(クソ……マジでヤバイぞ……)
キンジは頭を抱えていた……現在キンジは本当にヤバイのだ。今キンジは入江に設置されたミサイルにくっ付けられた檻に入れられている。多少攻撃しても壊れないほど頑丈だ。そしてミサイルには科学弾頭が付けられている……これをリバティーメイソンの基地……つまりワトソンやカイザーがいる場所に打ち込むと言うのだ。このままでは自分だけではなくワトソンやカイザーも危ない……
だがそれだけではない……何とこの檻……一旦水に沈むと言うのだ。つまりこのままだと完全に水没して死んでしまう。遠山キンジは二度死ぬのだ。
(くそ……考えろ……)
段々足元に水が来た……このままでは水死してしまう。だが何も思い付きやしない。クソッタレ……
(畜生……)
段々腰に……そして今度は首に……キンジは悪あがきとばかりに懸垂の要領で上がると必死に水が来ない場所を探す……
どうにか逃げたいが……この檻は頑丈だ。何より
(……不味い……)
水が来ない位置がもい殆どない……ほんとに沈んじまう……そう思ったとき……キンジの前に人影が出た。
(え?)
「ご主人様!これを!」
そう、リサだった。
「バカ!今すぐもどれ!このままだとお前も一緒に打ち出されるぞ!」
「嫌です!このままだと貴方を見捨てたら夢に出てしまいます……安眠は大切です!」
そう言って檻にキンジの装備をリサは投げ込む。
「ご主人様はすごいお方です!これがあればきっとどんな状況でも覆せます!……だから……っ!」
「っ!リサ!」
キンジが目を見張った……何故なら……リサの背中に……一本の矢が……深々と刺さったのだ……矢を使うものなど一人しかいない……セーラだ。
「だから……ご主人様は……死なないで……ください……」
「リサァアアアアアアア!」
ゆっくりと体を落としていくリサ……キンジはそれを見ることしかできなかた……その中完全に水に完全に沈む……
「ごばっ……」
キンジは藻掻く……だが完全に海中に沈んだ状態ではどうしようもない……
脳裏には今までの思い出が流れ行く……これが走馬灯なのだと理解した。
(皆……)
キンジは必死に手を伸ばすがどこにも届かない…… 気道に水が流れ込み意識が遠くになっていく……
いろんな記憶が想起する……アリア、一毅、理子、白雪、レキ……それだけじゃない……あかり、辰正、ライカ、志乃、陽菜……皆大切な仲間達だ……その皆との別れが来てしまった……ゆっくりと鼓動を止めていく心臓……ゆっくりと意識を遠くへ遠くへと追いやっていく脳……ゴボっと最後の空気が肺から出ていく……
(クソ……ったれ……)
キンジは悪態をつくと……完全に心臓の鼓動が止まった……意識もない……完全なる死である……そう、遠山キンジはその十七年の生涯の幕を……閉じたのであった……
「リサ……お馬鹿な子……折角
そう呟くイヴィリア……その視線の先には溺死したキンジとそれと共に飛び立ったリサ……そして操縦席にカツェがいる。
「さぁ、次の準備に取りかかりましょう」
イヴィリアの言葉で配下の魔女連隊の者達が走る。次はジャンヌとロキの刑だ。今日……生け贄を捧げるとジェヴォーダンの獣が降臨すると言う托を聞いていたためジャンヌとロキはジェヴォーダンの生け贄にされるのだ……だがそのために気づかなかった……ミサイルにくっついているリサの変化に……そして……
「ゴホッ!」
檻の中にいたキンジは水を吐く……心臓が止まっていたはずのキンジが……何と生きていた。
(ギリギリセーフ……ってやつだな)
と、ヒステリアモードの思考でキンジは考えていた。だがどうやってヒステリアモードになったのか?
性的興奮ではない……これは死に際に子孫を残そうとする本能……ヒステリアモードの亜種、ヒステリア・アゴニザンテ……である。つまりキンジは一回死にかけ……その瞬間にヒステリア・アゴニザンテへと変化したのだ。無論……それだけではない……水から体が出た瞬間にキンジは自らの体……正確には心臓に桜花による衝撃を叩き込み止まった心臓を再稼働させたのだ。
(名付けるなら……【回天】ってところか……それよりリサは!)
