緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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其々の思い

「うぉおおお!すげぇぞキンジ!!!!!全部中国語だ!」

「そりゃ中国なんだから当たり前だろうが馬鹿……」

 

バスカービル及び一年の面々は中国の地に降り立つ。

 

海外には初の一人である一毅はすでに大興奮。大丈夫だろうかこの調子で……

 

「取り合えずアタシが取ってあるホテルにいくわよ」

『おー!』

 

アリアに連れられ皆はある気だす……そして10分もすればそのホテルに着いた。

 

「じゃあまずは適当に観光で良いわね」

「まずはこっちが中国に入ったのをアピールするってことか」

「そ、まあこれは個々の実力が高くないと危ないんだけど大丈夫でしょ」

「どう分ける?」

「適当でいいわよ。複数人でもなんでもね」

「じゃ、じゃあキンちゃんいこう!」

「理子もキー君といく~」

「せ、拙者は師匠と……」

「あ、アリアはいかないのか?」

 

大体いつのこの辺りでバリツが飛ぶためキンジが聞くとアリアは別に、と言う顔だ。

 

「私は何処かで襲撃を受けたらホバースカートで援護に向かうわ」

「成程」

 

そういう感じで【キンジ・白雪・理子・陽菜】のチームと【一毅・レキ・ライカ】のチーム、そして【あかり・辰正・志乃】の3チームとなって行動を開始した……

 

「あ、そうそう。スリが多いから財布には最低限の金銭にしたほうがいいわよ」

 

アリアの助言が後にあんな事態を引き起こすとは……まだ予想もしてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「賑やかですね~」

「あと何か人が凄いな……」

「世界経済二位の国ですから」

 

取り合えずブラブラしようと一毅とレキとライカの三人は一緒に町を歩く。

 

「ヘイモテモテのお兄さん!これどう?」

 

何か露天で薦められた。果物みたいだな……というこのおっちゃん片言だけど日本語しゃべったぞ?

 

「あんた解るのか?」

「少し。日本人お金落とす。だけど話せないとお金落としてくれない。だから覚えた」

「あ~……で?これなに?」

「まず食べる」

 

食ってみた。結構旨いな。見た目とか食感はドライフルーツみたいだ。

 

「レキとライカも食ってみるか?」

「女食べてもあんまり意味ないよ」

「は?」

 

一毅たちは首をかしげた。

 

「お兄さん女二人もいる、だから多分凄く大変ね。これ食べると夜元気よ」

「ぶっふ!」

 

そう言う系統の食べ物かい!思わす吹いたがすげえバクバク食っちまったよ!

 

「他にはどんなのがあるんですか?」

「これとかこれとかもオススメね」

 

だがレキとライカはそう言うのを結構真面目に聞いている。

 

「これとかなんて男が積極的になるね」

『ください』

「…………」

 

何か色々と危機感が……

 

 

 

ホクホク顔で荷物を持つレキとライカをエスコートしていると服屋みたいな所が見えた。

 

「少し寄っていかないか?」

「良いですね」

「じゃあ行きますか」

 

三人は入る。

 

レキとライカの二人はちょっと見てくると奥にいった。その間にロキへの土産でも買おうと色々見る。

 

(うーん……ロキって身長のわりにスタイル抜群だからな……どういうのがいいのかよくわかんねぇ……)

 

買おうにもロキの体格に合う服が分からず必死にロキの体つきを思い出すという端から見たらただの変態行動をしていると、

 

「一毅さんどうですか?」

「え?」

 

振り替えると、

 

「レキ……パンダ……?」

 

振り替えるとそこにはキグルミに近いが体のラインをはっきり見せる服を着ているレキがいた。

 

「変ですか?」

「スッゲェ可愛い」

 

愛くるしすぎる。外じゃなくまだ買ってない服じゃなかったらムギュッと抱き締めてモフモフしてた。

 

「か、一毅先輩……」

「ん?」

 

すると今度は角から顔だけライカが出てきた。

 

「どうした?」

「こ、これ……」

「っ!」

 

出てきたライカはなんとチャイナ服……足の付け根にまで入ったスリットは綺麗な足をこれでもかと見せつけバランスのいい四肢とスタイルをチャイナ服が強調させる……眼福だ……

 

「に、似合ってませんか?」

「似合ってる。凄く綺麗だ」

 

うーむ……もしかして明日辺り俺は後ろから刺されるんじゃないか……と一毅は一瞬考えてしまった。こんな美女二人に囲まれて……しかも二人は自分が好きで……

 

(俺ってなにげにキンジのこと言えない?)

