嫁を育てて世界を救え!~異世界転移物語~   作:妖怪せんべえ

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閑話 ジジイ「出来たぞ公平!」

これはあったかもしれないある日のユグドラシル。あったと思うかないと思うかはあなた次第。

 

 早朝。それは全てハルの父親であるジジイの一言から始まった。

 

「出来たぞ公平! ツッコミをいれた人間に猛烈な便意を催す装置だ!」

 

「本当か! 流石だジジイ! 無駄に長生きしていないな!」

 

「ああ。だが、ツッコミといっても激しいものじゃないとダメなんじゃ」

 

「語尾にビックリマーク付いてるようなやつか。もっと条件簡単に出来ないのかよ」

 

「そうしてしまうとその辺がうんこだらけになってしまう。それは困るだろう?」

 

「む~。それもそうだな。まあいいや。さんきゅ。そんじゃ行ってくるわ」

 

「くれぐれも悪用するんじゃないぞ~」

 

 流石はジジイだ。天才だな。これさえあれば便秘に苦しむ事がなくなるじゃないか。だが、果たしてこれは本当に効くのか? 最初に見つけたやつで試してみるか。

 

「よう公平。久しぶりに一緒に運動しないか? いい汗流そうぜ!」

 

 騎士長か。ちょうどいいな。普段の会話でもツッコんでくれるし、ツッコミをいれさせるのはさして難しく無さそうだ。まずはツッコミをいれやすい環境を作っていくか。

 

「いや、遠慮しとく。汗を流すたって、どうせまた素振りとかだろ? 俺は銃で戦うんだ、剣を振る必要はない。そんな事より、最近フェンリルの女の子といい感じだって聞いたぞ?」

 

 俺がそう言うと、騎士長は途端ににへら、とした顏になった、この顔がこれから苦悶の表情に変わるかと思うと楽しみでしょうがない。

 

「いや、それがよ。この間ドワーフのやつらと呑んでたんだよ。そしたら3人組のフェンリル達がやってきて一緒に呑んだんだ。そしたらさ、その内の一人がやたらと俺の事横目で見てくるんだ。ありゃ絶対俺に気があるね」

 

「そ、そうか。それはよかったね。もしその娘から告白されたらどうする?」

 

「そりゃお前付き合うに決まってんだろ。なんたってフェンリルは美形ばっかりだ。あんなの嫁さんに出来れば最高だ」

 

 どんどんとギャグの雰囲気から離れていっている。おかしいな。こんなはずではなかったんだけど。こうなればしょうがない。多少強引にでもツッコませる!

 

「話しぶった切って悪いんだけどさ、温泉入らない? 朝風呂って気持ちいいんだよ?」

 

「おおう、随分と急だな。いいけどよ」

 

 そういう訳で温泉に着いた。予めカンナに協力を要請して、人払いの結界を張ってもらっていたので、貸し切りだ。結界を張ってもらう対価は俺との添い寝。騎士長の苦しむ顏が見れるなら安いもんだ。

 

「ふい~やっぱり朝風呂は気持ちいいっすね~。騎士長もそう思わんかね?」

 

「まったくだ。しかしあれだな。男2人で風呂入ってるとなんか語りたくなってくるな」

 

「いや全然これっぽっちもさっぱり」

 

「そう言うなよ。最近さ、俺の出番減ってきてると思うんだ」

 

 ああ、始まった。こんな事話した所で出番なんて増えないんだから無駄なんだよ。むしろさっさとツッコんでくれ。

 

「そんな事より俺のち○こ握る?」

 

「なんでだよ! 気持ち悪い! うっ!」

 

 お、効いてる効いてる。一瞬にして騎士長の顏が蒼くなった。これはあと一息だ。

 

「いやあれだよ? 別にホモとかじゃなくてただち○こ握ったら楽しいかなーって」

 

「くっ! 楽しい訳……ないだろ! 常識ねえのかよ! ……うう」

 

 おお、これは来ただろう。って……待てよ。ここは温泉。裸で湯に浸かる場所。ここで漏らされたら俺の体までクソまみれになってしまう!

 

「騎士長あれだろ。腹痛いだろ? 俺に構わずうんこしてこいよ。っていうか行けよ。一刻も早くここから出て行け!」

 

「そ、そうしたいのは山々なんだが……動くとやばい……」

 

「くっそ! ふざけんな! ここは公衆の施設だぞ! そんな所をうんこまみれにしていいと思ってんのか! 大丈夫だ、騎士長の肛門括約筋はそんな事では負けない。だから早く出てけ!」

 

「うう……や、やばい」

 

 万事休す。これも発明品を悪用した罰、か。すまんな、皆。俺は罪を甘んじて受け入れる。俺はうんこから逃げない。……そろそろか……南無三!

 

「出来たぞ公平! うんこを漏らしそうな人間の肛門に野菜を突っ込む装置だ!」

 

「でかした! 流石だジジイ! 今すぐそれを騎士長に使うんだ!」

 

「わかった!」

 

 ジジイの言葉と同時に赤いスイッチを押した。するとどこからか大根が飛んできて、騎士長の肛門に突き刺さった……。

 

「んんんんんんんん! ンハア……」

 

 何ちょっと最後の方感じてんだよ、気持ち悪い。まあ何にせよ、皆の温泉がクソまみれになるなどという事態は回避出来た。大丈夫だな、問題ない。

 

 ケツに大根を挿してピクピクと痙攣している騎士長を尻目に、俺はジジイに今回の事の顛末を説明した。

 

「ジイさん。この装置は危険だ。今すぐ破棄するべきだ。危うく皆の温泉がクソまみれだ。もっと役に立つものを開発しようぜ」

 

「むう……。どうやらこの発明は失敗だったようだな。公平の言う通り、破棄するとしよう。だが、喜べ公平。もう一つ出来たものがあるんだ」

 

「な、なんだってー!?」

 

 俺とジジイの発明は続く……。




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