな時間はない!!!」

 

そう言ってアリアは一毅とキンジを引き摺りながらレキを引き連れて行った…

 

『勘弁してくれぇええええええ!!!』

 

その場には一毅とキンジの悲痛の声だけが響いていた…




あ、今回久々に2000字台だ…

と言うわけで今回は志乃ちゃんと一毅の追い駆けっこ…と言うかグダっただけです。
この時代の一毅と志乃の家同士はこんな感じで仲が悪いです。とは言え一毅の方が現在は強いです。とは言え今回の一毅はリメイク前と違い比較的一貫して女の子には剣を向けさせないようにしてます。
何かこう言うときの一毅の方がヒステリアモードみたい…等と思う今日この頃。
と言うわけで次回から白雪が住み着きます。序でにAAからあの子も登場です。少し流れが変わります。とは言え大筋に変化はない…筈です。
基本的に行き当たりばったりが心情なのでね。
と言うわけでではでは~

感想、評価、お気に入り登録してもらえると嬉しいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。