 

やっと最近自覚が出てきた一毅は内心で冷や汗を流した。

 

「じゃあそれにするか?」

『はい』

 

一応ここでの代金は一毅もちである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キンちゃんあれすごいよ!」

「あ~……」

 

「キー君あれ食べよ!」

「れ~……」

 

「師匠!あれを見てくだされ!」

「ま~……」

 

キンジは目をグルグル回す。

先程から西へ東へ駆け回り白雪、理子、陽菜の三人に引っ張られて駆け回っているのだ。

 

「ストーップ!」

『?』

 

キンジが号令をかけて止めた。それを聞いた三人は首をかしげる。

 

「す、少し休憩させてくれ……」

「も~キー君ホントに海外慣れしてないねぇ」

「仕方ねぇだろ……俺は純日本人だ」

「それを言ったらユキちゃんや陽菜っちもそうじゃん。て言うかここにいるのは理子以外全員日本人だよ」

 

確かにそうだった……とキンジは溜め息を吐いた……

 

「そんなにアリアがいないのがショックなの?確かにアリアは海外慣れしてるもんね、一緒にいたら楽かもね」

「違う!」

 

キンジが否定すると理子はケラケラ笑った……だが同時に胸の辺りがズキン!とキンジは痛んだ。

 

(慣れてる……か)

 

飛行機内での記憶が思い出される。

居場所が違って価値観も違う……向こうは海外慣れしていてこっちは同じアジア圏の国ですら四苦八苦……

 

今回泊まってるホテルだってそうだ。所謂スウィートルーム……高級そうな菓子もあるしベットも柔らかそうだ。

 

お菓子といって思い浮かべるのがポッキーとかポテトチップス何て言う自分とは違いすぎる。

 

所詮自分はパートナーでしかないのだろうか……今以上のことを何処かで考えてしまうとストップが掛かってしまう。これ以上突っ込めば互いが傷つくかもしれない。今の関係にヒビが入るかもしれない……それは嫌だ……ならそんなことは望まず今のままでいる事を頑張った方がいいだろう……

 

(ったく……海外だからって感傷的になりすぎだぜ……俺)

 

キンジは乱暴に頭を掻いた。すると、

 

「どうしたのキンちゃん?」

「あ……いや」

 

幼馴染みでも白雪や一毅には相談できない……

 

「じゃあ一旦集まろうって連絡があったからそれで良いよね?」

「ああ」

 

アリアからの連絡を受けた三人に引っ張られキンジは歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~この髪飾り可愛いね」

「あかりちゃんにはこっちの髪飾りも良いですよ」

「…………」

 

あかりと志乃が髪飾りを見てたりする間辰正は荷物もちである。女二人に男一人となればそりゃ荷物持ちになってもおかしくはない。

 

「ん?」

 

すると連絡が入った。

 

「二人とも。アリア先輩が一度集まれだって」

「一度ホテルに?」

「ううん。この名前の屋台にだって」

 

そう言ってメールの文面を見せる。

 

「あ、これすぐそこですね」

「じゃあ急いで向かおうか」

 

あかりの言葉に二人はうなずく。

 

 

そこは屋台がたくさん所狭しと並ぶ一角であった。ここならそれぞれの好みで食べられるだろう。

 

「なにか飲み物買ってきますね」

 

そう言って志乃が買いにいった。

 

「でも海外なんて行くことになるなんてねぇ」

「一流武偵なら結構普通にいくらしいけどね……」

 