と息を整え胸を射ぬかれたリサを見た……だが、
「なっ!」
そこには金色の体毛を見に纏い始めるリサがいた……
「リサ……お前……」
「逃げ……てくだ……さい……ごしゅ……じン……サマ……」
メキメキ体が音をたてリサの体が変貌していく……牙も生え……体毛がリサを覆っていく……
「リサ……君が……」
「……ハツドウジョウケンハ…………シニギワト……マンゲツデアルコト……デシタ……」
死に際と……満月……確かに今はこの条件を満たしていた……そして彼女は続けた……完全に変化してしまうと自我を失うこと……その前に逃げてほしいこと……
だがキンジは立ち上がるとゆっくり構えた。
「悪いができない相談だ……」
そういったキンジは服を破り完全に巨大な金狼と化したリサを見た……
「ここで君を見捨てると言う選択肢はないよ」
キンジは銃を抜く。
「来いリサ……今度は君を受け入れる」
キンジがそういった瞬間リサは何と檻の格子をぶち破って飛び込んできた。これって……壊れるのか……
「あっぶね!」
何て驚いてるとリサ噛みつきに来た。流石に龍桜越しでも痛いではすまなそうなので回避するキンジ……だが檻のなかだ……逃げ場は限られておりリサは素早い動きでキンジは追撃してきた……
「くっ!」
キンジの万象の眼がリサの動きを追う……だが非常に読みにくい。その理由はリサが現在自我を失った獣状態だからであろう。
キンジの眼による先読みは相手の視線、呼吸、筋肉の僅かな収縮等から読み取って行うものだ。だが今のリサはひたすら本能赴くままに暴走する獣……そういった癖が結果的にないのだ。筋肉の収縮位なら見抜けるだろうって?残念ながらあのフサフサの体毛からそう言ったのを読み取るのは難しい……故にキンジはギリギリの反射神経のみで何とか回避していた。だがこのままではじり貧になる……そのためキンジは素早くリサが開けた部分から檻の外に脱出するとミサイルの先端に来た。運転席にいたカツェと目があってなんか騒いでるのが視界に移る。
(何でお前がここにいるんだよ……か……っ!)
「くっ!」
キンジはリサの牙を躱す。次は爪……だが……
「っ!……」
キンジは舌打ちした。それはミサイルの壁面がリサの一撃でどんどん壊れていくのだ。既に高度は雲に達しつつあるあると言うのにこのままでは空中分解して全員死んでしまう。
「次から次へと……」
と、キンジは降りかかる難題に顔を顰めた。だが悩んでいる暇はない。次々襲うリサの牙や爪がキンジを狙うのだ。避けるしかない……だが下手によければこのまま壊れて落下してしまう……
ん?待てよ……
「…………一か八かやるしかないか……」
そうキンジは舌打ちするとリサを誘導する。
「がぅ!」
「くっ!」
キンジの体から
「アストラルスウェイ!」
最速で行う無駄のない連続回避……それはリサでも捉えきれず攻撃は空を舞う……だがその攻撃は全てミサイルを壊す……中にいるカツェは顔が真っ青だ。まぁ仕方ないだろう。目の前で行われてる戦闘はカツェでは眼で追うのも一苦労だ。
ホンの僅かな隙が命に関わる攻防……だがキンジは冷静に対処した。
「オォ!」
キンジは最後にリサの背後に回り込むほど大きくスウェイで躱し一旦距離をとる。
「ガゥ!」
それを見たリサがキンジに襲いかかる。それをキンジは……
「もういいんだ……リサ!」
自らの左腕を盾にしてリサの牙を防ぐ……痛いなんてもんじゃない、メキメキ腕が音をたてリサの牙がめり込んでいく……まるでプレス機に押し潰されるような感覚……だがキンジは優しく言い聞かせるように言った……
「敵はいない……だから落ち着けリサ……」
そっとリサのフサフサの体毛指で鋤く……敵はここにいない……君はきっとこの力が大嫌いなんだろう。何せ優しい君のことだ。力に任せ暴れる事がどれだけ君の優しい心を痛め付けるか分からない。
「だから……もういいんだ……言っただろう?俺が戦うって……もういいから……戦うな……」
するとどうだろう……リサの牙が突然離れキンジの腕を嘗め始めたのだ。目も先ほどまでの狂気はない……優しい眼だ。
「さぁ……帰るぞ」
キンジがそういうとキンジの誘導とリサの攻撃によって飛び続けられなくなったミサイルは徐々に高度が下がっていき……そのまま水着水したのだった……
「ミサイルからの通信が突然絶えた!?」
