ジョジョと奇妙な友人   作:音子雀

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2話

よくジョジョやエリナと待ち合わせをする場所は偶然にも同じ場所だった。

 

僕はそんな野原の木の陰に隠れて様子を見守っていた。

 

まず先に現れたのはジョジョだった。

 

彼が野原に腰を下ろして僕のことを待っているところに、今度はエリナが現れた。

 

「アンジェリカ? どうしたのかしら、急ぎの用って……」

 

「アニってば急ぎの用と言ったくせに現れもしないな」

 

「「え?」」

 

「ねえ君、ここら辺で短い赤毛でこれくらいの背の子を見なかったかい?」

 

「まあ偶然、私も同じような人を探していて」

 

「「あれ?/あら?」」

 

どうやらようやく気づいたみたいだね。

 

これが、2人を引き合わせて2人だけの会話を楽しませるための僕の策略だってことに。

 

「アンジェったら! あの子こんなこと考えてたのね!」

 

「済まない、話が見えないんだが」

 

しょうがない、出て行ってあげるか。

 

「では僕から説明しよう」

 

木の上から、枝に足を引っ掛けて2人の目の前にぶら下がった。

 

「わっアニ!?」

 

「アンジェ!」

 

ナイスリアクション。

 

じゃなくて説明だったね。

 

「ジョジョ、この子はエリナ・ペンドルトン。君に恋してしまった初心な少女さ」

 

「言わないで頂戴よ、恥ずかしい!」

 

「おやおや、恥ずかしがってちゃあ実る恋も実らないぜ」

 

……ちょいとこの体勢を続けるのには無理があるな。

 

物理的に頭に血が上ってしようがないぜ。

 

降りるか。

 

「待ってくれアニ、つまり急用と言うのは」

 

「そう! ジョジョとエリナのご対面式さ!」

 

ここでちょいとネタバラシをすると、僕は2人に手紙を送っておいた。

 

急用がある、いつもの場所で待っているからね。

 

2人とも同じ内容で済んだのはとても嬉しいことだ。

 

まあそんなことで2人はまんまと僕の策にはまってここまで来てくれたわけだ。

 

うんうん、素直な友人がいて僕は嬉しいよ、素直な意味でね。

 

「まあいくら僕でもこれ以上首を突っ込みやしないさ。ここから先は君たち次第だからね。それじゃあ僕はお暇するよ」

 

役目を終えたピエロは颯爽と去らなくちゃあね。

 

くるりと踵を返して歩き出そうとしたら、右手と左手、つまり両腕をがっしりと掴まれてしまった。

 

振り返ってみれば、右手はエリナが左手はジョジョが掴んでいた。

 

「待ってよアンジェリカ、1人にされたら私、緊張でおかしくなっちゃうわ」

 

「待ってくれよアニ、僕はまだちゃんと女性と喋ったことがないんだ」

 

なんなんだよこの2人は。

 

全くもって、こんなんだから君たちは恋だのなんだのと無縁なんだ。

 

「……ん? ジョジョ、君は今なんと言った? 女性とちゃんと喋ったことがないって? 一体君は僕をなんだと思って話していたんだ」

 

「アニは別さ! だって君とは物心つく前からの仲なんだ。言っただろう? 君は僕、いやジョースター家にとって家族同然なんだよ」

 

「まあアンジェリカったら、ジョースター家とそんなに仲がいいのね」

 

おっかしいなあ?

 

なんだか話がおかしな方向に向かっている気がするぜ。

 

「まあとにかくだ。2人は僕がいないとお互いに話すことすらできない、そう言うことかい?」

 

確認のために聞いただけだと言うのに、2人は顔を赤らめてプイとそっぽを向いてしまった。

 

おいおい、これじゃ話にならないじゃあないか。

 

「やれやれだね」

 

つぶやいて見たところで解決策になるわけでもない。

 

「この状況を作ったのは僕なわけだし、しようがない。しばらくは3人で語り明かそうじゃあないか」

 

「アンジェリカ、もしよかったら、その、ジョナサンのことを教えて欲しいわ」

 

「それくらい自分で聞けばいいだろう」

 

「いやよ、恥ずかしいもの」

 

「ジョジョ、少しばかり君との過去を話そうと思うが、いいかい?」

 

「程々にしてくれよ」

 

よし、決まりだ。

 

そう言って僕はジョジョとの出会いの話をすることにした。

 

確かあれはとても幼い、僕がようやく立つようになり喋れるようになった頃の話だ。


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