辰正はぼんやりと久しぶりに二人きりだなぁと思った。

学校では志乃やライカなどの友人がいるし自宅ではあかりの妹もいる。こう言うとき何か気の利いたことを言えれば距離が縮まると思うのだがなまじ幼馴染みで気心が知れてるせいで思い付かない。

 

(モテなくて良いけどキンジ先輩の女の子の扱い方が俺にもできたらなぁ……)

 

ヒステリアモードでなければキンジも女の扱いは不得手なのだが辰正を含め一年生たちはキンジのヒステリアモードを知らない。まあ何かしらのタイミングでキンジの中で何かのスイッチが入れ替わって女ジゴロで人間を辞めた状態になると言うのはぼんやりとわかっている。

 

「どうしたの?」

「あ、ううん……そう言えばあかりちゃんアリア先輩がキンジ先輩の隣に座ったときなにも言わなかったね」

「そりゃアリア先輩がキンジ先輩好きなの分かりきってるし……キンジ先輩が悪い人ではないのは分かってるしね……女誑しだけど」

「確かにね……」

「でも両想いの二人の邪魔すると馬に蹴られそうだしキンジ先輩がアリア先輩を泣かせなければそっとしとこうかなって」

「成長したね」

「どういう意味?」

 

あかりはジトーっと見てきたため辰正は視線を逸らした。

 

「でも今頃一毅先輩もデートか……そう言えばさぁ」

 

あかりが何か思い付いた表情になる。

 

「辰正って好きな人とかいないの?」

「お、俺ぇ?……俺は別に……あかりちゃんは?」

「どうだろ……よく分かんないや……でも本当にいないの?」

「それは……」

 

辰正は俯く……もしかしなくても今って告白するすごいチャンスなんじゃないだろうか……あかりは自分を異性とは見ていない……それはわかっている。故にある程度強引な手に出ると言うのも策の一つだと思う……しかしこのあと戦いがあるには間違いない。そんな状況でこのあとの連携に関わりかねない事をしていいのだろうか……だがチャンスを不意に出来ない……

 

(よ、よし……)

 

辰正は覚悟を決めた。

 

「あ、あかりちゃん……」

「何?辰正」

 

辰正は真剣な表情であかりを見た。

 

「僕は……」

「うん」

「僕は君がす【チキッ】うわぁああああああああ!!!!!!!!!!」

 

突然首に白刃が突きつけられた。

下手人は志乃である。

 

「何してるんですか?谷田君」

「なななななな何でもありません!」

 

あと少し遅ければ……と辰正は内心涙を流した……

そこに、

 

「おーい」

 

一毅やキンジたちがやって来た。

 

「何で志乃は刀を抜いてるんだ?」

「少し手が滑りました」

 

辰正の首に添えながら?と思ったが一毅は敢えて突っ込まなかった。

 

因みに、

 

(辰正もああいう男らしい表情するんだ……何か少し照れ臭かったな……)

 

少しだけあかりの中で変化が起きていたのは誰も知らない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ適当に何か買ってきてからアリアに連絡とるか」

「じゃあ手伝うぞ」

「あ、俺も」

 

男性三人が立ち上がる。

 

「何が良い?」

 

一毅が聞いているとキンジは何気なく横を見る。

 

(しっかし人が多いな……ん?)

 

その視線の先にはフリフリと揺れる名古屋武偵女子高の制服……異常なまでに短いスカートの下からは猿の尻尾……丈も異常に短いブラウスから黒くて長いクリッとした瞳の顔を出す……忘れもしないあいつは……何かラーメン持ってるけど間違いない!

 

「孫!!!!!!!!!!」

 

キンジの怒声にその場の全員どころか呼ばれた孫も驚愕して尻尾もビーン!と延びる。

 

「遠山!?」

 

キンジを見た瞬間驚きのあまりラーメンをおとした。

 

「ここであったが百年目だ!」

 

あのGⅢに穴を開けた技もあるためキンジは一気に孫との間合いをつめにかかり一毅たちも臨戦態勢を取った……そして孫は……

 

「ピィ!」

 

と言う奇声をあげてキンジから逃走した……

 

「待ちやがれ!」

 

それをキンジは追うため一気に加速した……


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