イヴィリアは甲板にてジャンヌとロキを磔にした後部下の報告に驚愕の声を漏らしていた。まさかキンジが自分で止まった心臓を再稼働させてリサの攻撃を誘導してミサイルを空中分解しない程度に破壊して危なげながらも無理矢理着水させたとは夢にも思わない。
しかし……
「案外生きておったのかもしれんのぅ……遠山キンジのやつ……」
とパトラが言うとセーラがそれは流石にと首を振った。
「私はきちんと
「そこが盲点じゃ……」
キンジを仕留めたと思いきや思わぬ返し技で生きてられた事がこの中で唯一あるパトラだからこそ実際この作戦も心配だった。本当は溺死させた後灯油をかけて焼いておいた方がいいんじゃないかとマジで考えていたくらいである。
「あの男はしぶといからの……生きておるかもしれんぞ……」
「幾ら何でもそれは考えすぎでしょう……死とは全ての人間に訪れる真に平等な現象です」
「そうなんじゃがな……」
とパトラはローレッタの言葉を聞いても嫌な予感がぬぐえなかった……すると近くで立っていた鬼の閻がふと外を見て……笑った。
「成程……確かにしぶといものだな」
『え?』
閻の呟きに皆が首をかしげた瞬間水飛沫が上がる。
『なっ!』
その場の全員が驚愕した。甲板の先で磔にされていたジャンヌとロキも驚愕ものである。
そして水飛沫をあげて甲板に着地したのは金色の体毛から水を滴らせる狼……そしてその背に乗るのが、
「遠山……キンジ」
「おいおい、そんなにお化けを見るような顔は辞めて貰えないか?」
とキンジは垂れてくる水を払いながら肩を竦めた。
「む、むー!」
とジャンヌは驚いているし、ロキもポカーンとしている。
「待ってろ、リサ、頼むぞ」
とキンジはリサに頼んでジャンヌ達を縛っていた磔を壊し解放した。ついでに……
「ヨっと!」
ガン!っと船が動かないように縛っていたロープの繋ぎ目を蹴って壊した。古い船だ。簡単に壊れる。
『っ!』
ここに乗り込む前に他のロープはリサに切ってもらっておいたお陰で船はゆっくりと発進してそのまま外の世界に出た……
「くっ!だが相手は四人!しかも戦えるのは二人だけよ!」
そういうと魔女連隊の部下達やパトラにセーラは構えた。因みに閻は興味なさげにあくびしている。
「残念だけど遠山キンジ……あなたは今度こそ殺させてもら……え?」
イヴィリアは最後まで言葉を紡ぐ前に困惑した……それはそうだろう……突然頭が何者かに捕まれたのだ……
「ひぇ!」
次の瞬間イヴィリアの体が浮きそのまま船から投げ捨てられる……
『っ!』
全員が突然登場したキンジ達とは別の存在に注目した……服は下半分しか着ていない……持っていないのではなく水を吸って重くなったのだろう。腰に巻いている。頭には海藻を着けて顔は見えないが大柄だ……ポタポタと水を滴らせながらいることを考えてるについさっきまで泳いでいたことがうかがえる……
『ウ、海ぼぉおおおおおおおおおおおず!!!!!』
と皆は驚愕した。いや、なぜここに海坊主がここにいるのか分からないがいきなり現れて何故イヴィリアを船から投げ捨てたのかは知らないものの味方ではないだろう。因みにイヴィリアは泳げないらしくアップアップやって部下から投げられた浮き輪にしがみついている。そして件の海坊主は……
「誰がぁ……海坊主じゃあアアアアアアアアアア!!!!!」
その人物は頭に引っ付いた海藻を取って捨てる……その顔には見覚えがあった……鋭い眼光……無精髭がすごいことになっていたが見間違えるはずもない……そう!
「一毅!」
「お兄ちゃん!」
『桐生!』
キンジにとって最高の……援軍の登場だった……
遂に一毅登場!どうやって来たのかって?泳いだんですよ。何故ここにいるのかって?それは次回説明します。
次回やったら後もう一話やって欧州は終わりですね。そしたら日本編やってアメリカ編かなぁ……
と言うわけで今回のバスカービル日記!
バスカービル日記
執筆者・峰 理子
某月某日
今日は新作のお菓子と新作のゲームを買ったから遊んだよ\(^-^)/1日ゲームやってお菓子食べて全クリしたから後は縛りプレイとかRTAとかしたいなぁ~(*´∀`)あ、今度またお菓子出るからそれも買わないとねぇ~(゜∇^d)!!遊んで食べて、今日も幸せだよ(^w^)
ps.チッタァ働けbyキンジ
ps.そうだよ理子さん!油断しているとお腹周りが……by白雪